エンタープライズでは、Office 365の導入がかなり進んでいて、業務でTeamsを使っている会社は少なくありません。インターネットのサンプルは広く汎用的な状況で書いてあるのが当たり前で、実務ではどのような立場の人と協力し、 どのような立場の人にどんなお願いをしなげればいけないのかをイメージする必要があります。

1. Teamsに投稿する時に
Microsoft Graphで
やらかした先生
情報システム部でない外部の人間の無力さを痛感する

2. 自己紹介 髙尾 哲朗
システム構築のプロセス評価、改善、策定、開発フレームワークの設計、実装
管理、プリセールスやプロジェクトの立ち上げなど
ブログ ：http://blog.processtune.com
プロフィール ：Tetsuro Takao on
Facebook, Twitter or http://mvp.microsoft.com
コミュニティ ：.NETラボの運営スタッフ
https://dotnetlab.connpass.com/
Microsoft MVP：Visual Studio and Developer Technologies
[July 2010 – June 2019]

3. 失敗レベル別に解説します
失敗レベル1：サンプルはインターネットに山ほどあ
るから心配ないさぁ～
失敗レベル2：Graphエクスプローラー最強、ほかの
ツールはいらないねwww
失敗レベル3：リリース後の運用はセルフメンテナン
スということでよろしく！！
失敗レベルMAX：スコープとかは、要件が固まって
から後から追加すればいいんじゃ
ない？

4. 質問：こんな立ち位置で開発したことある方？
発注会社
営業部 業務部
協力会社から出向し
て業務アプリを設計
総務部
システム部

5. Teamsで障害インシデントのアサインしてるから
…
エンタープライズでは、Office 365の導入がかなり進
んでいて、業務でTeamsを使っている会社は少なく
ありません。
今回の案件もそんな感じで、インシデント発生で
Teamsに書込みをして、該当のメンバー間で「誰が
対応するか？」「修理部品はどこそこに手配した」な
どをやり取りしているので、RPAやらなんか使ってシ
ステム化してくれとお願いされました。

6. 失敗レベル1：サンプルはインターネットに山ほど
ある
できますがなぁ
じゃあお願い
実現可能
性調査
統計
データ
やら
参考資料
やら
仕事を取りに行っているので、“できる”こと
を前提に情報を収集し企画する（ここ重要）

7. 失敗レベル1：サンプルはインターネットに山ほど
ある
サンプル動かすまでの
手続きも山ほどある

8. 失敗レベル1：サンプル動かすまでの手続きも山ほ
どある 発注会社
営業部 業務部
協力会社から出向し
て業務アプリを設計
総務部
システム部
1)そもそもシステム部は通常業務がある上、余計な仕
事を持ってきた奴に好意的であるはずがない
2)システム部にAzureアプリケーションの認証設定や
OAuthの専門家が必ずいるわけではないので、セ
キュリティの安全性を説明することからはじめる
Azureアプリケーション作ってください
RPA用のAzureアカウントください
アプリのマニフェスト編集してください

9. 失敗レベル1：サンプル動かすまでの手続きも山ほ
どある 発注会社
営業部 業務部
協力会社から出向し
て業務アプリを設計
総務部
システム部
3)セキュリティの安全性はAzureだから大丈夫ではな
くて、このような運用なので安全という視点で説明
4)お客さんの環境でサンプルを動かすわけですから、
トライ＆エラーの要素が多く、同じ設定項目を何度
も編集してもらうこともある
Azureアプリケーション作ってください
RPA用のAzureアカウントください
アプリのマニフェスト編集してください

10. 教訓：そもそもサンプルはAzureの管理者権限前提
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
の
サ
ン
プ
ル
は
広
く
汎
用
的
な
状
況
で
書
い
て
あ
る
の
が
当
た
り
前
ど
の
よ
う
な
立
場
の
人
と
協
力
し
、
ど
の
よ
う
な
立
場
の
人
に
ど
ん
な
お
願
い
を
し
な
げ
れ
ば
い
け
な
い
の
か
を
イ
メ
ー
ジ
で
き
な
い
と
い
け
な
い
す
べ
て
の
工
程
に
つ
い
て
、
最
も
早
い
段
階
で
！
！

11. Microsoft Azure
教訓：そもそもサンプルはAzureの管理者権限前提
RPAアカウントはドメインに必要
ADFS
Azure Active Directory
Azure
Application
1) RPAアカウントはシステム部
の管轄にすべき
2) 認 証 の サ ン プ ル は AAD 、
ADFSのアカウントではない
grant_type
にpassword
は使えない

12. 教訓：そもそもサンプルはAzureの管理者権限前提

13. 教訓：そもそもサンプルはAzureの管理者権限前提

14. 教訓：そもそもサンプルはAzureの管理者権限前提

15. 失敗レベル2：Graphエクスプローラー最強
GraphエクスプローラーはPostmanを目指しているわけ
ではない。Graphアプリの開発の入り口として用意され
ているもの（ここ重要）
確かに最強
エラーの内容がすべて
理解できれば
ログインの際、許可し
たスコープは変えられ
ない。
Azureアカウントが必
要なので、開発開始の
前にシステム部に作成
してもらう必要がある

16. 失敗レベル2：Graphエクスプローラー最強
エラーはほぼ読み解け
ないことを前提に確実
な知識でクエリをする
必要がある
管理者権限が必要なス
コープを使うのであれ
ば、システム部にセ
キュリティの安全性を
説明したうえで申請を
する。
管理者権限が必要なス
コープのサンプルクエ
リは使えないことを前
提に設計を行っていく

17. Microsoft Azure
失敗レベル2：Graphエクスプローラー最強
ADFS
Azure Active Directory
Azure
Application
1) RPAアカウントはユーザー対
話型の認証はできない
2) grant_typeはpasswordまた
はclient_credentials
grant_type、
client_credentials
はrefresh_tokenを
返さない
grant_type、
passwordはAAD側
のユーザーのみ

18. 教訓：Postmanは必須、運用上の安全性を確保
設
計
時
に
開
発
す
る
シ
ス
テ
ム
に
必
要
な
最
小
の
権
限
の
ア
カ
ウ
ン
ト
を
シ
ス
テ
ム
部
に
作
成
し
て
も
ら
う
そ
の
た
め
に
セ
キ
ュ
リ
テ
ィ
の
説
明
は
必
須
。
ア
ー
キ
テ
ク
チ
ャ
の
話
で
な
く
運
用
上
の
セ
キ
ュ
リ
テ
ィ
の
話
そ
の
う
え
で
適
切
な
ス
コ
ー
プ
を
ア
プ
リ
ケ
ー
シ
ョ
ン
に
設
定
す
る

19. 教訓：Postmanは必須、運用上の安全性を確保

20. 失敗レベル3：リリース後の運用はセルフメンテナ
ンス
GraphエクスプローラーはPostmanを目指しているわけ
ではない。Graphアプリの開発の入り口として用意され
ているもの（ここ重要）
確かに最強
エラーの内容がすべて
理解できれば
ログインの際、許可し
たスコープは変えられ
ない。
Azureアカウントが必
要なので、開発開始の
前にシステム部に作成
してもらう必要がある

21. 失敗レベル3：リリース後の運用はセルフメンテナ
ンス
エラーはほぼ読み解け
ないことを前提に確実
な知識でクエリをする
必要がある
管理者権限が必要なス
コープを使うのであれ
ば、システム部にセ
キュリティの安全性を
説明したうえで申請を
する
管理者権限が必要なス
コープのサンプルクエ
リは使えないことを前
提に設計を行っていく Teamsのチャンネルが
増えた時にどのように
システム側で管理する
のかを考えておく

22. 教訓：OAuthは基本的にはプログラムでログイン
できない
シ
ー
ク
レ
ッ
ト
の
発
行
は
誰
が
や
る
の
か
、
そ
れ
を
ど
こ
に
保
存
し
て
お
く
の
か
、
そ
の
保
存
は
ど
の
よ
う
な
仕
組
み
で
安
全
性
が
確
保
さ
れ
て
い
る
の
か
を
熟
考
す
るリ
フ
レ
ッ
シ
ュ
・
ト
ー
ク
ン
は
永
久
に
使
え
る
わ
け
じ
ゃ
な
い
。
ど
の
タ
イ
ミ
ン
グ
で
ど
の
よ
う
に
更
新
す
る
の
か
を
綿
密
に
計
画
す
る

23. OAuth 2.0 全フローの図解と動画
https://qiita.com/TakahikoKawasaki/items/200951e5b5929f840a1f

24. Demo
ブラウザの起動
セルフメンテナンスのための管理画面の提供
シークレットの暗号化保存
Graphへの認証クエリの発行
（クライアント・クレデンシャル）
Graphへのトークン更新クエリの発行
GraphへのTeams投稿クエリの発行

25. 一句
一
人
で
は
何
も
で
き
な
い
何
事
も
使
っ
て
な
ん
ぼ
情
シ
ス
の
方
髙
尾

26. Conclusion：贈る言葉
工数を見積もりするときは、自分がAzureポータルの
管理者になれるのかなどの具体的な事柄を綿密に精査
しないと利益も減るし、スケジュールも遅延します。
新しい仕事が始まるときは、個人の引っ越しのように
関係する人たちにあいさつしましょう。Azure、
Office 365でソリューションを構築するときはいろん
な人にいろんな事をお願いすることになります。

27. Source
Graph エクスプローラー - Microsoft Graph
https://developer.microsoft.com/ja-jp/graph/graph-explorer
Postman | API Development Environment
https://www.getpostman.com/
OAuth 2.0 全フローの図解と動画
https://qiita.com/TakahikoKawasaki/items/200951e5b5929f840a1f