「地域連携とICT」 乃木坂スクール 2012/10/13
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乃木坂スクールでの私の講演資料です。テーマは「地域連携とICT」。在宅ケアにおける効率化や連携をICT(スマートフォンやクラウド）活用で活性化する取り組みについての報告です。
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「地域連携とICT」 乃木坂スクール 2012/10/13
- 1. 乃木坂スクール ＃１２－４ 2012.10.13 地域連携を支えるICT -在宅医療における効率化、情報共有、教育- 医療法人社団プラタナス 桜新町アーバンクリニック 院長 遠矢 純一郎 twitter @jtoya
- 2. 日本の人口構造の推移と見通し 国立社会保障・人口問題研究所 1970 2012 2050 1億370万人 7.1％ 1億2660万人 23.4％ 9520万人 39.6% ０～１４歳 １５～６４歳 ６５歳以上
- 4. 医療の目標の変化 治癒 ＱＯＬ 健康とは、「健やかに生活すること」
- 5. 医療の目標の変化 国際障害分類(ICIDH)における障害モデル 予防 病気 機能障害 能力障害 社会的不利 ならないように する 脳卒中 手足の麻痺 歩けない 外出が困難 保健 医療 福祉（介護・生活支援） 包括的ケアシステム
- 6. これからの「医療」の位置づけ 保 健 医療 福 祉 保 医 福 健 療 祉 包括ケアシステム 猪狩周平著 「病院の世紀の理論」より
- 8. 20 40 60 80 100 0 理想の場所 1951 1952 1953 1954 昭和25年 1955 1956 死亡場所 統計 1957 15 1958 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 病院 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 昭和50年 自宅 1979 （一般アンケート） 最期を迎えるのに理想の場所は？ 1980 73 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 無回答 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 求められる医療のかたち 2001 2002 2003 12 2004 2005 平成18年 自宅 施設 病院
- 9. 死亡場所の構成比 病院 自宅 施設 日本 ８１％ １２％ ４％ アメリカ ４１％ ３１％ ２２％ オランダ ３５％ ３１％ ３３％ 最期の場所は？ （アンケート） １５％ ７３％
- 10. これからのケアシステムの場 Hospital Home 「生活の質を支える」には、当事者の生活環境での サービス提供が望ましい ＝ 自宅、居住地域
- 11. 救急 アウェイ 情報共有 0～100歳 がん・脳血管 認知症・難病 グループ 診療 緩和ケア 多職種 看取り 連携 在宅医療
- 12. 地域包括ケアを支えるプレーヤー ケアマネージャー 在宅医 ホームヘルパー 訪問看護師 訪問リハビリ 介護施設 訪問薬剤師 病院
- 13. 医療法人社団プラタナスの活動 「患者視点の医療サービス」の実現、提供をめざす • 東京・神奈川に３つの在宅療養支援診療所を運営 • 在宅患者数： • 施設在宅 40カ所 約1,800名 医師間のタイムリーな 情報共有は必須 • 一般在宅 約200名 • 複数医師によるグループ診療体制でオンコール担当
- 14. 新規患者の疾患別患者数 2011.6～2012.3 （n=86） その他 心疾患 16% 6% がん 呼吸器疾患 41% 1% 認知症 10% 老衰 神経疾患 13% 2% 脳血管疾患 11%
- 15. 当院の在宅医療 疾病別新患数 人 50 45 その他 40 心不全 35 呼吸不全 30 認知症 25 神経疾患 20 老衰 15 脳血管疾患 10 がん 5 0 2010年前期 2010年後期 2011年前期 2011年後期
- 16. 現在の紹介元別患者数 （n=79） その他 1% クリニック 8% 本人・家族 病院 13% 39% 法人内 14% ケアマネ 25%
- 19. 診療に便利なアプリ オピカル 点滴ぽたぽた 年号電卓
- 20. 在宅医療におけるスマートフォン活用 診療情報の共有 業務情報の一元管理 グループ診療 診療支援 アドレス帳管理 情報共有 在庫管理 診療サマリー 往診スケジュール すべてスマートフォンで解決出来た
- 21. アプリ代合計＝１，75０円
- 22. 医師の業務時間の変化 （1日） 臨時往診 書類作成 連携先に報告 ミーティング 5.7時間 申し送り これまでは ・診療記録や書類作成 カルテ記録 ・申し送りやミーティング に多くの時間を費やして いた。 移動時間 2.4時間 訪問滞在時間 2.9時間 Ｂｅｆｏｒｅ
- 23. ディクテーション (口述筆記）で診療記録を作成 専任スタッフが 医療事務が カルテ入力 カルテに転記 移動中に録音、 カルテを スタッフに送信 確認・修正 Ｂｅｆｏｒｅ 入力１０分×患者１０名＝１００分/日 （診療後） Ａｆｔｅｒ 録音 ３分×患者１０名＝ ３０分/日 （移動中）
- 24. 在宅医療業務における情報を最大限活用したい インプット 含まれる情報 アウトプット • 基本情報 • 院内情報共有 • 初診サマリー • 連携先情報 • 保険証情報 • 地域連携 • 病歴サマリー • 病診連携 • 診療記録 • 薬歴（定期・臨時） • 直近の状況（診療記録） • 各種書類作成 • 処置伝票 • 医療上の問題と対応策 • 処方箋作成 • 診療計画 • 介護上の問題と対応策 • 医材在庫管理 • 医療処置情報 • 診療報酬算定 • レセプト情報 • 往診予定 • 診療予定表 ICT化による自動処理
- 25. 在宅医療専用業務支援システムの開発 “おかえりくん” 書類や処方箋の一括処理 統計処理機能 往診,処方,検査,処置,医 材の予定管理 連携先管理と 診療情報の自動配信 診療サマリー 診療サマリーの自動作成 ＝基本情報 ＋連携先情報 クラウドとの連携 ＋病歴サマリー ＋過去３ヶ月分の診療録
- 26. 診療サマリーをクラウド経由でスマートフォンに共有 自動作成された 専用クラウドサーバー 診療サマリー おかえりくん 診療サマリー ＝基本情報 ＋連携先情報 ＋病歴・薬歴サマリー ＋過去３ヶ月分の診療録 Dr&Nsの持つスマートフォンで閲覧可能
- 27. 在宅医療業務＋情報共有のＩＴ化 診療報告書 FAX FAX・E-mail 医事 請求システム ＯＲＣＡ 医材 一括自動送信 レセプト コスト 請求 管理 地域 月１万円 連携 診療記録、 コスト 処方箋の 月5万円 ＥＩＲに クラウド型地域連携 自動投稿 システム EIR 一括出力 在宅事務支援システム 診療サマリー おかえりくん 自動作成＆ グループ診療 クラウド送信 診療 報告書・指示書 一括作成 書類 サマリー 院内 作成 往診予定 連携先情報 共有 レセ情報 クラウド型 診療記録 ファイル共有システム 訪看指示書 １か月 医療事務 主治医意見書 330枚 居宅療養指導 ボイスメモ 在宅医 臨時往診チーム
- 28. 医師の業務時間の変化 （1日） 臨時往診 書類作成 連携先に報告 3.1時間 ミーティング 5.7時間 申し送り カルテ記録 3.5時間 診療時間が 移動時間 2.4時間 ５０％アップ 4.4時間 訪問滞在時間 2.9時間 Ｂｅｆｏｒｅ Ａｆｔｅｒ ・ディクテーション ・書類作成＋情報共有のＩＴ化
- 30. 在宅医療における地域連携 在宅医 ケアマネージャー ホームヘルパー 訪問看護師 介護施設 訪問リハビリ 訪問薬剤師 病院 地域のいろんな職種がチームを組んで 在宅での生活や介護、医療を支えている
- 31. 地域連携で共有すべき情報とは 基本情報 身体状況 治療情報 サービス提供者情報 生活情報 介護状況 バイタル 診療・ケア記録 病院－診療所間に 地域の医療看護介護の 担当者間における連携 おける連携 入院退院時や在宅移行時 在宅での医療・介護中に に必要な情報 発生する情報 診療サマリーがあ 日々の診療・ケア 日々の診療・ケア 日々の診療・ケア れば良い 記録の共有が必要 記録の共有が必要 記録の共有が必要
- 32. 在宅医療の課題 地域連携の難しさ 多職種多事業所間での情報共有 医療・介護間の言語の違い 治療やケアの目標が見えにくい
- 33. 在宅医療・介護 担当者会議 ケアマネージャー 在宅療養を支えるメンバー（ケアマネ、在宅医、訪問看護師、訪問リハ ビリ、介護ヘルパー、福祉用具業者など）が集まり、本人やご家族とと もに今後のケアの方針を考える
- 34. 在宅医療・介護間の情報共有の現状 患者宅にある連絡ノート FAXや郵便によるやりとり 紙情報 • 患者宅でしか見ることが出来ない • 記録の二度手間、情報の統一性が無い • 情報の二次活用が出来ない
- 35. グループ診療 地域連携の情報の流れ クラウドで 一元的に共有 診療所 電子化 診療録 毎回の診療記録を 連携先にFAX配信
- 36. クラウド型地域連携システム「ＥＩＲ」の特徴 医師：褥瘡が悪化しています。 しばらく処置を連日行うべき。 除圧マットレスも必要です。 ケアマネ：了解、早速福祉用具業者 に手配します。訪問入浴は延期した 方がよいでしょうか？ 看護師：褥瘡のためにも、なるべく入 浴は継続した方がよいです。処置方 法は写真をご覧下さい。 介護ヘルパー：写真拝見しました。これ なら出来そうです。体位についての注 意はいかがでしょうか？ （株）EIR
- 37. クラウド型地域連携システム「ＥＩＲ」 の特徴 治療・ケアのプロジェクト管理 - 医療・介護の多職種が 等しく記入 - 記録に画像やファイルを 添付可能 家族 - 治療・ケア進捗管理 訪看指示書・報告書など 医師 - 書類作成 機能 薬剤師 - SNS・スケジュール機能 看護師 - 安価な利用料 ヘルパー ©エイル社
- 38. 携帯電話やスマートフォンでも利用可能 「EIR」 携帯電話やiPhone（アプリ版）でも利用可 クラウド型地域連携システム EIR www.eir-note.com iPhone版、Android版あり
- 40. “EIR”による情報共有を実践し、 在宅医、訪問看護師、薬剤師が感じた変化* ＊）EIR使用感インタビューより ・医師の説明内容や治療方針が判り、 同じ言葉で説明出来る ・自分の 担当以外の利用者情報が、いつでもすぐに得られる ・口頭では無く 文書化された指示 により、不安や間違いが減った 訪問看護師 ・ 看護記録から転載 出来るので、報告に手間がかからない ・患者情報をいつでも閲覧 出来るので、服薬指導しやすい ・医師に相談しやすくなり、患者の病状把握が可能になった 薬剤師 ・ 写真付きの報告 により、判断や指示を適切に行えた ・患者さんを チームで支えている意識 が強くなった 在宅医 ・他職種からの患者紹介が増えた
- 41. ICT連携 導入への障壁 • デバイス Ｉ Ｔ に不慣れ • 操作、設定、文字入力 • セキュリティ • 端末購入費、通信費 コストの問題 • システム利用料 • 診療・介護報酬が付かない • 記録・報告業務の省力化？ メリットを • 診療・ケアの質の向上？ 感じにくい • 教育、モチベーションup？ • 多事業所への導入が大変 地域の統一 • 自治体や医師会との関係 が難しい • 病院中心ではなく在宅ケア目的
- 42. IT環境を整えよう
- 43. まずは施設内共有から ある訪看ステーションの例 ICT化前 ICT化後 コール当番のスタッフは、毎日「利用者情報ファイル」を 持ち帰っていた
- 45. ICT連携 実践して見えたこと 情報の蓄積から何が得られたか？ 医師－看護師連携 • 病状を的確に報告 • 共有情報を正しく理解し、 次の診療・看護に活かせる 迅速で的確な治療・ 看護が可能となった • 文書化された情報により、 正確な対応が可能に 医療－介護連携 • 診療情報を理解出来ない ケアの質の向上に • 介護者向けの記録になっていない つながってない • 具体的な指示がない
- 46. ICT連携 実践して見えたこと 情報の蓄積がケアに活かされるためには？ 医療－介護連携 • 診療情報を理解出来ない ケアの質の向上に • 介護者向けの記録になっていない • 具体的な指示がない つながってない 日々の蓄積された診療＋介護情報を統合・評価し、 それぞれの職種により具体的な指示を行える 「トータル・ヘルス・プランナー」の存在が必要
- 48. 教育用動画の作り方 １）デジカメで動画撮影する ２）パソコンに取り込む ３）パソコンからiPadに転送 ４）完成！
- 49. 在宅医療研修や介護指導にE-learning を活用 緩和ケア医 田實武弥先生の病状説明 • SkypeやGoogle+によるビデオカンファ 超小型ビデオカメラ “Looxcie2” • カンファや勉強会をUstreamで配信 • 過去のビデオアーカイブをYoutubeで公開
- 50. 在宅医療の課題は 「マンパワー不足」 訪問看護師 ３万人 看護師数 看護師 １３０万人 （約１３０万人） 複数医在宅クリニック ２００件 在宅専門クリニック１０００件 在宅届出あり １万件 一般診療所数 在宅届出なし ９万件 （約１０万件） 50
- 51. 在宅医の開業や運営をサポート by プラタナス&メディヴァ 在宅医療業務支援(アウトソース）事業 電話対応 コールセンター • 24時間コールセンター • 搬送先病院探し • 紹介状作成代行 病院探し 臨時往診・地域連携支援 • 臨時往診代行 臨時往診 • 在宅検査代行 • 地域連携システム “EIR” 地域連携 業務システム構築 • 在宅業務支援システム 患者情報 • スマートフォン導入 • クラウド環境構築 在宅医 医療事務 事務業務代行 • レセプト処理、書類作成 の悩み • ディクテーション 在庫管理 • 医材薬剤の小ロット販売 • 医療機器レンタル
- 52. 桜新町アーバンクリニックにおけるIT化全体像 請求システム 地域 ORCA 連携 地域医療連携システム カルテ情報 患者情報 「EIR」 iPhone iPad から外部閲覧 処方情報 診療情報 入力 HTML 事務 業務支援システム サマリー 「おかえりくん」 属性情報 ボイスメール ファイル共有システム クラウドサーバー 在宅医 グループ診療
- 53. ICT活用による在宅医療支援事業 請求システム 地域 ORCA 連携 医材管理 地域医療連携システム 「EIR」 臨時往診チーム 機器貸出 iPhone iPad か カルテ情報 患者情報 HTML ら外部閲覧 サマリー 処方情報 診療情報 属性情報 クラウドシステム ２４時間 事務代行 ファイル共有システム 「おかえりくん」 クラウドサーバー コールセンター レセプト代行 在宅医療の ボイスメール 診療、事務 情報閲覧 請求、物流 地域連携 を代行する 単独開業の在宅医
- 55. Team 医療3.0 著 スマホ、タブレットが変える ITが医療を変える 新IT医療革命 現場からの課題解決への提言 アスキー新書 アスキーメディアワークス出版