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- 令和6年度 税制改正大綱速報 -
税理士法人ゆびすい
- 令和6年度 税制改正大綱速報 -
【消費課税編】
1.所得税・住民税の定額減税 1.プラットフォーム課税制度の導入
2.子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充 2.帳簿特例の記載要件の見直し
3.子育て対応改修工事をした場合の所得税額の特別控除
1.直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
1.給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度(従業員数2,000人超) 2.マンション評価通達の改正
2.給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度(従業員数2,000人以下) 3.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例承継計画の期限延長
3.中小企業向け賃上げ促進税制
4.特定税額控除の不適用規定の延長と見直し
5.中小企業事業再編投資損失準備金制度 1.支払調書等のe-Taxを使用する方法等による提出義務制度
6.イノベーションボックス税制の創設
7.試験研究を行った場合の税額控除制度の見直し
8.交際費等の損金不算入制度の延長と見直し
9.外形標準課税①(減資への対応)
10.外形標準課税②(100%子法人等への対応)
11.中小企業倒産防止共済の再加入時における損金算入制限
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【その他編】
【所得課税編】
【法人課税編】
【相続課税編】
~改正項目一覧~
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
・特別控除の額 令和6年6月1日以後最初に支払を受ける所得につき、源泉徴収される所得税額から順次控除する。
~控除のイメージ~
※合計所得金額が48万円以下で国内
居住者に限る
・対象者
令和6年分の合計所得1,805万円以下
(給与収入の場合、収入2,000万円以下) 第1期予定納税額から本人分に係る特別控除額を控除し、控除しきれない部分は第2期予定納税額
から控除する(第1期予定納税額の納付期限 現行7月31日 → 延期9月30日)
【ポイント】
◉ 控除しきれなかった場合、最終的に給与所得者は年末調整時、事業所得者は確定申告時に調整されます。
◉ 源泉徴収票の摘要欄に控除済みの特別控除額を記載する必要があります。
◉ 中途入社の従業員がいる場合、前職の源泉徴収票の摘要欄で既控除額を確認し、未控除分を給与支給時に調整する必要があります。
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本人 3万円 1万円 特別控除の額3万円
控除額、控除の対象者 給与所得者・公的年金等の受給者に係る特別控除額の控除
所得税 住民税
その他
所得税・住民税の定額減税
30年ぶりとなる高水準の賃上げ、過去最大の民間投資など日本経済は明らかに動き始めているにもかかわらず、デフ
レ脱却には至っていません。そこで所得税等の定額減税を実施し、賃金上昇と相まって国民所得の伸びが物価上昇を上
回る状況をつくり、デフレマインドの払拭と「賃金上昇・消費拡大・投資拡大」の実現につなげる狙いがあります。
増税 減税
― 〇
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
扶養親族等※ 3万円/1人 1万円/1人
源泉徴
収税額
R6.6
事業所得者 令和6年分の住民税に係る第1期分の納付額から特別控除の額を控除し、控除しきれなかった場合は第2期分で控除
R6.12
事業所得者等に係る特別控除額の控除
住民税の取扱い
給与所得者 令和6年6月分は特別徴収を行わず、特別控除の額を控除した金額を令和6年7月分から令和7年5月分まで均等に徴収
公的年金受給者 令和6年10月1日以後最初に支払いを受ける公的年金等の特別徴収税額から特別控除の額を控除
R6.7
1万円
2万円
1万円
扶養親族等の変動により
特別控除の額に変更がある
場合は年末調整で調整
繰越
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
改正①
・ 本人が40歳未満で配偶者を有する者
・ 本人が40歳以上で40歳未満の配偶者を有する者
・ 19歳未満の扶養親族を有する者
改正②
◆補足
【ポイント】
◉ 令和7年度税制改正においても同様の改正が行われる予定です。
◉ 控除率は従来通り、0.7%のままとなります。
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子育て特例対象個人
0円(令和5年中に建築確認を受けた住宅等:2,000万円)
床面積要件を40㎡以上とする緩和措置
令和7年
現行 子育て特例対象個人
5,000万円
4,000万円
令和6年12月31日以前に建築確認済みの
新築住宅等を対象とする(1年間延長)
その他
子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充
日本が直面する少子化対策の一環として、子育て支援に関する税制の強化が行われました。子育てを行う上での安全
や快適な住宅を確保し、住宅リフォーム税制の拡充や住宅ローン控除の拡充が同時に行われ、子どもを生み育てること
を税制面からサポートした内容となりました。
増税 減税
― 〇
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
入居時期
令和6年
借
入
限
度
額
新
築
認
定
住
宅
等
長期優良住宅
・低炭素住宅
4,500万円
省エネ基準
適合住宅
3,000万円
4,500万円
ZEH水準
省エネ住宅
3,500万円 4,500万円 3,500万円
認定住宅等 3,000万円
その他の住宅 0円(一定の耐震基準に適合する住宅:2,000万円)
3,000万円
その他の住宅
床面積要件
50㎡以上
※合計所得金額が1,000万円以下の場合40㎡以上
控除
期間
新築 13年(令和5年中に建築確認を受けた住宅等:10年)
中古 10年
所得要件 合計所得金額が2,000万円以下
中
古
認定住宅等には、認定住宅等で建築後使用さ
れたことのないものの取得や、買取再販認定住
宅等の取得も該当します。
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
①
②
③
④
【ポイント】
◉ 令和6年4月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合が適用対象とされます。
◉ 同時に住宅借入金特別控除や特定増改築等住宅借入金等特別控除の適用要件を満たしている場合には選択適用になります。
◉ 実際にかかった工事費用ではなく、国土交通大臣が工事内容ごとに定めた「標準的な工事費用相当額」を用いて計算した金額となります。
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その他
子育て対応改修工事をした場合の所得税額の特別控除
日本が直面する少子化対策の一環として、子育て支援に関する税制の強化が行われました。子育てを行う上での安全
や快適な住宅を確保し、住宅リフォーム税制の拡充や住宅ローン控除の拡充が同時に行われ、子どもを生み育てること
を税制面からサポートした内容となりました。
増税 減税
― 〇
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
省エネ改修工事
個人
(バリアフリー改修工事については、
年齢が50歳以上等の要件があります。)
合計所得金額が
3,000万円以下など
合計所得金額が
2,000万円以下など
標準的な工事費用相当額
(一定の限度額)×10%
バリアフリー改修工事
多世帯同居改修工事
耐久性向上改修工事
住宅特定改修特別税額控除
対象工事 適用対象者 要件 控除額
⑤ 一定の子育て対応改修工事
子育て特例対象個人
(住宅ローン控除と同要件)
合計所得金額が
2,000万円以下など
標準的な工事費用相当額
(限度額250万円)×10%
~計算イメージ(標準的な工事費用相当額が200万円の場合)~
所得税額
100万円
控除税額 → 20万円
= 200万円×10%
所得税額
80万円
既存の対象工事に追加
・住宅内における子供の事故を防止するための工事
・対面式キッチンへの交換工事
・開口部の防犯性を高める工事
・収納設備を増設する工事
・開口部・界壁・床の防音性を高める工事
・間取り変更工事(一定のものに限る)
(工事費用相当額が50万円を超える場合のみ)
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
次の要件を満たした場合に適用可
☑
☑
☑
☑
次の要件のいずれも満たした場合に適用可
☑ 教育訓練費≧前年度教育訓練費✕110%
☑ 教育訓練費≧雇用者給与等支給額✕0.05%
☑
・ ①を満たす場合 …給与増加額✕控除率(10%)
・ ①を満たす場合 …給与増加額✕控除率(15%) ・ ②を満たす場合 …控除率+5%
・ ②を満たす場合 …控除率+10% ・ ③を満たす場合 …控除率+10%
・ ③を満たす場合 …控除率+5% ・ ④を満たす場合 …控除率+15%
・ ⑤を満たす場合 …控除率+5%
・ ⑥を満たす場合 …控除率+5%
【ポイント】
◉ 資本金10億円以上かつ、従業員数1,000人以上の企業に求められていたマルチステークホルダー方針の公表が、資本金の額に関係なく、
従業員数2,000人以上の企業も求められるようになります。
◉ 最大で税額控除率が35%になります。ただし、法人税額の20%が控除額の上限となります。
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その他
給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度(従業員数2,000人超)
全法人向けの「賃上げ促進税制」については、従業員2,000人を基準に税制が区分されます。本税制によって企業の
賃上げを後押しし、定額減税の実施と併せてデフレマインドの払拭と「賃金上昇・消費拡大・投資拡大」という好循環
の実現を図る狙いがあります。
増税 減税
― △
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
現行 改正案
①
適用要件
☑ 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕103%
①
適用要件 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕103%
②上乗せ ☑ 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕104%
②上乗せ 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕104%
③上乗せ 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕105%
④上乗せ 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕107%
⑤上乗せ
③上乗せ
☑ 教育訓練費≧前年度教育訓練費×120%
⑥上乗せ プラチナくるみん(orえるぼし)認定又を受けている
⑦
控除税額
④
控除税額
②~④は増加
割合に応じて
いずれかを適用
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
◆法人の区分 ◆適用要件と控除率
次の要件を満たした場合に適用可
☑
☑
次の要件のいずれも満たした場合に適用可
☑ 教育訓練費≧比較(前期)教育訓練費✕110%
☑ 教育訓練費≧雇用者給与等✕0.05%
☑ プラチナくるみん(orえるぼし)認定又はえるぼし認定
・ ①を満たす場合 …給与増加額✕控除率(10%)
・ ②を満たす場合 …控除率+15%
適用除外事業者(所得15億円超の法人)を除く ・ ③を満たす場合 …控除率+5%
グループ全体での従業員数が1万人を超える法人グループに ・ ④を満たす場合 …控除率+5%
属する法人を除く (イメージ) ✕10%~35%
【ポイント】
◉ 従業員数2,000人以下の中小企業については、本規定と中小企業向けの賃上げ税制のいずれかの適用となります。
◉ 上記⑤で計算した控除税額は、法人税額の20%を限度に法人税から控除されます。
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その他
給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度(従業員数2,000人以下)
法令で定義されている大企業と中小企業の間に「中堅企業」という位置付けが設けられます。大企業向けの賃上げ税
制とは別に控除率を見直し、賃上げをより行いやすい環境を整備する狙いがあります。大企業に分類されている上場企
業のうち、約1,400社が対象になると見込まれています。
増税 減税
― 〇
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
現行 改正案
資本金 判定 ①
適用要件
1億円超 大企業 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕103%
中堅企業(※2)
1億円以下 中小企業(※1) ②上乗せ 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕104%
③上乗せ
改正案
資本金 従業員数 判定
※2
(3段階目)を受けている
1億円以下 従業員数判定なし 中小企業(※1)
⑤
控除税額
増加額
前期 当期
※1
1億円超 2,000人超 大企業
④上乗せ
2,000人以下
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
次の要件を満たした場合に適用可
☑ 雇用者給与等≧比較(前期)雇用者給与等✕101.5%
次の要件のいずれも満たした場合に適用可
☑ 教育訓練費≧比較(前期)教育訓練費✕105%
☑ 教育訓練費≧雇用者給与等✕0.05%
・ ①を満たす場合 …給与増加額✕控除率(15%) ☑ プラチナくるみん(orえるぼし)認定又はくるみん認定
・ ②を満たす場合 …控除率+15% 又はえるぼし認定(2段階目以上)を受けている
・ ③を満たす場合 …控除率+10% ・ ①を満たす場合 …給与増加額✕控除率(15%)
・ ②を満たす場合 …控除率+15%
・ ③を満たす場合 …控除率+10%
(イメージ) ・ ④を満たす場合 …控除率+5%
×15%~40%
控除限度超過額を5年間繰越しすることが可能
前期 ※雇用者給与等が前年を超える場合に限り適用可能
【ポイント】
◉ 令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度に適用されます。
◉ 従来は、法人税額の20%が上限で切り捨てられていた部分が、翌期以降に繰越しできるようになります。
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その他
中小企業向け賃上げ促進税制
我が国の雇用の7割は中小企業が担っている反面、6割もの中小企業が赤字企業となっています。その結果、多くの中
小企業において従来の税制措置によるインセンティブを享受することができていません。こうした現状を踏まえ、赤字
企業であっても賃上げを後押しできるような仕組みに改正されます。
増税 減税
― 〇
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
同左
現行 改正案
①
適用要件
①
適用要件
☑ 同左
②
上乗せ
☑ 雇用者給与等≧比較(前期)雇用者給与等✕102.5%
②
上乗せ
☑
③
上乗せ
☑ 教育訓練費≧比較(前期)教育訓練費✕110%
③
上乗せ
④
控除税額
④
上乗せ
⑤
控除税額
増加額
⑥
繰越控除
当期
最大
控除率45%
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
◆不適用となる特定税額控除規定
・ 試験研究を行った場合の法人税の特別控除(措法42の4①⑦) ・ 5G導入促進税制(措法42の12の6②)
・ 地域未来投資促進税制(措法42の11の2②) ・ 事業適応設備を取得した場合等の法人税額の特別控除(措法42の12の7④~⑥)
◆特定税額控除の不適用規定の概要 ※改正後も同じ ◆不適用規定の上乗せ措置の概要
以下のいずれかに該当する法人 左記対象法人のうち、下記の①又は②に該当する法人は
・ 資本金等の額が1億円以上の法人 一定要件の強化が行われます
・ 同一の大規模法人に発行済株式の1/2以上を所有 ① 以下のすべてを満たす法人
されている法人 ・ 資本金の額等が10億円以上
・ 複数の大規模法人に発行済株式の2/3以上を所有 ・ 常時使用する従業員の数が1,000人以上
されている法人 ・ 前事業年度所得>0
② 以下のすべてを満たす法人
※大規模法人とは資本金等の額が1億円以上の法人をいう ・ 常時使用する従業員の数が2,000人超
・ 前事業年度所得>0
いずれにも該当しない場合、特定税額控除規定の適用不可 いずれにも該当しない場合、特定税額控除規定の適用不可
☑ 継続雇用者給与等支給額 > 継続雇用者比較給与等支給額 ☑
☑ 国内設備投資額 > 当期償却費総額×30% ☑ 国内設備投資額 > 当期償却費総額×40%
☑ 前期所得 ≧ 当期所得 ☑ 前期所得 ≧ 当期所得
【ポイント】
◉ 賃上げ税制の適用が望めない場合でも、本税制の適用を回避するために継続雇用者給与等支給額を集計する必要があるケースがあります。
◉ 適用期限が3年間延長されました。
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消費税 資産税 国 際
継続雇用者給与等支給額 > 継続雇用者比較給与等支給額×101%
対
象
法
人
対
象
法
人
要
件
要
件
その他
特定税額控除の不適用規定の延長と見直し
大企業に対して、賃上げによる税制優遇の拡大を行う一方で、賃上げや国内設備投資に消極的な企業については特定
の税額控除の適用を制限する規定があります。本規定は平成30年度の税制改正により創設されて以降度々改正が行われ
ており、本改正においても適用期限の延長と不適用規定の強化が行われました。
増税 減税
△ ―
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税
追加
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
損金算入限度
対象株式
要件
株式取得時に準備金積立(損金算入)
【ポイント】
◉ 一定の表明保証保険契約を締結している場合には本税制の適用対象外となります。
◉ 新制度導入後も引き続き現行制度の適用は可能であり、新制度の導入と合わせて適用期限が令和9年3月31日まで延長されています。
◉ 特別事業再編計画(仮)の認定基準がどのようなものになるのかが今後の注目ポイントです。
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取崩し
据置期間(5年間)経過後の5年間にかけて均等取崩し
減損や売却時に取崩し
据置期間(10年間)経過後の5年間にかけて均等取崩し
減損や売却時に取崩し(現行制度と同様)
その他
中小企業事業再編投資損失準備金制度
中小企業のM&Aでは、買収後にリスクが顕在化することが少なくありません。そのようなリスクを軽減するため令
和3年度税制改正により経営資源集約化税制が創設されました。今回の改正では、更なる経営資源の集約化を支援する
ため、現行制度よりも損金算入限度額や据置期間等を拡大した新制度が用意されることになりました。
増税 減税
― 〇
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
現行制度と新制度との比較
現行 改正案
株式取得価額の70% (初回)株式取得価額の90%、(2回目以降)株式取得価額の100%
準
備
金
積
立
取得価額10億円以下 取得価額1億円以上100億円以下
経営力向上計画の認定が必要 特別事業再編計画(仮)の認定が必要
積み立て・取り崩しのイメージ
M&A実施 据置期間(10年間)
現行制度(5年間) 5年間延長
現行 … 70%
改正案 … 90%(初回)、100%(2回目以降)
5年間で均等取崩し(益金算入)
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
イ
◆計算のイメージ
※令和7年4月1日以後に開始する事業年度に限ります。
ハ
【ポイント】
◉ 類似の制度である研究開発税制では税額控除であるのに対して、こちらの税制は所得控除となる点で異なります。
◉ 計算過程のうち、特定特許権等取引に係る所得の金額や直接関係する研究開発に係る金額については、現状では明確な指標が無く、
共通経費の配分等の論点が予想されるため、今後の動向に注意が必要です。
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その他
イノベーションボックス税制の創設
昨今は利益の源泉であるイノベーションについても国際競争が進んでいます。そのため我が国においても民間による
無形資産投資を後押しすることが喫緊の課題となりました。こうした観点から、国内で行う研究開発の成果である知的
財産から生じる所得に対する優遇制度が創設されます。
増税 減税
― 〇
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
対象法人 青色申告書を提出する法人
損金算入額
所得金額 又は 一定の算定額
×
のいずれか少ない金額×30% 特許権譲渡等
取引に係る
所得の金額 ハ
当期および前期以前(※)で生じた研究開発費のうち
特許権譲渡等取引に直接関連する研究開発
に係る金額の合計額
~特許権譲渡等取引~
譲渡収入
間接経費
適格研究
開発費
直接関連
する費用
ロ ハのうち適格研究開発費の額の合計額
譲渡所得金額
イ
譲渡所得金額
適格研究
開発費対応分
(所得金額)
事業年度
× = (法人全体の
所得金額)
ロ
適格研究
開発費
いずれか少ない金額
×30%
取引のあった
損金算入
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
・ 青色申告書を提出する法人
◆税額控除率の見直し
増減試験研究費割合が零に満たない事業年度につき、税額控除率が見直されます。
〇令和8年3月31日までに開始する事業年度 〇令和8年4月1日から令和11年3月31日の間に開始する事業年度
⇒ 11.5%-(12%-増減試験研究費割合)×0.25 (下限1%) ⇒ 8.5%+増減試験研究費割合×30分の8.5
〇令和11年4月1日から令和13年3月31日の間に開始する事業年度
⇒ 8.5%+増減試験研究費割合×27.5分の8.5
〇令和13年4月1日以後に開始する事業年度
⇒ 8.5%+増減試験研究費割合×25分の8.5
※税額控除率の下限1%の撤廃
◆イメージ
現行
改正案
【ポイント】
◉ 増減試験研究費割合が零以上の場合、税額控除率に変更はありません。
◉ 増加割合が△30%になると、控除率が0%となり、税額控除額が0円になります。(令和8年4月1日から令和11年3月31日の場合)
◉ 内国法人の国外事業所等を通じて行う事業に係る試験研究費の額が除かれることになりました。
◉ 特定税額控除不適用措置の改正も影響を受けますので、併せてご確認ください。
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国 際
対象法人
一般試験研究費に係る税額控除制度の見直し
現行 改正案
その他
試験研究を行った場合の税額控除制度の見直し
研究開発税制は、年々メリハリをつけた改正が行われています。今回の改正により、投資に消極的な企業は税額控除
の適用を受けられないことになりました。また、試験研究費の増加割合が前年よりマイナスになる場合は、税額控除額
が現行制度より減額されます。
増税 減税
〇 ―
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税
税額控除率
下限1%→0%
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
※1 専らその法人の役員、従業員等に対する社内飲食費等を除きます。
※2 期末資本金1億円以下の法人等(資本金の額等が5億円以上の法人の完全子法人等を除く)
【ポイント】
◉ 税抜経理方式を採用する場合、消費税の額を除いた本体価格が交際費等の額になります。
◉ インボイス制度導入に伴って、免税事業者に支払う交際費等のうち、仕入税額控除できなかった部分は本体価格に含めることになります。
◉ 飲食費等の損金算入の特例と、中小法人等の定額控除限度額の特例の期限が3年間延長されました。
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その他
交際費等の損金不算入制度の延長と見直し
企業の交際費は、1990年代初頭から半減しています。交際費等から除かれる飲食費等の損金算入額の上限を引き上げ
ることで、コロナ禍で接待需要が落ち込んだ飲食業界の経営を支援しつつ、企業交流を活発にする狙いがあります。
また、物価上昇による飲食費の高騰に伴い、今の水準では不十分との声もあり、上限額の見直しに至りました。
増税 減税
― 〇
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
交際費等から
除外する飲食費等(※1)
現行(令和6年3月31日までの支出) 改正案(令和6年4月1日以降の支出)
1人当たり5,000円以下の飲食費等 1人当たり10,000円以下の飲食費等
中小法人等(※2)
の損金算入の特例
損金算入可能額(下記①、②の選択適用) 損金算入可能額(下記①、②の選択適用)
①交際費等のうち年800万円
大法人(中小法人等以外)
の損金算入の特例
損金算入可能額 同 左
1人当たり5,000円を超える飲食費等の50% 1人当たり10,000円を超える飲食費等の50%
資本金100億円超の法人 交際費等の全額が損金不算入 同 左
①同 様
②1人当たり5,000円を超える飲食費等の50% ②1人当たり10,000円を超える飲食費等の50%
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
・ 資本金1億円超の法人 ・ 資本金1億円超の法人
・ 前事業年度に外形標準課税対象法人で、資本金1億円以下
かつ資本金+資本剰余金の合計が10億円超の法人
【ポイント】
◉ 適用初年度(令和7年4月1日以降に開始する事業年度)はロの規定を使用し、適用2年度目以降はイの規定を使用します。
◉ 公布日が令和6年3月31日となる場合(ex.3月決算法人)、原則として令和5年3月31日で判定します。前日(令和6年3月30日)までに1億円以下の
減資が完了すると適用対象外になりますが、債権者保護手続等に一定期間を要するため、駆け込み減資は期限が非常にタイトとなります。
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その他
外形標準課税①(減資への対応)
外形標準課税をめぐっては、企業が課税を逃れるため、資本金を1億円以下に減資する事例が多くなっていました。
減資の中には、単に資本金を資本剰余金へ振替えている事例も見られます。そこで、資本金が1億円以下になった場合
でも、資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える場合には、外形標準課税の対象とされます。
増税 減税
〇 ―
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
R7.4
現行 改正案(減資への対応)
外形標準課税
の対象
外形標準課税
の対象外
外形標準課税
の対象
外形標準課税
の対象
減資
資本金
(1億円以下)
資本剰余金
+
資本剰余金
10億円超
資本剰余金 資本剰余金
対象法人
対象法人
資本金
1億円超
減資
資本金
1億円以下
資本金
1億円超
イ.前事業年度に外形標準課税の対象であっ
た法人で、当該事業年度の資本金は1億円以
下であるが資本金と資本剰余金の合計額が
10億円を超える法人
ロ.施行日(R7.4.1)以後最初に開始する事
業年度については、上記イにかかわらず、
公布日を含む事業年度の前事業年度(公布
日の前日に資本金が1億円以下となっていた
場合には、公布日以後最初に終了する事業
年度)に外形標準課税の対象であった法人
で、当該施行日以後最初に開始する事業年
度の資本金は1億円以下であるが資本金と資
本剰余金の合計額が10億円を超える法人
資本剰余金
へ振替
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
※経過措置
一定期間は、増加する税額のうち一定割合が控除され
ます。従来の課税方式で計算した税額を超える額のうち、
R8.4.1以降開始する事業年度 → 3分の2を軽減
R9.4.1以降開始する事業年度 → 3分の1を軽減
【ポイント】
◉ 減資への対応・100%子法人等への対応は、それぞれ開始事業年度が異なります。
◉ 公布日以後に、100%子法人等がその親法人等に対して資本剰余金から配当を行った場合、配当相当額を加算して判定を行います。
◉ 特別事業再編計画の認定を受けた認定特別事業再編事業者が買収した法人は、一定の場合、5年間外形標準課税の対象から除外されます。
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2/3を軽減 1/3を軽減
R8.4
現行 改正案(100%子法人等への対応)
判定
単位
法人ごとに判定
判定
単位
一定規模法人の100%
子法人はグループで判定
100% 100%
【改正の内容】
その他
外形標準課税②(100%子法人等への対応)
外形標準課税をめぐっては、企業が課税を逃れるため、組織再編等の際に子会社の資本金を1億円以下に設定する事
例が生じていました。そこで、親会社の信用力等を背景に事業活動を行う子会社については、資本金が1億円以下に
なった場合でも、資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超える場合には、外形標準課税の対象とされました。
増税 減税
〇 ―
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
<親法人>
資本金
1億円超
外形標準対象
R8.4 R9.4 R10.4
資本金と資本剰余金の合計額が
10億円以下でも外形標準課税の対象になります。
<子法人>
資本金
1億円以下
外形標準対象外
<親法人>
資本金+資本剰余金
50億円超
外形標準対象
<子法人>
資本金(1億円以下)
+資本剰余金
2億円超
外形標準対象
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
【ポイント】
◉ 令和6年10月1日以降に解約するものから適用開始となります。
◉ 別表10(7)の添付が損金算入の要件になります。添付漏れに注意しましょう。
◉ 所得税法においても、同様の改正が行われます。
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その他
中小企業倒産防止共済の再加入時における損金算入制限
倒産防止共済は、倒産によって中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。しかし、本来の趣旨
とはかけ離れて、節税目的で使用されている実情があります。そこで過度な節税を封じる目的で、再加入をする場合に
は一定期間、損金算入を制限する改正が行われます。
増税 減税
〇 ―
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
現
行
R6.1.1 R6.5.1 R6.12.1 R7.1.1
改
正
案
R6.1.1 R6.10.1 R6.12.1 R7.1.1
解約 再加入
R9.1.1
損金算入 損金算入
解約 再加入
R8.1.1
R8.1.1 R8.9.30 R9.1.1
損金算入 損金算入不可 損金算入
2年経過
解約した日から2年間は掛金の損金算入不可
再加入後の掛金の損金算入可
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
◆イメージ…アプリストア(プラットフォーム)を通じてアプリ(オンラインゲーム)を配信
【ポイント】
◉ 令和7年4月1日以後に行われる消費者向け電気通信利用役務の提供について、適用されます。
◉ 特定プラットフォーム事業者とは、国税庁長官に指定されたプラットフォーム事業者で、その課税期間中に行った電子通信利用役務
(電子書籍、ゲーム配信など)の提供に係る対価の額の合計額が50億円を超える事業者をいいます。
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その他
プラットフォーム課税制度の導入
デジタル市場は、大規模なプラットフォームの存在を背景に、年々市場が拡大しています。そのため、多くの国外事
業者が日本市場に参入しており、国外事業者が納めるべき消費税の課税関係が把握しにくい状況にありました。国内外
の取引条件や課税の公平性を確保する観点からプラットフォーム課税制度が導入されます。
増税 減税
― ―
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
現行 改正案
国外 国内 国外 国内
税理士法人ゆびすい
①アプリ配信したとみなす
②販売代金+消費税
国外事業者
③申告・納付
一般消費者
①アプリ配信等
調査が困難
国外事業者 一般消費者
プラット
フォーム
特定プラット
フォーム事業者
③販売代金 ②販売代金+消費税
④申告・納付
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
◆3万円未満の自動販売機及び自動サービス機の特例について、帳簿への住所等の記載が不要になりました。
科目名:現金 科目名:現金
★:自動販売機特例 ★:自動販売機特例
【ポイント】
◉ 改正前ですが、令和5年10月1日以後に行われる取引についても、運用上帳簿への住所記載は求めないものとされます。
◉ セルフレジでの購入、コインパーキングや自動券売機の使用については特例が適用されず、原則通りインボイスが必要となります。
◉ 帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるケースは、今回の自販機等の特例以外にも様々なケースがありますので、注意しましょう。
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その他
帳簿特例の記載要件の見直し
インボイス制度には、一定事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除ができる「帳簿のみ保存の特例」がありま
す。「3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品購入」について、この特例を受ける場合は自販機やAT
M機の住所を帳簿へ記載する必要があり、現実的でないという声から今回の改正に至りました。
増税 減税
― ―
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
残高
現行 改正案
総勘定元帳 総勘定元帳
日付 相手勘定科目 摘要 借方金額 貸方金額 残高 日付 相手勘定科目 摘要 借方金額 貸方金額
99,890
12/1 接待交際費
缶コーヒー(軽
減8%)堺市 自
販機
110 99,890 12/1 接待交際費
缶コーヒー(軽
減8%)
110
94,390
12/5 福利厚生費
従業員制服ク
リーニング
堺市 コインラ
ンドリー
5,500 94,390 12/5 福利厚生費
従業員制服
クリーニング
5,500
66,890
12/18 水道光熱費
〇〇電力 ATM
振込 27,500 66,890 12/18 水道光熱費
〇〇電力 ATM
振込 27,500
330 66,560
12/18 支払手数料
ATM振込手数料
××銀行□□支
店ATM
330 66,560
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12/18 支払手数料
ATM振込手数料
★
★
★
★
★
★
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
◆住宅の要件改正
◆参考:非課税限度額【改正なし】 ◆補足
【ポイント】
◉ 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例についても、適用期限が3年間延長されました。
◉ 本制度による贈与については、生前贈与加算の適用はありません。
◉ 令和6年1月1日以後の贈与より、生前贈与加算期間が3年間から7年間に順次延長されますので、本制度を利用して相続対策を行いましょう。
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震災特例法による省エネ等住宅 1,500万円
震災特例法による上記以外の住宅 1,000万円
高齢者等配慮対策等級3以上
住宅の種類 非課税限度額
省エネ等住宅 1,000万円
上記以外の住宅 500万円
現行
(令和5年12月31日までの贈与)
改正案
(令和6年1月1日から令和8年12月31日までの贈与)
省エネ等住宅の
家屋の要件
①
断熱等性能等級4以上
又は
一次エネルギー消費量等級4以上
断熱等性能等級5以上
かつ
一次エネルギー消費量等級6以上
② 免震建築物又は耐震等級2以上
改正なし
③
その他
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
令和4年度税制改正で非課税限度額が減額され、適用期限が2年間延長されていました。今回の改正では、対象住宅の
性能の要件に一部見直しが図られた上で、適用期限が3年間延長されます。
増税 減税
― 〇
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
耐熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上の
場合であって、次のいずれかに該当する場合は、本規定の適用
可能な住宅用の家屋(省エネ等住宅)とみなします。
・令和5年12月31日以前に建築確認を受けているもの
・令和6年6月30日以前に建築されたもの
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
◆対象となる物件…タワーマンションや分譲マンションで居住の用に供する専有部分があるもの
※1 区分所有補正率
◆改正のイメージ
※2 評価乖離率=A+B+C+D+3.220
A=築年数×△0.033
B=総階数÷33(1を超える場合は1。地下は含まない)×0.239
C=所有している1室の所在階数(地下の場合は零)×0.018
D=敷地全体の面積×区分所有割合÷専有部分の面積×△1.195
【ポイント】
◉ 評価乖離率の算定にあたって必要な情報(築年数等)はすべて不動産登記情報に記載されています。また、計算の過程に端数が生じる場合
は、Bは最終値の小数点以下第4位を切捨て、Dは計算過程の値および最終値の小数点以下第4位を切上げます。
◉ 2階建ての集合住宅、二世帯住宅、事業用のテナント物件、区分所有ではない1棟所有のマンションなどは除かれます。
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その他
マンション評価通達の改正
いわゆる「タワマン節税」として、通達通りの評価を最高裁判決で否認されたことで世間を騒がせたマンションの評
価方法が改正されました。納税者がマンションを購入し、評価額が著しく圧縮された場合は、その評価額を市場価格の
6割程度にまで引き上げることで、課税の公平を図ろうというものです。
増税 減税
〇 ―
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
現行(令和5年12月31日以前の相続・贈与) 改正後(令和6年1月1日以後の相続・贈与)
土地 路線価×敷地全体の面積×区分所有割合(又は倍率評価) 土地
左記評価額×区分所有補正率 ※1
建物 固定資産税評価額×1.0 建物
評価水準
(1÷評価乖離率)
適用する区分所有補正率
相続税評価額
への影響
売買価額 改正前評価額 改正後評価額 1.0超 評価乖離率 ※2 引き下げ
引き上げ
6,000万円
3,000万円
0.6以上1以下 適用なし なし
10,000万円
圧縮
0.6未満 評価乖離率×0.6
引上げ
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
【ポイント】
◉ 特例承継計画の提出期限が令和8年3月31日まで延長となりました。
◉ 事業承継を促す時限措置であることを踏まえ、適用期間(相続又は贈与の期限)については延長されていません。
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R9.12.31
H30.4.1 R6.3.31 R8.3.31
改正案
特例事業承継税制手続きフロー 手続きスケジュール
H30.1.1 現行
その他
非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例承継計画の期限延長
平成30年度税制改正により創設された事業承継税制の特例措置の適用には、特例承継計画の提出が必要です。しか
し、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化により中小企業者の取り組みが遅れているという声が上がっていました。
このような声を受けて、今年度の改正では計画書の提出期限が2年間延長されました。
増税 減税
― △
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
延長
特例承継計画の
提出期間
特例制度の適用期間
改正なし
改正点
特例承継計画の策定
確認申請
報告書・届出書等を
継続的に提出
税務署へ申告
認定申請
贈与又は相続等
【改正の背景】 ▼ 改正の影響
【改正の内容】
(具体例)
【ポイント】
◉ 当該改正は、令和9年1月1日以後に提出すべき支払調書等について適用されます。
◉ 電子申告等でなく書面で提出した場合、無効扱いとされます。
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その他
支払調書等のe-Taxを使用する方法等による提出義務制度
現行では、法定調書の種類ごとに、前々年の提出すべきであった当該法定調書の提出枚数が「100枚以上」であるも
のについては、電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法等による提出が義務付けられていました。今回の改正によ
り、その判定基準が「30枚以上」に引き下げられます。
増税 減税
― ―
- 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際
法定調書の提出枚数
30枚以上
令和7年中に提出した
【給与所得の源泉徴収票】
35枚
令和9年中に提出する【給与所得の源泉徴収票】は、
e-Tax等により提出する必要がある。
※提出義務の判定は支払調書の種類ごとに行う
令和7年 令和8年 令和9年
判定基準となる年度 提出対象年度
法定調書の提出枚数
100枚以上
現行
改正案
e-Tax、光ディスク等又は
クラウド等による提出が必要
2年後に影響有
令和9年1月1日以後提出分より改正

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令和6年度(2024年度)税制改正大綱速報 ポイント解説集 要点を纏めて 税理士法人ゆびすい

  • 1. - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 税理士法人ゆびすい
  • 2. - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 【消費課税編】 1.所得税・住民税の定額減税 1.プラットフォーム課税制度の導入 2.子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充 2.帳簿特例の記載要件の見直し 3.子育て対応改修工事をした場合の所得税額の特別控除 1.直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置 1.給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度(従業員数2,000人超) 2.マンション評価通達の改正 2.給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度(従業員数2,000人以下) 3.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例承継計画の期限延長 3.中小企業向け賃上げ促進税制 4.特定税額控除の不適用規定の延長と見直し 5.中小企業事業再編投資損失準備金制度 1.支払調書等のe-Taxを使用する方法等による提出義務制度 6.イノベーションボックス税制の創設 7.試験研究を行った場合の税額控除制度の見直し 8.交際費等の損金不算入制度の延長と見直し 9.外形標準課税①(減資への対応) 10.外形標準課税②(100%子法人等への対応) 11.中小企業倒産防止共済の再加入時における損金算入制限 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rigths Reserved. 【その他編】 【所得課税編】 【法人課税編】 【相続課税編】 ~改正項目一覧~
  • 3. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 ・特別控除の額 令和6年6月1日以後最初に支払を受ける所得につき、源泉徴収される所得税額から順次控除する。 ~控除のイメージ~ ※合計所得金額が48万円以下で国内 居住者に限る ・対象者 令和6年分の合計所得1,805万円以下 (給与収入の場合、収入2,000万円以下) 第1期予定納税額から本人分に係る特別控除額を控除し、控除しきれない部分は第2期予定納税額 から控除する(第1期予定納税額の納付期限 現行7月31日 → 延期9月30日) 【ポイント】 ◉ 控除しきれなかった場合、最終的に給与所得者は年末調整時、事業所得者は確定申告時に調整されます。 ◉ 源泉徴収票の摘要欄に控除済みの特別控除額を記載する必要があります。 ◉ 中途入社の従業員がいる場合、前職の源泉徴収票の摘要欄で既控除額を確認し、未控除分を給与支給時に調整する必要があります。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. 本人 3万円 1万円 特別控除の額3万円 控除額、控除の対象者 給与所得者・公的年金等の受給者に係る特別控除額の控除 所得税 住民税 その他 所得税・住民税の定額減税 30年ぶりとなる高水準の賃上げ、過去最大の民間投資など日本経済は明らかに動き始めているにもかかわらず、デフ レ脱却には至っていません。そこで所得税等の定額減税を実施し、賃金上昇と相まって国民所得の伸びが物価上昇を上 回る状況をつくり、デフレマインドの払拭と「賃金上昇・消費拡大・投資拡大」の実現につなげる狙いがあります。 増税 減税 ― 〇 - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 扶養親族等※ 3万円/1人 1万円/1人 源泉徴 収税額 R6.6 事業所得者 令和6年分の住民税に係る第1期分の納付額から特別控除の額を控除し、控除しきれなかった場合は第2期分で控除 R6.12 事業所得者等に係る特別控除額の控除 住民税の取扱い 給与所得者 令和6年6月分は特別徴収を行わず、特別控除の額を控除した金額を令和6年7月分から令和7年5月分まで均等に徴収 公的年金受給者 令和6年10月1日以後最初に支払いを受ける公的年金等の特別徴収税額から特別控除の額を控除 R6.7 1万円 2万円 1万円 扶養親族等の変動により 特別控除の額に変更がある 場合は年末調整で調整 繰越
  • 4. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 改正① ・ 本人が40歳未満で配偶者を有する者 ・ 本人が40歳以上で40歳未満の配偶者を有する者 ・ 19歳未満の扶養親族を有する者 改正② ◆補足 【ポイント】 ◉ 令和7年度税制改正においても同様の改正が行われる予定です。 ◉ 控除率は従来通り、0.7%のままとなります。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. 子育て特例対象個人 0円(令和5年中に建築確認を受けた住宅等:2,000万円) 床面積要件を40㎡以上とする緩和措置 令和7年 現行 子育て特例対象個人 5,000万円 4,000万円 令和6年12月31日以前に建築確認済みの 新築住宅等を対象とする(1年間延長) その他 子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充 日本が直面する少子化対策の一環として、子育て支援に関する税制の強化が行われました。子育てを行う上での安全 や快適な住宅を確保し、住宅リフォーム税制の拡充や住宅ローン控除の拡充が同時に行われ、子どもを生み育てること を税制面からサポートした内容となりました。 増税 減税 ― 〇 - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 入居時期 令和6年 借 入 限 度 額 新 築 認 定 住 宅 等 長期優良住宅 ・低炭素住宅 4,500万円 省エネ基準 適合住宅 3,000万円 4,500万円 ZEH水準 省エネ住宅 3,500万円 4,500万円 3,500万円 認定住宅等 3,000万円 その他の住宅 0円(一定の耐震基準に適合する住宅:2,000万円) 3,000万円 その他の住宅 床面積要件 50㎡以上 ※合計所得金額が1,000万円以下の場合40㎡以上 控除 期間 新築 13年(令和5年中に建築確認を受けた住宅等:10年) 中古 10年 所得要件 合計所得金額が2,000万円以下 中 古 認定住宅等には、認定住宅等で建築後使用さ れたことのないものの取得や、買取再販認定住 宅等の取得も該当します。
  • 5. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 ① ② ③ ④ 【ポイント】 ◉ 令和6年4月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合が適用対象とされます。 ◉ 同時に住宅借入金特別控除や特定増改築等住宅借入金等特別控除の適用要件を満たしている場合には選択適用になります。 ◉ 実際にかかった工事費用ではなく、国土交通大臣が工事内容ごとに定めた「標準的な工事費用相当額」を用いて計算した金額となります。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. その他 子育て対応改修工事をした場合の所得税額の特別控除 日本が直面する少子化対策の一環として、子育て支援に関する税制の強化が行われました。子育てを行う上での安全 や快適な住宅を確保し、住宅リフォーム税制の拡充や住宅ローン控除の拡充が同時に行われ、子どもを生み育てること を税制面からサポートした内容となりました。 増税 減税 ― 〇 - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 省エネ改修工事 個人 (バリアフリー改修工事については、 年齢が50歳以上等の要件があります。) 合計所得金額が 3,000万円以下など 合計所得金額が 2,000万円以下など 標準的な工事費用相当額 (一定の限度額)×10% バリアフリー改修工事 多世帯同居改修工事 耐久性向上改修工事 住宅特定改修特別税額控除 対象工事 適用対象者 要件 控除額 ⑤ 一定の子育て対応改修工事 子育て特例対象個人 (住宅ローン控除と同要件) 合計所得金額が 2,000万円以下など 標準的な工事費用相当額 (限度額250万円)×10% ~計算イメージ(標準的な工事費用相当額が200万円の場合)~ 所得税額 100万円 控除税額 → 20万円 = 200万円×10% 所得税額 80万円 既存の対象工事に追加 ・住宅内における子供の事故を防止するための工事 ・対面式キッチンへの交換工事 ・開口部の防犯性を高める工事 ・収納設備を増設する工事 ・開口部・界壁・床の防音性を高める工事 ・間取り変更工事(一定のものに限る) (工事費用相当額が50万円を超える場合のみ)
  • 6. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 次の要件を満たした場合に適用可 ☑ ☑ ☑ ☑ 次の要件のいずれも満たした場合に適用可 ☑ 教育訓練費≧前年度教育訓練費✕110% ☑ 教育訓練費≧雇用者給与等支給額✕0.05% ☑ ・ ①を満たす場合 …給与増加額✕控除率(10%) ・ ①を満たす場合 …給与増加額✕控除率(15%) ・ ②を満たす場合 …控除率+5% ・ ②を満たす場合 …控除率+10% ・ ③を満たす場合 …控除率+10% ・ ③を満たす場合 …控除率+5% ・ ④を満たす場合 …控除率+15% ・ ⑤を満たす場合 …控除率+5% ・ ⑥を満たす場合 …控除率+5% 【ポイント】 ◉ 資本金10億円以上かつ、従業員数1,000人以上の企業に求められていたマルチステークホルダー方針の公表が、資本金の額に関係なく、 従業員数2,000人以上の企業も求められるようになります。 ◉ 最大で税額控除率が35%になります。ただし、法人税額の20%が控除額の上限となります。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. その他 給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度(従業員数2,000人超) 全法人向けの「賃上げ促進税制」については、従業員2,000人を基準に税制が区分されます。本税制によって企業の 賃上げを後押しし、定額減税の実施と併せてデフレマインドの払拭と「賃金上昇・消費拡大・投資拡大」という好循環 の実現を図る狙いがあります。 増税 減税 ― △ - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 現行 改正案 ① 適用要件 ☑ 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕103% ① 適用要件 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕103% ②上乗せ ☑ 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕104% ②上乗せ 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕104% ③上乗せ 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕105% ④上乗せ 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕107% ⑤上乗せ ③上乗せ ☑ 教育訓練費≧前年度教育訓練費×120% ⑥上乗せ プラチナくるみん(orえるぼし)認定又を受けている ⑦ 控除税額 ④ 控除税額 ②~④は増加 割合に応じて いずれかを適用
  • 7. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 ◆法人の区分 ◆適用要件と控除率 次の要件を満たした場合に適用可 ☑ ☑ 次の要件のいずれも満たした場合に適用可 ☑ 教育訓練費≧比較(前期)教育訓練費✕110% ☑ 教育訓練費≧雇用者給与等✕0.05% ☑ プラチナくるみん(orえるぼし)認定又はえるぼし認定 ・ ①を満たす場合 …給与増加額✕控除率(10%) ・ ②を満たす場合 …控除率+15% 適用除外事業者(所得15億円超の法人)を除く ・ ③を満たす場合 …控除率+5% グループ全体での従業員数が1万人を超える法人グループに ・ ④を満たす場合 …控除率+5% 属する法人を除く (イメージ) ✕10%~35% 【ポイント】 ◉ 従業員数2,000人以下の中小企業については、本規定と中小企業向けの賃上げ税制のいずれかの適用となります。 ◉ 上記⑤で計算した控除税額は、法人税額の20%を限度に法人税から控除されます。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. その他 給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度(従業員数2,000人以下) 法令で定義されている大企業と中小企業の間に「中堅企業」という位置付けが設けられます。大企業向けの賃上げ税 制とは別に控除率を見直し、賃上げをより行いやすい環境を整備する狙いがあります。大企業に分類されている上場企 業のうち、約1,400社が対象になると見込まれています。 増税 減税 ― 〇 - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 現行 改正案 資本金 判定 ① 適用要件 1億円超 大企業 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕103% 中堅企業(※2) 1億円以下 中小企業(※1) ②上乗せ 継続雇用者給与等≧比較(前期)継続雇用者給与等✕104% ③上乗せ 改正案 資本金 従業員数 判定 ※2 (3段階目)を受けている 1億円以下 従業員数判定なし 中小企業(※1) ⑤ 控除税額 増加額 前期 当期 ※1 1億円超 2,000人超 大企業 ④上乗せ 2,000人以下
  • 8. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 次の要件を満たした場合に適用可 ☑ 雇用者給与等≧比較(前期)雇用者給与等✕101.5% 次の要件のいずれも満たした場合に適用可 ☑ 教育訓練費≧比較(前期)教育訓練費✕105% ☑ 教育訓練費≧雇用者給与等✕0.05% ・ ①を満たす場合 …給与増加額✕控除率(15%) ☑ プラチナくるみん(orえるぼし)認定又はくるみん認定 ・ ②を満たす場合 …控除率+15% 又はえるぼし認定(2段階目以上)を受けている ・ ③を満たす場合 …控除率+10% ・ ①を満たす場合 …給与増加額✕控除率(15%) ・ ②を満たす場合 …控除率+15% ・ ③を満たす場合 …控除率+10% (イメージ) ・ ④を満たす場合 …控除率+5% ×15%~40% 控除限度超過額を5年間繰越しすることが可能 前期 ※雇用者給与等が前年を超える場合に限り適用可能 【ポイント】 ◉ 令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度に適用されます。 ◉ 従来は、法人税額の20%が上限で切り捨てられていた部分が、翌期以降に繰越しできるようになります。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. その他 中小企業向け賃上げ促進税制 我が国の雇用の7割は中小企業が担っている反面、6割もの中小企業が赤字企業となっています。その結果、多くの中 小企業において従来の税制措置によるインセンティブを享受することができていません。こうした現状を踏まえ、赤字 企業であっても賃上げを後押しできるような仕組みに改正されます。 増税 減税 ― 〇 - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 同左 現行 改正案 ① 適用要件 ① 適用要件 ☑ 同左 ② 上乗せ ☑ 雇用者給与等≧比較(前期)雇用者給与等✕102.5% ② 上乗せ ☑ ③ 上乗せ ☑ 教育訓練費≧比較(前期)教育訓練費✕110% ③ 上乗せ ④ 控除税額 ④ 上乗せ ⑤ 控除税額 増加額 ⑥ 繰越控除 当期 最大 控除率45%
  • 9. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 ◆不適用となる特定税額控除規定 ・ 試験研究を行った場合の法人税の特別控除(措法42の4①⑦) ・ 5G導入促進税制(措法42の12の6②) ・ 地域未来投資促進税制(措法42の11の2②) ・ 事業適応設備を取得した場合等の法人税額の特別控除(措法42の12の7④~⑥) ◆特定税額控除の不適用規定の概要 ※改正後も同じ ◆不適用規定の上乗せ措置の概要 以下のいずれかに該当する法人 左記対象法人のうち、下記の①又は②に該当する法人は ・ 資本金等の額が1億円以上の法人 一定要件の強化が行われます ・ 同一の大規模法人に発行済株式の1/2以上を所有 ① 以下のすべてを満たす法人 されている法人 ・ 資本金の額等が10億円以上 ・ 複数の大規模法人に発行済株式の2/3以上を所有 ・ 常時使用する従業員の数が1,000人以上 されている法人 ・ 前事業年度所得>0 ② 以下のすべてを満たす法人 ※大規模法人とは資本金等の額が1億円以上の法人をいう ・ 常時使用する従業員の数が2,000人超 ・ 前事業年度所得>0 いずれにも該当しない場合、特定税額控除規定の適用不可 いずれにも該当しない場合、特定税額控除規定の適用不可 ☑ 継続雇用者給与等支給額 > 継続雇用者比較給与等支給額 ☑ ☑ 国内設備投資額 > 当期償却費総額×30% ☑ 国内設備投資額 > 当期償却費総額×40% ☑ 前期所得 ≧ 当期所得 ☑ 前期所得 ≧ 当期所得 【ポイント】 ◉ 賃上げ税制の適用が望めない場合でも、本税制の適用を回避するために継続雇用者給与等支給額を集計する必要があるケースがあります。 ◉ 適用期限が3年間延長されました。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. 消費税 資産税 国 際 継続雇用者給与等支給額 > 継続雇用者比較給与等支給額×101% 対 象 法 人 対 象 法 人 要 件 要 件 その他 特定税額控除の不適用規定の延長と見直し 大企業に対して、賃上げによる税制優遇の拡大を行う一方で、賃上げや国内設備投資に消極的な企業については特定 の税額控除の適用を制限する規定があります。本規定は平成30年度の税制改正により創設されて以降度々改正が行われ ており、本改正においても適用期限の延長と不適用規定の強化が行われました。 増税 減税 △ ― - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 追加
  • 10. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 損金算入限度 対象株式 要件 株式取得時に準備金積立(損金算入) 【ポイント】 ◉ 一定の表明保証保険契約を締結している場合には本税制の適用対象外となります。 ◉ 新制度導入後も引き続き現行制度の適用は可能であり、新制度の導入と合わせて適用期限が令和9年3月31日まで延長されています。 ◉ 特別事業再編計画(仮)の認定基準がどのようなものになるのかが今後の注目ポイントです。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. 取崩し 据置期間(5年間)経過後の5年間にかけて均等取崩し 減損や売却時に取崩し 据置期間(10年間)経過後の5年間にかけて均等取崩し 減損や売却時に取崩し(現行制度と同様) その他 中小企業事業再編投資損失準備金制度 中小企業のM&Aでは、買収後にリスクが顕在化することが少なくありません。そのようなリスクを軽減するため令 和3年度税制改正により経営資源集約化税制が創設されました。今回の改正では、更なる経営資源の集約化を支援する ため、現行制度よりも損金算入限度額や据置期間等を拡大した新制度が用意されることになりました。 増税 減税 ― 〇 - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 現行制度と新制度との比較 現行 改正案 株式取得価額の70% (初回)株式取得価額の90%、(2回目以降)株式取得価額の100% 準 備 金 積 立 取得価額10億円以下 取得価額1億円以上100億円以下 経営力向上計画の認定が必要 特別事業再編計画(仮)の認定が必要 積み立て・取り崩しのイメージ M&A実施 据置期間(10年間) 現行制度(5年間) 5年間延長 現行 … 70% 改正案 … 90%(初回)、100%(2回目以降) 5年間で均等取崩し(益金算入)
  • 11. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 イ ◆計算のイメージ ※令和7年4月1日以後に開始する事業年度に限ります。 ハ 【ポイント】 ◉ 類似の制度である研究開発税制では税額控除であるのに対して、こちらの税制は所得控除となる点で異なります。 ◉ 計算過程のうち、特定特許権等取引に係る所得の金額や直接関係する研究開発に係る金額については、現状では明確な指標が無く、 共通経費の配分等の論点が予想されるため、今後の動向に注意が必要です。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. その他 イノベーションボックス税制の創設 昨今は利益の源泉であるイノベーションについても国際競争が進んでいます。そのため我が国においても民間による 無形資産投資を後押しすることが喫緊の課題となりました。こうした観点から、国内で行う研究開発の成果である知的 財産から生じる所得に対する優遇制度が創設されます。 増税 減税 ― 〇 - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 対象法人 青色申告書を提出する法人 損金算入額 所得金額 又は 一定の算定額 × のいずれか少ない金額×30% 特許権譲渡等 取引に係る 所得の金額 ハ 当期および前期以前(※)で生じた研究開発費のうち 特許権譲渡等取引に直接関連する研究開発 に係る金額の合計額 ~特許権譲渡等取引~ 譲渡収入 間接経費 適格研究 開発費 直接関連 する費用 ロ ハのうち適格研究開発費の額の合計額 譲渡所得金額 イ 譲渡所得金額 適格研究 開発費対応分 (所得金額) 事業年度 × = (法人全体の 所得金額) ロ 適格研究 開発費 いずれか少ない金額 ×30% 取引のあった 損金算入
  • 12. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 ・ 青色申告書を提出する法人 ◆税額控除率の見直し 増減試験研究費割合が零に満たない事業年度につき、税額控除率が見直されます。 〇令和8年3月31日までに開始する事業年度 〇令和8年4月1日から令和11年3月31日の間に開始する事業年度 ⇒ 11.5%-(12%-増減試験研究費割合)×0.25 (下限1%) ⇒ 8.5%+増減試験研究費割合×30分の8.5 〇令和11年4月1日から令和13年3月31日の間に開始する事業年度 ⇒ 8.5%+増減試験研究費割合×27.5分の8.5 〇令和13年4月1日以後に開始する事業年度 ⇒ 8.5%+増減試験研究費割合×25分の8.5 ※税額控除率の下限1%の撤廃 ◆イメージ 現行 改正案 【ポイント】 ◉ 増減試験研究費割合が零以上の場合、税額控除率に変更はありません。 ◉ 増加割合が△30%になると、控除率が0%となり、税額控除額が0円になります。(令和8年4月1日から令和11年3月31日の場合) ◉ 内国法人の国外事業所等を通じて行う事業に係る試験研究費の額が除かれることになりました。 ◉ 特定税額控除不適用措置の改正も影響を受けますので、併せてご確認ください。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. 国 際 対象法人 一般試験研究費に係る税額控除制度の見直し 現行 改正案 その他 試験研究を行った場合の税額控除制度の見直し 研究開発税制は、年々メリハリをつけた改正が行われています。今回の改正により、投資に消極的な企業は税額控除 の適用を受けられないことになりました。また、試験研究費の増加割合が前年よりマイナスになる場合は、税額控除額 が現行制度より減額されます。 増税 減税 〇 ― - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 税額控除率 下限1%→0%
  • 13. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 ※1 専らその法人の役員、従業員等に対する社内飲食費等を除きます。 ※2 期末資本金1億円以下の法人等(資本金の額等が5億円以上の法人の完全子法人等を除く) 【ポイント】 ◉ 税抜経理方式を採用する場合、消費税の額を除いた本体価格が交際費等の額になります。 ◉ インボイス制度導入に伴って、免税事業者に支払う交際費等のうち、仕入税額控除できなかった部分は本体価格に含めることになります。 ◉ 飲食費等の損金算入の特例と、中小法人等の定額控除限度額の特例の期限が3年間延長されました。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. その他 交際費等の損金不算入制度の延長と見直し 企業の交際費は、1990年代初頭から半減しています。交際費等から除かれる飲食費等の損金算入額の上限を引き上げ ることで、コロナ禍で接待需要が落ち込んだ飲食業界の経営を支援しつつ、企業交流を活発にする狙いがあります。 また、物価上昇による飲食費の高騰に伴い、今の水準では不十分との声もあり、上限額の見直しに至りました。 増税 減税 ― 〇 - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 交際費等から 除外する飲食費等(※1) 現行(令和6年3月31日までの支出) 改正案(令和6年4月1日以降の支出) 1人当たり5,000円以下の飲食費等 1人当たり10,000円以下の飲食費等 中小法人等(※2) の損金算入の特例 損金算入可能額(下記①、②の選択適用) 損金算入可能額(下記①、②の選択適用) ①交際費等のうち年800万円 大法人(中小法人等以外) の損金算入の特例 損金算入可能額 同 左 1人当たり5,000円を超える飲食費等の50% 1人当たり10,000円を超える飲食費等の50% 資本金100億円超の法人 交際費等の全額が損金不算入 同 左 ①同 様 ②1人当たり5,000円を超える飲食費等の50% ②1人当たり10,000円を超える飲食費等の50%
  • 14. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 ・ 資本金1億円超の法人 ・ 資本金1億円超の法人 ・ 前事業年度に外形標準課税対象法人で、資本金1億円以下 かつ資本金+資本剰余金の合計が10億円超の法人 【ポイント】 ◉ 適用初年度(令和7年4月1日以降に開始する事業年度)はロの規定を使用し、適用2年度目以降はイの規定を使用します。 ◉ 公布日が令和6年3月31日となる場合(ex.3月決算法人)、原則として令和5年3月31日で判定します。前日(令和6年3月30日)までに1億円以下の 減資が完了すると適用対象外になりますが、債権者保護手続等に一定期間を要するため、駆け込み減資は期限が非常にタイトとなります。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. その他 外形標準課税①(減資への対応) 外形標準課税をめぐっては、企業が課税を逃れるため、資本金を1億円以下に減資する事例が多くなっていました。 減資の中には、単に資本金を資本剰余金へ振替えている事例も見られます。そこで、資本金が1億円以下になった場合 でも、資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える場合には、外形標準課税の対象とされます。 増税 減税 〇 ― - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 R7.4 現行 改正案(減資への対応) 外形標準課税 の対象 外形標準課税 の対象外 外形標準課税 の対象 外形標準課税 の対象 減資 資本金 (1億円以下) 資本剰余金 + 資本剰余金 10億円超 資本剰余金 資本剰余金 対象法人 対象法人 資本金 1億円超 減資 資本金 1億円以下 資本金 1億円超 イ.前事業年度に外形標準課税の対象であっ た法人で、当該事業年度の資本金は1億円以 下であるが資本金と資本剰余金の合計額が 10億円を超える法人 ロ.施行日(R7.4.1)以後最初に開始する事 業年度については、上記イにかかわらず、 公布日を含む事業年度の前事業年度(公布 日の前日に資本金が1億円以下となっていた 場合には、公布日以後最初に終了する事業 年度)に外形標準課税の対象であった法人 で、当該施行日以後最初に開始する事業年 度の資本金は1億円以下であるが資本金と資 本剰余金の合計額が10億円を超える法人 資本剰余金 へ振替
  • 15. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 ※経過措置 一定期間は、増加する税額のうち一定割合が控除され ます。従来の課税方式で計算した税額を超える額のうち、 R8.4.1以降開始する事業年度 → 3分の2を軽減 R9.4.1以降開始する事業年度 → 3分の1を軽減 【ポイント】 ◉ 減資への対応・100%子法人等への対応は、それぞれ開始事業年度が異なります。 ◉ 公布日以後に、100%子法人等がその親法人等に対して資本剰余金から配当を行った場合、配当相当額を加算して判定を行います。 ◉ 特別事業再編計画の認定を受けた認定特別事業再編事業者が買収した法人は、一定の場合、5年間外形標準課税の対象から除外されます。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. 2/3を軽減 1/3を軽減 R8.4 現行 改正案(100%子法人等への対応) 判定 単位 法人ごとに判定 判定 単位 一定規模法人の100% 子法人はグループで判定 100% 100% 【改正の内容】 その他 外形標準課税②(100%子法人等への対応) 外形標準課税をめぐっては、企業が課税を逃れるため、組織再編等の際に子会社の資本金を1億円以下に設定する事 例が生じていました。そこで、親会社の信用力等を背景に事業活動を行う子会社については、資本金が1億円以下に なった場合でも、資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超える場合には、外形標準課税の対象とされました。 増税 減税 〇 ― - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 <親法人> 資本金 1億円超 外形標準対象 R8.4 R9.4 R10.4 資本金と資本剰余金の合計額が 10億円以下でも外形標準課税の対象になります。 <子法人> 資本金 1億円以下 外形標準対象外 <親法人> 資本金+資本剰余金 50億円超 外形標準対象 <子法人> 資本金(1億円以下) +資本剰余金 2億円超 外形標準対象
  • 16. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 【ポイント】 ◉ 令和6年10月1日以降に解約するものから適用開始となります。 ◉ 別表10(7)の添付が損金算入の要件になります。添付漏れに注意しましょう。 ◉ 所得税法においても、同様の改正が行われます。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. その他 中小企業倒産防止共済の再加入時における損金算入制限 倒産防止共済は、倒産によって中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。しかし、本来の趣旨 とはかけ離れて、節税目的で使用されている実情があります。そこで過度な節税を封じる目的で、再加入をする場合に は一定期間、損金算入を制限する改正が行われます。 増税 減税 〇 ― - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 現 行 R6.1.1 R6.5.1 R6.12.1 R7.1.1 改 正 案 R6.1.1 R6.10.1 R6.12.1 R7.1.1 解約 再加入 R9.1.1 損金算入 損金算入 解約 再加入 R8.1.1 R8.1.1 R8.9.30 R9.1.1 損金算入 損金算入不可 損金算入 2年経過 解約した日から2年間は掛金の損金算入不可 再加入後の掛金の損金算入可
  • 17. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 ◆イメージ…アプリストア(プラットフォーム)を通じてアプリ(オンラインゲーム)を配信 【ポイント】 ◉ 令和7年4月1日以後に行われる消費者向け電気通信利用役務の提供について、適用されます。 ◉ 特定プラットフォーム事業者とは、国税庁長官に指定されたプラットフォーム事業者で、その課税期間中に行った電子通信利用役務 (電子書籍、ゲーム配信など)の提供に係る対価の額の合計額が50億円を超える事業者をいいます。 Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. その他 プラットフォーム課税制度の導入 デジタル市場は、大規模なプラットフォームの存在を背景に、年々市場が拡大しています。そのため、多くの国外事 業者が日本市場に参入しており、国外事業者が納めるべき消費税の課税関係が把握しにくい状況にありました。国内外 の取引条件や課税の公平性を確保する観点からプラットフォーム課税制度が導入されます。 増税 減税 ― ― - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 現行 改正案 国外 国内 国外 国内 税理士法人ゆびすい ①アプリ配信したとみなす ②販売代金+消費税 国外事業者 ③申告・納付 一般消費者 ①アプリ配信等 調査が困難 国外事業者 一般消費者 プラット フォーム 特定プラット フォーム事業者 ③販売代金 ②販売代金+消費税 ④申告・納付
  • 18. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 ◆3万円未満の自動販売機及び自動サービス機の特例について、帳簿への住所等の記載が不要になりました。 科目名:現金 科目名:現金 ★:自動販売機特例 ★:自動販売機特例 【ポイント】 ◉ 改正前ですが、令和5年10月1日以後に行われる取引についても、運用上帳簿への住所記載は求めないものとされます。 ◉ セルフレジでの購入、コインパーキングや自動券売機の使用については特例が適用されず、原則通りインボイスが必要となります。 ◉ 帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるケースは、今回の自販機等の特例以外にも様々なケースがありますので、注意しましょう。 Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. その他 帳簿特例の記載要件の見直し インボイス制度には、一定事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除ができる「帳簿のみ保存の特例」がありま す。「3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品購入」について、この特例を受ける場合は自販機やAT M機の住所を帳簿へ記載する必要があり、現実的でないという声から今回の改正に至りました。 増税 減税 ― ― - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 残高 現行 改正案 総勘定元帳 総勘定元帳 日付 相手勘定科目 摘要 借方金額 貸方金額 残高 日付 相手勘定科目 摘要 借方金額 貸方金額 99,890 12/1 接待交際費 缶コーヒー(軽 減8%)堺市 自 販機 110 99,890 12/1 接待交際費 缶コーヒー(軽 減8%) 110 94,390 12/5 福利厚生費 従業員制服ク リーニング 堺市 コインラ ンドリー 5,500 94,390 12/5 福利厚生費 従業員制服 クリーニング 5,500 66,890 12/18 水道光熱費 〇〇電力 ATM 振込 27,500 66,890 12/18 水道光熱費 〇〇電力 ATM 振込 27,500 330 66,560 12/18 支払手数料 ATM振込手数料 ××銀行□□支 店ATM 330 66,560 税理士法人ゆびすい 12/18 支払手数料 ATM振込手数料 ★ ★ ★ ★ ★ ★
  • 19. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 ◆住宅の要件改正 ◆参考:非課税限度額【改正なし】 ◆補足 【ポイント】 ◉ 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例についても、適用期限が3年間延長されました。 ◉ 本制度による贈与については、生前贈与加算の適用はありません。 ◉ 令和6年1月1日以後の贈与より、生前贈与加算期間が3年間から7年間に順次延長されますので、本制度を利用して相続対策を行いましょう。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. 震災特例法による省エネ等住宅 1,500万円 震災特例法による上記以外の住宅 1,000万円 高齢者等配慮対策等級3以上 住宅の種類 非課税限度額 省エネ等住宅 1,000万円 上記以外の住宅 500万円 現行 (令和5年12月31日までの贈与) 改正案 (令和6年1月1日から令和8年12月31日までの贈与) 省エネ等住宅の 家屋の要件 ① 断熱等性能等級4以上 又は 一次エネルギー消費量等級4以上 断熱等性能等級5以上 かつ 一次エネルギー消費量等級6以上 ② 免震建築物又は耐震等級2以上 改正なし ③ その他 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置 令和4年度税制改正で非課税限度額が減額され、適用期限が2年間延長されていました。今回の改正では、対象住宅の 性能の要件に一部見直しが図られた上で、適用期限が3年間延長されます。 増税 減税 ― 〇 - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 耐熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上の 場合であって、次のいずれかに該当する場合は、本規定の適用 可能な住宅用の家屋(省エネ等住宅)とみなします。 ・令和5年12月31日以前に建築確認を受けているもの ・令和6年6月30日以前に建築されたもの
  • 20. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 ◆対象となる物件…タワーマンションや分譲マンションで居住の用に供する専有部分があるもの ※1 区分所有補正率 ◆改正のイメージ ※2 評価乖離率=A+B+C+D+3.220 A=築年数×△0.033 B=総階数÷33(1を超える場合は1。地下は含まない)×0.239 C=所有している1室の所在階数(地下の場合は零)×0.018 D=敷地全体の面積×区分所有割合÷専有部分の面積×△1.195 【ポイント】 ◉ 評価乖離率の算定にあたって必要な情報(築年数等)はすべて不動産登記情報に記載されています。また、計算の過程に端数が生じる場合 は、Bは最終値の小数点以下第4位を切捨て、Dは計算過程の値および最終値の小数点以下第4位を切上げます。 ◉ 2階建ての集合住宅、二世帯住宅、事業用のテナント物件、区分所有ではない1棟所有のマンションなどは除かれます。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. その他 マンション評価通達の改正 いわゆる「タワマン節税」として、通達通りの評価を最高裁判決で否認されたことで世間を騒がせたマンションの評 価方法が改正されました。納税者がマンションを購入し、評価額が著しく圧縮された場合は、その評価額を市場価格の 6割程度にまで引き上げることで、課税の公平を図ろうというものです。 増税 減税 〇 ― - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 現行(令和5年12月31日以前の相続・贈与) 改正後(令和6年1月1日以後の相続・贈与) 土地 路線価×敷地全体の面積×区分所有割合(又は倍率評価) 土地 左記評価額×区分所有補正率 ※1 建物 固定資産税評価額×1.0 建物 評価水準 (1÷評価乖離率) 適用する区分所有補正率 相続税評価額 への影響 売買価額 改正前評価額 改正後評価額 1.0超 評価乖離率 ※2 引き下げ 引き上げ 6,000万円 3,000万円 0.6以上1以下 適用なし なし 10,000万円 圧縮 0.6未満 評価乖離率×0.6 引上げ
  • 21. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 【ポイント】 ◉ 特例承継計画の提出期限が令和8年3月31日まで延長となりました。 ◉ 事業承継を促す時限措置であることを踏まえ、適用期間(相続又は贈与の期限)については延長されていません。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. R9.12.31 H30.4.1 R6.3.31 R8.3.31 改正案 特例事業承継税制手続きフロー 手続きスケジュール H30.1.1 現行 その他 非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例承継計画の期限延長 平成30年度税制改正により創設された事業承継税制の特例措置の適用には、特例承継計画の提出が必要です。しか し、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化により中小企業者の取り組みが遅れているという声が上がっていました。 このような声を受けて、今年度の改正では計画書の提出期限が2年間延長されました。 増税 減税 ― △ - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 延長 特例承継計画の 提出期間 特例制度の適用期間 改正なし 改正点 特例承継計画の策定 確認申請 報告書・届出書等を 継続的に提出 税務署へ申告 認定申請 贈与又は相続等
  • 22. 【改正の背景】 ▼ 改正の影響 【改正の内容】 (具体例) 【ポイント】 ◉ 当該改正は、令和9年1月1日以後に提出すべき支払調書等について適用されます。 ◉ 電子申告等でなく書面で提出した場合、無効扱いとされます。 税理士法人ゆびすい Copyright 2023 YUBISUI GROUP. All Rights Reserved. その他 支払調書等のe-Taxを使用する方法等による提出義務制度 現行では、法定調書の種類ごとに、前々年の提出すべきであった当該法定調書の提出枚数が「100枚以上」であるも のについては、電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法等による提出が義務付けられていました。今回の改正によ り、その判定基準が「30枚以上」に引き下げられます。 増税 減税 ― ― - 令和6年度 税制改正大綱速報 - 所得税 法人税 消費税 資産税 国 際 法定調書の提出枚数 30枚以上 令和7年中に提出した 【給与所得の源泉徴収票】 35枚 令和9年中に提出する【給与所得の源泉徴収票】は、 e-Tax等により提出する必要がある。 ※提出義務の判定は支払調書の種類ごとに行う 令和7年 令和8年 令和9年 判定基準となる年度 提出対象年度 法定調書の提出枚数 100枚以上 現行 改正案 e-Tax、光ディスク等又は クラウド等による提出が必要 2年後に影響有 令和9年1月1日以後提出分より改正