2012卒業研究_09N1085_高槻友哉_ラ・トゥーレット修道院の変容体である西宮トラピスチヌ修道院の分析から見る村野藤吾の設計手法
- 2. 様式
建築
何かある「原型」を「変容」させる事で建築を作り出す どこか「村野らしさ」を備えている
「変容」を分析する事が「村野らしさ」を読み解く事へつながる
建築の引用
- 3. 様々な要素を比較、考察
原型 変容体
ラ・トゥーレット修道院(ル・コルビュジエ) 西宮トラピスチヌ修道院
竣工年:1960年 竣工年:1969年
機能:修道院 機能:修道院
特徴:傾斜地に建つ 明らかに引用が行われている 特徴:傾斜地に建つ
中庭型のプラン 中庭型のプラン
中庭に回廊 中庭に回廊
研究目的、方法
- 4. 全体構成と規模
ラ・トゥーレット修道院 西宮トラピスチヌ修道院
外部環境:比較的開けている 外部環境:森にうまっている
形:きれいな「ロ」の字型 形:「ロ」の字から枝が生えている
外部との分断 自然とのつながり
建築比較、考察
- 6. 個室 ー ラ・トゥーレット
ラ・トゥーレット修道院 西宮トラピスチヌ修道院
廊下幅:2.26m 廊下天井高:2.26m
部屋 テラス
奥行き:5.92m 奥行き:1.4m
幅:2.26m 幅:2.26m
天井高:2.26m 天井高:2.26m
寸法→モデュロールを使用
人間寸法
建築比較、考察
- 7. 個室 ー トラピスチヌ
1.7m基準のモデュロール
西宮トラピスチヌ修道院
廊下幅:1.3m 開口:0.8m 0.8m
部屋 テラス
幅:1.7m 幅:1.7m
奥行き:3.4m 奥行き:0.8m
サッシ高さ:2.1m
人間と結びつく様な部屋
建築比較、考察
- 8. テラス
ラ・トゥーレット修道院 西宮トラピスチヌ修道院
枠
圧倒的な存在感 枠が風景を切り取る スケールを身近な 区切られないため
=分断がある ものにする装置 内外の連続
建築比較、考察
- 9. 地面との関係
ラ・トゥーレット修道院 西宮トラピスチヌ修道院
薄い壁柱、接地面の少なさ 壁柱の側面に蓋、べったりと接地している
浮遊感 地面から生えたような
地面と分断 地面と連続
建築比較、考察
- 10. 中庭に出現する要素
ラ・トゥーレット修道院 西宮トラピスチヌ修道院
数学的、音楽的要素、幾何学、回廊 木、回廊
丸柱は「建物周辺の樹木配置図」と同時に出現
人間的な性質を持つもの
「木≒丸柱」
人間>自然 人間≒自然
建築比較、考察
- 11. 中庭に出現する要素 ̶ 回廊
マッシブな手すり スリット 回廊へと植物が侵入する
人間≒自然
「十年、二十年たったときによい建築になるのだと思います」
植物に覆われた状態が完成形
建築比較、考察
- 13. 中庭のD/H 西宮トラピスチヌ修道院
ラ・トゥーレット修道院
D/H(長手)=2.5 D/H(短手)=1.5 D/H(長手)=4.0 D/H(短手)=3.0
『4.0以上:建物からの影響が少なくなる』
人間の世界を形成
外部を中庭に引き入れ均衡
建築比較、考察
- 15. 聖堂 ー トラピスチヌ
開口の種類
北面の祭壇周りの窓 祭壇のトップライト 上下2列に並ぶ連続する窓
建築比較、考察
- 16. 聖堂 ー トラピスチヌ 消失点を消す
優しく押さえ込む
大きさの違いが光の濃淡を生む
濃淡を作り出す 祭壇を包み込む
庇が光を抑える
人間を中心に光が区切れなくグラデーションのように広がる
緩い領域をつくる
光が発散する
建築比較、考察
- 17. 聖堂 ー 光の在り方
ラ・トゥーレット修道院 西宮トラピスチヌ修道院
「光」と「闇」の対立 明暗のグラデーション
光を対象化 双方とも人間を神聖な気分へと誘う 光と人間が同化
光>人間 影響の与え方が異なる 光≒人間
聖堂
- 18. 比較の結論
双方とも「人間のための自然」を作り出している
ラ・トゥーレット修道院 西宮トラピスチヌ修道院
人間>自然 元来は「自然>人間」 人間≒自然
明確に区切る 境界を消す
結論
- 19. 村野藤吾にとって「変容」する事
もの と もの との境界を消失
全ての事柄が区切れる事なくつながっていく
身体までも世界の一部となるような「心がかよう」建築を生み出す事ではないか
まとめ