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請願書

熊本県知事 蒲島郁夫様
---------------------------------------------------------------------------------
              放射性物質を帯びた廃棄物を熊本県で処理しないでください。
---------------------------------------------------------------------------------
                                   【請願理由】

  東日本大震災では、未曽有の天災により多数の災害廃棄物が発生し、環境省は全国の自治体に処理を打診
しました。熊本県でも「被災地の復興を支援するため、災害廃棄物(がれき)を広域で処理できる体制を整えたい」
という国の趣旨に賛同し、人道的な立場から、熊本県内 7 つの市、町、及び組合(熊本市・山都町・大牟田荒尾
清掃施設組合・天草市・天草広域連合・水俣芦北広域行政事務組合・阿蘇広域行政事務組合)が合計約 62,000
トンのがれきの受け入れが可能との回答をなさいました。
 しかしながら、その後福島第一原発事故により、東北・関東地方の広い範囲が放射能汚染に見舞われ、廃棄物
にも放射性物質が付着していることが分かってきました(※1)。しかし、事故後、廃棄物の処分・埋立に関する放
射能のレベルが徐〄に引き上げられ、震災のがれき処理にかかる費用も、各自治体には事実上負担がかからな
くなる(※2)など、現在日本では、震災直後に被災地の災害廃棄物の受け入れ可能の回答をした熊本県のような
自治体が、積極的に廃棄物を受け入れ、合法的に放射性物質を含むがれきを焼却し、その灰を埋め立てること
ができるという社会的仕組みが粛〄と整えられてきています。

<クリアランスレベルについて>
原子炉等規制法では,10 マイクロシーベルト/年(目安としてセシウム134 と137 の合計で100 ベクレル/kg 程
度)を、放射性物質として扱う必要性の基準(クリアランスレベル)として定めています(※3)。従来この基準を超え
る廃棄物は、放射線障害を防止するためドラム缶封入・コンクリートピットへの埋設など、厳格な管理が義務づけ
られてきました。しかし、環境省が「クリアランスレベルを時間当たりに換算すると0.001 マイクロシーベルト/時とな
り、自然放射線よりも低いレベルであるため、今回の災害廃棄物に当てはめることは適当ではない」との方針を示
したため(※4)、福島県外の災害廃棄物は、汚染のおそれがあるにもかかわらず、放射線量の測定なしに通常処
分されつつあります。瓦礫を受け入れた場合、埋め立て処分する場合は半永久的にその場に存在することとなり
ます。また、焼却処分する場合には、処理に何年もかかります。焼却灰に放射性物質が濃縮された場合には、そ
の管理には数十~数百年かかります。処理場及び周辺地域への影響も同様に長期間続くことが予想されるため、
緊急時にのみ当てはめるべき暫定基準値ではなく、平常時の基準を当てはめるべきです。

<焼却における問題点>
環境省は、焼却前の廃棄物について、放射性物質の基準を定めていません。「排ガス処理装置としてバグフィル
ター及び排ガス吸着能力を有している施設では焼却可能である」とし(※5)、焼却を前提として処理方針の検討
を進めています。また、「10年間の焼却に伴うダストが周辺土壌に全て沈着すると仮定すると、単位廃棄物中濃度
あたりの子どもの被ばく量は、0.00048m sv/y per Bq/g」(※6)とし、放射性物質は灰に凝縮されるとして、排ガス
の安全性を主張しています。しかし、東京都の汚泥焼却施設近傍では、その施設がバグフィルターと排ガス吸着
の設備を備えているにもかかわらず、空気中にセシウムを含むダストが舞上がる「二次汚染」の可能性が報告され
ました(※7)。既存の焼却炉は、放射性物質に汚染された廃棄物を燃やすことを前提につくられていないため、
排ガス処理装置を含む焼却炉そのものが汚染され、メンテナンスに困難が生じることも予想されます。熊本県内
の焼却炉はバグフィルター及び排ガス吸着能力を有していますが、多角的に考えて、放射性物質の焼却は一般
焼却炉ではなく、放射性物質を捕捉する機能を十分に備えた専用の施設で処理するべきです。

<埋立における問題点>
事故以前は、一般最終処分場に埋め立てできる焼却灰は放射性セシウムが「100ベクレル/kg未満」と定められて
いました。しかし環境省は、福島第一原発事故を受けて、6 月23 日に、放射性セシウムが8,000ベクレル/kg ま
でならば埋立可能という基準を示しました(※5)。さらに8 月26日には、放射性セシウムが8,000~10 万ベクレル
/kg 以下の焼却灰についても、水汚染対策と長期管理を条件に埋立処分を認めることが発表されました(※8)。
既存の管理型最終処分場では、有害な汚水が環境にしみ出さないよう底面や側面に遮水シートなどが敷設され
ているにも関わらず、破損による汚水漏れ事故が全国各地で頻発しています(※9)。また、もし熊本県で焼却処
理した灰から8,000~10 万ベクレル/kg の放射性セシウムが検出されたら、覆い(屋根等)や外周遮断設備(コン
クリートピット)をもつ処分場を設け、数十~数百年にわたり管理していく必要が生じ、予算・人員・設備体制すべ
ての面で大きな負担となると思われます。


                                                    STOP!放射能の会~九州・熊本~
※1 8月10日 産経新聞 「(岩手県)陸前高田市の仮置き場に置いてある繊維から、1,480ベクレルの放射性セシウムが検出された。
   同じ場所のプラスチックから510ベクレル、わらからも177ベクレルが検出された。宮古市の木くずからは135ベクレル、野田村で
   はちりから33ベクレルが検出された」
※2 8月12日 がれき処理特別措置法 成立
※3 原子炉等規制法のクリアランスレベル10μSv/年を満たす放射能量の目安として、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規
   制に関する法律第61 条の2 第4 項に規定する製錬事業者等における工場等において用いた資材その他の物に含まれる放
   射性物質の放射能濃度についての確認等に関する規則」に記載されている数値により、「セシウム134 と137 の合計で100 ベ
   クレル/kg 程度」という基準が導出される。
※4 環境省「福島県内の災害廃棄物の当面の取扱い」平成23 年5 月2 日
※5 環境省「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」平成23 年6 月23 日
※6 関係都県廃棄物行政主管部(局)宛の事務連絡(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部)平成23年6月28日
※7 山内知也(神戸大学大学院教授)「放射能汚染レベル調査結果報告書 東京都江東区における放射能汚染レベルと東部スラ
   ッジプラントが抱えている問題」
※8 8月26日 放射性物質環境汚染 対処特別措置法成立、 8月27日 環境省が新たな埋立基準値を発表
※9 東京都八王子市戸吹処分場(1985年)、東京都西多摩郡日の出町谷戸沢処分場(1992年)、千葉県八千代市一般廃棄物処
   分場(1994年)、神奈川県横浜市神明台処分場(1994年)、愛知県津島市新開処分場(1996年~)、福岡県久留米市杉谷最終
   処分場(2006年)、熊本県阿蘇市黒川 阿蘇広域行政事務組合一般廃棄物処分場(2009年)、島根県東出雲町 姫津クリーン
   センター(2008年)、滋賀県甲賀市 クリーンセンター滋賀(2010年)、山梨県北杜市明野町 山梨県環境整備センター(2011年)
   等が報告されている。

熊本県は、全国でも指折りの第一次産業を誇る県です。放射能に汚染されていない美しい環境を守り、避難や
移住の受け入れ先となることや安全な農作物・畜産物・水産物を被災地の方〄に供給することが、復興支援とし
て熊本県がなすべきことと考えます。周辺に住む私たち(特に子どもたち)、ごみ処理施設で作業する方〄、災害
廃棄物を運搬する方〄、そして熊本県に避難・移住された被災者の方〄が安心して暮らせるように、以下の 10 点
を請願いたします。

                             【請願内容】

① 国及び被災地自治体から災害廃棄物の受け入れ要請があった場合には、ホームページ・広報・新聞などで
  これを広く県民に告知すること。
② 先にあげた県内 7 つの市、町、組合について、廃棄物処理施設周辺の住民のみならず、該当の市・町・組合
  内の「全住民」を対象とする説明会を実施するよう、強く助言すること。
③ 各自治体の住民の総意が得られないまま、災害廃棄物の受け入れ、焼却・埋立処理を行わないこと。
④ 放射能汚染された廃棄物については、最低でもクリアランスレベルに準じた基準(めやすとしてセシウム 134 と
  137 の合計で 100 ベクレル/kg 程度)を早急に作ること。さらに、それに準じた適切な処理をするよう、熊本県
  から国に働きかけること。また、熊本県内の各自治体に助言及び指導を行うこと。
⑤ 被災地の災害廃棄物の受け入れにあたっては、受け入れるすべてのものをすべての核種において詳細に調
  査し、④の基準に満たしたものだけを受け入れること。調査結果は県民に公表し、各自治体では調査結果を
  ②の説明会の資料とすること。
⑥ 被災地の災害廃棄物だけでなく、汚染が報告された地域から廃棄物(がれき・灰など)を受け入れる際には、
  同様に放射能汚染されていないことを確認し、結果を公表し、県民の合意を得ること。
⑦ 県の廃棄物処理関連部署に放射能測定機器を十分な数、導入すること。また、県内の各廃棄物処理関連施
  設及び部署にも十分な数の放射能測定機器を導入するよう働きかけを徹底すること。
⑧ 放射能測定器導入後は、県民の生活に即した正しい測定結果の得られる設置場所や測定方法について、
  県独自で、また各自治体と共に熟考し、放射能汚染の現状確認を定期的・継続的に行うこと。具体的には、
  放射線量が高くなりがちな仮置き場における災害廃棄物の汚染状況の確認、焼却施設内の複数の箇所で
  主灰・飛灰・排ガス・排水などの放射能の濃度測定、最終処分場における敷地境界での空間線量率や放流
  水の測定を、定期的・継続的に行うこと。そして、その結果は、該当の自治体の住民はもちろん、県の責任に
  於いて、県民に広く知らしめること。
⑨ 民間業者が受け入れる廃棄物についても、県の責任で安全を確認すること。
⑩ 万が一、焼却後、公開した放射能測定のデータが県民ならびに各自治体住民の理解を得られないレベルに
  達した場合には、その処分を速やかに中止し、受け入れ中止を含めて再検討をするよう、各自治体に助言・
  指導を行うこと。




                                           STOP!放射能の会~九州・熊本~
【請願署名】


        名       前                               住        所




※個人情報は事務局で適切に管理し、署名提出以外の目的では使用しません。
【期限】        月       日 迄にご記入をお願いいたします。
【送付先】   〒860-0047 熊本市春日7-17-16 508 上原 宛


                                 <注意事項>
コピーや FAX は無効となります。住所は番地まですべてご記載ください。
お手数ですが、「同上・〃」などの省略文字を使わずに、署名のご記入をお願いいたします。
年齢制限はございません。

                               「STOP!放射能の会~九州・熊本~」 代表:中茎・井口
                               E-mail : stophousyano@yahoo.co.jp Twitter : stophousyano


                                                      STOP!放射能の会~九州・熊本~

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熊本県 汎用請願書署名用紙 改訂版0906

  • 1. 請願書 熊本県知事 蒲島郁夫様 --------------------------------------------------------------------------------- 放射性物質を帯びた廃棄物を熊本県で処理しないでください。 --------------------------------------------------------------------------------- 【請願理由】 東日本大震災では、未曽有の天災により多数の災害廃棄物が発生し、環境省は全国の自治体に処理を打診 しました。熊本県でも「被災地の復興を支援するため、災害廃棄物(がれき)を広域で処理できる体制を整えたい」 という国の趣旨に賛同し、人道的な立場から、熊本県内 7 つの市、町、及び組合(熊本市・山都町・大牟田荒尾 清掃施設組合・天草市・天草広域連合・水俣芦北広域行政事務組合・阿蘇広域行政事務組合)が合計約 62,000 トンのがれきの受け入れが可能との回答をなさいました。 しかしながら、その後福島第一原発事故により、東北・関東地方の広い範囲が放射能汚染に見舞われ、廃棄物 にも放射性物質が付着していることが分かってきました(※1)。しかし、事故後、廃棄物の処分・埋立に関する放 射能のレベルが徐〄に引き上げられ、震災のがれき処理にかかる費用も、各自治体には事実上負担がかからな くなる(※2)など、現在日本では、震災直後に被災地の災害廃棄物の受け入れ可能の回答をした熊本県のような 自治体が、積極的に廃棄物を受け入れ、合法的に放射性物質を含むがれきを焼却し、その灰を埋め立てること ができるという社会的仕組みが粛〄と整えられてきています。 <クリアランスレベルについて> 原子炉等規制法では,10 マイクロシーベルト/年(目安としてセシウム134 と137 の合計で100 ベクレル/kg 程 度)を、放射性物質として扱う必要性の基準(クリアランスレベル)として定めています(※3)。従来この基準を超え る廃棄物は、放射線障害を防止するためドラム缶封入・コンクリートピットへの埋設など、厳格な管理が義務づけ られてきました。しかし、環境省が「クリアランスレベルを時間当たりに換算すると0.001 マイクロシーベルト/時とな り、自然放射線よりも低いレベルであるため、今回の災害廃棄物に当てはめることは適当ではない」との方針を示 したため(※4)、福島県外の災害廃棄物は、汚染のおそれがあるにもかかわらず、放射線量の測定なしに通常処 分されつつあります。瓦礫を受け入れた場合、埋め立て処分する場合は半永久的にその場に存在することとなり ます。また、焼却処分する場合には、処理に何年もかかります。焼却灰に放射性物質が濃縮された場合には、そ の管理には数十~数百年かかります。処理場及び周辺地域への影響も同様に長期間続くことが予想されるため、 緊急時にのみ当てはめるべき暫定基準値ではなく、平常時の基準を当てはめるべきです。 <焼却における問題点> 環境省は、焼却前の廃棄物について、放射性物質の基準を定めていません。「排ガス処理装置としてバグフィル ター及び排ガス吸着能力を有している施設では焼却可能である」とし(※5)、焼却を前提として処理方針の検討 を進めています。また、「10年間の焼却に伴うダストが周辺土壌に全て沈着すると仮定すると、単位廃棄物中濃度 あたりの子どもの被ばく量は、0.00048m sv/y per Bq/g」(※6)とし、放射性物質は灰に凝縮されるとして、排ガス の安全性を主張しています。しかし、東京都の汚泥焼却施設近傍では、その施設がバグフィルターと排ガス吸着 の設備を備えているにもかかわらず、空気中にセシウムを含むダストが舞上がる「二次汚染」の可能性が報告され ました(※7)。既存の焼却炉は、放射性物質に汚染された廃棄物を燃やすことを前提につくられていないため、 排ガス処理装置を含む焼却炉そのものが汚染され、メンテナンスに困難が生じることも予想されます。熊本県内 の焼却炉はバグフィルター及び排ガス吸着能力を有していますが、多角的に考えて、放射性物質の焼却は一般 焼却炉ではなく、放射性物質を捕捉する機能を十分に備えた専用の施設で処理するべきです。 <埋立における問題点> 事故以前は、一般最終処分場に埋め立てできる焼却灰は放射性セシウムが「100ベクレル/kg未満」と定められて いました。しかし環境省は、福島第一原発事故を受けて、6 月23 日に、放射性セシウムが8,000ベクレル/kg ま でならば埋立可能という基準を示しました(※5)。さらに8 月26日には、放射性セシウムが8,000~10 万ベクレル /kg 以下の焼却灰についても、水汚染対策と長期管理を条件に埋立処分を認めることが発表されました(※8)。 既存の管理型最終処分場では、有害な汚水が環境にしみ出さないよう底面や側面に遮水シートなどが敷設され ているにも関わらず、破損による汚水漏れ事故が全国各地で頻発しています(※9)。また、もし熊本県で焼却処 理した灰から8,000~10 万ベクレル/kg の放射性セシウムが検出されたら、覆い(屋根等)や外周遮断設備(コン クリートピット)をもつ処分場を設け、数十~数百年にわたり管理していく必要が生じ、予算・人員・設備体制すべ ての面で大きな負担となると思われます。 STOP!放射能の会~九州・熊本~
  • 2. ※1 8月10日 産経新聞 「(岩手県)陸前高田市の仮置き場に置いてある繊維から、1,480ベクレルの放射性セシウムが検出された。 同じ場所のプラスチックから510ベクレル、わらからも177ベクレルが検出された。宮古市の木くずからは135ベクレル、野田村で はちりから33ベクレルが検出された」 ※2 8月12日 がれき処理特別措置法 成立 ※3 原子炉等規制法のクリアランスレベル10μSv/年を満たす放射能量の目安として、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規 制に関する法律第61 条の2 第4 項に規定する製錬事業者等における工場等において用いた資材その他の物に含まれる放 射性物質の放射能濃度についての確認等に関する規則」に記載されている数値により、「セシウム134 と137 の合計で100 ベ クレル/kg 程度」という基準が導出される。 ※4 環境省「福島県内の災害廃棄物の当面の取扱い」平成23 年5 月2 日 ※5 環境省「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」平成23 年6 月23 日 ※6 関係都県廃棄物行政主管部(局)宛の事務連絡(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部)平成23年6月28日 ※7 山内知也(神戸大学大学院教授)「放射能汚染レベル調査結果報告書 東京都江東区における放射能汚染レベルと東部スラ ッジプラントが抱えている問題」 ※8 8月26日 放射性物質環境汚染 対処特別措置法成立、 8月27日 環境省が新たな埋立基準値を発表 ※9 東京都八王子市戸吹処分場(1985年)、東京都西多摩郡日の出町谷戸沢処分場(1992年)、千葉県八千代市一般廃棄物処 分場(1994年)、神奈川県横浜市神明台処分場(1994年)、愛知県津島市新開処分場(1996年~)、福岡県久留米市杉谷最終 処分場(2006年)、熊本県阿蘇市黒川 阿蘇広域行政事務組合一般廃棄物処分場(2009年)、島根県東出雲町 姫津クリーン センター(2008年)、滋賀県甲賀市 クリーンセンター滋賀(2010年)、山梨県北杜市明野町 山梨県環境整備センター(2011年) 等が報告されている。 熊本県は、全国でも指折りの第一次産業を誇る県です。放射能に汚染されていない美しい環境を守り、避難や 移住の受け入れ先となることや安全な農作物・畜産物・水産物を被災地の方〄に供給することが、復興支援とし て熊本県がなすべきことと考えます。周辺に住む私たち(特に子どもたち)、ごみ処理施設で作業する方〄、災害 廃棄物を運搬する方〄、そして熊本県に避難・移住された被災者の方〄が安心して暮らせるように、以下の 10 点 を請願いたします。 【請願内容】 ① 国及び被災地自治体から災害廃棄物の受け入れ要請があった場合には、ホームページ・広報・新聞などで これを広く県民に告知すること。 ② 先にあげた県内 7 つの市、町、組合について、廃棄物処理施設周辺の住民のみならず、該当の市・町・組合 内の「全住民」を対象とする説明会を実施するよう、強く助言すること。 ③ 各自治体の住民の総意が得られないまま、災害廃棄物の受け入れ、焼却・埋立処理を行わないこと。 ④ 放射能汚染された廃棄物については、最低でもクリアランスレベルに準じた基準(めやすとしてセシウム 134 と 137 の合計で 100 ベクレル/kg 程度)を早急に作ること。さらに、それに準じた適切な処理をするよう、熊本県 から国に働きかけること。また、熊本県内の各自治体に助言及び指導を行うこと。 ⑤ 被災地の災害廃棄物の受け入れにあたっては、受け入れるすべてのものをすべての核種において詳細に調 査し、④の基準に満たしたものだけを受け入れること。調査結果は県民に公表し、各自治体では調査結果を ②の説明会の資料とすること。 ⑥ 被災地の災害廃棄物だけでなく、汚染が報告された地域から廃棄物(がれき・灰など)を受け入れる際には、 同様に放射能汚染されていないことを確認し、結果を公表し、県民の合意を得ること。 ⑦ 県の廃棄物処理関連部署に放射能測定機器を十分な数、導入すること。また、県内の各廃棄物処理関連施 設及び部署にも十分な数の放射能測定機器を導入するよう働きかけを徹底すること。 ⑧ 放射能測定器導入後は、県民の生活に即した正しい測定結果の得られる設置場所や測定方法について、 県独自で、また各自治体と共に熟考し、放射能汚染の現状確認を定期的・継続的に行うこと。具体的には、 放射線量が高くなりがちな仮置き場における災害廃棄物の汚染状況の確認、焼却施設内の複数の箇所で 主灰・飛灰・排ガス・排水などの放射能の濃度測定、最終処分場における敷地境界での空間線量率や放流 水の測定を、定期的・継続的に行うこと。そして、その結果は、該当の自治体の住民はもちろん、県の責任に 於いて、県民に広く知らしめること。 ⑨ 民間業者が受け入れる廃棄物についても、県の責任で安全を確認すること。 ⑩ 万が一、焼却後、公開した放射能測定のデータが県民ならびに各自治体住民の理解を得られないレベルに 達した場合には、その処分を速やかに中止し、受け入れ中止を含めて再検討をするよう、各自治体に助言・ 指導を行うこと。 STOP!放射能の会~九州・熊本~
  • 3. 【請願署名】 名 前 住 所 ※個人情報は事務局で適切に管理し、署名提出以外の目的では使用しません。 【期限】 月 日 迄にご記入をお願いいたします。 【送付先】 〒860-0047 熊本市春日7-17-16 508 上原 宛 <注意事項> コピーや FAX は無効となります。住所は番地まですべてご記載ください。 お手数ですが、「同上・〃」などの省略文字を使わずに、署名のご記入をお願いいたします。 年齢制限はございません。 「STOP!放射能の会~九州・熊本~」 代表:中茎・井口 E-mail : stophousyano@yahoo.co.jp Twitter : stophousyano STOP!放射能の会~九州・熊本~