起業家と投資家の軌跡 (2013年11月・中央経済社刊)

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起業家と投資家の軌跡ーアメリカのおけるベンチャーファイナンスの200年。

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起業家と投資家の軌跡 (2013年11月・中央経済社刊)

  1. 1. -0-
  2. 2. まえがき 本書は過去2世紀におけるアメリカのアントレプレナーシップの発展を追った ものである。後の章と少し重複するが、本書で企図したことを簡単に述べておき たい。 新しい事業を構想しビジネスを創っていくプロセスは孤立した活動ではなく、 広大な社会構造のなかに組み込まれた活動である。これを狭義に経営活動の一部 として考えたとしても、経営のみならず、経済、社会、法律、政治、金融、文化 的価値観などが大なり小なり影響し、同時にこれらの複層的な社会要素が相互に 関連する。それだけに、多くの起業家たちの活動を理解するためには、長い時間 軸によってそれぞれの国や地域の行動様式や慣行を知り理解することに大きな意 味があると私は考えている。 人々の事業における「行動様式」や「慣行」は、歴史を追うことによってその 成り立ちを知ることができる。科学的な考えの人たちはともすれば様式や慣行が 否定しがちであるが、それらがあるからこそ日常生活における我々の不安や疑念 が軽減されることが多い。たとえば、新しい事業における資金調達や人材採用の 方式、ネットワークの開拓手段には標準的なやりかたがあり、人々は知識や経験 が少なくても慣行に従って行動すれば大抵は滞りなく取引することができる。事 業が生成し発展し消滅する一連の時間軸の中で、現在につながる様式や慣行や価 値観が生まれたとすれば、過去の起業家や投資家たちの軌跡を追うことには意味 がある。 アメリカのシリコンバレーでは日常的に新しいプロジェクトが生まれ、若者は 構えることもなく「普通」に起業家となる。一方、日本にはベンチャーや起業家 の活動を「普通」と考える人は日本には少ない。その一方でどうしてそのように 価値観や行動が異なるのか。それとも日本には特殊要因があって、それが解決さ れれば、アメリカと同様に起業家が多数輩出する構造に変わるのか。アメリカの アメリカらしさ、日本の日本たるゆえんがどこにあるかを知る鍵はやはり歴史に ある。こういった曖昧模糊とした仮説をもって研究を進めてきたが、アメリカの -1-
  3. 3. 200年は長く広大であった。後のために道筋をつけるつもりが、偏った考えで迷 い込み間違った標識を立てたかもしれない。皆様の率直なご意見・ご批判を乞う しだいである。 本書を執筆するにあたっては、自分の過去の研究を見直し継ぎ足しながら成果 物をとりまとめた。アメリカの専門家とメールによって何がしかは確認していた ものの、肝心の日本国内に関連分野の研究者がほとんど存在しないため、はたし て自分の仮説とアプローチの方法が妥当なものかと思いつつ時間を費やしてきた。 その中で定期的にアドバイスと激励を頂いた秦信行先生(國學院大學経済学部教 授)には心よりお礼を申し上げたい。また、文箭安雄・日本ベンチャーキャピタ ル会長、谷川徹先生(九州大学産学連携センター教授) 、忽那憲治先生(神戸大学 大学院経営学研究科教授) 、安藤晴彦先生(一橋大学大学院法学研究科特任教授) にはお会いするたびに出版の激励を頂き、ともすれば萎えがちの意志を保つこと ができたと思う。 アメリカの文献調査に関しては、カリフォルニア大学バークレー校バンクロフ ト・ライブラリー(The Bancroft Library) 、ハーバード大学ベイカー・ライブラ リー(Baker Library) 、スタンフォード大学STVP(The Stanford Technology Ventures Program)の関係スタッフには、細かな事項の確認で度々お世話になっ たことを記しておきたい。 中央経済社の小坂井和重常務は今回の出版を真摯に検討されてお引き受け頂 き、また同社編集スタッフの方々は字句の隅々までサポートをして下さった。こ のお支えがあってこその上梓だと思っている。 最後に、私事になるが家族にも感謝を記しておきたい。共働きの妻喜代子と 二人の娘を日本に残し、長くアメリカに滞在し各地を巡って見聞を深めてきたこ とが本書の素地となっているからである。 2013年11月 小野 -2- 正人
  4. 4. 目 次 まえがき 第1章 本書の構成とねらい 1. 本書の目的 1 2. 本書の視点 4 3. ベンチャーキャピタルの構成要素 8 4. アプローチ 10 5. 制約 11 第2章 19世紀の新興企業とファイナンス 1. アメリカの工業化 13 2. 第二次産業革命と新産業 16 3. 株式会社の拡大 22 4. 19世紀における企業の資金調達 25 5. 小括 30 第3章 起業家とアメリカニズムの形成 1. 起業家の誕生 33 2. 起業活動におけるアメリカニズムの形成 37 3. 小括 48 第4章 20世紀前半の新興企業とファイナンス 1. 第二次大戦前までのアメリカ 51 2. 20世紀前半の起業家 55 3. 20世紀前半の投資家 61 4. 金融証券市場の制約 64 5. ベンチャー投資組織の設立機運 68 6. 小括 73 第5章 戦後における投資組織の形成 1. ファミリー投資の組織化 77 2. 世界初のベンチャーキャピタル 81 3. ARDの制約と限界 92 4. 小括 95 第6章 政府のベンチャーファイナンス 1. 株式市場とIPOの推移 99 2. SBIC制度の発展と問題 101 3. 小括 106 -3-
  5. 5. 第7章 西海岸の勃興 1. 18世紀までの西海岸 110 2. エレクトロニクス産業の萌芽 113 3. 第二次大戦後の起業家と投資家 118 4. 小括 125 第8章 西海岸における投資組織の形成 1. 半導体、コンピュータ産業の形成と投資家 129 2. リミテッド・パートナーシップ 133 3. 小括 142 第9章 ベンチャーキャピタル・ファンドの成立 1. 外部環境の進展 147 2. ベンチャーキャピタルの組織化と機関化 157 3. 小括 168 第10章 1990年代の成長と変貌 1. 1990年代の飛躍 2. ベンチャーキャピタルの巨大化 181 3. ネットバブル後の構造変化 184 4. 小括 189 第11章 174 ・ ベンチャーキャピタルのパフォーマンス 1. ベンチャーキャピタル・ファンドの収益性 194 2. ファンド・パフォーマンスの要因 202 3. ベンチャーキャピタルの競争力 208 4. 小括 212 第12章 むすびにかえて 1. 本書の到達点 215 2. ベンチャーキャピタルの構成要素 216 3. インプリケーション 218 4. 今後の課題 220 ■参考文献 ■関連年表 ■索引 -4-

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