解説

1. IJPC2015 B しりとり木
@sortreew

2. 問題概要
半角英小文字からなるm個の文字列それぞれを
頂点とする根付き木で、
葉以外の頂点はちょうど2つの子を持つ
各親の文字列の末尾と子の文字列の先頭が一致する。
木の存在を判定・構成する。
制約はm<=10^4

3. 判定
 まず、アルファベットの各文字を頂点としたグラフを考える。
 文字列はそれぞれ先頭文字から末尾文字への有向辺とする。

4. 判定
根の先頭文字の頂点を𝑟𝑠とします。
 𝑟𝑠以外の全ての頂点の出次数は偶数であり、入次数*2>=出次
数を満たす。
 𝑟𝑠の出次数は奇数であり、入次数*2+1>=出次数を満たす。
 𝑟𝑠から入次数が0でない全ての頂点に到達できる。
 これらを満たせば”YES”そうでなければ”NO”を出力する。

5. 証明
 十分条件であることは構成の過程で証明するとして、必要条
件となることを証明する。

6. 証明
 𝑟𝑠以外の全ての頂点の出次数は偶数であり、入次数*2>=出次
数を満たす。
 頂点に入ってくる1本の辺に対し0または2つの辺（子）を持
てるが、入ってくる全ての辺に子を持たせても高々入次数*2
の辺しか使うことができない。なので、入次数*2<出次数の
とき出ていく辺が必ず余ってしまい、全ての辺を用いること
ができなくなる。
 また、出次数が奇数なら一度に用いられる辺の数が偶数なの
で辺が必ず余ってしまう。

7. 証明
 𝑟𝑠の出次数は奇数であり、入次数*2+1>=出次数を満たす。
 根を作るのに出て行く辺を1つ使うので、他の頂点と比べ余
分に1つ辺を持っている必要がある。

8. 証明
 𝑟𝑠から入次数が0でない全ての頂点に到達できる。
 自明（もし到達できないなら、到達できない頂点に入ってい
く辺を使うことができないので構成できない）

9. 構成
幅優先で各頂点の子を選んでいく
子を選ぶ時、自分の頂点に到達できる頂点を優先し
て選べば良い。（深さ優先でO(頂点数^2)で調べるこ
とが出来る）
例：
{za,ab,ab,ac,ac,cd,cd,da}で根がzaのとき、bからaには到
達できないがcからaにはc->d->aで到達できるのでac
を優先する。

10. 証明
これより入出次数が0の頂点は無視します。
まず、前提から入ってくる辺が残っている、全ての
頂点に到達できる。
存在すると判定されたとき、以下の操作を繰り返す。
1度も選ばれてない葉を1つ選ぶ。
その葉の頂点から出て行く辺がないなら、葉のまま
とする。
その葉の頂点に入ってくる辺がないなら、任意の2つ
の頂点を子とする。

11. 証明
その葉の頂点に入ってくる辺がないなら、任意の2つ
の頂点を子とする。
その葉の頂点に入ってくる辺がないとき、前提より全
ての出て行く辺を使うことができる。この頂点にも戻
る必要がないので、この操作では「入ってくる辺が
残っている、全ての頂点に到達できる」状態を崩すこ
とはない

12. 証明
操作の続き
どちらにも当てはまらないとき、「入ってくる辺が
残っている、全ての頂点に到達できる」ので選んだ
葉の頂点に到達できる葉が存在する。
もし選んだ葉自身が到達できるなら、子を選んだ葉
自身に到達できる頂点と適当な1つの頂点とする。
選んだ葉に再び到達できるので、 「入ってくる辺が
残っている、全ての頂点に到達できる」状態が崩れる
ことはない

13. 証明
操作の続き
どちらにも当てはまらないとき、「入ってくる辺が
残っている、全ての頂点に到達できる」ので選んだ
葉の頂点に到達できる葉が存在する。
もし選んだ葉自身が到達できないなら、任意の2つの
頂点を子とする。
選んだ葉自身が到達できないならば、他の葉から選ん
だ葉の頂点に到達できるので、どれを選んでも到達で
きない点が現れることはない。

14. 証明
これを繰り返しても辺が残っていてかつ到達不可能
な頂点が現れず、全ての辺を使い切る事ができるた
め、構成できない場合が存在しない。