くらしの足をみんなで考える全国フォーラム2020　リレートーク　宮崎耕輔（香川高専）

1. くらしの足をみんなで考える全国フォーラム 2020
リレートーク
～ WITHコロナと暮らしの足？ 現在地と少し先の未来を語る？ ～
2020年10月11日
先入観をなくして地域を見よう！
香川高等専門学校 教授
宮崎 耕輔
1

2. 私の興味（研究対象）
～ 交通行動分析 ～
3

3. 4
人口：約23,000人
約6,000世帯
平成１５年現在

4. 5
自動車の運転 送迎依頼
マイカー族 ○ －
送迎族 × ○
公共交通族 × ×
被験者（高齢者）の属性により、以下のように分類
交通利用環境属性 交通利用環境の状況
マイカー族
運転免許を持っており，自由に使える車を持っている
人．
送迎族
運転免許を持っていても自由に使える車を持っていな
い人や運転免許を持っていない人で，気兼ねなく送迎
を頼める人がいる人．
公共交通族
運転免許を持っていても自由に使える車を持っていな
い人や運転免許を持っていない人で．気兼ねなく送迎
を頼むことができない人．
※ 宮崎耕輔，徳永幸之，菊池武弘，小枝昭，谷本圭志，喜多秀行；公共交通のサービスレベル低下による生活行動の格差分析，土木計
画学研究・論文集，Vol.22，No.3，pp.583～591，2005年10月．

5. 高齢者の外出回数は変わらない
でも，交通機関利用の外出回数には差がある．
6
4.8 5.3
4.54.3
3.0
2.0
0
1
2
3
4
5
6
マイカー族(N=72) 送迎族(N=51) 公共交通族(N=22)
トリップ数（回／週）
一人あたり１週間トリップ数（回／週）
一人あたり一週間のトリップ数
うち交通機関利用
※ 宮崎耕輔，徳永幸之，菊池武弘，小枝昭，谷本圭志，喜多秀行；公共交通のサービスレベル低下による生活行動の格差分析，土木計
画学研究・論文集，Vol.22，No.3，pp.583～591，2005年10月．

6. 外出の内容には差がある．
自動車を利用できないと，憩いの外出が抑制される．
7
36.0%
36.9%
27.8%
35.0%
20.7%
15.5%
18.0%
33.2%
39.8%
6.3%
4.1%
5.0%
1.5%
7.6%
6.0%
1.5%
5.3%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
公共交通族(N=100)
送迎族(N=271)
マイカー族(N=342)
住む（買物） 住む（通院） 憩う 学ぶ 働く 送迎
住む 57.6%
住む 43.3%
憩う
住む 71.0%
※ 宮崎耕輔，徳永幸之，菊池武弘，小枝昭，谷本圭志，喜多秀行；公共交通のサービスレベル低下による生活行動の格差分析，土木計
画学研究・論文集，Vol.22，No.3，pp.583～591，2005年10月．

7. コロナ禍を経験して，
何が変わったか．．．
8

8. 1. コロナ禍には無関係の面
9
コロナ禍を経験して，何が変わったか．．．

9. 年齢別人口(香川県)
10
※国勢調査データより
全体（男女計）
0
25000
50000
75000
100000
0～4歳
5～9歳
10～14歳
15～19歳
20～24歳
25～29歳
30～34歳
35～39歳
40～44歳
45～49歳
50～54歳
55～59歳
60～64歳
65～69歳
70～74歳
75～79歳
80～84歳
85歳以上
Age
年度ごとの人口の割合
2015
2010
2005
2000
1995
1990
1985
1980
1980 1985 1990 1995
2000 2005 2010
2015
団塊の世代
団塊ジュニアの世代
1980 1985
1990
1995
2000 2005
2010 2015

10. 年齢別人口(香川県)
11
※国勢調査データより
全体（男女計）
0
25000
50000
75000
100000
0～4歳
5～9歳
10～14歳
15～19歳
20～24歳
25～29歳
30～34歳
35～39歳
40～44歳
45～49歳
50～54歳
55～59歳
60～64歳
65～69歳
70～74歳
75～79歳
80～84歳
85歳以上
Age
年度ごとの人口の割合
2015
2010
2005
2000
1995
1990
1985
1980
1980 1985 1990 1995
2000 2005 2010
2015
団塊の世代
団塊ジュニアの世代
1980 1985
1990
1995
2000 2005
2010 2015
団塊の世代が70歳を超えると．．．
◼ サポートして欲しい人が増えるだけでなく，
◼ サポートする人が減少する．
※ 香川県のデータから

11. 0
1
2
3
0 25 50 75 100
Age
Tripperperson
Walk
Bike
Car
Bus
Railway
Other
Unknown
年齢別交通手段別グロス生成原単位
～ 外出していない人を含む一人当たりトリップ数 ～
12
※高松広域都市圏パーソントリップ調査より宮崎が集計

12. 0
1
2
3
0 25 50 75 100
Age
Tripperperson
Walk
Bike
Car
Bus
Railway
Other
Unknown
年齢別交通手段別グロス生成原単位
～ 外出していない人を含む一人当たりトリップ数 ～
13
※高松広域都市圏パーソントリップ調査より宮崎が集計
交通手段別の外出回数でみると．．．
◼ 70歳を超えると外出回数が減少？
※ 体力の衰え？ 自動車での外出も困難に？
◼ 地方では，自動車がないと生活ができない？
※ 香川県のデータから

13. コロナ禍の有無に関わらず
14
◼ 団塊の世代が70代を迎えてきたことによって，
− これまで，サポートしていた人たちが，逆にサポー
トをして欲しい人たちに変わった．
− 10年ほど前は，移動の問題は中山間地の問題だった
が，今では比較的便利な市街地部でも顕在化．
サポートする側の供給不足？
路線バスや鉄道などを利用して，買物先まで行ける
ような地域でも，自動車の利用がしんどいという理
由で，コミュニティバスとかデマンドタクシーの要
望が出てきた．．．
今やどこでも移動の問題が顕在化している？
いろんなキーワード（コミバス，デマンド・・・）が出てくる．
そして，救世主のように感じている？（福祉交通の出番では？）

14. 2. コロナ禍を経験して
15
コロナ禍を経験して，何が変わったか．．．

15. コロナ禍を経験して
16
◼ 外出の抑制が働いていないか？
「憩い」目的が減っていないか？
「通院」目的が減っていないか？
住む
（買物，通院）
憩う
住む
（買物，通院）
憩う
外出回数
外出回数
外出回数が減っていないか？
◆回数に着目（量の観点） ◆中身に着目（質の観点）
質と量を総合的に判断する必要があるのでは？
− 減らせる移動と減らせない移動があるはず．
− 減らせない移動を減らしていることが問題．
− これは，広域的移動についても同様では？

16. まとめにかえて
～ WITHコロナと暮らしの足？ 現在地と少し先の未来を語る？ ～
17
➢『澄んだ目で地域を見ること』が極めて重要に．．．
— 様々な情報に惑わされないことが極めて重要！
— 予想以上に地域によって状況が異なっている．
➢大胆なパラダイムシフトを行うチャンス？
— これまでのビジネスモデルでは立ちゆかない場合は，勇気を出
して，パラダイムシフトをすべき？
— 真に大切なものは何か？
働き方改革，ワークライフバランスなど．．．（供給側の事情でサービス水準が決定される？）
— 十人十色のニーズにどのように対応するか？
— “テレワークが進んでいる”と言われているが．．．
➢コロナ禍を経験して，ニーズがさらに多様化した？
都会からの移住の相談が増えているらしい． （地方で，空き家バンク等に関わっている人の話から）
ただし，職業が限定される（以前は芸術家等が多かったが，最近ではテレワークも対象に．．．），ワ
ケーションなど．．．
同じ県内でも，市町村，もしかすると地区によって異なっている？

17. ご清聴，ありがとうございました．
18
〒761-8058 香川県高松市勅使町355
香川高等専門学校 建設環境工学科
宮崎 耕輔
miyazaki@t.kagawa-nct.ac.jp
TEL.087-869-3924（直通）
TEL.087-869-3811（学校代表）
FAX.087-869-3929（学科共通）
ご質問，ご相談，お問合せ等は，
まで

18. まとめにかえて
～ WITHコロナと暮らしの足？ 現在地と少し先の未来を語る？ ～
19
➢予想以上に地域によって状況が異なっている．
— 同じ県内でも，市町村によって異なっている？
— 様々な情報に惑わされず，『澄んだ目で地域を見る』ことが極
めて重要！
➢今こそ，パラダイムシフトの時期？
— これまでの社会環境の変化は，いわば，“ぬるま湯”に浸かって
いる状況．
— 勇気を出して，社会的要請に応えるチャンス？
働き方改革，ワークライフバランスなど．．．
— “テレワークが進んでいる”と言われているが．．．
➢人によって状況が異なっている．
地方で，空き家バンク等に関わっている人の話から，都会からの移住の相談が
増えているらしい．．．
ただし，職業が限定される（以前は芸術家等が多かったが，最近ではテレワー
クも対象に．．．），ワケーションなど．．．