Statistical Analysis of fMRI data 5章 のスライドです。

1. Statistical Analysis of fMRI data
5. Preprocessing
1

2. 1 BOLD反応から神経活動を推定する
2 実験デザイン → 神経活動を推定しやすくする
おさらい
2

3. 目的：予測しうる誤差や変動を補正することで、
統計的な検定力を上昇させる
→ 神経活動を推定しやすくする
Preprocessing ... 前処理
3

4. 正規化 空間スムージング 時間フィルタリング
Spatial
Smoothing
Temporal
Filtering
スライスタイミング補正 頭部動き補正 重ね合わせ
Head Motion
Correction
Coregisteration
Normalization
Slice-Timing
Correction
Preprocessing
4

5. Slice-Timing
Correction
スライスタイミング補正
1
5

6. 1TRの間に全てのスライスを取得する
→ 取得順による時間差が生じる
インターリーブ法：
最初に偶数番目を取得し、次に逆順で奇数番目を取得する
ことで、脳全体の時間差を減らそうとする。
マルチバンド法：
同時に複数のスライスを取得することで、TRを短くし時間
差を減らそうとする。
取得順と時間差
6

7. インターリーブ法
[1]より引用
取得順と時間差
マルチバンド法
[2]より引用
7

8. 時間差を補正するために、全てのスライスをTRの始まりに
合わせる。
取得順と時間差
[3]より引用
← スライス5を時間シフトさ
せてから、スライス1に合わせ
て補間している。（赤い点）
8

9. 線形補間：
2点間の線分上の点として線形補間する。2点間の変化が少
なければ良く近似できる。
補間方法
9

10. スプライン補間：
区分的な多項式で補間をする。精度は高い。
補間方法
10

11. Sinc 補間：
sinc関数で補間する。HRFの遅さによって、タスクに対する
BOLD応答は幅が制限されるため、サイン波の線形結合で記
述でき、Sinc補間で欠損値を完全に補間できる。
補間方法
[4]より引用
11

12. Shannonの標本化定理（サンプリング定理）
帯域制限信号の関数 f(t), つまり F(ω) = 0 (|ω|>ω1
) を考え
る。サンプリング時間 T が T ≦ π/ω1
ならば、サンプリング
値 f(nT) によって元の f(t) を完全に決定することができる。
このとき、ω1
/(2π) を ナイキスト周波数という。
欠損値を完全に補間できる?
12

13. 標本化定理の証明
畳み込み積分：
周期的デルタ関数のフーリエ変換:
欠損値を完全に補間できる?
13

14. サンプリング値による関数をデルタ関数で書く。
欠損値を完全に補間できる?
14

15. サンプリング値による関数をフーリエ変換する。
欠損値を完全に補間できる?
15

16. フーリエ級数展開する。
欠損値を完全に補間できる?
16

17. 逆フーリエ変換して元の関数を求める。
欠損値を完全に補間できる?
17

18. 標本化定理からわかること
原信号に含まれる最大周波数成分をfとすると、2fよりも高
い周波数fs
で標本化した信号は、ローパスフィルターで高域
成分を除去することによって原信号を完全に復元することが
できる。
つまり、2.5秒のTR (fs
=0.4 Hz) では
5秒周期の信号 (f=0.2 Hz) を復元できる。
欠損値を完全に補間できる?
18

19. SPMでは：
ハニング窓関数を利用して、高周波数帯の成分をカットし、主
な成分の解像度と検出力を向上させている。(参考[5])
補間方法
19

20. hrf を上手に設定することでも、小さなタイミングの差を補
正することができる。
例) 後から取得したスライスほど速く増加するように
hrf を設定する。
hrfの選択による補正
20

21. Head Motion
Correction
頭部動き補正
2
21

22. fMRI内では、頭部が完全に固定されているわけではないの
で、微小な頭部の動きが発生する。
しかし、微小な動きでも大きな影響がある…。
● Huttel et al. (2004) [6]: 5mmの動きで信号が5倍になる!
→ 固定された空間座標に脳を再配置することで、微小な動
きによるボクセルのずれを補正する。
これを Head Motion Correction や Realignment と呼ぶ。
微小な頭部の動きの影響
22

23. 脳は剛体であると仮定する。
つまり、形状や大きさが時間によって変化しないとする。
このとき、この剛体は６つの自由度を持つ。
● 平行移動３つ
● 回転移動３つ
剛体位置合わせ
[4], [7]より引用 23

24. 剛体の座標変換(w→u)は以下のように行える。
剛体位置合わせ
24

25. タスクによってほとんど変わらないBOLD反応の値を利用し
て、その変化が最小になるように剛体の座標変換を行う。
→ 代表的なBOLD反応マップを決めて、それに合わせる。
剛体位置合わせ
[8]より引用 25

26. 頭部の動きの影響が大きいのは接続性解析である。
→ BOLD反応の変化が特に重要だから。
追加の補正方法：
● Censoring：頭部の動きが特に大きなボリュームを除外する
● Global signal regression：TRごとの平均BOLD反応を
"global signal" として分析に利用する。global signal の方
が頭部動きの影響を受けやすいと考える。
● Confound regression：頭部の動きパラメータを回帰子とし
て利用する。
微小な頭部の動きの影響
26

27. Coregisteration
重ね合わせ
3
27

28. 構造画像と機能的画像を重ね合わせることで、機能的画像
の空間的な正確性を改善する。
空間的な正確性の改善
[9]より引用
28

29. 重ね合わせの問題：
ボクセルサイズが異なる。→ １対１のボクセル対応が無い。
スキャンパラメータが異なる。→ 強度が対応しない。
解決策：
強度のヒストグラムを同じ
スケールで作成し、その
相関が高くなるように
剛体の座標変換を行う。
空間的な正確性の改善
[10]より引用
29

30. 相関の指標：
相関は線形だけではない。→相互情報量を利用する。
空間的な正確性の改善
30

31. Normalization
正規化
4
31

32. 個々人の脳や脳領域の形状は大きく異なる。
→ 撮像した構造画像を標準脳に合わせる必要がある。
● Talairach atlas：60歳フランス人女性の全脳。原点は
ACの中心。単一の脳であり、平均的な脳との解離があ
ることが問題。
● MNI atlas：152人の脳の平均脳。原点はACの中心。あ
る脳のボクセルがそのまま正しい領域に重なるかは確率
的になるので確率的アトラスと呼ばれる。
標準脳
32

33. 標準脳への変換には非線形変換が必要となる。
被験者・スキャナー共に違うので重ね合わせは複雑になる。
1. アフィン変換：アフィン行列を用いた線形変換。相互情報
量を最小化するように決めることができる。位置・向き・サ
イズがほぼ合わせられる。
2. 局所的な縮小・拡大：局所的に形状を変換する。不均一な
変換により、ボクセルの中心が変わるので、ボクセルを再定
義し、値を補間しなければならない。DARTELやFNIRTなど
のアルゴリズムがある。
標準脳
33

34. Spatial
Smoothing
空間スムージング
5
34

35. 各ボクセル値を、距離に応じて重みづけした隣接ボクセル
の加重平均で置き換える。以下の利点がある。
1. 中心極限定理により正規分布に近づき、統計モデルの前
提を満たしやすくなる。
2. 多重比較検定の問題をガウスランダム場理論によって解
決できるようになる。
3. ノイズを低減し、SN比を向上させることができる。
空間スムージング
35

36. 加重平均するときにどのくらい隣接ボクセルに重みづけす
るかは、スムージングカーネルで決める。重みの総和を1に
にすることで、平均BOLDが変化しないようにする。
良く使われるのは、ガウスカーネルである。FWHM (full
width at half maximum) がスムージングの量を決める。
空間スムージング
[4]より引用 36

37. SN比を最大化するフィルタ（整合フィルタ）は信号と同じ
幅となるので、カーネル幅 (FWHM) を適切に選択すること
が重要となる。（参考：[11], [12]）
一般的には、1～3つのボクセル幅が良いとされる。選択に
よっては、信号が弱まったり、信号の重ね合わせが起こっ
てしまう。
FWHMの選択
[11]より引用
37

38. Temporal
Filtering
時間フィルタリング
6
38

39. BOLD反応の周波数帯以外を除去する。
● 低周波ノイズ：スキャナドリフトのような非常に遅い変化
→ 時間領域の平均化 or ハイパスフィルタ
● 高周波ノイズ：信号ノイズ
→ サンプリングで除去 (ローパスフィルタはほぼ使わない)
ノイズの除去
[3]より引用
39

40. Others
その他
7
40

41. データの品質を保証するために、球体などのファントムをス
キャンして、スキャナーの品質を測定する。
Quality Assurance (QA)
41
[13]より引用

42. 均一な磁場は shimming coilによって補正されうるが、ドリフ
トや空洞によって歪められる。
これをField mapとして撮像しておき、Field mapの歪み補正を
構造画像・機能画像にかけることで補正を行う。
Distortion Correction
42[3]より引用

43. 各 Run の平均BOLD信号を揃える。現状の平均で割って定数
(100や10000) を掛けておく。
→ Run ごとの信号強度の差を緩和できる。
Grand Mean Scaling
43

44. 引用・参考文献
[1] What is cross-talk and what can be done about it? http://www.mri-q.com/cross-talk.html
[2] Multi-Band { Simultaneous Multislice (SMS) } EPI https://www.mri-takinogawa.jp/doctor/special-imaging/multi-band.html
[3] What are the steps for preprocessing fMRI data? http://mriquestions.com/data-pre-processing.html
[4] Ashby, F. G. (2019). Statistical analysis of fMRI data. MIT press.
https://mitpress.mit.edu/books/statistical-analysis-fmri-data-second-edition
[5] 窓関数 (Window Function) http://www7b.biglobe.ne.jp/~yizawa/InfSys1/basic/chap9/index.htm
[6] Huettel, S. A., Song, A. W., & McCarthy, G. (2004). Functional magnetic resonance imaging (Vol. 1).
Sunderland, MA: Sinauer Associates. https://www.sinauer.com/media/wysiwyg/tocs/FMRI.pdf
[7] 6DoF Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/6DoF
[8] DartBrains Preprocessing https://dartbrains.org/features/notebooks/7_Preprocessing.html
44

45. 引用・参考文献
[9] Gartus, A., Geissler, A., Foki, T., Tahamtan, A. R., Pahs, G., Barth, M., ... & Beisteiner, R. (2007). Comparison of
fMRI coregistration results between human experts and software solutions in patients and healthy subjects.
European radiology, 17(6), 1634-1643. https://doi.org/10.1007/s00330-006-0459-z
[10] Coregistration and Normalisation https://www.slideserve.com/finna/coregistration-and-normalisation
[11] Spatial Smoothing
https://support.brainvoyager.com/brainvoyager/functional-analysis-preparation/29-pre-processing/86-spatial-smoothing
[12]整合フィルターhttps://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/yobology/matched_filter/matched_filter.htm
[13] fMRI data preprocessing I https://youtu.be/a8DQcjzlb2M
45