関羽、投降の三つの条件
- 2. 第 16 集 関羽約三事(関羽、曹操に投降の 3 つの条件を出す)2009.4.22 更新
―「3時間で~」第 17、18 話参照
チャプター① 解説「張飛は劉岱を生け捕りにしたが、曹操の報復を恐れた劉備は彼を釈放。
そして関羽と自分の妻達を下邳に、孫乾を徐州に、自分と張飛は小沛に駐
屯。来るべき曹操の襲撃に備えた」~
チャプター② 兵をともなった曹操、董承宅を訪れる~
チャプター③ 董承らを滅ぼした曹操、次の標的を劉備に定め、窓の外を眺めながら「春
が来た。出陣の時だ」とつぶやく~
チャプター④ 山上に追い詰められた関羽と兵のところに張遼がやって来る~
チャプター⑤ 「劉備の行方が分かればそちらへ行く」という関羽の言葉を伝え聞いた曹
操、困って眉をひそめる~
~関羽の拝礼(投降の挨拶)を大喜びで受け入れる曹操。
第 16 集は主に 2 つの物語から構成されている。それは、①②の医師吉平による曹操毒殺の
失敗と董承一族の誅殺の場面、そして③④⑤の追い詰められた関羽が 3 つの条件を出して
曹操に投降するまでの経緯である。
①毒殺の実行犯となる医師吉平、献帝の侍医でもあるからベテランの年配の医者かと思っ
ていたが、意外と若い人が吉平に扮していた。 (↓左正面向きが吉平)
これは、このずっと後に出てくる名医・華佗(実在の人物だが、伝説的人物でもある。た
ぶん仙人風の人物として描かれるはず)と対照的な人を選んだのかも。
- 3. ④関羽と張遼が「曹操と徹底抗戦だ」
「いや、投降した方がよい」と言い争っている時、結
構おもしろい事に気がついた。それは本集のタイトル「関羽約三事(関羽投降の 3 つの条
件)」の「約三事」だが、これは最初から関羽が思いついた訳ではない。つまり、先ず張
遼が「投降しないと関羽は 3 つの罪(三罪)を負うことになる」と切り出し、次に「投降
すれば関羽にとって 3 つのメリット(三便)がある」と言い出した。これを受けて関羽が、
「お前が 3 つの罪を挙げて投降を迫るなら、私の方にも 3 つの条件(三約、三事)がある」
と言って、初めて例の3つの条件を掲げたのである。
張遼は表面的には曹操から派遣された説客のように見える。が、よくよくこの会話を聞い
てみると、関羽が最終的には曹操を見捨てて劉備につけるための有利な条件を、三便の
中で密かに提示している。実は関羽の生命を救おうとして説客役を買って出たという彼
の心情が、ここからよく伝わってくる。義理人情に厚い張遼らしい振る舞いだ。
関羽(左)と張遼(右)