山 田詠 美「作品の中での秀美が『ぼくは、自分の心にこう言う。すべてに、丸をつけよ。とりあえずは、そこから始めるのだ。そこからやがて生まれていく沢山のばつを、ぼくは、ゆっくりと選び取って行くのだ』という場面があるのですが、彼の言葉に私が伝えたかったことが詰め込まれているんです。少しずつでいいから、自分なりの価値観を人生の中の経験を通して築いていくことに、生きていく意味があるのではないでしょうか。」実体験を基に書かれ、彼女が人生の中で学んだことが多く詰まっているのが山田氏の作品の魅力の一つだ。「独自の価値観を培うことは決して難しいことではないんです。目の前の事象を主体的に選び取り、感じ取り、興味を持つこと。そして世の中の様々な事柄に対して、自分なりの意見なり考えなりを持つことが大事なのです。」自分の価値観を貫き通すことは、時に世間一般の価値観にそむくこともあり、何が正しくて何が間違っているか分からなくなることもある。山田氏は短編の中でこう提案する。自分の価値観探しに行き詰った時、ひとまず「すべてに○を」つけてみる。そしてそこから少しずつ消去法で選択肢を絞り込むことで、残ったものが自分にとって大切なものだと気づけるのだ。46120051294765「私は転校生でいじめられ、はっきり自分の意見を言うから周りから浮いたことがあるんです。人は一般的な価値観だけが正しいと思い込んで『人それぞれだ』とか人と違う主張を拒みがちですよね。でも、他人の価値観に振り回されたり、自分と他人を比べて自分勝手な優位や劣等感を抱いたりすることには意味がないと思うんです。」人は大衆の意見に固執しがちだが、山田氏は、世の中にはもっと多様な価値観があっても良く、人それぞれ違う価値観を発展させていくべきだと伝える。「時田秀美は私の理想です。秀美には父親がいなく、母親は子供がいるにもかかわらず男に恋をしている。そんな彼がおかれた家庭環境は一般的には不幸と決めつけられてしまいますよね。でも彼は、周りの人が彼らの価値観を押し付けてくることがあっても、世間一般の定義を持ちこむようなちゃちなことはせず、彼なりの価値判断の基準を作っていくんです。」山田氏の話を聞いていると、大衆の一部である私も世間一般の価値観で物事を判断しがちで、何の根拠もない、いかにもありふれた常識といったものにとらわれてしまっていることに気がついた。「あくまで自分がいいと思うこと、正しいと信じることに忠実に生きていこうとする秀美の生き方は素敵だと思います。」作品の世界に吸い込まれるように一気に読んでしまう。そんな経験を初めてしたのは、山田詠美による短編集「ぼくは勉強ができない」と出会ったときだ。今では日本を代表する人気作家となった山田氏は、処女作である「ベッドタイムアイズ」をはじめ、数々の作品を出してきた。また1987年に直木賞を受賞するなど、赤裸々な恋愛小説や心に残る青春小説が高く評価され、多くの人々から注目されている作家だ。山田詠美が随筆した本「僕は勉強ができない」の中の短編「○をつけよ」は、高校生の時田秀美が、ワイドショーや人々が当たり前と思っている価値観に対し疑問を投げかけていく青春小説である。山田氏はよく彼女の実体験を基に書くという執筆スタイルをとっている。彼女自身が体験した出来事やそこで感じたものを書くことによってストーリーを作り上げる。「○をつけよ」も彼女の経験が基に書かれているという。世の中、もっと多様な価値観があってもいい【インタビュー】 <br />

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