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指定討論
荘島宏二郎
大学入試センター研究開発部
交通整理
ちょっとそこのモデルとまりなさい
一般線形モデル
重回帰分析
(独立変数が連続)
分散分析
(独立変数がカテゴリカル)
独立変数が連続とカテゴリカル
交互作用なし
共分散分析
階層的重回帰分析
交通整理
一般線形モデル
(変量効果あり)
一般線形モデル
(固定効果)
線形混合モデル
(誤差が非正規)
一般線形モデル
(誤差が正規分布)
一般化線形モデル
階層線形モデル
ペアデータ(区別可能)
• 2要因混合計画
• ペア:被検者間変量
• 夫妻:被検者内固定
学校データ(区別不能)
• 一要因被検者間計画
• 学校:被検者間変量
夫 妻
ペアA A二郎 A子
ペアB B二郎 B子
ペアC C二郎 C子
ペアD D二郎 D子
ペアE E二郎 E子
ペアF F二郎 F子
生徒
学校A 生徒A1 生徒A2 生徒A3・・・
学校B 生徒B1 生徒B2 生徒B3・・・
学校C 生徒C1 生徒C2 生徒C3・・・
学校D 生徒D1 生徒D2 生徒D3・・・
学校E 生徒E1 生徒E2 生徒E3・・・
学校F 生徒F1 生徒F2 生徒F3・・・
ICCは層別化要因の分散説明割合を見ている
𝜂 𝑎𝑑𝑗
2
(分散分析の効果量の1つ)と設計思想がほぼ同じ
鬼頭先生のご発表(区別可能性)
一般線形モデル
回帰分析
決定係数𝑅2
自由度調整済み
決定係数𝑅 𝑎𝑑𝑗
2
分散分析
効果量𝜂 𝐴
2
自由度調整済み
効果量𝜂 𝐴,𝑎𝑑𝑗
2
分散比なのに、なぜ級内「相関」?
• 先生𝑖の児童A
• 𝑦𝑖𝐴 = 𝜇 + 𝑎𝑖 + 𝑒𝑖𝐴, 𝐸 𝑦𝑖𝐴 = 𝜇, 𝑉 𝑦𝑖𝐴 = 𝜎 𝑎
2 + 𝜎𝑒
2
• 先生𝑖の児童B
• 𝑦𝑖𝐵 = 𝜇 + 𝑎𝑖 + 𝑒𝑖𝐵, 𝐸 𝑦𝑖𝐵 = 𝜇, 𝑉 𝑦𝑖𝐵 = 𝜎 𝑎
2 + 𝜎𝑒
2
• 𝐶[𝑦𝑖𝐴, 𝑦𝑖𝐵] = 𝐶 𝜇 + 𝑎𝑖 + 𝑒𝑖𝐴,𝜇 + 𝑎𝑖 + 𝑒𝑖𝐵
= 𝐸 𝑎𝑖 + 𝑒𝑖𝐴 𝑎𝑖 + 𝑒𝑖𝐵
= 𝑉 𝑎𝑖
= 𝜎 𝑎
2
•
𝐶[𝑦 𝑖𝐴, 𝑦 𝑖𝐵]
𝑉 𝑦 𝑖𝐴 𝑉 𝑦 𝑖𝐵
=
𝜎 𝑎
2
𝜎 𝑎
2+𝜎 𝑒
2 =
担任の効果の分散
全分散
ICCと設計思想が本質的に同じもの
• 回帰分析における自由度調整済み決定係数
𝑅 𝑎𝑑𝑗
2
=
独立変数群の説明分散
従属変数の分散
= 独立変数群の説明分散割合
• 尺度構成やテスト理論における信頼性係数
𝜌 =
真値の分散
得点の分散
= 真値の分散割合
• バランスデータのとき(Zyl, Neudecker & Nel, 2000)
• 𝛼 =
𝑛×𝐼𝐶𝐶
1+𝐼𝐶𝐶(𝑛−1)
• 𝐼𝐶𝐶 =
𝛼
𝑛− 𝑛−1 𝛼
鬼頭先生へ
• 欠測データも使ってほしい
• APIM powerでindistinguishable dyadsとありますが、
distinguishable dyadsのケースでもできます?
• E1とE2の誤差間共分散を外せば自由度が1つ余る
• その代りに夫満足度→妻満足度のパス係数
• その代りに妻満足度→夫満足度のパス係数
• どちらのパス係数が大きいのか教えてほしい
• 「夫満→妻満」のほうが大きい⇒「日本の嫁すげー」
• 「妻満→夫満」のほうが大きい⇒「やっぱ俺たちすげー」
• 両方のパスを同時に設定できない
• もう少し変数を増やして自由度を大きくするか
• 高次積率を導入するか
夫:自尊心 夫:夫婦満足度
妻:自尊心 妻:夫婦満足度
e1
e2
石盛先生のご発表
• 級内相関係数ICCの信頼区間(Graybill, 1961)
• バランスデータ:級内相関ICCの下限と上限
• (𝐼𝐶𝐶𝐿, 𝐼𝐶𝐶 𝑈) =
𝐹
𝐹 𝑈
−1
𝑛+
𝐹
𝐹 𝑈
−1
,
𝐹
𝐹 𝐿
−1
𝑛+
𝐹
𝐹 𝐿
−1
• 𝑛: 級内標本サイズ
• 𝐹 =
𝑀𝑆 𝐴
𝑀𝑆 𝐸
~𝐹𝑎−1,𝑎(𝑛−1)
• この区間に0を含まない⇒ H0: ICC=0を棄却
• ICCの有意性より、信頼区間を示していくことが重要
• アンバランスデータの信頼区間は複雑
• Burdick, Maqsood & Graybill (1986)
• HADならいつかやってしまいそう
石森先生へご質問
• 夫婦ペアデータ収集の難しさはどのあたりですか?
• 仲の悪い夫婦ほど2人のデータがそろわなそう
• スライド6の多様性表現につなげていくには
• 統計的分析は平均的傾向を記述するのは得意
• 分散などの散らばりは解釈できるが実像を結びにくい
• 統計分析が描く平均的な家族はいないのでは?
• マルチレベル潜在クラス?
• 潜在クラスAPIM?
• 統計分析をフォローする(orと併用する)方法論は?
• 背景理論に家族システム論などが利用可能
• 1つ1つ丁寧に見ていくことも大事(事例研究)
清水先生のご発表
• aggregation(集約)
• 下位レベルの変数を上位にもってくること
• 例:学校ごとの生徒の学力平均を学校レベルの変数に
• disaggregation(配布)
• 上位レベルの変数を下位レベルに割り当てる
• 例:公立/私立のラベルを各児童に振る
• 同じ学校の生徒には同じラベルが割り当てられる
• 個人レベルの相関をペア平均の分散として吸収
• 説明変数のICCが高いときがML-SEMの使いどき
清水先生へ
• S7「愛情は互いに減る」
• 「情熱は減るが愛着は増える」と言ってほしかった
• 不適解が生じないことがいいことか
• 不適解が生じているときは、データがこのモデルじゃ窮
屈だよーと言っているサイン
• モデルを改善するきっかけにもなる
• でもまあ、いいことだよね・・・

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