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がんのことだけじゃない、人生のことを話し合おう
- 7. 68才 女性
肺がんの治療中
今やっている抗がん剤の効果がなくなり、次をどうするか決めな
いといけない
同時に今後どこで過ごすかについても選択を迫られている
実は、Aさんは次の抗がん剤に乗り気ではない
家族(夫、息子夫婦)はしてほしいと思っている
Editor's Notes
- ある朝、お母さんが ぼくに言った。
「ケンタも大きくなったから、これからは じぶんで きめようね」
「じぶん きめる?」
「そう、じぶんで きめるの。それができたら 大人のなかまいりね」
「大人になる」って いいひびきだ。
ほくは がんばろうと思った。
でも「じぶんできめる」って なんだろう?
- ある お昼、ぼくは ユキちゃんと あそんでいた。
ユキちゃんは となりにすんでいる女の子。
ぼくより ひとつ小さいけど、いつも あそんでいるんだ。
今日は なにして あそぼうか?
ぼくは たたかいゴッコを したかった。
ユキちゃんは 絵をかいて あそびたかったみたい。
ぼくはかんがえた。
ユキちゃんは まだ小さいから じぶんで きめられないね。
ぼくが じぶんで きめてあげよう。
そう思って、たたかいゴッコを しだしたら、ユキちゃんは なきだしてしまった。
そのあと、しかたがないから いっしょに 絵をかいたんだ。
「じぶんできめる」って なんだか かなしい。
- ある夕方 ボクは、べんきょうをしていた。
本当は あんまりしたくない。
だって おもしろくないし、計算がにがてだから。
とちゅうで いやになったので、きのう すごろくでつかったサイコロを ころがしてみた。
ぼくは とてもいい方法を はつめいしたと思った。
出た数字を かいていけば いんだもの。
ひょっとして これが「じぶんできめる」ってこと?
すると、となりで見ていたお姉ちゃんが、
「ケンタだめだよ そんなの。じぶんでかんがえなきゃ」って。
ぼくは じぶんで はつめいしたし、サイコロだって ぼくが ころがしてるのに・・・・。
「じぶんできめる」って なんだか むずかしい。
- ある にちよう日
お父さんと 買いものにいった。
すきなおもちゃを 買ってくれるんだって!
ほしいのがあったんだ。テレビでやっているやつ。
それはおもちゃ売り場の いちばん上に かざってあった。
そのおもちゃを ゆびさしたら、お父さんはちょっと こまった顔をして こう言った。
「ケンタ、あれは高すぎるよ。べつのにしなさい」
ぼくの頭はカッカしてきた。すきなもの、じぶんできめなって 言ったのに。
けっきょく、少し安いのを 買ってもらったけど、帰りの車のなかで ぼくは ずっと 半べそをかいていた。
お父さんも ずっと こまった顔をしていた。
「じぶんできめる」って なんだか つまらない。
- 「だれかがきめてくれたのが うれしいことだって あるんだよ」
ふーん、なんかへんなの。
「じぶんできめる」って なんだか フシギ。
帰るときおばあちゃんが、
「もうすぐお母さんの おたんじょう日よね。そのときに わかるかもね。ケンタが よーく かんがえたら」
って うれしそうに言った。
ぼくには なんのことか さっぱりわからなかったけど。
- お花屋さんには、たくさんの花があった。
本当は、ひらひらが いっぱいついた
大きなお花がよかったけど、ぼくのお金じゃ 買えないみたい。
小さいお花 ひとつなら買えるって。
ぼくは お店の人に どれがいいか 聞いてみた。
すると、「ケンタくんが じぶんで きめたほうが お母さんよろこぶと思うよ」だって。
- おばあちゃんは、「よーくかんがえなさい」って 言ってたな。
ぼくは いっしょうけんめい 思い出してみた。
お母さんのおさいふは きいろだ。
お気に入りのスカートも、お料理するときに かみをしばるゴムも きいろ。
お母さんには きっと きいろの花が にあうだろうなあ。
お店の人が きいろの花を オレンジの紙と あかいリボンで つつんでくれた。
- おうちに帰ると、お姉ちゃんはもう、ネックレスを プレゼントしてた。
ぼくもお母さんに きいろの花を プレゼントした。
ぼくは、「お母さんのことを そうぞうして きいろにしたんだよ」って言った。
お母さんは ぼくを ギュッとだきしめて 「ありがとう」って言った。
「ねえ お母さん、ぼく、大人のなかまいり できたかな?」
お母さんは なにも言わなかったけど、「うん うん」って してるみたいだった。
ぼくは むねが グーって あつくなって とっても いい気分だった。
- わかったよ! 「じぶんできめる」って すごく うれしいんだね!!