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植田 惠法
趣味のシミュレーション
部屋とMBDと私
オープンCAE勉強会@関東(流体など)
2017/4/15
部屋とMBDと私
背景 オープンCAE勉強会の人達がMBDに手をつけてくれない
複数の方から「遊び方がわからない」とのコメント
何か良い題材はないか?
最近引っ越した部屋がとても寒いので
MBDで何とかしよう!!!
そもそもMBDって?
MBD(Model Based Design/Development)
設計対象を言葉や図形(モデル)によって簡略化し、
CAEにより機能や品質を事前検証することを特徴とする設計開発手法
(個人的な定義です。人や会社によって様々な定義があります)
例.パソコンのモデル化(かなり適当)
PCの基本的な役割
ある命令に対して
適切に計算を行い
結果を表示する
入力部
出力部
計算
保存
電気エネルギ
ー
ブロック化
計算
CPU
CPUのみの場合
InputData
OutputData メモリなどからのInputData
電気エネルギー
放熱
ブロック化
MBDの製品開発の流れ(V字モデル)
V字モデル…構想設計から品質評価までの開発工程とテスト工程の対応関係を表した図
図中の構想設計の段階でCAEによる評価を行うことを一つの特徴とする。
入力部
出力部
計算
保存
電気E
1DCAEの解析モデル
CAE(3D,1D)の解析モデル
MBDではV字モデルに沿って構想設計段階でCAEによる評価、検証を
行うことで手戻りを最小化し、目標が達成できる!!
速い、安い
カンタン、CADいらない
(もちろん実験とのV&Vは必要)
1DCAE…微分代数方程式を対象にした解析手法
構想設計
詳細設計
部品設計
部品試作
単体テスト
製品テスト
システムテスト
手戻り最小化
Verification
Verification
Verification
なぜMBDが良いのか?
現状は材料、制御、機械屋さんの共通言語が無く、お互いの仕事のすり合わせが
大変
専門家以外でも各業務領域の役割が分かりやすくなる
部分最適化に陥らず、全体のふるまいを最適化で
きる
近年のものづくりは全体を見渡すこと自体が難しい
事前のふるまいをCAEにより検証することで、手戻りなく、短期の開発が
できる
年々制約条件が多くなり納期間近になって不具合対策、手戻りに悩まされている
モデルを差し替えても不具合のない、ロバストな設計がで
きる
材料、形状や大きさが変わったら設計・実験のし直しで
大変
メリットが多いMBDを使って
遊んでみよう!
私の寒い部屋の現状
私の部屋
木造2階建
築ン10年
床冷え、壁、窓からの寒さがこたえる
外
部屋
私
やりたいこと
どうやったら私の温度を下げないようにできるか?
制約条件としてお金をあまりかけないようにしたい
エアコンの温度を高くするか(電気代が上がる)
床に断熱材を配置するか?(意外と値段が高い)
ストーブを置くか?
朝から夜にかけての長時間領域の非定常計算をしたい
たくさんのケースを解きたい
な物理領域(熱、流体、エアコンの電気駆動&制御、人体の温度制御)を解き
高い精度は求めていない
実際に物を買う前に(構想設計段階で)評価を行いたい
引越しした場合に備えて、引越し先の温度の予測も行いたい(ロバスト性)
MBDが最適!!!
MBDのモデル作り
① システム(解析対象の系)がどんなものか定義する
物理的にどのような量をコントロールするものなのか?
② システムを部品(モデル)に分解する
③ モデル間の物理量のやり取りを定義する
④ モデル内の計算式を定義する
「Modelicaによるシステムシミュレーション入門 -モデルベース開発のための物理システムモデリング」
を参考に自分なりに作成
解析対象の系
①システムの定義 各物理現象によって私の熱量をコントールする系?
外
部屋
私
部屋とMBDと私ー第一階層
② システムを部品(モデル)に分解する
まずはエアコン無しでモデルを作成
外のモデル-第二階層
外
太陽 輻射E(直達日射量)
近隣の建物、道路、雲
輻射E
(直達日射量)
輻射E(散乱日射量)
地域
輻射E
(直達日射量)
大気
熱E
(熱伝達)
熱E
(熱伝達)
輻射E
(直達、散乱日射量)
地面
熱E
(熱伝導)
昼の場合
③
②
①
④
道路と地面が似ているのでうまくブロックに分けたい・・・
外のモデル-第二階層
外
太陽 輻射E(直達日射量)
近隣の建物、道路、雲
輻射E
(直達日射量)
輻射E(散乱日射量)
地域
輻射E
(直達日射量)
大気
熱E
(熱伝達)
熱E
(熱伝達)
輻射E
(直達、散乱日射量)
地面
熱E
(熱伝導)
夜の場合
③
②
①
④
今日は夜の場合を想定して、結果の妥当性を確認する
部屋のモデル-第二階層
部屋
建物の床
熱E
(熱伝導)
③
②
①
④
建物の外壁、屋根
より詳細には、建築物と各部屋に分ける予定
熱E(熱伝導)
私の部屋
熱E
(熱伝達)
熱E
(熱伝達)
そ
し
て
私
へ
矢印の向きは反対だったかも。。。
とりあえず温度を測定
Validationのため、外と部屋の温度を測定した
今回はモデルの温度の初期値にのみ使用
温度湿度データロガーRC-4HCを
外と部屋に置いて温度測定
Time[hour]
Temp[degree]
Outdoor
測定期間
2017/2/17 04:00
2017/2/18 09:00
部屋とMBDと私
大まかな評価のため、簡易的なモデルを作成
今後段階的に詳細化していく
私の発熱などのモデルは今回は入れていない
温度センサとして入れている
OpenModelicaモデル
部屋とMBDと私 ー 外
流れている空気の熱伝達率
116W/(m^2*K)
(Wikipediaから)
隣のブロックへ
受け渡される変数
温度T
熱流量Q_flow
dT = solid.T - fluid.T;
Q_flow = Gc*dT;
外の温度
(実測) 外壁
部屋とMBDと私 ー 部屋
部屋の壁
の熱容量
部屋の空気の熱容量
静止している空気
の熱伝達率
11.6W/(m^2*K)
(Wikipediaから)
壁の熱の伝わりやすさ
G=kA/L
壁と部屋の中の空気間の
熱伝達率
G=kA/L
部屋の壁、床 壁と部屋の空気の熱伝達
部屋とMBDと私 ー 私
空気と私
の熱伝達率 私の熱容量
(私の代表温度)
私の熱の
伝わりやすさ
(肉部分)
私の発熱量
W
予定:私の熱モデル(熱伝導、発熱など)
静止している空気の熱の
伝わりやすさ
G=kA/L
私のモデルに発熱などは
今回は入れていない
温度センサとして入れている
将来は
計算結果
日の出
部屋の温度
(解析値)
外の温度
(実測)
部屋の温度
(実測)
日の出以降は実測値と解析値で差が出る
計算結果
日の出
部屋の温度
(解析値)
外の温度
(実測)
部屋の温度(実測)
輻射の影響がない時間帯の温度の実測値と解析値は
妥当な範囲で適合している
課題
エアコン、人体のモデル化、床からの冷えの影響など考慮
温度分布の計算のため、非定常熱伝導方程式を離散化してモデル化したいが
計算量が多くなると、コンパイル時間(timeBackend)が増大することが知られている
(参考:Open Source Modelica ConsortiumのForum
https://openmodelica.org/forum/default-topic/2155-how-to-speedup-timebackend)
いろいろとBackendをいじるために
OMCompilerをソースコードからビルドしたいが
ソフトウェアに詳しくないものでminGWのコマンドで良くわからないところがあり
躓いている。
以下のビルド手順の中で、「cd /path/to」でディレクトリが見つからないと。。。
https://github.com/OpenModelica/OMCompiler/blob/master/README-OMDev-MINGW.md
スケジュール
○ 各ブロックのモデル化 ー 外、部屋(熱容量、熱伝導
私、エアコンのモデル仕方も検討(7月まで)
○ 対策の検討(9月)
○ 対策の実施(12月)
○ 振り返り(1月)

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