一般的に、マンションにおける避難誘導手順や防災グッズは、種々の事情により公的なガイドラインのみを意識して準備れることが多く、個々の災害の実情に対応できず、期待されたほど役にたたない可能性が懸念されいる(形骸化)。とりわけ、大規模かつ超高層マンションでは、家族構成や生活スタイルが多様であり、かつ建物および住戸の物理構造が各箇所によって大きく異なるという特殊事情から、より汎用性ある避難誘導手順の策定や効果的な防災グッズの選定はなかなか難しい(実情からの乖離)。また、住人全体への防災意識の啓蒙と維持はチラシによる呼びかけや防災イベントへの参加を促す程度では限界がある(無関心)。これらの課題をふまえ、より実効性がある防災対策をどうやって進めればよいだろうか。この課題への一つのアプローチとして、「デザイン手法を活用した住人参加型の災害対策作り」を提案する。