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「地域コーディネーターのあるべき姿」
に関する提案書
2020年10月
「地域コーディネーターのあるべき姿」検討会
2
報告書兼提案書 目次
1.本検討会実施の背景.............................................................................................................................. 3
2.本検討会の進め方 ................................................................................................................................. 4
3.本検討会の構成員 ................................................................................................................................. 5
4.岡山県内の地域コーディネーターの活動状況 ..................................................................................... 6
5.地域コーディネーターに関する検討内容........................................................................................... 13
5―1.地域コーディネーターに求められる理想................................................................................. 13
5-2.地域コーディネーターの現状と課題....................................................................................... 14
5-3.地域コーディネーターが担うべき役割 ................................................................................... 16
5-4.地域コーディネーターに求められるスキルと経験................................................................. 18
6.地域コーディネーターに関する現状把握アンケートの実施 ............................................................. 20
6―1.地域コーディネーターへのアンケート調査結果...................................................................... 20
6―2.総合的な学習(探究)の時間の担当教員へのアンケート調査結果 ........................................ 24
6―3.検討会での意見とアンケート結果から見えた課題と必要性 ................................................... 27
6―4.提言に向けたまとめ ................................................................................................................. 28
7.提言 ..................................................................................................................................................... 32
7-1.県下における総合的な学習(探究)の時間の推進体制の構築............................................... 32
7-2.市町村自治体との連携............................................................................................................. 33
7-3.地域コーディネーターの資質向上と安定的な確保................................................................. 34
8.関係資料.............................................................................................................................................. 37
3
1.本検討会実施の背景
文部科学省は 2022 年度から高等学校において
新しい学習指導要領(生きる力~学びのその先へ
~)を発表した。そこでは『よりよい学校教育を通
じてよりよい社会を創るという目標を共有し、社
会と連携・協働しながら、未来の創り手となるた
めに必要な資質、能力を育む「社会に開かれた教
育課程」の実現』を目的としている。今、日本では
「Society 5.0」と呼ばれる、これまでの狩猟(1.0)、
農耕(2.0)、工業(3.0)、そして情報(4.0)社会
を経て、AI や IoT、ロボットなどが前提となる新
しい社会(5.0)へと変わることやそれを牽引する
ことが政府により SDGs の実施指針などでも宣言
されている。未来の創り手となる人材にはその 5.0
社会に対応できる人材が求められ、基礎の学力だ
けでなく、「思考力」「判断力」「表現力」「対話力」
も重要視されてきている。
また、令和元年 6 月 21 日に閣議決定された新
しい「まち・ひと・しごと創生基本方針」でも、高
校時代は将来の人生の選択を考える重要な時期で
あり、この時期に地域を知り、愛着を持つ機会を
創出することが重要であると議論されている。
これらの求められる能力や機会につながること
として注目されているのが、総合的な学習(探究)
の時間である。岡山県内の一部の高校では、約 20
年前から「地域学」の取り組みが行われ、令和元年
度から県内では 8 校(和気閑谷高校、矢掛高校、
鴨方高校等)が地域との連携の在り方等を研究し、
教育の質を確保した魅力づくりを図るリージョナ
ルモデル(RM)として積極的に取り組んでいる。
そして、これらを充実させ「地域を知り、愛着を
持つ機会」を地域の様々な主体と調整し実現する
役割を担うのが、通称「地域コーディネーター」と
呼ばれる人材である。文部科学省でもその役割は
「地域学校協働活動」を進めるための調整役とし
ての「コーディネーター」の重要性が指摘されて
いる。
現在、岡山県内においては、先の複数の高校に
おいても「地域コーディネーター」ないしはそれ
に類する役割の外部人材の導入が進められており、
教員とは違う立ち位置から地域との調整や授業運
営に取組み、成果も上がってきている。
しかしながら、「地域コーディネーター」と呼ば
れる人材に求められる役割や実務内容も各学校で
まちまちであり、その成果目標、在り方、役割、環
境づくりなど定まらない中で、各学校もコーディ
ネーターも手探りで行っているのが実状である。
特にその役割に求められる目標や成果が共有さ
れていない点は、学校とコーディネーターとの関
係性にも影響し、現場での混乱を生み出している。
同様の状況は各地で地域おこし協力隊が導入され
た際にもあり、人手不足を解消したい受入地域と
自身の就農を望んできた協力隊との間で齟齬が生
じるなども散見された。
こうした状況は本来の目的が達成できないだけ
でなく、学校にも地域にも、そしてコーディネー
ター本人にもマイナスを生む。そこで本研究会で
は、あらためて地域コーディネーターという仕組
みが有効に機能するために、地域コーディネータ
ーと高校、派遣元となる組織の 3 者の立場に属す
るものが集まり、改めて状況を整理分析すると共
に、各ステークホルダーの要望に配慮しながら「地
域コーディネーターのあるべき姿」と「それが実
現できる環境づくり」を検討し、提言を行うこと
を目的に検討会を開催した。
本検討会による提言がステークホルダーの今後
の取り組みに少しでも役立ち、各地で地域コーデ
ィネーターの導入と環境が用意されることで、高
校と地域との関係性を発展させ、地域理解と地域
愛があり、課題解決能力を有するこれから先の地
域を担う人材が各地で育まれること、そして継続
的な活動を行い実現することで教育の観点におい
ても持続的な地域づくりにつながることを願う。
4
2.本検討会の進め方
検討にあたっては岡山県内の地域コーディネーター有識者が集まり、以下の 6 ステップで現状の洗い
出しや意見集約を行った。まずは、地域コーディネーターが関わることによって、「生徒」「保護者」「高
校」「行政」「企業」「地域コミュニティ」などに対してどのような価値を提供することが望ましいのかを
考えた。その後その理想に対する現実や課題を検討し、地域コーディネーターがそれぞれのステークホ
ルダーに対してやるべきことや地域コーディネーターに必要なスキルや経験、用意すべき環境について
まとめた。
【地域コーディネーター検討会 実施スケジュール】
回数 開催日 検討内容
第1回 2019 年 7 月 20 日(土) 上記①~③の整理と検討
第2回 2019 年 8 月 17 日(土) 上記④の検討
第3回 2019 年 9 月 28 日(土) 上記⑤の検討
第4回 2019 年 11 月 17 日(日) 上記⑥の検討
第5回 2020 年 1 月 12 日(日) 提言の取りまとめ
第6回 2020 年 2 月 14 日(金) 提言の取りまとめ
第7回 2020 年 4 月 5 日(日) 提言の取りまとめ
第8回 2020 年 5 月 9 日(土) 提言の取りまとめ
第9回 2020 年 6 月 13 日(土) 提言の取りまとめ
第10回 2020 年 8 月 23 日(日) 提言の取りまとめ
第11回 2020 年 10 月 10 日(土) 提言の取りまとめ
①ステークホルダー
にとっての理想(正
解)
②それに対
する現実
③理想を阻
むもの(課
題)
④やるべき
こと(提言)
⑤それがで
きるスキル・
経験(提言)
⑥用意すべ
き環境(提
言)
5
3.本検討会の構成員
本検討会は、岡山県内の高校に既に配置され、活動している地域コーディネーター及びその受入先、派遣
元となる組織の有志により構成した。(以下名簿、順不同)
氏名 役職 備考
井辻 美緒 岡山県立矢掛高等学校 地域協働活動コーディネーター
沖村 舞子 岡山県立鴨方高等学校 地域協働活動コーディネーター
三宅 康太
岡山県立津山東高等学校 地域コーディネーター
岡山県立林野高等学校 地域協働活動コーディネーター
三村 雅彦
岡山県立津山東高等学校 地域コーディネーター
特定非営利活動法人みんなの集落研究所 県北事務所所長代理
事務局
森分 志学 特定非営利活動法人だっぴ 事務局長
江森 真矢子
和気閑谷高校魅力化プロジェクトコーディネーター
一般社団法人まなびと 代表理事
中村 哲也
和気閑谷高校魅力化プロジェクトコーディネーター
岡山県立津山東高等学校 地域コーディネーター
池上 慶行 岡山県立倉敷鷲羽高等学校 地域コーディネーター
井上 寿美
認定非営利活動法人英田上山棚田団 代表理事
岡山県立林野高等学校 地域協働活動コーディネーター
小磯 香 岡山県立林野高等学校 地域協働活動コーディネーター
田邊 明架里 岡山県立高梁城南高等学校 地域コーディネーター
西村 こころ 特定非営利活動法人岡山 NPO センター 参画推進センター長
久常 宏栄 岡山県立津山東高等学校 主幹教諭
室 貴由輝 岡山県教育庁 高校教育課参事
和田 広子 公益財団法人福武教育文化振興財団 プログラムオフィサー
石原 達也 特定非営利活動法人みんなの集落研究所 代表執行役 事務局
6
4.岡山県内の地域コーディネーターの活動状況
本検討会実施の背景でも述べたが、岡山県教育庁高校教育課は「高等学校魅力化推進事業」のうち、
高校が地域との連携の在り方等を研究し、県立高校の教育の質を確保した魅力づくりを図るリージョナ
ルモデル(以下 RM)を令和元年度より推進しており、コーディネーター導入も進めている。
対象:第 1 学年の生徒募集定員が 3 学級の高校
第 1 期(令和元年度~3 年度)笠岡工業、笠岡商業、鴨方、高梁城南、和気閑谷、矢掛
第 2 期(令和 2 年度~4 年度)邑久、林野
条件:①指定校及び地元自治体、企業、大学、NPO 法人等からなる地域連携組織を置く
②地域協働活動コーディネーターを置き、地域と協働した教育活動を推進
※指定校は県教育委員会が選考及び任用を行う
地元自治体等が独自に指定校に対して地域と協働した教育活動を推進するコーディネー
ターを配置する場合はこの限りではない
研究:A.地域と連携した高校の魅力化・活性化に向けた取組
(地域の産業や文化、地域課題解決に関する探究的な学習など)
B.地元自治体や企業等からの高校への支援方策
C.学校と地域をつなぐ人材(地域協働活動コーディネーター)の在り方
D.地元中学校からの進学率の向上方策
E.地元以外(全国)からの進学者増加方策
F.学校の魅力や取組の情報発信・広報の充実
G.事業終了後の取組の継続性
(コミュニティ・スクールの導入、地域連携組織の運営方法など)
参考:岡山県教育庁高校教育課
7
事例1
学校名:岡山県立和気閑谷高校 地域コーディネーター5名
授業名:閑谷學
内 容:総合的な探究の時間の「閑谷學」は、3 年間を通した教育プログラムで実社会での学びを
重視している。1 年次は探究基礎トレーニングとして、「学校や地域と自分のつながりを感
じる」をテーマにフィールドワーク及び発表会を行う。2 年次には、1 年次で学んだ基礎
を基にテーマ別探究活動として、SDGs の視点も取り入れ和気町と連携し課題解決を提案、
そして提案を実践する。3 年次は卒業探究として、「進路分野の理想と現状を埋める」をテ
ーマに論文作成を行う。
校内の体制及び地域コーディネーターの役割
【特徴】
・岡山県教育庁高校教育課の RM 指定校
・地域コーディネーターが 5 名配置されており、それぞれの役割が明確化されている
・閑谷學の全体設計からカリキュラム開発、進路指導、部活動指導まで幅広い役割を担っている
・地域コーディネーターを現役の地域おこし協力隊と協力隊 OB が担っている
・和気町と周辺自治体が高校の魅力化推進協議会に入り、自治体とも連携を密に取っている
8
事例2
学校名:岡山県立林野高校 地域コーディネーター2名
授業名:みまさか学
内 容:地域をフィールドとした体験型活動や様々なビジョンを持った人々との出会いを通じて、
地域への理解を深め、課題解決能力を育成することを目標とした、林野高校独自の学校設
定教科(選択教科)である。林野周辺地域や小学校等との連携を通じて、課題解決に向け
たテーマ設定(立案・プレゼンテーション)や提案の実践を行い、授業者と受講者の双方
向的な学びから、チームで働く力や自ら発信・表現できる力を育成する。
【校内の体制及び地域コーディネーターの役割】
【特徴】
・岡山県教育庁高校教育課の RM 指定校
・昨年度まで地域コーディネーターを務めていた 1 人が、令和 2 年度よりみまさか学担当の非常
勤講師として勤めることとなった
・令和 2 年度より元美作市地域おこし協力隊 2 人が新たに地域コーディネーターとして関わり、
MDP(総合的な探究の時間)との連携も検討中
・校内のみまさか学担当教員と担当非常勤講師、地域コーディネーターが協力して、みまさか学
の設計や方針、フィールドワーク先などの方向性を決めている
9
事例3
学校名:岡山県立津山東高校 地域コーディネーター3名
授業名:行学
内 容:平成 27 年度より行学がスタートし、普通科の総合的な探究の時間として、「課題発見→情
報収集→分析計画→実践→発表」のサイクルで、「論理的思考力」「表現力」「課題発見・解
決能力」を高めることを目的としている。具体的には SIM 津山で津山市が実施している
事業を学び地域を知る、分野別に分かれてのフィールドワーク、提案作成と実践、SDGs
をテーマにした論文作成、グループディスカッション等を 3 年間通したプログラムで行っ
ている。
【校内の体制及び地域コーディネーターの役割】
【特徴】
・地域コーディネーターが 3 名おり、担当の学年を分担している
・総合的な学習(探究)の時間の委員会が設置されており、主担当と各学年の担当とコーディネー
ターが中心となって、総合的な学習(探究)の時間のプログラム設計を行っている
・地域運営組織、地元企業、教育機関、行政機関など幅広い分野でのフィールドワークを実施
・RM とは別の補助事業でコーディネーターへの報酬を支払っている
10
事例4
学校名:岡山県立倉敷鷲羽高校 地域コーディネーター2名
授業名:未来創造学
内 容:未来創造学は倉敷鷲羽高校の未来創造科が独自に行っている授業で、キャリア教育の充実
を図ることを目的に、「未来を自分の力で切り拓く力」「激しく変化する社会に適応する力」
「実社会で役立つ力」を伸ばす方針を掲げている。職業別体験講座や 2 年次には未来創造
科の生徒全員が参加するインターンシップを行い、地元企業を中心に小学校、介護施設、
病院、消防署など約 90 社と連携するなど実践の場を重視している。
【校内の体制及び地域コーディネーターの役割】
【特徴】
・地域コーディネーターの 1 名が他校でもコーディネーターを務めている
・倉敷市児島地区の地域おこし協力隊がコーディネーターを務めている
・現状ボランティアでコーディネーターの役割を担っている
11
事例5
学校名:岡山県立矢掛高校 地域コーディネーター1名
授業名:やかげ学
内 容:普通科総合コースの学校設定教科として「やかげ学」を設け、生徒が町内の幼稚園や小学
校、高齢者施設、図書館、農業体験施設などで 2 年次後半から 3 年次にかけて毎週 1 回 2
時間インターンシップを行い、3 年次には発表会の機会を設けている。自分たちの学校が
ある町のことを知り、学校外の人と触れ合うことで、コミュニケーション能力や課題発見・
解決能力の向上、多くの人とのつながりの中から自身が持つ力の使い方を見つけることを
目指す。
【校内の体制及び地域コーディネーターの役割】
【特徴】
・岡山県教育庁高校教育課の RM 指定校
・校内の複数の課や委員会と連携し、進路指導や広報 PR もコーディネーターが担当している
・町役場や町教育委員会と情報共有を図りながら、新規プログラムの開発
・矢掛町内だけでなく町外の住民や小中学生も高校魅力化のターゲットとしている
12
事例6
学校名:岡山県立高梁城南高校 地域コーディネーター1名
授業名:高梁学
内 容:高梁城南高校は電気科、デザイン科、環境科学科の 3 つの科に分かれているが、高梁学は
3 科共通の 3 年間を通じた総合的な探究の時間のプログラムである。各科・学年の枠を超
えた協働学習「城南モザイクプロジェクト」の中で「高梁観光弁当」の企画・製作・販売
につなげたり、社会貢献活動を行うなど、それぞれの科の生徒が持つ得意分野を活かして、
高梁市をフィールドワークにした実践活動を推進している。
【校内の体制及び地域コーディネーターの役割】
【特徴】
・岡山県教育庁高校教育課の RM 指定校
・専門科における総合的な学習(探究)の時間を実施している
・市役所や観光協会との連携を密に取り、新企画やプログラム実施を共に進めている
・専門科ならではの技術を活かした地域をフィールドとした活動実践に力を入れている
13
5.地域コーディネーターに関する検討内容
5―1.地域コーディネーターに求められる理想
地域コーディネーターを配置し、その働きによりどのような成果を求めるのかが、ステークホルダー
間で異なっていると、出た成果が成果と認識されず意味をなさない。そこで、地域コーディネーターを高
校へ配置することにより、どのようなことが実現されると理想となるのか(理想的なコーディネート)を
各ステークホルダーの立場から検討し、整理を行った。
生徒と保護者 学校と行政 地域や将来の受入先
生徒
・将来の選択肢を広げ、希望を見出せる
・つながり・関係性を豊かにする
・自己の理解と肯定感を高める
・好奇心と経験値を高め、学ぶ意欲を
高める
高校
・高校に対する地域の理解と支持が
高まる
・入学希望者が増加する
・社会で活躍する人材育成につながる
企業・NPO
・人材採用につながる
・即戦力になる人材育成につなが
る(コスト削減)
・地域に還元される人材になる
保護者
・子どもの安心な将来を想像させる
・親と子の関係性を深める
・社会変化への理解を高める
教員
・業務負担の軽減につながる
・生徒の成長につながる
・教員としての誇りがもてる
大学・専門学校
・意欲的な学生の入学につながる
・高校と大学の連携が促進される
小中学生
・高校への憧れが強まる
・進路選択への選択肢が広がる
行政
・定住・定着・U ターンの促進につな
がる
・若者目線の政策立案へつながる
・地域への注目度が高まる
・地方創生の成果となる
・地域活動へ若者が入ることで課題
解決に向けた取組みが促進され、
モデル的な地域が増える
地域コミュニティ
・地域づくりのカンフル剤・潤滑油
につながる
・地域の担い手を育てる
・地域課題の解決につながる
・地域の子どもと大人の接点が
増える
・地域活動への参加の増加
・地域課題解決の取組みに学校を
上手く活用する
①ステークホルダー
にとっての理想(正
解)
②それに対
する現実
③理想を阻
むもの(課
題)
④やるべき
こと(提言)
⑤それがで
きるスキル・
経験(提言)
⑥用意すべ
き環境(提
言)
14
5-2.地域コーディネーターの現状と課題
岡山県内の高校において、地域コーディネーターを導入する高校は徐々に増えてきているものの、ま
だ地域コーディネーターの存在や必要性が浸透しているとは言い難く、地域コーディネーターを配置し
ていない高校の方がはるかに多いのが現状である。
その要因として、地域コーディネーターの設置が制度として設定されていないこと、それにより特に
高校の校長や教頭レベルの上層部の教員に地域コーディネーターの存在が認識されていないことが上げ
られる。また市役所等の行政職員にもまだ認識されていないことから、高校側が地域コーディネーター
を採用する際にも、助成金や補助金等に頼れず、高校側の予算の中で賃金を支払っている現状もある。
さらには、高校生が地域へ出向くことによって、机上だけでは学ぶことのできない、コミュニケーショ
ン能力や価値観の醸成、そして何より地域のことを知るといった新たな「学び」に対しての理解が進まな
いことから、4-1で各ステークホルダーが求める状況を整理した上で、実際はそれに対して各ステー
クホルダーの状況はどうであるか。課題点などを洗い出した。
現状 課題
生徒 ・進路が分からない。考えていない ・自己肯定感を高める経験が少ない
保護者
・保護者の体験や常識とのズレ
・成績至上主義
・保護者の想像できる幸せ感との差
・良い高校のステータス
小中学生
・成績至上主義
・高校という学校としての立ち位置と
地域との距離感
・良い高校(進学校)へのステータス
小中高
教員
・進学させた数が能力とされる
・総合的な学習(探究)の時間の準備に
割く時間がない
・外部(地域)との接点がない
・学校の方針によって総合的な学習(探
究)の時間への理解度に差がある
・学校の社会教育担当と行政の地域担当
課とのつながりがない
・教員の人事異動があり、その異動によっ
てチーム編成もかわる
・進路のトライ&エラーが先生には促せない
・先生に経験がないからできない
・先生が失敗できない
・地域コーディネーターの存在自体を
知らない
・予算の確保が難しい
①ステークホルダー
にとっての理想(正
解)
②それに対
する現実
③理想を阻
むもの(課
題)
④やるべき
こと(提言)
⑤それがで
きるスキル・
経験(提言)
⑥用意すべ
き環境(提
言)
15
行政
・首都圏や都市への人口流出
・どう対策していいか分からない
・学校と地域の協働の必要を感じていない
・学校側の意向が伝わっていない
・県民局と単位自治体とのつながりが薄い
地域コミュ
ニティ
・地域のことを知らないまま、首都圏や
都市への進学や就職による人口流出
・学校の移転や廃校
・中学校や高校との接点がない
・中学や高校に進学すると地域と関わる機会が
少なくなる
企業
・地元の中小企業単体では、地元学生を
捕まえることは難しい
・地元企業への就職の選択肢がない
または持っている学生が少ない
・人材育成に時間とコストがかかる
・地元学生が地元企業について知る機会が
少なく、認知されていない
・地元の小中学校(教員)との接点が少ない
・新規人材の早期退職
・指示待ちや臨機応変な対応、倫理的思考等が
できる若手人材が少ない
16
5-3.地域コーディネーターが担うべき役割
これまでの整理を踏まえて、地域コーディネーターの役割のうち、特にコーディネート部分(内外の調
整)に絞って担うべき役割を整理した。
【地域コーディネーターの役割】
地域コーディネーターの役割として、文部科学省の平成 27 年度初等教育分科会(第 103 回目)では、
『地域学校協働活動としては、地域住民、保護者、企業、団体等、様々な関係者が、学校支援活動、放課
後や土曜日の学習支援活動、家庭教育支援活動、学びによるまちづくり等の地域活動といった様々な活
動に参画することが想定され、学校や学校運営協議会と連携を図りつつ、時には学校との連絡窓口とな
り、時には住民、保護者間の調整役となって協働活動を推進していくコーディネーターの役割が重要で
ある』と明記されている。
そこで本検討会では、上記で示される「学内の調整(学校や学校運営協議会と連携)」と「学外の調整
(学校との連絡窓口、住民、保護者間の調整役)」に分けて整理を行い、地域コーディネーターに求めら
れる役割について検討した。
学内の調整 学外の調整
① 成果目標の設定・評価
② 内部連絡・情報共有
③ 内部の総合的な学習への理解促進
④ トップ(校長・教頭)の理解促進
⑤ 教員の状況把握
⑥ 教員への研修・参加促進
⑦ 生徒の情報集約
⑧ 外部との調整窓口
⑨ 会議体の設置
⑩ 地域コーディネーターの活動の見える化
① 学内における外部連携状況の把握と整理
② 保護者への啓発
③ NPO との連携
④ 企業との連携
⑤ 大学との連携
⑥ 小学校中学校との連携
⑦ 他高等学校との連携
⑧ 地域との連携
⑨ 行政との連携
⑩ メディアとの関係構築
⑪ 広報・PR
⑫ 資金調達
①ステークホルダー
にとっての理想(正
解)
②それに対
する現実
③理想を阻
むもの(課
題)
④やるべき
こと(提言)
⑤それがで
きるスキル・
経験(提言)
⑥用意すべ
き環境(提
言)
17
≪学内の調整≫
学内の調整において地域コーディネーターに求められる役割のポイントは、主に「総合的な学習(探
究)の時間内の調整」「学校内部の理解啓発の促進と構築体制整備」に分けられる。
「総合的な学習(探究)の時間内の調整」では、成果目標の設定と評価を担当教員と連携しながら行い、
地域へのフィールドワークの際には生徒のプログラムや企画の設計、実施のフォローなどを行い、継続
的かつ地域課題の解決に向けた取組みになるようなコーディネートの役割を担う。
また、「学校内部の理解啓発の促進と構築体制整備」も地域コーディネーターにとっては重要な役割で
あり、まずは学校の教育方針を決めている校長や教頭の総合的な学習(探究)の時間の意義の理解促進、
そこから担当教員以外の理解促進、学校内での会議体の設置など、内部調整においても地域コーディネ
ーターが果たす役割は大きい。
≪学外の調整≫
地域コーディネーターは、地元の地域運営組織や行政、企業、大学、NPOなどの取組みを把握してお
り、尚且つ繋がりを持っていることが望ましく、学校の教員のみで地域と調整を進めることは、通常業務
の多忙による時間の制約や地域とのつながりの希薄などから難しい。
また、総合的な学習(探究)の時間においては、高校だけでなく小学校中学校高校の教育機関が一体と
なって、育てたい児童・生徒像の教育理念を共有することが重要になると考えられる。総合的な学習(探
究)の時間で地域へのフィールドワークや自己肯定感を高める活動へ高校生の時から参加することでの
一定の効果は見込めるが、小学生中学生の段階から総合的な学習(探究)の時間に取組んだり、理解する
機会があれば、長期的なスパンで生徒の表現力や思考力、地域への愛着、自己肯定感を高めることができ
るのではないだろうか。また、同じフィールドワーク先等で活動を共にすることで世代間での交流や憧
れが促進される効果も期待できる。小学校中学校高校の間に入って橋渡し役として調整役を行うのが地
域コーディネーターの役割でもある。
地域の様々な団体や機関、人と学校を繋ぎ、連携して、地域の各ステークホルダーが一体となって行う
地域課題の解決等を通じた探究的な学びの実現に向けて、地域コーディネーターが担う役割は大きく、
重要である。
18
5-4.地域コーディネーターに求められるスキルと経験
地域コーディネーターが担うべき役割を踏まえて、地域コーディネーターに求められるスキルと経験
を整理した。
必要なスキル・知識 詳細
① 情報収集能力 ・地域の状況や団体の取組、人を理解している
・国の地方創生などの動きや大枠を理解している
・人口などの統計データを収集することができる
・他校での取組みの状況を把握している
・地域の人や出来事へのアンテナを持つ
② ファシリテーション
能力
・会議やワークショップにおいて、設計や運営ができる
・ワークの組み立てができる
③ 調整・交渉・連携等の
能力
・異なる立場、考え方、利害をそれぞれに理解しつつ落としどころに落ち着かせる
・生徒、教員、保護者、地域、行政、企業など地域学習に関わる全ての人と話すこと
ができ、相談にも対応できる
・連絡、報告ができる
・教員や保護者とのコミュニケーション意識改革
・お金の流れを理解している
④ コミュニケーション
能力
・対話する力
・説得する力
・傾聴
・相手のニーズを理解できる
・人からあまり嫌われない
⑤ 教育観 ・教育観や目指す人材の理解、共感
・学校の仕組みを知っている
・「学校」「教育」への知識、理解
・地域コーディネーターの必要性や立ち位置を理解し、伝える
①ステークホルダー
にとっての理想(正
解)
②それに対
する現実
③理想を阻
むもの(課
題)
④やるべき
こと(提言)
⑤それがで
きるスキル・
経験(提言)
⑥用意すべ
き環境(提
言)
19
必要な経験 詳細
① 仕事における経験 ・案内文を作成したりする事務作業
・場づくりやファシリテーションの経験
・組織で働いたことがある
・営業分野で働いたことがある
・仕事経験が異なる人との交流がある
・収支を考えた事業の経験
・行政との対話や仕事を経験している
② 地域における経験 ・主体的に地域活動を行ったことがある
・地域での活動や子どもとの活動の経験がある
・探究活動を行ったことがある
③ 人生における経験 ・人と協働して物事に取り組んだことがある
・失敗してよかったと思える経験
・悪いことも良いこともしたことがある
・異文化に身を置いたことがある
・小さくても自分で目的を定め、計画して実行したことがある
・つらいことを覚悟してやり抜いたことがある
・失敗をしたことがある。
【求められる人材像】
生徒、保護者、教員、地域、行政、企業など様々な関係機関や団体、人と関わり、それぞれの思いをく
み取り、上記の求められる役割を果たしていく地域コーディネーターに求められる人物として、
① 地域の情報や地方創生などの国の動き対してアンテナを張ることができる「情報収集能力」
② 会議の進行やワークショップの設計や運営ができる「ファシリテーション能力」
③ 生徒、教員、保護者、地域、行政、企業などそれぞれの立場や考え方を理解して計画や事業を進
めることができる「調整・交渉・連携等の能力」
④ 自分の価値観や考え方を押し付けるのではなく、相手の話を傾聴でき、ニーズも理解することが
できる「コミュニケーション能力」
⑤ 目指す教育への理解や共感があり自らの立ち位置を広めていこうとする「教育観」
が備わっていることが望ましい。
20
6.地域コーディネーターに関する現状把握アンケートの実施
地域コーディネーター検討会において、議論した内容と提言をまとめるにあたり、根拠となるデータ
として、岡山県内において実際に高校等で総合的な学習(探究)の時間への授業参加や地域との調整を担
っている「地域コーディネーター」と総合的な学習(探究)の時間を担当として担っている「教員」に対
して、地域コーディネーターに関する現状把握のためのアンケート調査を 2019 年 11 月~12 月にかけて
実施し、地域コーディネーター7 名と担当教員 5 名から回答を得た。
6―1.地域コーディネーターへのアンケート調査結果
1)アンケート項目
問1 地域コーディネーターとして関わっている学校名
問2 お名前
問3 これまでの経歴(職歴、課外活動など)について教えてください
問4 現在地域コーディネーターとして、どの位の頻度で資料準備や授業、外部や内部との調整等
に関わっていますか?
問5 現在地域コーディネーターとして、学内や学外のコーディネートにおいて、どのような役割
を担っていますか?
問6 学校側から地域コーディネーターに対して、どのような環境が用意されていますか?
問7 学校側から地域コーディネーターに対して、今後より整えてもらいたい環境はありますか?
問8 地域コーディネーターとして活動されている中で感じている課題について教えてください。
問9 待遇面についてお聞きします。現在の地域コーディネーターとしての仕事を年収換算した場
合、合計いくら位になりますか?
問10 その他、地域コーディネーターや総合的な学習(探究)の時間に関する取り組み、課題、ご意
見などご自由にお書きください。
①ステークホルダー
にとっての理想(正
解)
②それに対
する現実
③理想を阻
むもの(課
題)
④やるべき
こと(提言)
⑤それがで
きるスキル・
経験(提言)
⑥用意すべ
き環境(提
言)
21
2)調査結果(抜粋)
問5 現在地域コーディネーターとして、学内や学外のコーディネートにおいて、どのような役割
を担っていますか?
地域コーディネーターが学内で担っている役割として一番多かった回答は、総合的な探究(学習)の時
間の「授業プログラムの実施」「授業プログラムの修正・検証」、生徒の育成に関わる「生徒の好奇心と経
験値を高めるプログラムの企画」であった。
学外で担っている役割としては、「地域人材とのマッチング」が一番多く、すべてのコーディネーター
が担っていると回答した。続いて、地域アセスメントによる「地域課題の把握や調査」が上がった。
一方で、総合的な学習(探求)の時間に関する「成果目標の設定と評価」や「校長ないしは教頭を長と
する学内会議体の設置、調整」といった学校方針にも関わる学内全体のコーディネートについては、現在
配置されている地域コーディネーターでは担っていない場合が多く、学外では「大学との連携調整」につ
いての回答が多かった。
5
5
1
3
1
3
2
4
5
6
2
1
2
1
2
2
5
5
0
0 1 2 3 4 5 6 7
授業プログラムの実施
授業プログラムの修正・検証
成果目標の設定・評価
総合的な学習(探究)の時間に対する学内(担当外教員)への理解啓発
校長ないしは教頭を長とする学内会議体の設置・調整
生徒による学外での活動の把握とその成果の共有、外部からの評価の把握
新聞などのマスメディアへのプレスリリース
SNSなどでの外部発信(広報や成果報告)
地域課題の把握や調査
地域人材とのマッチング
中学校との連携調整
大学との連携調整
企業との連携調整
その他、学外組織との連携調整
保護者との理解や啓発、意識改革につながる取り組み
他校との連携、つながりの創出
生徒の好奇心と経験値を高めるプログラムの企画
社会で活躍する人材の育成
その他
学内外のコーディネートにおいての役割
22
問6 学校側から地域コーディネーターに対して、どのような環境が用意されていますか?
問7 学校側から地域コーディネーターに対して、今後より整えてもらいたい環境はありますか?
5
1
4
4
0
1
4
4
3
6
4
5
4
0
0 2 4 6
職員会議等に参加できる
学校からの指示系統が決まっている
校長や教頭など責任者に提案する機会がある
定期的に総合的な学習(探究)の時間に関する会議が開かれている
専用のデスクが職員室などにある
専用のパソコンが支給されている
学内の生徒に関するデータベース等にログインできる
SNSなどの情報発信手段を活用できる
外部研修などに参加することができる
活動のための一定の予算があり活用できる
総合的な学習(探究)の時間に関する計画と目標、そこでの役割分担が学校側
から共有されている
地域コーディネーターの1年間の計画と目標が設定され、学校側から共有され
ている
地域コーディネーターとしての取組を評価する機会がある
その他
学校から整えてほしい環境
1
3
2
2
2
2
1
1
3
0
4
3
1
1
0 1 2 3 4 5 6
職員会議等に参加できる
学校からの指示系統が決まっている
校長や教頭など責任者に提案する機会がある
定期的に総合的な学習(探究)の時間に関する会議が開かれている
専用のデスクが職員室などにある
専用のパソコンが支給されている
学内の生徒に関するデータベース等にログインできる
SNSなどの情報発信手段を活用できる
外部研修などに参加することができる
活動のための一定の予算があり活用できる
総合的な学習(探究)の時間に関する計画と目標、そこでの役割分担が学校側
から共有されている
地域コーディネーターの1年間の計画と目標が設定され、学校側から共有され
ている
地域コーディネーターとしての取組を評価する機会がある
その他
学校から用意されている環境
23
現在地域コーディネーターに学校側から用意されている環境と地域コーディネーターから学校側に
対して今後用意してもらいたい環境をアンケート結果から比較したところ、現状と理想で一番ギャッ
プが大きかったのは「活動のための一定の予算があり活用できる」だった。また続いて、「職員会議等
に参加できる」「学内の生徒に関するデータベースにログインできる」「地域コーディネーターとして
の取組を評価する機会がある」についても、地域コーディネーターの考えと学校側で用意している環境
についての差が大きいことが明らかとなった。
問8 地域コーディネーターとして活動されている中で感じている課題について教えてください。
・年間カリキュラムの組み立てなどにもう少し関わりたい。
・まだ動きながら形を作っていく段階のため予算組みと活動時間・内容の調整が課題。
・先生との打ち合わせ時間が少ない。
・コーディネーターが一人なのでもう少し人数が欲しい。
・すべての先生と繋がっている訳ではないので、繋がりのある先生が変わってしまう前に仕組みをつ
くっておかなければいけない。
・行政や、町内の義務教育との連携をもっととりたい。社会教育ベースでの高校の魅力化でありたい。
・地元の中学校の先生に高校の魅力を理解してもらう機会を作りたいが、あまり歓迎されていない。
・地域ということに全く興味のない生徒たちの興味関心を無理なく引き出す工夫が必要。
・どの生徒がどんな活動をしていて、どんな進路へと結び付くのかなどや、さまざまなフォーラムや、
イベントなどにどの生徒を誘ったら良いのかなどの情報の整理、把握をして、先生とも共有したい。
24
6―2.総合的な学習(探究)の時間の担当教員へのアンケート調査結果
1)アンケート項目
問1 地域コーディネーターとして関わっている学校名
問2 お名前
問3 教員歴
問4 総合的な学習(探究)の時間など関連する授業の担当歴
問5 現在、総合的な学習(探究)の時間の資料準備や調整、授業にどの位の時間で関わっておられ
ますか?
問6 学内や学外のコーディネートにおいて、学校側として地域コーディネーターにどのような役
割を期待していますか?
問7 学校側から地域コーディネーターに対して、どのような環境を用意していますか?また、今
後整えていきたいと思う環境はありますか?
問8 あなたが所属する学校の「総合的な学習(探究)の時間」と「地域コーディネーター」につい
ての課題を教えてください。
問9 あわせて、現在の地域コーディネーターの活動時間はどの程度ですか?
問10 その他、地域コーディネーターや総合的な学習(探究)の時間に関する取り組み、課題、ご意
見などご自由にお書きください。
【調査結果】抜粋
問6 学内や学外のコーディネートにおいて、学校側として地域コーディネーターにどのような役割
を期待していますか?
2
3
1
2
0
3
2
3
2
5
3
2
2
4
5
1
1
3
3
2
0 1 2 3 4 5
授業プログラムの実施
授業プログラムの修正・検証
成果目標の設定・評価
総合的な学習(探究)の時間に対する学内(担当外教員)への理解啓発
校長ないしは教頭を長とする学内会議体の設置・調整
生徒による学外での活動の把握とその成果の共有、外部からの評価の把握
新聞などのマスメディアへのプレスリリース
SNSなどでの外部発信(広報や成果報告)
地域課題の把握や調査
地域人材とのマッチング
中学校との連携調整
大学との連携調整
NPOとの連携調整
企業との連携調整
その他、学外組織との連携調整
保護者との理解や啓発、意識改革につながる取り組み
他校との連携、つながりの創出
生徒の好奇心と経験値を高めるプログラムの企画
社会で活躍する人材の育成
その他
学校が期待する役割
25
学校側として地域コーディネーターに期待する役割として、アンケートに回答した担当教員の全員
が回答したのは「地域人材とのマッチング」「学外組織との連携調整」であり、学外との連携を期待す
る声が多い結果となった。また、「企業との連携調整」も回答としては多く、外部機関との連携調整を
地域コーディネーターに期待していることが総じて分かった。さらに「生徒による学外での活動の把握
とその成果の共有、外部からの評価の把握」や「生徒の好奇心と経験値を高めるプログラムの企画」「社
会で活躍する人材の育成」など、地域コーディネーターの学校以外の学びの場の提供や企画力、外部で
の生徒の様子の記録にも期待していることが明らかとなった。
問7 学校側から地域コーディネーターに対して、どのような環境を用意していますか?また、今後
整えていきたいと思う環境はありますか?
学校から用意されている環境・整えていきたい環境として、総合的な学習(探究)の時間の担当教員
の全員が「活動のための一定の予算があり活用できる」を挙げた。また、「専用のデスクが職員室など
にある」「外部研修などに参加することができる」も 5 人中 4 人の教員が用意されているもしくは整え
ていきたい環境であると回答した。
1
3
2
2
4
2
1
3
4
5
3
3
3
2
0 1 2 3 4 5
職員会議等に参加できる
学校からの指示系統が決まっている
校長や教頭など責任者に提案する機会がある
定期的に総合的な学習(探求)の時間に関する会議が開かれている
専用のデスクが職員室などにある
専用のパソコンが支給されている
学内の生徒に関するデータベース等にログインできる
SNSなどの情報発信手段を活用できる
外部研修などに参加することができる
活動のための一定の予算があり活用できる
総合的な学習(探求)の時間に関する計画と目標、そこでの役割分担が学校…
地域コーディネーターの1年間の計画と目標が設定され、学校側から共有さ…
地域コーディネーターとしての取組を評価する機会がある
その他
学校から用意されている環境・整えていきたい環境
職員会議等に参加できる
学校からの指示系統が決まっている
校長や教頭など責任者に提案する機会がある
定期的に総合的な学習(探究)の時間に関する会議が開かれている
専用のデスクが職員室などにある
専用のパソコンが支給されている
学内の生徒に関するデータベース等にログインできる
SNS などの情報発信手段を活用できる
外部研修などに参加することができる
活動のための一定の予算があり活用できる
総合的な学習(探究)の時間に関する計画と目標、そこでの役割分担が学校側から共有されている
地域コーディネーターの 1 年間の計画と目標が設定され、学校側から共有されている
地域コーディネーターとしての取組を評価する機会がある
その他
26
問8 あなたが所属する学校の「総合的な学習(探究)の時間」と「地域コーディネーター」について
の課題を教えてください。
・活動の質量に対して報酬等の待遇が見合わないケースが出ているのが心苦しい。
・「総合的な探究の時間」の運営方法について検討中である。
そこにどう「地域コーディネーター」を関連付けて動いてもらうかも検討が必要。
・コーディネーターの役割は、総合的な学習の時間より、課題研究の方が大きい。
総合的な学習の時間は、補助的な立場である。
・主(お金の出どころとそれを決める人)が現場の思っている通りになれば最高だが、様々なハード
ルがあるのですぐにはそこにたどり着けていないのが今の課題。つまり、校外組織との校内組織の
間にあるやり方の違いや外部キーパーソンの不明瞭さ(こちらから本当に頼れる推進者・支援者が
外に見つかっていない)による「交渉ロス」の発生が最重要な課題である。
問10 あなたが所属する学校の「総合的な学習(探究)の時間」と「地域コーディネーター」につい
ての課題を教えてください。
・教科の専門性に依拠した教員にとって教科横断・総合的な学習は得手ではないことが少なくない。
かつ授業研究等で多忙を極めていることから地域とのコーディネートをする時間が確保できないの
が現状なので、教員以外のコーディネーター役職を設けることは教育効果が大きい。
また、教員自身も大学の教職課程や免許更新等の機会にコーディネートやファシリテートの資質能
力を向上させていくことが今後求められる。
・本校は今年度より「地域コーディネーター」に入っていただいてる。良い方が見つかったので、大変
助かっているが、県の補助がなくなった際にどのように人材と予算を確保するかが課題である。
学校が在籍する市町村に協力をお願いするが、災害復旧予算等に経費を割かれ、県立高校の魅力化に
いかに協力を引き出すかが課題である。
・今後を考えると地域コーディネーターの方が終日学校で働けるような、予算配分が必要と考えます。
また、県・市・地域・学校とが一体となって学校教育や社会教育を進めていく中でそれぞれが危機感
を持って取り組めるようになるような気がします。そのための教員加配、予算増加措置も必要と考え
ます。
・なるべく「地域コーディネーター」には自由に動いていただきたいので、学校への縛りは減らしたい
のだが、雇用形態的に学校に出勤している「時間給」的な発想になってしまうので、勤務の割り振り
であったり、時給計算であったり、その手間と制限が重い。
27
6―3.検討会での意見とアンケート結果から見えた課題と必要性
① これからの社会で活躍する人材の育成の必要性と学外連携の必要性
本提言書の背景にも示しているが、文部科学省は 2022 年度から高等学校で実施される新しい学習
指導要領を発表し、社会と連携・協働しながら、未来の創り手となるために必要な資質、能力を育む
「社会に開かれた教育課程」の実現を目的とした学習に変化している。また、基礎の学力だけでな
く、「思考力」「判断力」「表現力」「対話力」も重要視されてきており、総合的な学習(探究)の時間
の必要性も高まっている。
しかしながら、検討会での議論や本アンケート調査結果を踏まえると、総合的な学習(探究)の時
間における教員側の経験不足や知識不足、業務量過多による学校外と連携の少なさが指摘されてい
る。さらに学校がコーディネーターに期待する役割でも「地域人材とのマッチング」が上位であるこ
とから、総合的な学習(探究)の時間において地域との繋がりを求めている声は大きい。
② 地域コーディネーターの活動予算の確保の必要性
現状把握のためのアンケート調査結果の中で、地域コーディネーターと担当教員の双方から挙が
った要望・課題として、地域コーディネーターの「活動予算の確保」が目立った。地域コーディネー
ター側では、給与以外の活動予算の確保、教員側からは地域コーディネーターの活動の質量に対して
の報酬の不一致を思われていることや現在より地域コーディネーターが学校内で活動できる時間を
増やせるような予算確保の要望があり、予算の確保は大きな課題である。
③ 地域コーディネーターにおける活動レベルの差
アンケート調査結果や検討会での意見交換の中で、コーディネーターによっても活動レベルに差
があることが分かった。校長や教頭といった学内トップに対して要望の機会があるコーディネータ
ーや学内の職員会議にも参加しているコーディネーター、総合的な学習(探究)の時間の成果目標の
設定にも関わっているコーディネーター、授業参加と学外学習のコーディネートを主に担当してい
るコーディネーターなど、高校側の方針や総合的な学習(探究)の時間の位置づけ、高校側がもつ地
域コーディネーターの活動予算によって、活動レベルは各高校で異なる。
28
6―4.提言に向けたまとめ
総合的な学習(探究)の時間でこれからの社会に通用する人材育成を戦略的に進めることで、地域
づくりにおける観点でも将来的な定住や地域の交流人口の増加や行事の人材確保など大きな効果が
ある。しかし前項でも述べたように、これまでの既存の高校での教育の機能と総合的な学習(探究)
の時間の成果を相互補完的に検討する必要があり、以下の図のように整理を行った。
これからの社会は AI や ICT 技術の進歩による仕事の種類や質の変化、少子高齢化社会による社
会情勢の変化やニーズの移り変わり、新型コロナウイルスとの共存など、誰もが経験したことがない
時代に突入する。そしてそれは正解がない事柄に向かっていく時代でもある。
これまでの高校の普通科教育等による勉学は変わらず重要ではあるが、知識だけでは通用しない
社会、そして情報化社会に入っていくことから、無数の情報から必要な事柄を選択したり、逆転の発
想で物事を考えることができたり、柔軟性や臨機応変な対応や考え方が求められる。
国においても 2020 年 8 月 15 日に現在の高校普通科を再編し、早ければ 2022 年春にも普通科に
加えて「学際融合学科」と「地域探究学科」(ともに仮称)の 2 学科を設ける案をまとめたことが報
道された。中教審の特別部会などで(両案の)検討を進めることとなるが、地域探究学科には自治体
や地元企業との協力体制や地域コーディネーター配置などを要件とすることを検討していることか
ら、総合的な学習(探究)の時間が大きくフォーカスされることになる可能性も十分にありえる。
29
下記の地域をフィールドとした学びで習得できる力は学校の中だけの勉学で賄える力ではなく、
総合的な学習(探究)の時間で地域のあらゆる分野のヒト・モノ・コトに触れ、自ら考え企画し行動
することで、身に付く力であると考えており、だからこそ前提として地域でどういう人材を育ててい
くのか、市町村自治体をはじめ、企業や地域運営組織、NPO などと連携することが重要である。総
合的な学習(探究)の時間も単に生徒自身の地域への理解や愛着醸成を目指す目的だけではないこと
を説明したい。
30
【地域づくりの観点における高校戦略】
岡山県の人口は 2005 年の 195 万 7 千人をピークに減少傾向にあり、今後も人口減少は加速して
いくとみられている。また、総務省が 2019 年に発表した人口移動報告では、岡山県内の 27 市町村
のうち、転出者が転入者を上回る「転出超過」は 18 市町村に上り、日本人に限ると 22 町村が転出
超過となった。岡山市では、平成 25 年~29 年度の 5 年間においての東京圏への転出は 3,066 人、
大阪圏への転出は 1,559 名となっており、大都市への人口流出は大きな課題である。
特に若い世代の人口流出が顕著であり、津山市では、大学進学や就職と重なる高校卒業後の年齢の
市外への人口移動が他の年齢と比較して大幅に増えていることから「18 歳の崖」とも言われている。
これらの若い世代の人口流出が進む原因として、①地元への愛着が薄い(愛着を持つ機会も少な
い)②地方には魅力的な仕事がないと思われている ③首都圏で生活することへの憧れ ④有名大
学へ進学し、大手企業へ就職することのステータス(本人・保護者・教員)が関係していると考えら
れる。
若い世代の人口流出により、高齢化や人口減少が進むと、地方や中山間地域の高校の統廃合の可能
性も高まる。高校などの教育機関の有無が地域に与える影響は甚大であり、特に子育て世代の定住促
進にも大きな影響を及ぼす。
しかしながら、地域に高校があれば良いということでもない。教員の数に限りがあることや将来的
な統廃合の可能性があることなどを踏まえると、必然的に生徒や保護者は教育環境に限界がある高
校に進学する選択肢は低くなり、将来的には再編整理や廃校の対象にかかる可能性も出てくる。
そのため、地域と高校が一体となった体制整備と教育環境の充実を図る必要性がある。
地域での高校教育魅力化を進めるためには、前述の通り高校だけでは成り立たない。学校と地域
や自治体が一体となり、どのような人材を育て、どのような地域にしていきたいかという地域づくり
戦略の共通認識を図る必要がある。そのため、学校や地域からの一方的な支援に留まらず、目的等を
共有した双方向の調整が重要となり、その地域と高校のつなぎ役となるのがコーディネーターの役
割である。
また、2020 年度~2024 年度の「第 2 期まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、「将来的な地方
移住にもつながる関係人口の創出・拡大」「地方創生の基盤をなす人材に焦点を当て、掘り起こしや
育成、活躍を支援する」といった新たな視点が取り込まれ、「高等学校・大学等における人材育成」
の文言が明記された。
さらに、地域の将来を支える人材育成のための高校改革について述べられ、ふるさと教育など地域
課題の解決を通じた探究的な学びを実現するとともに、地域の協働体制を構築するために高校と地
域をつなぐコーディネーターの配置検討の文言も追加された。
31
若い世代の人口流出に歯止めをかけるためには、進路選択の重要な時期である高校の段階で地域
の理解と愛着を深めることが重要であるが、これらは即効的に高まるものではなく、継続的な取組み
の中で養われているものである。
また、地域住民と地域の課題解決に向けて協働することで、高校生の時から社会参画に携わる大
きなきっかけとなる。そして、地域リーダー、地元企業の社員、行政職員、地元の子どもたち、専門
職など業種や年代も多様な地域の「人」と出会う中で、高校生自身の将来的な目標や夢をもつことに
つながり、将来の多様な角度から地域づくりに関わる人材が増えることとして効果が生まれるので
はないだろうか。
さらに地域・教育魅力化プラットフォームが島根県において高校魅力化の社会経済効果を推計し
たところ、2017 年の地域総人口が 5%超増加したほか、地域の消費額が 3 億円程度増加、歳入も 1.5
億円程度の増加になった経過が示された。地域の高校存続に加え、地域や自治体が一体となった教育
の魅力化を図ることで、相乗効果として経済面にも大きな効果があることをお伝えしたい。
32
7.提言
7-1.県下における総合的な学習(探究)の時間の推進体制の構築
総合的な学習(探究)の時間や地域コーディネーターの重要性や必要性を幅広く周知し、理解してい
ただき、岡山県全域で一体となって推進していくためには、高校や地域コーディネーターをはじめ、市町
村自治体、地域コミュニティ、経済界、NPOなどの賛同する関係者が参画し議論を交わすことのできる
協議体が必要と考える。
そこで、県下における「(仮称)岡山県地域学推進ネットワーク」の設立を提言したい。
その理由として、現状、総合的な学習(探究)の時間や地域コーディネーターの重要性や必要性を理解
しているのは、一部の関係者や有識者に過ぎない。それぞれが持つネットワークの中でアウトリーチを
行い、協力要請や意識改革を図るためのアプローチをしている状況があるが、自治体関係者や学校の教
員の内部でも理解や必要性を感じる温度差があったり、地域学の推進では特に重要視されるコンソーシ
アム設置の合意形成に時間を要するなどの実情がある。また、前項からも述べているように地域コーデ
ィネーターの配置も資金的な理由から継続的な仕組みとして確立できているとはまだまだ言い難い。
これらの背景から、「(仮称)岡山県地域学推進ネットワーク」を設置し、①各界への協力要請 ②自治
体への啓発推進 ③教職員への啓発 ④個別高校のコンソーシアム設置サポート といった役割を岡山
県下の取組みとして関係者が一体となって果たすことを提言する。
①ステークホルダー
にとっての理想(正
解)
②それに対
する現実
③理想を阻
むもの(課
題)
④やるべき
こと(提言)
⑤それがで
きるスキル・
経験(提言)
⑥用意すべ
き環境(提
言)
33
7-2.市町村自治体との連携
前項の地域づくりの観点における高校戦略では、2020 年度~2024 年度の第 2 期まち・ひと・しごと
創生総合戦略において「高等学校・大学等における人材育成」の文言が明記されたことに触れ、地方創生
の一環として地域学に国としても推進していくことが明らかとなった。
これまでは市町村自治体と高校や地域コミュニティ等が対等の立場で地域学を進めていくというより
も高校側からの依頼や要望を基に生徒が地域へフィールドワークに出たり、行政担当者が高校での出前
授業を実施するなど、地域としてのビジョンが曖昧なまま進めてきた一面が大きい。
地方創生については市町村自治体が中心となって総合戦略を地域の実情や将来像を踏まえて方針を固
めるため、「私たちの地域をどのような地域にして、どのような人材を育てていくか、そのために私たち
の地域ではどのような力を伸ばし、経験させるか」について、市町村自治体を核として、高校をはじめと
した教育機関も一体となって運営体制とビジョンの共有を行うことを提言したい。
これらの協議と共有を行うのが「コンソーシアム」であり、コンソーシアムには高校だけでなく、地域
が一体となった一貫性のある教育を推進するためにも小学校、中学校も参画することが望ましい。そう
することで、それぞれの教育機関で役割とビジョンを整理し、それぞれの高校がもつ専門性や方針を基
に、各高校のカリキュラムをコンソーシアムで構築することが可能になると考える。
生徒自身が身に付ける能力を伸ばせることはもちろん、地域での学びの接点が途切れることなく、地
域コミュニティにおいても地域課題の解決の一助になり、地域に教育機関がある強みを自治体が最大限
に活かすことができる仕組みに変えることができるのではないだろうか。
34
7-3.地域コーディネーターの資質向上と安定的な確保
① 地域コーディネーターの役割と教員の役割の明確化
総合的な学習(探究)の時間を高校とコーディネーターが連携して進めていくにあたり、各校で高
校(教員)と地域コーディネーターの役割や一緒に検討していきたい部分を事前に明確化しておくこ
とが望ましい。
地域活動においては地域コーディネーターを定点としながらも総合的な学習(探究)の授業内容の
検討や高校として目指すべき方向等すべてをコーディネーターに全て丸投げすることは、学校側が
目指す生徒像に対して教員とコーディネーターの間で齟齬が生まれかねない。
こうした状態を防ぐためにも、教員とコーディネーター、そして岡山県地域学推進ネットワークや
コーディネーターを一括する民間組織の有識者が第三者として介入し協議する時間を設け、協議内
容に応じて「校長」「教頭」「学年主任」「担任」「カウンターパート(受入担当者)」「地域コーディネ
ーター」「岡山県地域学推進ネットワークもしくはコーディネーター民間組織」といったメンバーが
入り、求められる目標や成果と役割が共有されることが望ましい。
例)プログラム評価・方針 :校長、副校長、教頭、学年主任、カウンターパート、
コーディネーター、ネットワークもしくは民間組織
授業プログラムの設計 :学年主任、カウンターパート、担任、コーディネーター
フィールドワーク先調整:カウンターパート、コーディネーター
事前打合せと振り返り :カウンターパート、コーディネーター
② ケースやニーズに応じた地域コーディネーターの複数配置
岡山市や倉敷市、津山市など人口が多く、広域的で市内に高校が複数校ある場合、例えば単位自治
体にコーディネーターを複数人配置することで、高校同士での情報共有や協働でのプログラム実施
をすることも可能となる。さらに、単位自治体に配置される場合は横の連携に加え、中学校や大学な
ど縦の連携も取ることが可能であり、中高大の接続も視野に入れた地域戦略をより密接に検討する
こともできる。
また、一高校に地域コーディネーター複数配置をしている例もある。複数で配置されることによ
り、地域コーディネーター側もチームとして動くことができ、1 人のコーディネーターに全ての役割
と責任がのしかかるのではなく、役割分担でそれぞれのコーディネーターがもつ得意分野や強みを
より一層活かすことができる。
これらのことから学校や自治体側からのニーズに応じて、複数配置も可能な仕組みにするかつコ
ーディネーターの数自体を担保したい。そのためにも自治体単位でのコンソーシアム設置と体制構
築が重要となる。
35
③ 地域コーディネーターの導入にあたっての適正な活動報酬
前項でも示したように、総合的な学習(探究)の時間の成果目標の設定にも関わっているコーディ
ネーター、授業参加と学外学習のコーディネートを主に担当しているコーディネーターなど、高校側
の方針や総合的な学習(探究)の時間の位置づけ、高校側がもつ地域コーディネーターの活動予算に
よって、活動レベルは各高校で異なっていることが実情である。また、コーディネーターへの活動報
酬の確保はアンケート結果でも出ているように急務の課題であり、学校内の流用も現実的に厳しい
ことから頭を悩ませている現状である。
今回の提言書では、地域コーディネーターの活動のレベル分けを行い、その地域コーディネーター
のレベルに応じた活動報酬を下記の図の通り提言する。
そして、コーディネーターの適正な活動報酬については、地域をどのような地域にして、どのよう
な人材を育てていくのかというビジョンを自治体の事業戦略を核に構想することから、資金確保を
基本的には自治体が負担し、経済界からの経済的支援も望みたい。
【地域コーディネーターの活動レベルに応じた適正報酬】
【地域コーディネーターS】 適正報酬:600 万円 勤務形態:フルタイム
地域コーディネーターS はいわゆるプロデューサーレベルであり、学校や教員と一緒になっ
て調整をしながら、学校自体の理念や方針にも関わる「これから必要な人材」「生徒がもつべき
能力」「学習カリキュラムの設定」「授業の内容検討」を設計する。
36
【地域コーディネーターA】 適正報酬:400 万円 勤務形態:フルタイム
地域コーディネーターA はいわゆるディレクターレベルであり、これも学校や教員と一緒に
なって調整をしながら、「学習カリキュラムの設定」「授業の内容検討」を行い、実際に総合的な
学習(探究)の時間の授業にも関わりながら進めていく。プロデューサーS と異なる役割は「調
整」であり、フィールドワークをする際の調整など学校外との連携も担う。
【地域コーディネーターB】 適正報酬:200 万円 勤務形態:パートタイム
地域コーディネーターB は「授業の内容検討」及び「調整」を主な役割とする。総合的な学習
(探究)の時間で生徒と寄り添いながら授業を進め、フィールドワークの際の調整や生徒の学校
外での活動の様子や成果を高校やコンソーシアムに報告する役割を担う。
【地域コーディネーターC】 勤務形態:パートタイム
地域コーディネーターC は「調整」を主な役割とし、学校と地域を結ぶ役割を主とする。
④ 将来的な地域コーディネーターを一括する民間組織への委託
今後、前項でも述べた通り、国が高校普通科の再編を本格的に進め、コーディネーターを導入する
高校や自治体が増えた場合、コーディネーター自体の数の担保はもちろん、質の担保も必要となる。
また、高校によって総合的な学習(探究)の時間の位置づけが異なり、それぞれの高校の専門的な
ニーズに応じながら学習プログラムを組み立てたり、行政担当者や地域団体や企業等とのネットワ
ーク構築を図っていることから、コーディネーターに求められる役割は各高校によって大きく変わ
っている。
そこで、将来的な展望として地域コーディネーターを一括する民間組織を設立し、各自治体コンソ
ーシアムが民間組織と委託することで、それぞれの専門的ニーズに応じたコーディネーターの派遣
やコンソーシアムの連携強化も仕組みとして可能になる。しかしながらまずは、県下における推進体
制や理解啓発等を進める必要があるため、前項の「岡山県地域学推進ネットワーク」の設立を最優先
としたい。
⑤ 地域コーディネーターの人材育成
現在のコーディネーターは、コーディネーター自身が持つ経験やネットワークを活かし、独自で研
修会等に参加してスキルアップを行っている状況であることから、仕組みとして確立していない。
そこで、上記民間組織において、これまでのノウハウを培った経験者が中心となり、研修会やプロ
グラム開発(授業やインターン)等の企画も一括することで、新人コーディネーターも目指すべきビ
ジョンや役割等の共通認識を持つことができる。民間組織の場合は、自治体職員のような数年おきの
人事異動はないため、継続的な関係構築とノウハウの積み重ねになり、仕組みとして持続可能なもの
として確立することが可能となる。
37
8.関係資料
1.地域コーディネーターに求められる理想(検討委員会で出た意見一覧)
〈生徒〉
① 将来の選択肢を広げ、希望を見出せるコーディネート
・多様な価値観に触れ、選択肢に広がりができる
・生き方の選択肢を広げること
・進路への狭くなっている視野を広げることができる
・将来への希望が持てる
② つながり・関係性を豊かにするコーディネート
・学校内に斜めの関係がある
・バイト禁止でも社会とのつながりを持つことができる
・学校の学びと外の社会がつながる
・親と先生以外の人のつながりができる
・友達が増える
③ 自己の理解と肯定感を高めるコーディネート
・自己理解が深まる
・地域の人、子どもから、普段もらえない「褒められる」
「求められる」ことを通して自己肯定感が上がる
・好奇心が満たされる
④ 好奇心と経験値を高め、学ぶ意欲を高めるコーディネ
ート
・体験的な学び、本物、実物に触れる機会
・好奇心が満たされる
・住んでいるところ、学校のまわり、地域のこと、日本の
こと
・座学では学ぶことができない学力(生きる力)が身につ
く
〈保護者〉
① 子どもの安心な将来を想像させるコーディネート
・良い大学に入れる・子どもが自己肯定感を持つことがで
きる
・将来の生き方、時代の流れ(就職先の選び方)
・学力(広義)の向上につながる
・安心(進学・進路の不安)
② 親と子の関係性を深めるコーディネート
・初対面の人とも会話のキャッチボールができる(自慢の
息子・娘)
・家庭での子育ての領域を担ってもらえる可能性
・子と親のコミュニケーションが増える
・地域社会について共通の話題が持てる
③ 社会変化への理解を高めるコーディネート
・学校に「してもらう」だけでなく、理解、協力、共創関
係になる
・社会で求められる力、昔とは違うという情報を安心とと
もに届け理解する
〈小中学生〉
① 高校への憧れが強まるコーディネート
・高校や生徒について知る機会が増える
・憧れの大人、憧れのお兄さんお姉さんがいる
・地域の中でのお兄さんお姉さんとのつながり
・高校において社会に開かれた学びが分かることで将来に
希望が持てる
② 進路選択への知識が深まるコーディネート
・自分で選んで進学できる(意欲をもって高校生活を送れ
る)
・入試に向けて自分でちゃんと考え、選べるようになる
・高校選びの軸が偏差値ではない
・良い大学に入った実績が多い
・学力(広義)の向上につながる活動だと認識できる
・今の時代に必要な教育の在り方を理解(なんとなくでは
なく、自分の考えを持っている)
38
〈行政〉
① 定住・U ターンの促進につながるコーディネート
・自治体に関係する高校生に対しての印象をよくする
→定住
・地元就職し、定住する若者が増える(出生率が上がる)
・地域に貢献してくれる「人財」が育つ
・起業する若者が増える
・人材の確保 人材流出を防ぐ
・流出を防ぐ 移住・定住促進
・人が集まる
② 若者目線の政策立案へ繋がるコーディネート
・若い目線でのこれまで見えなかった部分の提案
・教育(高校)の現場の情報共有。市内在住の学生はどこ
に行っているのか
・人口減少社会、来るべき時代に向けた行政システム変更
が出来ている(税収減でもなんとかできる)
③ 地域への注目度が高まるコーディネート
・金が集まる
・注目が集まる
〈高校〉
① 高校に対する地域の理解と支持が高まるコーディネ
ート
・地域からの苦情が減り、地域が協力的になる
・地域の人との接続、学びにつながる人・モノとの接続
・地域の人を知らなくても安心した人選ができる
・学校の在り方、方向性、地域とのつながりがなぜ必要か
・学校ではできないリアルな体験を外で安心してさせるこ
とができる
・教育の社会性が高まる
② 入学希望者が増加するコーディネート
・入学を希望する生徒が増える
③ 社会で活躍する人材育成につながるコーディネート
・卒業生が社会で活躍する
・大学入試変容 求められる力をつけることができる
〈教員〉
① 業務負担の軽減につながるコーディネート
・教員にとっては負担減(かつ視野の広がり)
・業務負担の軽減
・先生の負担軽減
・生徒の伸ばしたい力を負担を増やすことなく伸ばせる
② 生徒の成長につながるコーディネート
・生徒の授業態度が改善される
・生徒の自立、共生の意識、地域からの目
・今までとは違った社会経験が持てる
・生徒の授業では見えない顔、能力、特技が見える
・生徒の成長を実感できる
③ 教員としての誇りがもてるコーディネート
・働くのが楽しい
・自分の子どもを通わせたいと思うような学校で働いてい
ける
・普段見れないキラキラした目やイキイキした姿を見て教
員としての喜びを感じる
〈地域コミュニティ(暮らす場所)〉
① 地域のカンフル剤・潤滑油につながるコーディネート
・主体的な参画者が増える
・減ってきている人とのつながりを(大人も)子どもをき
っかけに増やせる
・地域に出る子どものサポートで眠っている人の出番をつ
くる。
・外部からの刺激を得られる
・スタッフの人手が増える
・子どもがいるだけで幸せという価値
② 地域の担い手を育てるコーディネート
・担い手になり得る人材育成
・地域の魅力を知ってもらえることで、堂々と地元のこと
を話してもらえる
39
・目先の人口増だけでなく、人づくりの哲学。
未来への投資。
③ 地域課題の解決につながるコーディネート
・お互いの居場所づくり、人手不足の解消(高校生ボラン
ティア)
・交流が増える→課題発見・解決
・地域の問題が高校生の力で解決される
④ 地域の子どもと大人の接点が広がるコーディネート
・子どものふれあい、外で子どもを見るのが幸せ
・教育の魅力=地域の魅力 暮らしがいのある地域に
⑤ 高校生による非行などのトラブルが減少するコーデ
ィネート
・個のつながりが広く(強く)、犯罪防止
・治安がよくなる(高校生のトラブルが減って)
〈地域企業・NPO ※就職先〉
① 人材採用につながるコーディネート
・インターン募集など乗り出しやすい
・高校から関わることで、人材の確保・早期退職減少・若
者との関り方を理解
・指示待ちではない人材が育ち、採用につながる
・社長の思い→ハードではなく、ソフトをみる→本当に仕
事のマッチング
・良い人材の採用につながる
② 即戦力になる人材育成につながるコーディネート
・社会の問題解決に関心をもつ。自分の頭で考えることが
できる。
「人財」確保ができる。
・使える人材の育成(コミュニケーション能力)
・人の気持ちが分かる。こちらが言いたいことを理解して
もらえる
・自力がついた子が来る
④ 地域に還元される人材になるコーディネート
・担い手になる仲間づくり。大学に入ってからもつながる
こと
・地域の現状を知って外に出る。人とのつながりでいつか
戻ってくる。
・ボランティアや寄付が増える
〈大学・専門学校 ※進学先〉
① 意欲的な学生の入学につながるコーディネート
・地域とのつながりを持った意欲的な学生が増える
・学ぶ力が備わっている学生が入学
・勉強する理由が明確になる
・校外の学びを経験することにより、本質的な探究とする
ことができる。学生の確保
・能力のある(やる気のある)学生を獲得できる
② 高校と大学の連携が促進されるコーディネート
・早い段階から高校生と(濃い)接点を持てる
・高大連携で大学生を育てることができる。
地元の子どもも含めて。
・高校生と関わることで、大学生の成長につながる
40
2.地域コーディネーターが担うべき役割(検討委員会で出た意見一覧)
〈学内調整〉
① 外部との調整
・外部向け発信の準備
・年間を通じての微調整
・外部との調整・交渉・予算
② 成果目標の設定・評価
・高校生への授業の方向性の決定(マーケティング的なこ
とも)
・学校として、総合的な学習に対しての目標(スローガン)
を設ける
・教員との理解、すり合わせ(目標、行動)
・授業実施の計画の作成
・プログラムの修正・検証・目的共有
・成果目標の設定と評価
・高校が求めている生徒像の確認をまずはじめに
③ 教員・生徒への把握調査
・教員のニーズの集約
・授業の把握のための調査
・学内資源の把握調査(ヒト・モノ・バショ)
・先生への思っていることの調査、アンケートを取る(困
っていることなど)
④ 教員への研修
・プログラム提供、教員への指導、ノウハウ伝授
・教員研修(学年ごと、管理職、プログラムごと)
・教員内で意識統一を図る研修
⑤ 地域コーディネーターの見える化
・コーディネーターだよりで目指すところの共有
(コーディネーターは何をする人か?)
・コーディネーターの動きを見える化(いついるのか、何
をしているのか、関わっている生徒はだれか)
⑥ 教員の参加
・地域連携会議の先生の参加が少なめなので、もう少し多
くのメンバーに参加してもらいたい
・先生と地域の方の接点を増やしたい(前向きな意見交換
の場)
・教員の方との話す場(担当でない先生)職員会議に参加
・久常先生的な存在(理解のあるリーダー+マネージャー)
・先生の負担の少ない参加を促す
⑦ 連絡・情報共有
・連絡(生徒・先生)
・進路担当に対しての情報共有(地域連携担当が窓口とな
り担任や進路担当などへ)
・活動の成果共有・外部からの評価伝達
・事例の収集を共有
・事務とのやりとり
⑧ 生徒の情報集約
・外部人材からの郊外での活動の様子
⇒データベース活用の方法を検討
⇒生徒がどんな場面でどのように変わったのか
⑨ トップ(校長・教頭)からの理解
・校長ないしは教頭に対する学内の会議体の長に就くこと
の義務化
・校長、教頭レベルの総合的な学習への理解(GO サイン)
・校長や教頭から教員へのトップダウン
⑩ 総合的な学習への理解
・各教科や授業へのインストール
・授業の中に探求的な時間をどう生かすかの議論
・活動の成果共有・外部からの評価伝達
41
⑪ 会議体の設置
・校長ないしは教頭を長とする学内の会議体の設置(学内
調整)
・進路担当教員は会議体に入る
・メンバーは校長・教頭・学年主任・進路担当・保健室・
総合担当・地域連携担当
〈外部支援調整〉
① NPO との連携
・地域で活動している NPO との連携
・地域連携担当同士の情報交換(ワークショップ形式で)
② 情報発信・広報
・まずは知ってもらう(SNS、YouTube チャンネル発信、
#地域コーディネーター)
・広報してもらう
・プレスリリースを定期的にする
・ウェブサイトをつくる
③ メディア発信
・注目してもらう→発信してもらう
・ケーブルテレビ、新聞記者さんとのつながり
・地域コーディネーターの仕事に興味をもってもらう(活
動への理解)
・メディアファンをつくる(ことができたらいいな)
・外から見たコーディネーター像の確立(対メディア)
・メディア発信を行い、世論を動かす
④ 外部とのつながり
・どんな人がいるのか知る、ちゃんと会う
・講師を選ぶ、知る、呼ぶつながり、お金
・毎月 1 回は何かのイベントやセミナーに行く(色々な)
・動いている詳しい人詣で(5 人くらい定期的に会う)
・できるだけ講演会などに行ってつながる
・高校で元々つながりのある先生のことを知る
・紹介者→その人と会う場をつくってくれる人
⑤ 企業との連携
・企業の人材確保、人材育成とのマッチング
・企業とのつながり
・企業の評価を高校でする
⑥ 大学との連携
・大学教授のプログラム研究
・起こっていることをヒアリング等してまとめてもらう
(大学等)
・外部から研究してもらいながら、フィードバックをもら
う(研究者)
・学生を送り込んでもらう=学生を受け入れる
・論文発表で大学との連携(研究費を企業からもらう)
・大学の教育関係情報
⑦ 補助金・助成金の活用
・補助金の活用
・お金
〈利害関係調整〉
① 基金の設置
・お金を引っ張ってくる⇒基金設置
② ニーズ把握
・地域へのヒアリング調査
・主な地域の資源とニーズの把握(地域組織、NPO、企業、
大学、専門学校、行政など)
・主な就職先、進学先のニーズ把握(見込みも含む)
・ニーズの吸い上げ(地域、大学、企業、保護者、小学校
中学校)
・地域活動の把握
・地域のニーズをくみ取る
・学校に対するニーズ把握
・地域課題の把握 学びとのマッチング
・企業のニーズ・CSR とのマッチング
・企業が学校へ入ってもらう
求める人材の説明→どんな教育?
42
・イベントやコンテスト等の情報の整理、生徒のフォロー、
引率
・地元イベント参加の要望などへの対応、調整、協働の企
画づくりなど
③ 他校との連携・会議体の設置
・小学校、中学校との交流
・他校とのノウハウ共有連携
・他の高校の先生との交流
・ボランティアなどで協力してくれる地域の方との企画会
議(先生、地域の人、生徒)
・フィルター役
・行政、高校、地域、企業で情報の共有やざっくばらんな
意見交換(それぞれの本音を)
・ともに学ぶ(他校の事例、外国、本)
④ コンソーシアムの設置
・一緒にわくわくをつくる‘悪だくみ‘
・行政(部局、教育)・企業(経済団体)・自治組織・公民
館・福祉・学校
・コンソーシアム的なものの運営
・小中学校との関わり(地縁団体との連携・地域の人への
コーディネート)
・地域×教育×だっぴ(校長先生、教員、コーディネータ
ー、NPO、学生などを集めてフリップトーク)
・地域の人、企業の人とのリアルに対話できる(生徒が)
場づくり
・ニーズ把握を踏まえ、必要な人と組織による運営組織の
設置(意見だけでなく担う)
・地域コーディネーターの問の情報共有、エビデンス
・日々の地域の人たちとのネットワークづくり
顔が利く人になる
・地域コーディネーターの重要性、必要性、メリット、機
能性、高校生につけるべき力の議論
・地域コーディネーターが愚痴を言える場
・地域コーディネーターの仕事の社会的立ち位置の確立、
提案(広く理解してもらうため)
・行政担当者、地域の人、先生で連携会議
・高校側の立場で他者との交渉
・立ち話・飲み会・足を運ぶ
⑤ 行政との連携
・校長と町長とのいい関係づくり
・議会・行政の動きをキャッチ(議会だより・人事異動)
・自治体(市町村)での事業化
・行政との課題共有→提言、協働
・行政のトップや部長、次長級、議員に現場を見てもらっ
てズレの解消
⑥ 広報・成果報告
・成果報告会の開催(地域、PTA、首長)with だっぴなど
・保護者への説明(意義)⇒本当に必要な力
・地元への人への活動内容の広報
・外部への説明会(意義、メリット)
・成果の可視化(報告・発表・広報)
・関わったことが褒められる⇒表彰される(させる)
⇒やってよかった!もっとやろう!
・生徒の変容を発信する
・高校生の姿を見てもらう
・交流後の変化をデータ化しまとめ、公表
⑦ 先進地事例の研究
・理解を広げ、深める(先進地の情報、国の動向)
⇒考え方をともにつくる
・地域コーディネーターの育成・研修会
・先進地情報収集を共有⇒視察、研修
⑧ 大学・企業の巻き込み
・ボランティア先やコラボしたい大学等との面談や調整
・大学、企業の見学(どんなライフスタイル・仕事になる
のかを見てみる)
・大学連携 地域系の教授さんとのつながり
・保護者(PTA)を巻き込む
→地域企業とつながっているかも
・生徒のキャリアプランの立案
43
⑬ 小学校・中学校・高校の縦の連携
・小学校、中学校での学びの情報収集
・小学校校長、中学校校長と管理職と会う機会
・中高連携の調整、説明会
【国内初、市町村の人口・経済への高校魅力化の影響が明らかに
~高校統廃合に伴い市町村総人口の 1%が転出超過、高校魅力化により総人口は 5%超増加~】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000035136.html?fbclid=IwAR0X0OIA9sWuKcFww8JcEX1N87GQdS
FoxOABQl_0uhdkDO9VSdsQZy6H-rQ

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