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K449 サービス創造論課題レポート



  ①サービス事業/分野のモデリング表現につい
  て

  ②サービス価値推移の表現方法について




         2010/06/21

      S0950352 須田泰司
①サービス事業/分野のモデリング表現について
A 対象に選択したサービス分野
●本講義で学んだモデリング手法を用いて表現するサービスとして、時刻通
知・提供サービス分野を選択した。
B 時刻通知・提供サービス分野の特徴と事業の推
移●時間の確認は個人が所有する腕時計があるものの、テレビではニュース番組
 を中心に画面の片隅で何時、何分、(何秒)という情報提供が行われてきてい
 る。また、NTTも電電公社時代の1957年に開始した時報サービスを継続して提
 供している。
 ●1971年に世界的にセシウム原子の振動を基にした原子時への切り替えが行わ
 れ、時刻の精度が大きく高まった。日本の標準時刻は、現在の独立行政法人情
 報通信研究機構(NICT)が2004年からその決定・維持を行っている。
 ●この標準時刻は現在は電波時計や、NICTが2006年に開始したインターネット
 用時刻同期配信によって広く直接的に個人にもPC、携帯電話、電波時計等を経
 由して提供されるようになったが、それまでは、テレビ局、NTT(NTTは独自所
 有の水晶振動時計の微調整でNICTを利用)等の事業者向けに標準時刻情報提供
 サービスを行ってきたと言える。
 ※NTTトピックス(1998.12.15)、NICT日本標準時プロジェクト資料室を参考
 に作成
 http://jjy.nict.go.jp/QandA/reference/chrono_table.html
 ●このように時刻通知・提供サービスは、時刻という数字のみに利用者ニーズ
 があり、またそこにだけ提供する価値があると考えられてきた究極的なコモ 1
C 時刻通知・提供サービス分野における美人時計の位置づけ
  ●このように、誰もコモディティであることを当たり前のこととして受け
  入れてきた、数字の羅列としての時刻表示への、イノベーション的な取り
  組みに「美人時計」がある。(URL http://www.bijint.com/jp )
  ●株式会社美人時計が提供する美人時計は、時刻(時間、分)を示した
  ボードを持つ女性及び仕草が1分ごとに自動更新されるビジュアル
  型の時刻表示・通知サービスである。
  ●美人時計は2009年1月1日にサービスを開始し、同年12月
  には月間2.4億円PVに到達している。
  ●単独でのサービス提供(有料、無料)に加え、事業者との
  コラボレーション(NECビッグローブ、アツギ、芸能事務所)
  による提供も行っている。
  ● これは「バナナがバナナじゃなくなるとき(D.ラサール、
  T.ブリトン著。小高尚子訳)」に共通する、ありふれた物=
  コモディティでも一捻りを加えることで利用者価値を高める
  ことが可能であることの優れた事例とみることができる。
D 時刻通知・提供サービス分野のこれから
 ●美人時計は、グラビアと時刻表示のハイブリッドといえる
 ものだが、今後は時刻情報と地域情報、個人情報等との組み合わせによ
 る、
 I.K.(今だけ、ここだけ)情報サービスが美人時計にとどまらず、様々な
 事業者によって提供されるようになると予想する。                         2
 ●以上について、講義で用いた図表形式に整理したものを次ページより示
サービスの事業とサービス価値の推移(key要素のみ記
                    述)
時間軸          従来          初期(あれば)            現在         今後(可能なら)
背景と事業                   S1 2000年頃                       S3 2011年頃~
        S0: 1970年頃~                     S2 2009年頃~
サービス価                        ~                         I.K(今だけココだ
        正確性(高精度)                           グラビア
  値                        自動調整                             け)
事業環境    水晶・原子時計     電波時計(NICT)   情報家電               ボーダーレス
関連事業者   電電公社(NTT)   腕時計メーカー      ウェブコンテンツプロバイダー ウェブコンテンツプロバイダー
        原子時計。TV画面時刻 電波時計。通信、同期。マッシュアップ              Web3.0(AR等)、3D、
中核技術    表示。時刻通知。                 FWC:Fixed-Wireless 放送・通信メディア融
                                 Convergence)       合
サービス    ユニバーサルサービス コモディティ化戦略     コモディティの差別          超ハイブリッド戦略
        戦略          (腕)時計製品の差別 化戦略
事業戦略
                    化戦略
        パブリックスペース   プライベートスペース 時間の正確性がコモディティ        パブリック+プライ
サービスの   ・TVのある所(お茶の
           時間表示がコモディティ化                   化         ベートスペース
利用の場    間)
        ・置き時計のある所
        ・正確な時間を知りた     ・正確な時間を常時持      ・(デジタルコンテ      ・時間×エリア×利用者
        い(所有、参照してい     ちたい             ンツの)時間表示を      限定の“お得な”情報を
サービスの
        る時計では遅れ/進み     ・腕時計ブランドス       アレンジして楽しみ      入手したい
 ニーズ
        が大きい)          トーリーへの共感・所      たい
                       有
サービス共
             提供              適合             共創            共創+自律
創の程度
        ・電電公社時報サービ                     ・国際標準時刻のイ
                       ・機械式腕時計の復権                     ・時間(表示)活用型
サービスシステムの要素の推移(key要素のみ記述)
                                                             今後(可能な
   時間軸          従来       初期(あれば)            現在
                                                               ら)
             S0: 1970頃~ S1   2000年頃   S2   2009年頃
サービスモデル要素
            セシウム原子時計へ                                   S3     2011年頃~
                              ~              ~
   の推移       の切替え(1971
                  年)
サービス提供事業者
(プロバイダ/マネー
           NICT(総務省)、                 コンテンツプロバイ         コンテンツプロバイ
                        NICT(総務省)
           NTT                        ダー                ダー
   ジャ)
           (電電公社)NTT、NICT 時計メー                          ウェブが意識されな
 サービス提供者                       美人時計
           テレビ・ラジオ局  カー                                 い事業者?
           固定電話回線網、ア ナローバンドイン  ブロードバンドイン                FWC、通信・放送
 サービスインフラ
           ナログ放送波    ターネット網    ターネット網                   融合網
                     パソコン、携帯電話                          ユビキタス(イン
           時刻通知(音声、画           パソコン、携帯電話
コンテンツ・チャネル           ※手動同期                              ターネット接続可能
           面表示)                ※自動同期
                     電波時計                               なモニター)
                     プライベートスペース(腕、手、机、テーブ              パブリック+プライ
   利用の場    パブリックスペース
                     ル)                                 ベート
 サービス利用者    集団(家庭、職場、
                      個人              個人                個人+集団
  (ユーザ)     学校)
                       TV局、ラジオ局、
サービス利用事業者   電電公社(NTT)、                ISP事業者、携帯電話 企業、広告代理店、
                       ISP事業者、携帯電
 (クライアント)   TV局、ラジオ局                  キャリア        個人
                       話キャリア
                       利用者プロファイル      デジタルアート           履歴情報の二次活用
関連製品・ナレッジ   みやすい数字表記
                       (アナログ)         時間のInfomediary化   (マイニング)
                                      ・iPhoneアプリ発売
                                      ・googleガジェット
時刻通知分野のサービス価値推移の一般化

                    II軸
           サービス
          ニーズレベル

                          S2             S3
       V. 自己実現                                            価値共創
                                                         のフェイズ
       IV. 成長・尊厳
                                                            自 律
       III. 帰属・愛情                                    III軸 共  創
                           S1
       II. 安全・健康                          S0           適 合
       I 生存・衣食住                                   I軸  提 供
                          個人     家族   集団           組
                                                サービス利用の場
                     織          社会 インフラ
 時間軸        従来             初期: 2000年           現在             今後
サービス価値  S0:正確性    S1:自動調整     S2:グラビア    S3:I.K.
サービスの パブリックスペース       プライベートスペース      パブリック+プライベー
 利用の場                                      ト
 サービス 正確な時間を知りた 正確な時間を持ちたい 時間表示を楽しみたい 時間コンシャスなお得情
ニーズレベル     い                            報を入手したい

共創の程度       提供                  適合             共創           共創+自律

                                     5
サービス価値の推移
   II軸       サービス         I-II軸平面への写              II軸         III-II軸平面への写像
             ニーズレベ
               ル          像
V. 自己実現        S2                                                      S2

                                                                             S3
IV. 成長・尊厳    S2:メディアリッチ S3

III. 帰属・愛情                           S3:I.K
                    S1:自動調整
II. 安全・健康      S1                                                S1

                               S0                        S0
I 生存・衣食住
                     S0: 正確性                  I軸                              III軸
               個人    家族        集団    組織   社会            提 供     適 合    共 創 自 律
             インフラ                   サービス利用の場                          価値共創のフェイズ
     時間軸                  従来              初期                   現在            今後
   サービス価値           S0:    正確性       S1: 自動調整           S2: グラビア       S3: I.K
   サービスの            パブリックスペー       パーソナルスペース       パーソナル+パブリッ
   利用の場                ス                             クスペース
   サービスの            正確な時間を知り 正確な時間を持ちたい 時間表示を楽しみたい お得な情報を入手した
    ニーズ                たい                              い
サービス利用者参加程                提供              適合                   共創           共創+自律
    度
                                              6
②サービス価値創造推移の表現方法について(授業での手法への意見等)
 A 三軸表現について
 ●第二軸「サービスニーズ」で使用しているマズローの欲求分類は、わたし
 もヘルスケアサービスのニーズ分類で使用しているが、成熟した経済社会
 では各階層のニーズは段階的に移行するものではなく、また、高次に属す
 るニーズであっても対応するサービ
 スではコモディティ化
 が起こると考えるの
 で、各階層、特に上
 位階層ニーズ内での
 コモディティ化とそれへの対応が、講義で提示されたモデルからは把握が
 困難と考える。
 ●既に検討されたものと思われるが、総合顧客価値を構成する「製品価値」、
 「サービス価値」、「顧客価値」をそのまま3軸上で表現する方が価値表現
 モデルと価値推移モデル間で整合が保たれると共に、受け手によりわかり
 やすい表現形式となるものと考える。
 ●「付加価値を武器に市場シェアを伸ばすと、ライバル企業もすかさず模倣
 するか、さらに上を行くサービスを打ち出すだろう。このため、どの企業
 も刻々と新しい差別化要因を設け、いずれは価値の再創造を行わなくては
 ならなくなる。」(P176)と「サービスストラテジー」(ジェームズ・
 トゥボール 2007) で指摘しているように、上位ニーズにおいてもコモ
 ディティ化は起こると考えられるので、それに対応した価値の再創造の側     7
 面を取り込むことが望ましいと考える。
参考:K448 サービスイノベーション概論の課題で行った、サービス分類の
試み          サービスにおける経験の占める割合
             身体機能の代替・強                       こころの満足・経験
             化
        ・デリバリーサービス                              ・ホテル・旅館・レ
        ・移動(公共交通機関・タクシー)            ストラン
        ・ヘルスケア(急性疾患)                            ・テーマパーク
    単
    発   ・外食(FF、FR、町の料理店)                        ・劇場(演劇・映
    ・   ・レンタルサービス                   画・音楽)
    短   ・引越サービス                                 ・スポーツクラブ
    期   ・家事代行サービス      Convenient    Reset      ・移動(観光バス・
                                    ハイヤー)
サ
ー                                                ・ウォータービジ
           ・ビジネス代行     ・人材派遣        ネス
ビ          サービス        サービス
ス                                                ・理美容・エステ
と                                   系サービス
                                     Feel
                          Comfort
の   反                                Gorgeous    ・冠婚葬祭サービ
接   復                               ス
触   ・
    長
時   期 ・ヘルスケア(慢性疾患) ・予防型健康管理サービス ・宗教
間     ・リース                      ・メンタルカウン
      ・行政サービス             セリング
      ・公共サービス(電気・水道・ガス)         ・教育サービス
    ●サービス分類を試みた上図も個々のサービス内
      ・警備保障サービス                 ・資産運用サービ
    で更にサービス価値のポジショニングを通じた ス
    差別化が行われると考えられる。             ・保険(生命・損
                          害)
                                ・老人ホーム
    ●“IBM Heallthcare 2015 :win-win or lose-lose?”
    (2006年)もマズローモデルを適用したヘルス
    ケアサービス分類を行っている。
                                                            8
B 価値共創段階について-1
●総合顧客価値を構成する三要素のうち、顧客価値は最も曖昧である一方
で、総合顧客価値=顧客受取り価値=顧客認識価値に最も影響力が強い。

                     顧客付加価値   総合
                 サービス価値       顧客
              製品価値            価値

            提供   適応   共創
             自律
●この点は、「サービスストラテジー」(ジェームズ・トゥボール
 2007)において、
「サービスの品質は顧客の胸三寸で決まる。顧客にとっては、自分がどう
受け止
めたかが、そのサービスの質なのである。」
「自分が気づかないもの、理解できないものは、価値がなく、対価を支払
う気にな
れない。価値の大きさは、顧客が認識した便益と払った犠牲(金銭、時
間、労力
など)との比率に応じて決まる。」(p143)
また、Vargoが「企業が提案した『価値』を『規定』するのは『顧客』」
と指摘してい
                                      9
る通りである。
B 価値共創段階について-2
   ●価値の段階的推移を製品、サービスの普及プロセスの面からみると、各階
   層間に存在すると考えられる普及の壁/キャズムを乗り越える鍵がサービ
   ス価値と考えることができるが、①同一のサービス価値が広く受け入れら
   れるようになるのか、②推移したサービス価値が受け入れられるようにな
   るのか、には議論の余地が大きいいと考えられる。
   ●また、サービス価値の推移は異なるターゲット別のサービス価値提案の手
   法と捉えることもできよう。この場合は、産総研のサービス工学最適設計
   ループ-観測・分析・設計・適用-や、「サービスストラテジー」にある
   価値創造サイクルを利用した新たなサービス価値の創造が効果的と考えら
   れる。
            サービスA サービスB サービスC 観 分
           イノベーター               (新)サービ
    壁/キャズム
         アーリーアダプター               ス     適   設
  壁/キャズム                        価値
         アーリーマジョリ    Q    サービス価値推移を伴
             ティ          う?
壁/キャズム
         レイトマジョリティ
            ラガード

                                               10
B 価値共創段階について-3
 ●「サービスストラテジー」で、サービスの品質をめぐるギャップとして、
 「設計ギャップ」、「提供ギャップ」、「評価ギャップ」の存在を指摘し
 ているように、提供価値と顧客の受け取り価値間のギャップへの対応・コ
 ントロール・管理が重要であり、このサービス価値ギャップへの一連の対
 応プロセスの結果をサービス価値推移として表すことが可能と考える。
価値ギャップをベースとしたサービス価値推移の概念モデル

提供価値                                  増共 コ   新
                             + サプライ   幅振 モ
                                       化     価
                          価値             デ   値
                                ズ
                         ギャッ - がっかり      ィ   開
認識価値                       プ          低共 テ   発
                                      下振 ィ
          真 実 の 瞬 間


 価値共振
 【前提】       試用    調整・同     定着     惰性     新価値
                   期
顧客が提供価値                                 次の試用へ
コンセプトに共
   鳴
B 価値共創段階について-4
●最後に、価値共創モデルは、積極的に価値創造プロセスに“全ての”顧客が
関与することを前提としているように受け取れる。これは理論経済学が前
提とする完全合理性モデルに通底する。このモデルでは、顧客価値はゆら
ぎ、曖昧性のないものとして的確に説明することが可能となると考えられ
るが、現実にはトゥボール、Vargoが指摘するように価値は顧客次第であ
る。
●確かに新サービスをイノベーター層が受け入れる場合に限ってみれば、彼
らは積極的に価値創造プロセスに関与すると考えられるが、サイレントマ
ジョリティと称されるマジョリティグループがイノベーター層と同様の積
極性を身につけ、発揮するかには疑問がある。サービス価値推移の面から
は、イノベーター層受容後のグループとの価値ギャップの認識・対応に注
●2007年発刊の「サービス・ストラテジー」では、「外科手術を海外に移
力することが求められる。
転するなどというのは、およそ荒唐無稽な話だろう。」と記してあるが、
メディカルツーリズムと言われる動きと連動して、診断行為と手術行為の
分離は、高速移動手段の発達や、ICT技術・ロボット技術の発達による、遠
隔操作による外科手術という形で外科手術サービスの海外移転も不可能で
はなくなってきている。このように、技術、社会経済環境の変化を反映す
るサービスのダイナミズムをしっかりと認識した上でサービス価値の創造
に取り組んでいく姿勢が求められているといえよう。
                                -以上
                                  12

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  • 1. K449 サービス創造論課題レポート ①サービス事業/分野のモデリング表現につい て ②サービス価値推移の表現方法について 2010/06/21 S0950352 須田泰司
  • 2. ①サービス事業/分野のモデリング表現について A 対象に選択したサービス分野 ●本講義で学んだモデリング手法を用いて表現するサービスとして、時刻通 知・提供サービス分野を選択した。 B 時刻通知・提供サービス分野の特徴と事業の推 移●時間の確認は個人が所有する腕時計があるものの、テレビではニュース番組 を中心に画面の片隅で何時、何分、(何秒)という情報提供が行われてきてい る。また、NTTも電電公社時代の1957年に開始した時報サービスを継続して提 供している。 ●1971年に世界的にセシウム原子の振動を基にした原子時への切り替えが行わ れ、時刻の精度が大きく高まった。日本の標準時刻は、現在の独立行政法人情 報通信研究機構(NICT)が2004年からその決定・維持を行っている。 ●この標準時刻は現在は電波時計や、NICTが2006年に開始したインターネット 用時刻同期配信によって広く直接的に個人にもPC、携帯電話、電波時計等を経 由して提供されるようになったが、それまでは、テレビ局、NTT(NTTは独自所 有の水晶振動時計の微調整でNICTを利用)等の事業者向けに標準時刻情報提供 サービスを行ってきたと言える。 ※NTTトピックス(1998.12.15)、NICT日本標準時プロジェクト資料室を参考 に作成 http://jjy.nict.go.jp/QandA/reference/chrono_table.html ●このように時刻通知・提供サービスは、時刻という数字のみに利用者ニーズ があり、またそこにだけ提供する価値があると考えられてきた究極的なコモ 1
  • 3. C 時刻通知・提供サービス分野における美人時計の位置づけ ●このように、誰もコモディティであることを当たり前のこととして受け 入れてきた、数字の羅列としての時刻表示への、イノベーション的な取り 組みに「美人時計」がある。(URL http://www.bijint.com/jp ) ●株式会社美人時計が提供する美人時計は、時刻(時間、分)を示した ボードを持つ女性及び仕草が1分ごとに自動更新されるビジュアル 型の時刻表示・通知サービスである。 ●美人時計は2009年1月1日にサービスを開始し、同年12月 には月間2.4億円PVに到達している。 ●単独でのサービス提供(有料、無料)に加え、事業者との コラボレーション(NECビッグローブ、アツギ、芸能事務所) による提供も行っている。 ● これは「バナナがバナナじゃなくなるとき(D.ラサール、 T.ブリトン著。小高尚子訳)」に共通する、ありふれた物= コモディティでも一捻りを加えることで利用者価値を高める ことが可能であることの優れた事例とみることができる。 D 時刻通知・提供サービス分野のこれから ●美人時計は、グラビアと時刻表示のハイブリッドといえる ものだが、今後は時刻情報と地域情報、個人情報等との組み合わせによ る、 I.K.(今だけ、ここだけ)情報サービスが美人時計にとどまらず、様々な 事業者によって提供されるようになると予想する。 2 ●以上について、講義で用いた図表形式に整理したものを次ページより示
  • 4. サービスの事業とサービス価値の推移(key要素のみ記 述) 時間軸 従来 初期(あれば) 現在 今後(可能なら) 背景と事業 S1 2000年頃 S3 2011年頃~ S0: 1970年頃~ S2 2009年頃~ サービス価 ~ I.K(今だけココだ 正確性(高精度) グラビア 値 自動調整 け) 事業環境 水晶・原子時計 電波時計(NICT) 情報家電 ボーダーレス 関連事業者 電電公社(NTT) 腕時計メーカー ウェブコンテンツプロバイダー ウェブコンテンツプロバイダー 原子時計。TV画面時刻 電波時計。通信、同期。マッシュアップ Web3.0(AR等)、3D、 中核技術 表示。時刻通知。 FWC:Fixed-Wireless 放送・通信メディア融 Convergence) 合 サービス ユニバーサルサービス コモディティ化戦略 コモディティの差別 超ハイブリッド戦略 戦略 (腕)時計製品の差別 化戦略 事業戦略 化戦略 パブリックスペース プライベートスペース 時間の正確性がコモディティ パブリック+プライ サービスの ・TVのある所(お茶の 時間表示がコモディティ化 化 ベートスペース 利用の場 間) ・置き時計のある所 ・正確な時間を知りた ・正確な時間を常時持 ・(デジタルコンテ ・時間×エリア×利用者 い(所有、参照してい ちたい ンツの)時間表示を 限定の“お得な”情報を サービスの る時計では遅れ/進み ・腕時計ブランドス アレンジして楽しみ 入手したい ニーズ が大きい) トーリーへの共感・所 たい 有 サービス共 提供 適合 共創 共創+自律 創の程度 ・電電公社時報サービ ・国際標準時刻のイ ・機械式腕時計の復権 ・時間(表示)活用型
  • 5. サービスシステムの要素の推移(key要素のみ記述) 今後(可能な 時間軸 従来 初期(あれば) 現在 ら) S0: 1970頃~ S1 2000年頃 S2 2009年頃 サービスモデル要素 セシウム原子時計へ S3 2011年頃~ ~ ~ の推移 の切替え(1971 年) サービス提供事業者 (プロバイダ/マネー NICT(総務省)、 コンテンツプロバイ コンテンツプロバイ NICT(総務省) NTT ダー ダー ジャ) (電電公社)NTT、NICT 時計メー ウェブが意識されな サービス提供者 美人時計 テレビ・ラジオ局 カー い事業者? 固定電話回線網、ア ナローバンドイン ブロードバンドイン FWC、通信・放送 サービスインフラ ナログ放送波 ターネット網 ターネット網 融合網 パソコン、携帯電話 ユビキタス(イン 時刻通知(音声、画 パソコン、携帯電話 コンテンツ・チャネル ※手動同期 ターネット接続可能 面表示) ※自動同期 電波時計 なモニター) プライベートスペース(腕、手、机、テーブ パブリック+プライ 利用の場 パブリックスペース ル) ベート サービス利用者 集団(家庭、職場、 個人 個人 個人+集団 (ユーザ) 学校) TV局、ラジオ局、 サービス利用事業者 電電公社(NTT)、 ISP事業者、携帯電話 企業、広告代理店、 ISP事業者、携帯電 (クライアント) TV局、ラジオ局 キャリア 個人 話キャリア 利用者プロファイル デジタルアート 履歴情報の二次活用 関連製品・ナレッジ みやすい数字表記 (アナログ) 時間のInfomediary化 (マイニング) ・iPhoneアプリ発売 ・googleガジェット
  • 6. 時刻通知分野のサービス価値推移の一般化 II軸 サービス ニーズレベル S2 S3 V. 自己実現 価値共創 のフェイズ IV. 成長・尊厳 自 律 III. 帰属・愛情 III軸 共 創 S1 II. 安全・健康 S0 適 合 I 生存・衣食住 I軸 提 供 個人 家族 集団 組 サービス利用の場 織 社会 インフラ 時間軸 従来 初期: 2000年 現在 今後 サービス価値 S0:正確性 S1:自動調整 S2:グラビア S3:I.K. サービスの パブリックスペース プライベートスペース パブリック+プライベー 利用の場 ト サービス 正確な時間を知りた 正確な時間を持ちたい 時間表示を楽しみたい 時間コンシャスなお得情 ニーズレベル い 報を入手したい 共創の程度 提供 適合 共創 共創+自律 5
  • 7. サービス価値の推移 II軸 サービス I-II軸平面への写 II軸 III-II軸平面への写像 ニーズレベ ル 像 V. 自己実現 S2 S2 S3 IV. 成長・尊厳 S2:メディアリッチ S3 III. 帰属・愛情 S3:I.K S1:自動調整 II. 安全・健康 S1 S1 S0 S0 I 生存・衣食住 S0: 正確性 I軸 III軸 個人 家族 集団 組織 社会 提 供 適 合 共 創 自 律 インフラ サービス利用の場 価値共創のフェイズ 時間軸 従来 初期 現在 今後 サービス価値 S0: 正確性 S1: 自動調整 S2: グラビア S3: I.K サービスの パブリックスペー パーソナルスペース パーソナル+パブリッ 利用の場 ス クスペース サービスの 正確な時間を知り 正確な時間を持ちたい 時間表示を楽しみたい お得な情報を入手した ニーズ たい い サービス利用者参加程 提供 適合 共創 共創+自律 度 6
  • 8. ②サービス価値創造推移の表現方法について(授業での手法への意見等) A 三軸表現について ●第二軸「サービスニーズ」で使用しているマズローの欲求分類は、わたし もヘルスケアサービスのニーズ分類で使用しているが、成熟した経済社会 では各階層のニーズは段階的に移行するものではなく、また、高次に属す るニーズであっても対応するサービ スではコモディティ化 が起こると考えるの で、各階層、特に上 位階層ニーズ内での コモディティ化とそれへの対応が、講義で提示されたモデルからは把握が 困難と考える。 ●既に検討されたものと思われるが、総合顧客価値を構成する「製品価値」、 「サービス価値」、「顧客価値」をそのまま3軸上で表現する方が価値表現 モデルと価値推移モデル間で整合が保たれると共に、受け手によりわかり やすい表現形式となるものと考える。 ●「付加価値を武器に市場シェアを伸ばすと、ライバル企業もすかさず模倣 するか、さらに上を行くサービスを打ち出すだろう。このため、どの企業 も刻々と新しい差別化要因を設け、いずれは価値の再創造を行わなくては ならなくなる。」(P176)と「サービスストラテジー」(ジェームズ・ トゥボール 2007) で指摘しているように、上位ニーズにおいてもコモ ディティ化は起こると考えられるので、それに対応した価値の再創造の側 7 面を取り込むことが望ましいと考える。
  • 9. 参考:K448 サービスイノベーション概論の課題で行った、サービス分類の 試み サービスにおける経験の占める割合 身体機能の代替・強 こころの満足・経験 化 ・デリバリーサービス ・ホテル・旅館・レ ・移動(公共交通機関・タクシー) ストラン ・ヘルスケア(急性疾患) ・テーマパーク 単 発 ・外食(FF、FR、町の料理店) ・劇場(演劇・映 ・ ・レンタルサービス 画・音楽) 短 ・引越サービス ・スポーツクラブ 期 ・家事代行サービス Convenient Reset ・移動(観光バス・ ハイヤー) サ ー ・ウォータービジ ・ビジネス代行 ・人材派遣 ネス ビ サービス サービス ス ・理美容・エステ と 系サービス Feel Comfort の 反 Gorgeous ・冠婚葬祭サービ 接 復 ス 触 ・ 長 時 期 ・ヘルスケア(慢性疾患) ・予防型健康管理サービス ・宗教 間 ・リース ・メンタルカウン ・行政サービス セリング ・公共サービス(電気・水道・ガス) ・教育サービス ●サービス分類を試みた上図も個々のサービス内 ・警備保障サービス ・資産運用サービ で更にサービス価値のポジショニングを通じた ス 差別化が行われると考えられる。 ・保険(生命・損 害) ・老人ホーム ●“IBM Heallthcare 2015 :win-win or lose-lose?” (2006年)もマズローモデルを適用したヘルス ケアサービス分類を行っている。 8
  • 10. B 価値共創段階について-1 ●総合顧客価値を構成する三要素のうち、顧客価値は最も曖昧である一方 で、総合顧客価値=顧客受取り価値=顧客認識価値に最も影響力が強い。 顧客付加価値 総合 サービス価値 顧客 製品価値 価値 提供 適応 共創 自律 ●この点は、「サービスストラテジー」(ジェームズ・トゥボール 2007)において、 「サービスの品質は顧客の胸三寸で決まる。顧客にとっては、自分がどう 受け止 めたかが、そのサービスの質なのである。」 「自分が気づかないもの、理解できないものは、価値がなく、対価を支払 う気にな れない。価値の大きさは、顧客が認識した便益と払った犠牲(金銭、時 間、労力 など)との比率に応じて決まる。」(p143) また、Vargoが「企業が提案した『価値』を『規定』するのは『顧客』」 と指摘してい 9 る通りである。
  • 11. B 価値共創段階について-2 ●価値の段階的推移を製品、サービスの普及プロセスの面からみると、各階 層間に存在すると考えられる普及の壁/キャズムを乗り越える鍵がサービ ス価値と考えることができるが、①同一のサービス価値が広く受け入れら れるようになるのか、②推移したサービス価値が受け入れられるようにな るのか、には議論の余地が大きいいと考えられる。 ●また、サービス価値の推移は異なるターゲット別のサービス価値提案の手 法と捉えることもできよう。この場合は、産総研のサービス工学最適設計 ループ-観測・分析・設計・適用-や、「サービスストラテジー」にある 価値創造サイクルを利用した新たなサービス価値の創造が効果的と考えら れる。 サービスA サービスB サービスC 観 分 イノベーター (新)サービ 壁/キャズム アーリーアダプター ス 適 設 壁/キャズム 価値 アーリーマジョリ Q サービス価値推移を伴 ティ う? 壁/キャズム レイトマジョリティ ラガード 10
  • 12. B 価値共創段階について-3 ●「サービスストラテジー」で、サービスの品質をめぐるギャップとして、 「設計ギャップ」、「提供ギャップ」、「評価ギャップ」の存在を指摘し ているように、提供価値と顧客の受け取り価値間のギャップへの対応・コ ントロール・管理が重要であり、このサービス価値ギャップへの一連の対 応プロセスの結果をサービス価値推移として表すことが可能と考える。 価値ギャップをベースとしたサービス価値推移の概念モデル 提供価値 増共 コ 新 + サプライ 幅振 モ 化 価 価値 デ 値 ズ ギャッ - がっかり ィ 開 認識価値 プ 低共 テ 発 下振 ィ 真 実 の 瞬 間 価値共振 【前提】 試用 調整・同 定着 惰性 新価値 期 顧客が提供価値 次の試用へ コンセプトに共 鳴
  • 13. B 価値共創段階について-4 ●最後に、価値共創モデルは、積極的に価値創造プロセスに“全ての”顧客が 関与することを前提としているように受け取れる。これは理論経済学が前 提とする完全合理性モデルに通底する。このモデルでは、顧客価値はゆら ぎ、曖昧性のないものとして的確に説明することが可能となると考えられ るが、現実にはトゥボール、Vargoが指摘するように価値は顧客次第であ る。 ●確かに新サービスをイノベーター層が受け入れる場合に限ってみれば、彼 らは積極的に価値創造プロセスに関与すると考えられるが、サイレントマ ジョリティと称されるマジョリティグループがイノベーター層と同様の積 極性を身につけ、発揮するかには疑問がある。サービス価値推移の面から は、イノベーター層受容後のグループとの価値ギャップの認識・対応に注 ●2007年発刊の「サービス・ストラテジー」では、「外科手術を海外に移 力することが求められる。 転するなどというのは、およそ荒唐無稽な話だろう。」と記してあるが、 メディカルツーリズムと言われる動きと連動して、診断行為と手術行為の 分離は、高速移動手段の発達や、ICT技術・ロボット技術の発達による、遠 隔操作による外科手術という形で外科手術サービスの海外移転も不可能で はなくなってきている。このように、技術、社会経済環境の変化を反映す るサービスのダイナミズムをしっかりと認識した上でサービス価値の創造 に取り組んでいく姿勢が求められているといえよう。 -以上 12