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WBS講義3日目 深圳独自の知財システムとイノベーション、そしてオープンソース

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https://medium.com/ecosystembymakers/gongkai-1396f6944c7d

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WBS講義3日目 深圳独自の知財システムとイノベーション、そしてオープンソース

  1. 1. 3日目第5,6回(2月7日 木) 「公開イノベーション(イノベーション と知財)」 #wbsshenzhen 資料は授業後PDFアップします 高須正和@tks スイッチサイエンス
  2. 2. 今日のテーマ イノベーションを促進できる、イノベーターに報いる知財 管理の方法とは、なんだろう? 今の方法の問題点はなんだろう? 他にどんな方法があるのだろう? 正解はないけど、「知財も材料のひとつであり、ルールも 制約の一つであり、自分の頭で戦い方を考えられる」よう になるのが、今日のゴールです。
  3. 3. 深圳では、なんでこんなことがで きるんだろう?
  4. 4. 12ドルの携帯電話 GSM Bluetooth MP3 充電ケーブル バッテリ
  5. 5. 日本で買える開発用ボードより安い
  6. 6. ネジを一本も使わない構造
  7. 7. 装飾用LEDは基板に直付け
  8. 8. たった2つのコアIC MediaTek MT6250DA 台湾 (CPU,メモリ、モデム) Vanchip VC5276 中国 通信用パワーアンプ
  9. 9. なぜ、$12ドルの電話が? ・MediaTek,Vanchipといった大手チップメーカーが、多機 能を一つのチップにまとめて大量生産し、安くて扱いを簡 単にしている ・それが実装された基板が市場で手に入る ・筐体がネジ止めナシで手間なくできている ・制御ソフト、開発情報が無償で簡単に手に入る
  10. 10. アメリカで$12携帯をつくる試み ・チップを少量、そんな安い価格で買えない。 特別な契約をして前渡し金を払い、かつ すごくたくさん買う必要がある。 ・そこまで買っても、手に入る開発資料は中国で 「フリー」にまわっているものより限定されている
  11. 11. なぜだろう なぜ、西側世界では、個人は最新のチップを自由に買えな いんだろう 開発情報を手に入る人が減ってることで、誰が利益を得て いるんだろう
  12. 12. 西側世界の知財の仕組み(概要)
  13. 13. 「知的財産」(IP)と呼ばれるもの ※ざっくり理解できてないと議論にならないが、一般常識なので細かい解説はしない 概要 狙い 適用されるもの よくある違反 著作権 (copyright) 著作物(コンテンツ)に対 して適用 CopyするRights, 複製権と も呼ばれる オリジナルの作者や出版社 を守る 文章 ソースコード 音楽(楽譜や録音データ) 映像 海賊版CD 特許 (patent) 物事の実現方式に適用 特許時に内容は公開され る 利用方法を明確化すること で、特許内容のシェアを促 進する 発明(の実現方法) 特許侵害 商標/意匠 (trademark) 他のブランドとの区別 「スターバックスのコー ヒー」は、目隠しして味が スターバックスとわからな くても商標で守られる ブランドイメージの保護 商品、店舗など 偽ブランド品 ※「製品」は複雑なものなので、複数の権利が適用される。 たとえば、携帯用カセットレコーダー(ウォークマン)をSONYの特許を回避して作ることができたとして、それをウォーク マンとして合法的に売ることは難しい。
  14. 14. 「知的財産」=形而上的な概念 製品=物理的に存在するもの 形而上学的な概念を物理的なものに転化するときに、”何をどうやって守るべ きか”という問題が発生する 物理的なものをコントロールする(製品を作る)技術は随時変化する。 そもそも、copyrightは「印刷技術」が世に出たときにできた概念 「知的財産」(IP)を物理的な現実世界で考える難しさ 今回の講義全体のテーマ: なんのためにどういう規制があり、それが何を促進し何を阻害してるかは、 常に問い続けないとならない
  15. 15. IP保護をめぐる視点 グリッドロック経済 マイケル・ヘラー (著), 山形 浩生 (翻訳), 森本 正史 (翻訳) 所有権が適切に管理されないと「共有地の悲劇」(Overuse,漁場をフリーにし ていたら魚が捕られ尽くした、とか。)が起こる。 しかし、所有権の管理を厳格にしすぎると手続きが面倒で使われず別の悲劇を 招く。 本書に出てくる例: ・ソ連崩壊直後、店舗を出して営業する許可が煩雑になりすぎてリアル店舗が きわめて減ったうえにモノもなくなり、非合法な屋台が増えた ・アメリカの電波管理が州ごとだったため携帯電話網の整備が進まず、日本よ りバカ高くてかつ遅い携帯電話しか使えない(その後解決) ・土地の権利がその上空にも与えられることになっていたので飛行機を飛ばす ルートがつくれなくなるところだった
  16. 16. IP保護をめぐる視点 パクリ経済――コピーはイノベーションを刺激する カル・ラウスティアラ (著), クリストファー・スプリグマン (著), 山 田 奨治(解説) (その他), 山形 浩生 (翻訳), 森本 正史 (翻訳) 「知的財産保護はイノベーションを促進する」と言われているが、知的 財産保護のない世界でもイノベーションが多く起きている 本書に出てくる例: サッカーの戦術にはIP保護が適用されないが、日々新しい戦術(例:ゾー ンプレス/フラットスリー…)ができてコピーされ洗練されている 食べ物のレシピ 服のスタイル マンザイのネタ 手品のトリック
  17. 17. 西側世界のオープンソース (概要)
  18. 18. ソフトウェアにおけるオープンソース運動 「ソフトウェアのソースコード」を公開する ソースコードが公開されている=誰でも開発に参加できる=ソフトウェアの 品質が上がり、問題発生時に自分で対処できる よくある誤解:無償かどうかはあまり関係ない。ソースコード公開がキモ 代表的なオープンソースソフト ApacheWebサーバ(大多数のWebシステムで動いている) GNU/Linux OS(スマホのAndroidほか、多くのシステムで動いている) 開発用のソフトではオープンソースのものが多い ライセンス形態 GPL:オープンソースのソフトをベースにして作ったものは必ずソースを公開 しないとならない(ビジネス側からGPL汚染などと呼ばれることもある) Apache:GPLが問題視されてオープンソースのビジネス利用が進まない
  19. 19. オープンソース運動の背景と、特許への問題提起 特許(独占)以外のビジネスモデル 多くの人が共通のコンピュータを使うようになり、開発者の数が増えると、 「開発者を独占してソフトウェアを作り、利用料を取る」というモデルが 「既存のOSSを改良し、自分の改良部分を公開する」というモデルに負ける 部分が出てきた OSSがカバーしている用途 データベース、サーバ用OSなどではOSSでほとんどの要件がカバーされ、独 占ソフトが「特殊な用途のため」のものになりつつある 一方で開発者から遠いソフト(Photoshop,Officeなど)はOSSがうまくいき づらい 特許への問題提起 互換品が簡単に作れてしまうものと特許ビジネスの相性の悪さ ソフトウェアのように技術の変化が激しいもので、何年ぐらいの独占が有効 なのか?
  20. 20. 概要 例:大気汚染減少を実現する 法(Law) 法律で規制する 都内にディーゼル車を規制する 規範(Norm) 法に現れない部分での マナー 省エネ運動、もったいない精神 市場(Market) ソロバンに合う、合わな い ガソリンの値段が上がると省エネ 車や電気自動車が増える アーキテクチャ (Architecture) 設計、構造での対応 ガソリンスタンドをなくして電気スタ ンドにする ・法律が適用できないあいまいな領域がイノベーションの苗床になっていた部分はある ・ソフトウェアだと完全に「作ったとおりにしか動かない」ので、そうしたあいまいな領域を殺す危険性がある ・技術、社会、法律を俯瞰して問題提起とあるべき社会を見据えた名著 4つの制約要素(ローレンス・レッシグ) Lawrence Lessig (原著), 山形 浩生 (翻訳)
  21. 21. レッシグ2002年の講演 Free Culture https://www.youtube.com/watch?v=xlLnK4ugTLc
  22. 22. ハードウェアのオープンソース運動? オープンソース = ソースコードが開示されていること -ソースコードがダウンロードできて、手元のコンピュータで 実行できる -ソースコードは、ソフトウェアの「ほぼ100%」(ゲームとかは違う が) -ソースが手に入る=すぐ試せる、安心して使える、問題点がすぐ改良さ れる=広まる なので今「開発ツールは多くがオープンソース」 では、ハードウェアは? いちおう、外装(CADデータ),BOMリスト(部品表),基板デザインと言わ れているが、 「部品表にあるいちばん大事な部品は僕らの工場でしか作ってません」 「作るのに大規模な機械が必要です、一回100万個からです」 みたいなことはいくらでもある….それ、オープンにする意味あるの?
  23. 23. 公开(Gongkai)オープンソース
  24. 24. ハードウェアにおける別の形の知財モデル 中国の「公開」オープンソースモデル
  25. 25. 「公開」とは何か 西洋の「オープンソース」とは別物 中国語の「Opensource」の翻訳は開源 バニーは公開を「収斂進化のように、生物としてはまったく別のものが似た 役割を持つ」(たとえば魚類のサメと哺乳類のシャチ)と、別物として紹介 している 知財はシェアされる 西洋型=知財は形而上的に存在し、知財の専門家はモノを作らない 公開=全員が工場を持っていて、アイデアは必ずモノとして成立し、それは 製品として売りさばかれる=そこで知財の対価が払われる 後追い品は最初のものより安くならざるを得ず、最終的にはほぼ原価(材 料費+手間賃)に落ち着く。また、工夫して安くするのもイノベーションの 一つ
  26. 26. 公開により多様な携帯電話を小ベンダーが開発
  27. 27. 深圳のエコシステムを使って開発した場合と日本国内開発の差 JENESIS提供 同社は深圳で日本向けのEMSサービスを行い、 日本交通タクシーのドライブレコーダなどを受諾している 同じ日本向け製品を日本で製造すると1万個・価格1万円・7ヶ月 (初期投資1億円) 深圳のIPシステム+サプライチェーンを使うと1000個・5000円・3ヶ月(初期投資500万円) 世界のハードウェアスタートアップが深圳に集まる理由がここにある
  28. 28. コモディティ化された部品が起こすイノベーション タブレット+ホバーボード(セグウェイもどき)+スマートスピー カー=ロボット この受付ロボットMandyは 銀行などに数千台販売され、 今は第6世代目になってい る。
  29. 29. そして、その完成品も他人のビジネスの商材として売られる
  30. 30. IDHと連携することで高速に開発を行うエコシステム IDH=「高コスパ」のミドルレンジ 製品をOppo,Vivo,Huawei,Xiaomi等複 数メーカーに向けて開発 Xiaomi等のメーカー=研究開発費を すべてハイエンド製品に割り振り、 一芸ある製品を
  31. 31. 高度な知財は公開から遠のくか? 「コロンブスの卵」的な知財(見たらマネができるやつ) 知財で儲けるビジネスに向かない(開発した企業がHuaweiとかでも同じ) 「早く製品化、売り切る」以外のビジネスがしづらい IDHという形での知財分業 大手のスマートホンメーカーもIDHに設計委託をしている 大手=モダン(Sony等と同じ) とは言いがたい 知財+実現手段+用途 知財+専用の工場などが必要で、かつ外販しても すぐ利益に繋がらないもの=知財として保持 なのでは 図版出所:高口康太 https://gemba-pi.jp/post-179927
  32. 32. イノベーション加速都市・深圳 伊藤亜聖 東京大学准教授 2012年頃まではFuaweiとZTEで中国全体の30%強を占め、いまも世界のトップ1争いをしている。 ところが、2013年以降は他の企業も伸び始め、2社の割合は20%前後に落ちて、中国全体の特許数が急 増している 中国におけるイノベーションの持続可能性 梶谷懐 神戸大学教授
  33. 33. イノベーション加速都市・深圳 伊藤亜聖 東京大学准教授 一方で、「特許を取る会社と取らない会社」は依然として存在 している 仮説:欧米マーケットの会社は、クロスライセンスの必要があっ て特許を取っているのでは?
  34. 34. 考察 生産手段(工場)へのアクセスができている中国では 独自のオープンソース形態が発達している 大企業小企業はあまり関係ない (が、大企業だけが生産手段を所持している知財は オープン化される意味がない) 西洋が市場の会社は西洋流に合わせて海外に出て行っている つまり、「ソロバンに合うかどうか」で知財保護の形が決 まっている
  35. 35. バニーが考え続けていること
  36. 36. Andrew ‘bunnie’Huang ハードウェアハッカー 最初期のハードウェアスタートアップ IoT端末chumby 2005-2012年 マイクロソフトから出版差し止めを 求められた Hacking the Xbox 2003年 福島の放射線取得IoT Safecast 2011年 ハードウェアスタートアップアクセラ レータ HAXのメンター 2015年~2013年1月19日、東京でのMITイベントにて
  37. 37. 彼のプロジェクトFernvale $12携帯電話を「完全に」リバースエンジニアリングして、 西洋のオープンソースのツールだけでつくりなおす
  38. 38. 完成したオープンソース携帯電話
  39. 39. プロジェクトの終焉
  40. 40. オープンとクローズドの差はどこか ら来たか 1950年代の アメリカ家電は、 設計図が 添付されていた
  41. 41. Apple IIは設計図が添付されていた。 Macbook Proに添付されている図は、 「背筋を伸ばしましょう」みたいな 使い方ガイドだけ
  42. 42. NeTV エンジニアにだって権利がある 合法的にテレビ放送にオーバーレイ
  43. 43. 今日の最後のメッセージ
  44. 44. 今日のテーマ(再掲) イノベーションを促進できる、イノベーターに報いる知財 管理の方法とは、なんだろう? 今の方法の問題点はなんだろう? 他にどんな方法があるのだろう? 正解はないけど、「知財も材料のひとつであり、ルールも 制約の一つであり、自分の頭で戦い方を考えられる」よう になるのが、今日のゴールです。
  45. 45. ハードウェアとソフトウェアを分けずに扱う

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