神社を中心とした宗教が今後の情報化、消費化、超少子高齢化社会で生き残れるかどうかをスライドにまとめた。

1. 宗教市場と政教関係
現代宗教の生存戦略
神道文化学部３年２組 菊地広野

2. この発表の内容は
特定の個人、団体を批判するための
ものではないことを
予めご了承ください。

3. 早速ですが、質問です。

4. 何の金額でしょう？

5. 正解.大川隆法の年収
1995年時、納税額から推定(納税額3億5297万円×3)
©️ryuho-okawa.org

6. 大川隆法は毎年年末ジャンボを当てている…？

7. 新聞やテレビを始め、携帯電話など様々なメディア
が人々の「可処分時間」を侵食。さらに現在では、
スマートフォンの普及により誰もがソーシャルゲー
ムで消耗している。情報にまみれた現代の「市場」
で、宗教が入り込む余地があるのだろうか。
現代は
余暇の争奪戦だ

8. 現代人は日に日に「忙しく」なっている
情報流通量
13年→21年
2倍
※13年を100とする
100
110
120
130
140
150
160
170
180
190
200
13年 14 15 16 17 18 19 20 21
情報流通量 情報消費量
総務省情報センサス調査より菊地編集：http://www.soumu.go.jp/main_content/000124276.pdf

9. 1960年代から比べると…
一人当たり情報消費量→33倍
情報流通量→
セールスフォースの分析：https://www.salesforce.com/jp/blog/2016/01/disruptive-innovation-media-business.html

10. 現代人は世にある情報をほ
とんど使いきれていない！

11. なんと
日本人は
１日約６時間も
メディアに接触している
※メディアとは、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、パソコン、タブレット、携帯電話
各メディアの接触時間平均値(東京都内)/博報堂DY調査：http://www.media-kankyo.jp/news/media/20160620_3420.html
一日の半分！

12. 中でも携帯電話に触れる時間は急増
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180
18年
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
PC 携帯電話 タブレット
各メディアの接触時間平均値(東京都内)/博報堂DY調査より菊地編集：http://www.media-kankyo.jp/news/media/20160620_3420.html
SoftBankで
iPhone3G発売
NTT docomoで
iPhone5S発売
ケータイに接触する
時間は「９倍」！

13. モバイルファースト時代の
到来によって、
さらなるメディア接触
時間の増加が予想される。

14. もはや現代人が神社に費やす
時間はあるのだろうか？？

15. 2001~2008

16. Web2.0
Web上での情婦発信者は初
期段階では固定されてきた
が、情報の受け手と送り手
が流動化し、誰もが情報の
発信者となったWeb上のト
レンドのこと。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Web_2.0

17. つまり、

18. 現代はコミュニティがイン
ターネットによって担保さ
れるようになった時代
→神社やお寺といったコミ
ュニティはもはや必要ない
のか？

19. 99
99.1
99.2
99.3
99.4
99.5
99.6
99.7
99.8
99.9
100
7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
神道系宗教団体数の遷移は下降トレンド
※7年を100とする
21年間で約１％減
※各年の文化庁発行「宗教年鑑」から抽出し菊地作成

20. 神社本庁包括下の神社数(法人格数)
Series1
97.5
98
98.5
99
99.5
100
昭和27年 昭和31年 昭和35年 昭和39年 昭和43年 昭和47年 昭和51年 昭和55年 昭和59年 昭和63年 平成4年 平成8年 平成12年 平成16年 平成20年 平成24年
昭和26年から
平成27年まで
約1000社
消える
文化庁宗教統計調査より各年抽出して独自に作成：http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/shumu/
64年間

21. このまま神社は
消滅するのか？
https://matome.naver.jp/odai/2148595448893143901/2148636634733638103

22. 神職の生存可能性

23. GoogleAI研究の権威
レイカーツワイル氏曰く

24. “−By 2029, computers
will have human-level
intelligence,”

25. 但し、AIには二種類ある
ドワンゴ人工知能研究所 所長 山川宏氏によると…
特化型AI
AGI
(汎用人工知能)
• 個別の専門領域で知的に振る舞うことがで
きる
• 基礎的な専門知識は事前に設計される
• 多様な領域の課題解決能力を持つ
• 基礎的な専門知識を「学習」で獲得する。
https://newspicks.com/news/2300393/body/

26. 代表例
特化型AI
PONANZA
http://japanese.engadget.com/2017/05/20/2-ponanza/

27. 実現難易度の極めて高い
いわば「人のような」知能
AGI
(汎用人工知能)
特化型AI
既に人類に
勝利
2029年
AGI誕生
2040年
AIが全人類
を超える
ここが
AGIの
完成

28. マツコロイドで有名な
大阪大学
石黒浩教授曰く

29. ”──AI時代になったら、仕事の常識も大きく変わるのですね？
大学の学部の偏差値を見ると、医学部が一番高くて、次が法
学部、工学部と続き、最後にくるのが教育学部です。実際、偏
差値に比例して、現状の日本の教育プログラムはお粗末な面も
あります。
でも、この構図はAIが普及する20年くらい先に逆転します。医
学も、法学も、工学も、ほとんどがAIに取って代わられますが、教育だ
けは残るからです。
「人に何をどう教えるか」「人にどう興味を持ってもらうか」
を考えるのは、とても創造的な仕事で、医学や法学に比べ、自動
化が難しい分野だと思います。深い人間理解が必要になるんで
す。“
https://newspicks.com/news/2334980/body/

30. つまり
①深い人間理解が必要である「神職」が
将来的に他の職業のようにAI等に取って
代わられて完全消滅するとしたら「2040
年ごろ」と予測できる。
②裏返せば、神職が時代の変化に適合し
て生き残るにはより深い教養と教化の能
力が求められる

31. 神職の流れを大胆予想
今の神職
•しばらく神
職は今まで
通り
神職隆盛
•2029年にほ
とんどの職業
がAIに取って
代わられ、人
間にしかでき
ない神職が隆
盛を極める
神職消滅
•2040年には
技術的特異点
を迎えAIが全
人類の頭脳を
超える。AIロ
ボットがお祭
りを斎行する
時代が到来。

32. 将来は
こんな神職さ
んがお祭りす
る！？

33. 情報化社会、AI時代に求められる神社のあり方
神社
お祭り
ソーシャル
ゲーム
ソーシャル
キャピタル
SNS
神職
AI
エンターテイメント コミュニティ 仕事
全てが取って
代わられる
可能性がある！

34. 宗教衰退理論
こういった謂わゆる
宗教市場の縮小は19
世紀にデュルケムや
ウェーバーなどの社
会学の巨匠たちに
よっても指摘されて
来た。

35. エミールデュルケム曰く
“社会秩序の必要性を主要な関心とし
て、宗教がその秩序の重要な一部をな
す。宗教には普遍的なものがあり、そ
れが完全に時代遅れになることはな
い。しかし、 社会的分業が高度に発達
した産業化社会においては、社会全体を
統合するという宗教がもっていた意義を
いくぶん失うことになる。” (1858 – 1917)

36. マックスウェーバー曰く
“現代社会は合理化と合理的知識、そ
してとりわけ世界の「脱魔術化」に
よって特徴づけられる。一般の人びと
は、伝統的な慣習や自らの感情に基づくよ
りも、目的的な合理性に基づいて行為する
ようになる。だが、この合理化が宗教の
影響を徐々に奪うことになる"
(1864 – 1920)

37. これらの議論は
時代を追うごとに発展
20世紀に入り長い議論が重
ねられブライアンRウィル
ソンなどによって「世俗化
論」が確立 (1926 – 2004)

38. しかし、1980年代
宗教の
復権現象
世俗化論
の衰退…

39. ピーターバーガーの
「脱」世俗化論
西洋社会の人びとはま
すます世界と自らの人
生について宗教的解釈
を用いることなく理解
する。
今日の世界はかつてと同じ
くらい猛烈に宗教的であ
り、歴史家や社会科学者た
ちによって広義に『世俗化
理論』としてラべルを貼ら
れた研究全体は本質的にま
ちがっている。
1960年代 1990年代

40. ただ、イギリスでは
世俗化×再聖化

41. 新宗教、
スピリチュアリティの流行
ヨーロッパを中心に「西洋化」の流れと
「再聖化」の流れが同時進行で進む。
既存協会での礼拝出席率は軒並み低下す
る一方で、様々なスピリチュアリティに関す
るの活動が勃興。

42. ニューエイジ、
スピリチュアリティ
ヨーガ、太極拳のほか、ヒーリング、仏教
系のグループなどが含まれる。ケンドー
ルにおいて、合計で約600名、人口の
1.6%の人たちが特定の週にスピリチュア
リティに関わる活動に参加している
※ケンドール：北イングランドの人口2万8千人の町

43. 神は信じなくても
スピリチュアリティは信じる
神を信じる人の割合は1991
年には62.3%だったのが
2008年に48.4%へ減少。た
だスピリチュアルな何かを信
じるという人は増加。
※イギリスの調査

44. つまり、
強い神への信仰
外的権威
ホリスティック
自己の内を
高める

45. 宗教的義務感の衰退
「協会に礼拝しなければいけな
い」、「神社でお参りしなければい
けない」という義務的宗教観は衰退
し、消費文化へと移行する。
→御朱印ブームなどはそうではないか？

46. 宗教文化は
一般的世俗市場へ溶け込む
例えば、仏教に起源を持つマインドフ
ルネス瞑想は、今日では医療、心理
療法、教育現場でも宗教の文脈を離
れて活用。

47. 生き残る宗教の３要素
1. 超越的なスピリチュアル
例)内を高める瞑想やヨーガ
2. 消費文化としての宗教
例)御朱印やお守り、観光地化
3. 医療や教育などへの融合
例)マインドフルネス的医療、哲学としての教育、一般化

48. 地域インフラとしての神社
「氏子」という地域
基盤を基礎とした神
社は地方衰退、超高
齢化久しいこれから
の日本で生き残れる
のか

49. 超少子高齢化社会の到来
2018
18歳人口が減少し始め国立大学が倒産の危機
2020
女性の二人に一人が50歳以上に
2022
独居世帯が全体の1/3を超える
2024
三人に一人が65歳以上の超高齢化社会へ

50. そして2030年
社会インフラであ
る銀行や老人ホー
ムが地方から消
滅。百貨店等商業
施設も完全に地方
から消える。

52. 人口10万人あたりの神社数
全国平均：63.78社
一番多い高知県：285社
二番目に多い福井県：212社
二番目に少ない大阪府：8.40社
三番目に少ない東京都：11.40社
2008年のデータ：http://todo-ran.com/t/kiji/14357

53. まとめると
共働き率や持ち家住宅述べ床面積と
正の相関があり、人口集中度と負の
相関がある。
人口がまばらで広い家に住み、共働
きが多い農村型社会で神社が多い。

54. 神社数と人口の相関関係
ほぼ無いと言っていいが、
都市化すればするほどそ
の数は少なくなる。
また、田舎で経済的に自
立している神社が果たし
てどれだけあるのか？

55. つまり
生産年齢人口が減少すればそれだけ神
社にもお金が入らなくなると推測。地方
において神社という「ハコ」は残るに
せよ、そこで働く神職が経済的に困窮
する割合が増える。多くの神職が兼業
せざるを得なくなる。

56. さらに
一般的に大世帯が支える割合の多い神社
は、独居世帯が全世帯の1/3になる2023年に
さらに危機へ陥る。
都市であっても、地方であっても神社を支
える氏子人口が減少し続け、現在の神社の
氏子経済モデルが崩壊する可能性がある。

57. この三つの危機に
神社はどう立ち向かうか？
超情報化 消費化 地方崩壊

58. 出典一覧
• 総務省情報センサス調査：http://www.soumu.go.jp/main_content/000124276.pdf
• セールスフォースの分析：https://www.salesforce.com/jp/blog/2016/01/disruptive-
innovation-media-business.html
• 博報堂DY調査：http://www.media-kankyo.jp/news/media/20160620_3420.html
• 文化庁宗教統計調査：http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/shumu/
• NewsPicks：https://newspicks.com/news/2300393/body/ ,
https://newspicks.com/news/2334980/body/
• 都道府県別統計とランキングで見る県民性：http://todo-ran.com/t/kiji/14357
• 現代宗教 21世紀西ヨーロッパでの世俗化と再聖化 - 国際宗教研究所 (伊藤雅之 愛知学院
大学文学部国際文化学科 准教授 )：http://www.iisr.jp/journal/journal2015/P249-P269.pdf
• 宗教市場論の射程 (沼尻正之 追手門学院大学 地域創造学部 地域創造学科 教授)：
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsr1950/53/2/53_2_85/_article/-char/ja/
• 人口減少日本でこれから起こること-講談社新書 河合 雅司
• よくわかる宗教学 (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ) :櫻井 義秀 , 平藤 喜久子