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記号 数値
技術のパラメータ A 1
産出の政府支出弾力性 α 0.25
時間選好率 ρ 0.15
消費の維持点間代替弾力性の逆数 σ 0.9
η 0.25
β 0.2
初期資本ストックの仮定: k0)=1
家計の生涯効用の有界性の条件: ρ-(1-σ)γ>0
17. ¢U (g) =
(1-s ) r + 1+g( ) s +a -1( )éë ùû
r -g 1-s( )éë ùû
2
r +g s +a -1( )éë ùû
s
> 0
成長率上昇(下落)
⇒ 効用増加(減少)
【成長率と効用】
27. 【成長率最大時の税率】
𝝉 𝒈 𝝉 𝒉 𝝉
𝛾(0) 0.225 0.1 0.325
𝛾(1) 0.2125 0.15 0.3625
𝛾 2 0.2 0.2 0.4
税負担最小
28. 家計の効用と成長率
¢U (g) > 0
成長率上昇(下落 )
⇒ 効用増加(減少)
【効用と成長率の関係】
U(g) »
sg + r - 1-h( )géë ùû
1-b
1-h( )
´
sg + r
(1-tg -th )
æ
è
çç
ö
ø
÷÷
bæ
è
ç
ç
ö
ø
÷
÷
1-s
×
1
r -g(1-s )
31. 【効用と税率の関係】
𝝉 𝒈 𝝉 𝒉 𝝉 ∪
𝛾(0) 0.225 0.1 0.325 0.32
𝛾(1) 0.212 0.15 0.362 0.29
𝛾 2 0.2 0.2 0.4 0.27
税負担最小 効用最大
成長率
最大
33. 【結論:第2・3章のまとめ】
最大
成長率
𝝉 𝒈 𝝉 𝒉 𝝉 ∪
𝛾 0.25 0 0.25 0.37
𝛾(0) 0.225 0.1 0.325 0.32
𝛾(1) 0.212 0.15 0.362 0.294
𝛾 2 0.2 0.2 0.4 0.270
家計への
財政支出=0
38. 【参考文献】
1。1990.10 “Government Spending in a Simple Model”
Journal of Political Economy, Barro
2。2014.2 「少子化問題について」 内閣府
3。2015.5 「政府支出がマクロ経済に及ぼす効果につい
て
〜既存研究のサーベイを中心にして〜」 国土交通省
国土交通政策研究所 政策研究官 長町大輔
Editor's Notes これから吉田専門ゼミ第二部の発表を始めます。
こちらが今回の発表の内容です。
第1章では日本の政府支出の現状を三つの視点から見ていきます。 一つ目は税率及び税収です。グラフから見てわかるように、歳入の約60%が税収です。
さらに税収を分けてみると主な三つは所得税、法人税、消費税となります。
中小企業の軽減税率19% 中手企業の軽減税率の特例15% 二つ目は社会保障と公共投資です。
歳出のうち33%が社会保障にあてられ、6%が公共事業に充てられています。
約5倍の差がありますが、家計と企業への分配の配分はこの割合が最も良いのでしょうか? そして三つめは国債発行残高です。
現在、歳入の40%を将来世代の負担となる借金で補い、国債費を歳出の24%を使って払っています。
その結果 平成27年度3月時点で国の借金は約807兆円、国民1人あたりにすると約638万円の借金を
背負っています。 以上を踏まえ、借金をどんどん増やしていく日本の構造的問題の現状と、
働き手が減り続ける少子高齢化における安定的な経済成長の改善・実現、そのために何ができるのか自分なりに考えること。
そしてそのために経済政策効果を理解することが 研究動機です。
続いて第二章では今回使用するモデルの説明、と、そのモデルを用いて政府支出が企業にのみある場合を分析します。
モデルの仮定は以上の4つです。
企業にのみ財政支出があるということは、財政支出は企業の生産関数にだけ含まれます。
例としては飛行場や高速道路などの企業の生産活動を効率化するものです。 経済成長率と家計の効用はこの式で表します。 税率を0から0.8まで動かしていき、それぞれの成長率を計算していった結果がこのグラフです。
すると最も高い成長率は0.2271で、この時の税率は0.25だということがわかります。
次に効用に関してみていきたいと思います。
Γについて微分した結果、成長率が↑と効用も↑ 成長率が↓と効用も↓という成長率と効用の比例関係がわかりました。 この結果から、効用を目安としてグラフに書き入れたのがこちらです。
成長率と効用が同じ動きをすることから、成長率最大の時に効用も最大化することがわかります。
まとめると、政府による企業への財政支出は、成長効果があることがわかりました。同時に家計の効用を高める効果があります。
成長率を最大にする税率の時には、家計の効用も最大になっていることが分かりました。 第3章では政府支出を企業だけでなく家計にも行う場合について考えてみます。
財政支出が企業と家計にあるので、生産関数と効用関数の両方に財政支出が含まれます。
例としては第1章の生産効率を上げるものに加えて、託児所や図書館などの人々の効用を高めるものです。 今回の経済成長率と効用はこのような式で表します。 成長率と税率の関係についてみていきます。
γをτgで微分したことから、企業への財政支出↓のとき成長率↑となり企業への財政支出↑だと成長率が↓するという反比例の関係性がわかりました。
以上のことを踏まえたうえで、今回は3ケースを使って成長率を比較していきます。
家計への財政支出であるτhは0.1、0.15、0.2のときで3パターン使用します。そして企業への財政支出であるτgはどのパターンにおいても第1章と同じく、0から0.8まで動かしていきます。
それぞれのパターンを𝛾(0)、𝛾(1)、𝛾(2)とします。
その3ケースの成長率の推移をグラフにしたのがこちらです。
上から(0)、(1)、(2)の順番となっており、τh=0.1である(0)が成長率が最も高いことがわかります。
3つのグラフのそれぞれの最も高い成長率のときの、企業への財政支出の税率です。
一番成長率の高い(0)のτgが一番税率が高くなっています。
前2つのグラフを表にまとめたものです。3つのグラフのそれぞれτg、τh、そしてこれらを足した、トータルの税率です。 次に効用について見ていきます。
成長率について微分した結果、成長率↑と効用↑また成長率↓だと効用も↓になるという比例関係についてわかります。
その結果、目安となる効用のグラフを入れたところ、第3章(企業のみに財政支出)と同様に成長率最大の時に効用も最大化します。
これを文字で表すとこのようになります。 第2章をまとめたのがこちらの表です。
この表より、τgが高く、τhが低く、そしてトータルの税率が最も低い𝛾 0 のときが成長率の最大値が最も高いことがわかります。 第1章と第2章をまとめるとこのような表になります。
Γγが第1章のケースで、γ(0)からγ(2)が第2章のケースです。
全体を通してもトータルの税率が低いケースが最も経済成長率の最大値が高いことがわかります。
また、企業への支出と家計への財政支出の割合を見ると、τgを多く、τhを少なくすること
特に、表から、家計への支出がゼロのとき、効用が最大であることが重要です。 よって、 政府支出効果
限界生産力↑⇒プラス効果
税率↑⇒マイナス効果
分析結果より
プラス効果をもたらす政府支出増加の必要性を確認