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定性的セグメンテーションと定量的セグメンテーションをつなぐ 定性調査と社会知ネットワーク(ベイジアンネットワーク)の活用
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顧客調査分析における課題
3.
顧客理解における課題 【課題1】顧客セグメンテーションを効果的に行いたい 多種多様な顧客ニーズを理解するための1つの方法として、弊社で研究を進めている社会知ネット ワークの活用がある。 社会知ネットワークは、ヒトの価値観(以下、Societas)核にして、情緒ベネフィット、メディア、 検索ワードなどの購買心理や行動特徴を推論をすることができるが、このネットワークを活用し、 ターゲット顧客の特徴を正しく理解するためには、どのように顧客セグメンテーションをするかが 非常に重要なポイントになる。 しかし、効果的なセグメンテーションを行うことはむずかしい問題で、年齢性別などのデモグラフ ィック属性だけの軸では不十分で、より顧客心理の本質に迫るセグメンテーションが重要になる。 これは社会知ネットワークの有効活用だけの問題ではなく、マーケティング全般に共通する重要な 課題でもある。 【課題2】顧客調査分析を限られたコストの中で実施したい 顧客調査分析における現場の課題として • 追加アンケート調査する予算も時間もない • 今あるデータでできるだけ効果的な分析をしたい というニーズは多い。 特にWebマーケティングにおいては低予算・短納期である場合が多いため、低コストかつスピーデ ィな実施がより求められるため、これらのニーズは高い。 社会知ネットワークにつながる追加調査をすることが理想的な場合もあるが、現実的には今あるデ ータで何とかするという状況は少なくない。 3
4.
調査分析方法について 前頁の課題に対して、 「おもてなしWebコミュニケーションのためのSocietas活用」(弊社オープンラボ2013)にて、下記状況に おけるアプローチ例をポスター発表した。 【状況】 ・目的:社会知ネットワークを活用し、20-30代向けファッションストアの 顧客セグメンテーションを実施し、各セグメントの特徴を明らかにする ・今あるデータ: 社会知ネットワークにあるファッションに関する23項目 【調査分析方法】 1.簡易インタビュー調査による顧客セグメンテーションの実施 2.定期価値観アンケート調査(2013/9)から20-30代女性のデータ1,950件の分析 ①ファッションに関する質問23項目を活用し、pLSAにて潜在クラスを分析 ②抽出した潜在クラスと元の23項目を学習データとして、ファッション価値観モデルをベイジアン ネットワークで構築 ③調査分析1の対象者の回答データ23項目を証拠としてファッション価値観モデルに与え、各ファッ ション価値観を推論、その結果より定量的セグメンテーションを実施 ④Societas(価値観)をハブにして、定量的セグメンテーション別の特徴(情緒ベネフィット、反応メ ディア、Web検索ワード)を推論 本発表でのアプローチとしてとった調査分析方法のポイントは • 簡易定性調査と定量分析の活用 • ベイジアンネットワークによる推論 であるが、その詳細については説明しきれなかったため A)
なぜ定性調査も必要があるのか? B) どのように定性と定量の分析結果を統合していくのか? について、本資料にて説明していく。 4
5.
【調査分析方法のポイント】 A)なぜ簡易定性調査もする必要があるのか?
6.
なぜ簡易定性調査もする必要があるのか? 定量分析の結果をレポートした際に、 「使えない」と評価されてしまうことがあると思うが この「使えない」という評価を、どういうことか考えると 分析結果を具体的なアクションに落とし込めない、施策実施につながらないということと 考えられる。 そして、落とし込めない、つながらないというのは、 さらに2つのどちらかの問題があると考えることができる。 定量分析結果が十分ではなく、解釈できない/イメージが膨らまない。 定量分析結果が事実と乖離しており、机上の空論となってしまっている。 たとえば、定量データのクラスター分析結果も、解釈できない、あるいは解釈はできるが 「使えない」ということがおこる。 P.4にある2.①定量分析(潜在クラス分析)の場合は、解釈はできるがそのままでは「使えない 」結果であった。本資料では、それを1.定性調査分析と比較していき、定性調査の必要性を 確認していくが、定量分析だけを行う場合を想定して、まず2-①定量分析の結果から見てい くことにする。 6
7.
2.①定量分析 ファッションに関する23項目の定量データ 回答項目 Q8.14.容姿や服装など外見をほめられる Q8.44.好きな服を着る Q16.14.こだわり商品:服 Q16.15.こだわり商品:鞄.靴 左表のファッションに関する23項目を使い、 (定期価値観アンケート、2013年9月、20~30代女性n=1,950) Q16.16.こだわり商品:アクセサリー Q16.18.こだわり商品:子ども用品 Q20.1.服を買いにいくのは正直面倒くさい Q20.2.定番に近い服を着たい ファッションストアにとって、 効果的な顧客セグメンテーションを実施したい Q20.3.家族にも恥ずかしくない服を着てほしい Q20.4.多少高くても長く着れる服を選ぶ Q20.5.よい素材の服を着たい Q20.6.服は自己表現の手段だと思う Q20.7.家で洗える服を買いたい そこで、潜在クラス分析を実施する。 Q20.8.きちんとした格好をしたい Q20.9.とにかく安い服でかまわない Q20.10.ブランドのロゴが大きく入っている服は着たくない Q20.11.ふだん服を買う店.ブランドは決まっている Q20.12.安い服は着たくない Q20.13.はやりの服を着たい Q20.14.好きな有名人と同じ服を着たい Q20.15.服は誰かに選んでもらう Q20.16.服のセンスが良いと言われたい Q21.ファッション誌を読む 7
8.
2.①定量分析 潜在クラス分析(pLSA)の実施した結果 ファッションに関する質問23項目を活用し、pLSAにて潜在クラスを分析 4つのファッション価値観(ファッション好き、こだわり、定番、トレンド)を抽出 8
9.
2.①定量分析:潜在クラス分析(pLSA)の課題 ファッションに関する質問23項目を活用し、pLSAにて潜在クラスを分析 4つのファッション価値観(ファッション好き、こだわり、定番、トレンド)を抽出 しかし、この4つのファッション価値観を そのまま4つ顧客セグメントとすることは 本当に効果的なセグメンテーションとなるのか? ⇓ そこで、当該ストアの顧客に対する 簡易定性調査分析結果で確認する。 9
10.
1.定性調査分析 簡易定性調査による顧客セグメンテーション ファッションストアAの顧客インタビュー結果で明らかにした 顧客セグメンテーション(下記)と、ファッション価値観の整合性を検証する。 顧客インタビュー分析結果: 少なくとも3つの顧客セグメント(①こだわりおしゃれ層、 ②定番おしゃれ層、 ③子供服こ だわり層)があり、それぞれ好みや価値観・ライフスタイル、購買心理が異なり、また各セグ メント特徴に現場感もあり、施策への発想にもつながる具体的な内容といえる。 ①こだわり おしゃれ層 ②定番 おしゃれ層 ③子供服 こだわり層 顧客インタビューの実施内容 調査方法:簡易定性調査「ご近所リサーチ」(参考文献・・・) 調査対象:弊社社員に実施したアンケート結果をもとに
20-30代6名をピックアップ 調査方法:購買行動や購買心理についてインタビュー 調査期間:2013年9月 10
11.
2.①定量分析と1.定性調査分析結果の比較 定性セグメンテーション ↔ 4つのファッション価値観 ①こだわりおしゃれ層(定性)は、b.こだわり(定量)と同様なのか? ②定番おしゃれ層(定性)は、c.定番(定量)と同様なのか? 定性で得た顧客セグメンテーション ? ? 定量的に得たファッション価値観 11
12.
2.①定量分析と1.定性調査分析結果の比較 定性セグメンテーション ↮ 4つのファッション価値観 内容を確認すると双方は同じではなく。また、潜在クラスそのままでは 現実感とあわず適切なセグメントとは考えられず「使えない」。 定性で得た顧客セグメンテーション ×
× 定量的に得たファッション価値観 12
13.
まとめ1 【調査分析方法のポイント】なぜ定性調査分析も必要か?に対して、 定量分析結果から発想が膨らまない、 あるいは現場納得感がなく「使えない」ものにならないためにも、 簡易定性調査を実施することが必要と考えられる。 13
14.
【調査分析方法のポイント】 B)どのように定性と定量の分析結果を統合していくのか?
15.
どのように定性と定量の分析結果を統合していくか? 1.定性で得た顧客セグメンテーション ? ? 2.①定量的に得たファッション価値観 15
16.
まず、定性調査対象者にファッション23項目をアンケート 1.定性で得た 顧客セグメンテーション まず6名のうち女性2名に 23項目をアンケート回答 してもらう こだわりおしゃれ層 定番おしゃれ層 の被験者A回答結果 の被験者B回答結果 Q201服を買いにいくのは正直面倒くさい 0 0 Q202定番に近い服を着たい 0 1 Q203家族にも恥ずかしくない服を着てほしい 0 1 Q204多少高くても長く着れる服を選ぶ 1 1 Q205よい素材の服を着たい 1 0 Q206服は自己表現の手段だと思う 1 0 Q207家で洗える服を買いたい 1 0 Q208きちんとした格好をしたい 0 0 Q209とにかく安い服でかまわない 0 0 Q2010ブランドのロゴが大きく入っている服は着たくない 1 0 Q2011ふだん服を買う店・ブランドは決まっている 0 1 Q2012安い服は着たくない 1 0 Q2013はやりの服を着たい 0 0 Q2014好きな有名人と同じ服を着たい 0 0 Q2015服は誰かに選んでもらう 0 0 Q2016服のセンスが良いと言われたい 0 0 Q814容姿や服装など外見をほめられる 0 0 Q844好きな服を着る 1 1 設問 2.①定量的に得たファッション価値観 しかし、ファッション23項目の 回答を定性的に判断しても 2名がどのファッション価値観を 持っているかを判断できない × 16
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ファッション価値観を推論するためのモデルを構築 回答項目 Q8.14.容姿や服装など外見をほめられる Q8.44.好きな服を着る Q16.14.こだわり商品:服 Q16.15.こだわり商品:鞄.靴 Q16.16.こだわり商品:アクセサリー Q16.18.こだわり商品:子ども用品 そのため、定期価値観アンケート(2013年9月、20~30 代女性n=1,950)のデータ、 ファッションに関する23項目と4つのファッション価値 観(ファッション好き、こだわり、定番、トレンド)で、 ファッション価値観モデル(ベイジアンネットワーク)を 構築 Q20.1.服を買いにいくのは正直面倒くさい Q20.2.定番に近い服を着たい Q20.3.家族にも恥ずかしくない服を着てほしい モデル図 Q20.4.多少高くても長く着れる服を選ぶ Q20.5.よい素材の服を着たい Q20.6.服は自己表現の手段だと思う Q20.7.家で洗える服を買いたい Q20.8.きちんとした格好をしたい Q20.9.とにかく安い服でかまわない Q20.10.ブランドのロゴが大きく入っている服は着たくない Q20.11.ふだん服を買う店.ブランドは決まっている Q20.12.安い服は着たくない Q20.13.はやりの服を着たい Q20.14.好きな有名人と同じ服を着たい Q20.15.服は誰かに選んでもらう Q20.16.服のセンスが良いと言われたい Q21.ファッション誌を読む 17
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定性で得たセグメンテーションのファッション価値観 2人のファッション23項目の回答を見ても、 どのファッション価値観を持っているか判断できなかったため こだわりおしゃれ層 定番おしゃれ層 の被験者A回答結果 の被験者B回答結果 Q201服を買いにいくのは正直面倒くさい 0 0 Q202定番に近い服を着たい 0 1 Q203家族にも恥ずかしくない服を着てほしい 0 1 Q204多少高くても長く着れる服を選ぶ 1 1 Q205よい素材の服を着たい 1 0 Q206服は自己表現の手段だと思う 1 0 Q207家で洗える服を買いたい 1 0 Q208きちんとした格好をしたい 0 0 Q209とにかく安い服でかまわない 0 0 Q2010ブランドのロゴが大きく入っている服は着たくない 1 0 Q2011ふだん服を買う店・ブランドは決まっている 0 1 Q2012安い服は着たくない 1 0 Q2013はやりの服を着たい 0 0 Q2014好きな有名人と同じ服を着たい 0 0 Q2015服は誰かに選んでもらう 0 0 Q2016服のセンスが良いと言われたい 0 0 Q814容姿や服装など外見をほめられる 0 0 Q844好きな服を着る 1 1 設問 定性調査対象者の アンケート回答を証拠として モデルに投入 ベイジアンネットワークで2名のファッションの価値観を推論 こだわりおしゃれ層 定番おしゃれ層 の被験者A推論結果 の被験者B推論結果 流行トレンド 0.00% 22.09% 定番 3.35% 63.61% 100.00% 97.75% 85.82% 39.73% 4つのファッション価値観 こだわり ファッション好き 定性調査対象者の ファッション価値観を推論 18
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定性と定量分析結果をつなぐ 1.定性で得た顧客セグメンテーション ○ ○ 2.①定量的に得たファッション価値観 19
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定性調査対象者のファッション価値観を推論するプロセス全体像 1.定性で得た 顧客セグメンテーション 次に6名のうち女性2名に 23項目をアンケート回答 してもらう こだわりおしゃれ層 定番おしゃれ層の ファッション価値観を抽出 4つのファッション価値観 流行トレンド 定番 こだわり ファッション好き 定性調査対象者の アンケート回答を証拠として モデルに投入 2.①定量的に得た ファッション価値観 0.00% 22.09% 3.35% 63.61% 100.00% 97.75% 85.82% 39.73% 定性調査対象者の ファッション価値観を推論 ファッション価値観モデル 20
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まとめ2 【調査分析方法のポイント】どのように定性と定量の分析結果を融合していくか? に対して、 定性と定量をつなげるために、定性調査対象者に定量調査と同様のアンケートを取 得する。 そして、そのアンケート結果を定性的解釈でつなげるのではなく、ベイジアンネッ トワークを用いて推論する。 なお、定性調査サンプル数が少ないことが課題としてある。 しかし、コストとスピードが求められる現場において、全く実施しない場合と比較 すると、少サンプルででも実施することで分析が深まることは、少なくとも明らか である。 21
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最後に どのように定性的に得たセグメンテーションを 定量的セグメンテーションに落とし込んだかを説明した。 この定量的セグメンテーションごとに価値観を証拠として、 各セグメントの特徴を推論した結果は、ポスター発表の通りになる。 なお、企業実践の具体的な方法については、 企業内のデータからどのように始めていくかは、 社会知ネットワークのデモで紹介し、 また、このようなお客様の“心”の理解をもとに、 具体的なアクションに落とし込み、施策実践していく方法と事例に関しては ●デザイン・シンキングのための共創の「場」づくり ●Webコミュニケーションデザインの実践的アプローチ にて発表した。 22
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