More Related Content
What's hot
What's hot (20)
Similar to RTOS入門 タスク間同期通信
RTOS入門 タスク間同期通信
- 2. お品書き タスク間同期・通信は複数のタスクの実行を制御したり、タスク 間でデータを送受信するためのものである。ここではセマフォ、 イベントフラグについて取り上げる。 • セマフォ • イベントフラグ 注意事項として以下のものを取り上げる。 • 優先度逆転 • デッドロック
- 3. セマフォ 排他制御や同期関数の実装に使う。バイナリセマフォと計数セマフォ がある • バイナリセマフォ: 初期値 0 のセマフォ。呼び出し元を待機させた いときに使う • 計数セマフォ: 初期値 1 以上のセマフォ。1 つのハードウェアへ 高々 1 つだけのタスクからアクセスさせたいときに使う。いわゆる ロック/アンロック • ロック/アンロックしておかないと、ハードウェアを制御するシーケンスが途 中まで実施されたところに、さらに別のクライアントからもアクセスされ、 シーケンスが異常となってしまうといったことが発生しうる。 • 優先度逆転、デッドロックに注意
- 5. タスクA タスクB セマフォ ① メッセージキュー(CallBackも渡す) ② セマフォ取得待ち wai_sem ⑤ CallBack呼ぶ セマフォ返却 sig_sem ⑥ セマフォ取得 ③ 待機される バイナリセマフォ よくある使い方:同期処理の実装 ④何かやる セマフォ値0 セマフォ値1
- 6. 計数セマフォ セマフォ ① take ② take ③ take 待たされる ④ give ⑤ 取得 初期値 2 の計数セマフォ ① セマフォ値 2 => 1 ② セマフォ値 1 => 0 ③ 0 なので待機 ④ セマフォ値 0 => 1 ⑤ 1 になったので取得 よくある使い方:資源にアクセスするクライアント数を制限する
- 7. イベントフラグ • イベントの有無をビット毎のフラグで表現し、同期をおこなう • ビットの「OR待ち」と「AND待ち」がある。 • 優先度逆転、デッドロックに注意
- 8. イベントフラグの OR 待ち • どれかのビットが立ってるかチェック • ビット立ったら READY へ遷移 • 立ってない場合は WAITING へ遷移 • イベントフラグを削除すると READY -> DESTROYED へ遷移 • 複数ビットを利用する場合 最初にビット立てたイベントが チェックできる( どれか 1 つでもビットが立てば READY され るため )
- 9. wai_flg(0x06, OR) ビット0又は2が1にな るのを待つ 1 1 イベントフラグの OR 待ち ビット0 ビット3
- 10. イベントフラグの AND 待ち • 全てのビットが立ってるかチェック • ビット立ったら READY へ遷移 • 立ってない場合は WAITING へ遷移 • イベントフラグを削除すると READY -> DESTROYED へ遷移 • 複数ビットを利用する場合 最後にビット立てたイベントが チェックできる( 全ビットがが立てば READY されるため )
- 11. wai_flg(0x06, AND) ビット0且つ2が1にな るのを待つ 1 1 イベントフラグの AND 待ち ビット0 ビット3
- 12. イベントフラグ よくある使い方:全ての他タスクの準備が出来たら開始する タスクA タスクB タスC タスクD イベント フラグ イベントフラグ AND待ち ビット0セット ビット1セット ビット2セットイベントフラグ待ち 解除
- 15. 優先度逆転 1 つのセマフォを高優先度タスクと低優先度タスクが使おうとす ると発生しうる • 症状: 自タスクよりも低優先度のタスクが実行される • 処方箋: 万能薬は無い • どうしてもセマフォが必要か？ • セマフォを占有する区間は最短か？ • タスク優先度は適切か？
- 17. デッドロック • 症状: 複数のタスクがずっと止まる( セマフォ取得待ちによる WAIT 状態 ) • 処方箋: 万能薬は無い • 相互参照が原因ならば相互参照を解消すべし • シーケンスが原因ならばシーケンスを見直すべし 優先度逆転もデッドロックも「これさえやれば回避できる」とい う万能薬はない。設計段階で注意すべし。