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Roy Kim
ITにおけるデザイン活⽤の課題と対応策
­デザインシステムでできる事­
Session 01
Fixel Inc. All rights reserved.
プロフィール
l FixelのUXデザイナー兼代表取締役
l デロイト、アビーム、BEA、オラクル、EMCなどでITコンサルタントとアーキ
テクトを経験
l B2B、B2EシステムのUX/UIデザインを⾏う
l 趣味でMac/iOSのアプリ開発
2
金 成哲
Roy Kim
UXデザインの事例紹介
Fixel Inc. All rights reserved.
UXの改善で
新規契約数を増やす︕
ヒューマンテクノロジーズ
Case 01
4
Fixel Inc. All rights reserved.
アウトライン
お客様
• ヒューマンテクノロジーズ
企業向けクラウド勤怠管理サービス「KING OF TIME」を提供。
国内トップシェアで歴史があるサービス。
依頼内容
• 競合サービスに勝てるUXに変え、新規利⽤企業を増やしたい。
背景
① 競合サービスが増え、無償トライアル期間で⽐較されると採択さ
れにくくなっている。
② 多機能なため始めて使う際の分かりやすさ、操作性などUX⾯での
改善を必要と考えていた。
5
Fixel Inc. All rights reserved.
実施内容
プロセス・期間
6
[フェーズ 0]
パートナー選定
[フェーズ 1]
UI改善プロジェクト
[フェーズ 2]
UX改善プロジェクト
約2カ⽉ 約9カ⽉ 約3カ⽉
1stリリース 2ndリリース
Fixel Inc. All rights reserved.
実施内容
プロセス・期間
7
[フェーズ 0]
パートナー選定
[フェーズ 1]
UI改善プロジェクト
[フェーズ 2]
UX改善プロジェクト
約2カ⽉ 約9カ⽉ 約3カ⽉
① 提案コンペ(6社) UX改善のための計画と改善案の提案コンペ
② トライアル
プロジェクト(3社)
既存サービスの改善を短期ワークショップ形式で⾏
い、プロトタイピングと簡易ユーザーテストまで実
施。その後の改善の⽅針と計画を提案しパートナー
に選定された。
実施内容
1stリリース 2ndリリース
Fixel Inc. All rights reserved.
実施内容
プロセス・期間
8
[フェーズ 0]
パートナー選定
[フェーズ 1]
UI改善プロジェクト
[フェーズ 2]
UX改善プロジェクト
約2カ⽉ 約9カ⽉ 約3カ⽉
① 現状分析 画⾯遷移・レイアウトやUI要素の分析、競合⽐較
② UI改善案検討 分析を踏まえUI部品/画⾯レイアウトなどを検討
③ 評価検証 機能⾯、実装⾯などから検証と調整
④ 実装時の技術サポート 新UIの実装⽅法に関する技術⽀援
⑤ リリース後評価 リリース後の評価、次フェーズ計画
実施内容
1stリリース 2ndリリース
Fixel Inc. All rights reserved.
実施内容
元の画⾯
9
Fixel Inc. All rights reserved.
実施内容
フェーズ1の成果物など
• サービスのメタファー(イ
10
UI改善後の画⾯・ビジュアルデザイン
Fixel Inc. All rights reserved.
実施内容
プロセス・期間
11
[フェーズ 0]
パートナー選定
[フェーズ 1]
UI改善プロジェクト
[フェーズ 2]
UX改善プロジェクト
約2カ⽉ 約9カ⽉ 約3カ⽉
① 既存ユーザーへの調査 インタビュー調査、課題の抽出
② UX改善案検討
UX/UI改善⽅針、ワイヤーフレーム検討、
ビジュアルデザイン調整、プロトタイピング
③ 評価検証 ユーザーテストを⾏い評価と改善
④ 実装時の技術サポート 新UIの実装⽅法に関する技術⽀援
実施内容
2ndリリース
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実施内容
12
ナビゲーションの改善
テーブル表⽰の改善 配⾊の改善その他・各画⾯の改善
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UXデザインの効果
13
ビジネスの課題を意識したUXデザインは有効
ゴールが明確であれば、戦略も⽴てやすい
しかし、既存ユーザーからは慣れていたUIが変わることに
対する反対の声があった
Step by Stepのアプローチが必要
Done Is Better Than Perfect!
v 新規契約獲得数が70%アップ︕ ※前年⽐
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デザインだけの改善で
海外案件獲得
⽇本発グローバル企業の情シス
Case 02
14
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アウトライン
お客様
• 世界に散在する400社の系列社を持つ⽇本企業
• ⽇本をベースに多国・多⽂化圏に業務⽤システムを提供する情シス部
⾨
依頼内容
• 2週間の短期間で既存ワークフローシステムのデザイン改善
背景
① 既存ワークフローシステムをアメリカの関連会社に提案したけど、
使い勝⼿の悪さや分かりにくさを理由に断られる
② 4週間後に再度提案のチャンスがあるので、そこまでできる改善を急
いで実施したい ⇒ デザインに使えるのは2週間︕
15
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実施内容
プロセス・期間
実施内容
• 短期間で既存システムをUXデザイナーに説明し、習得させる
• 営業、プロダクトオーナー、エンジニア、UXデザイナーがブレインス
トーミングに参加。その結果を受けてUIデザイナーがビジュアルデザ
イン作成
• PC版からスマホ版に順に対応
16
実装
1週⽬(PC版) 2週⽬(スマホ版)
既存システム理解
(3時間)
UIデザイン作成
(3⽇)
ブレインストーミング
(4時間)
既存システム理解
(1時間)
UIデザイン作成
(2⽇)
ブレインストーミング
(3時間)
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実施内容
元の画⾯
17
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実施内容
ブレインストーミング資料
18
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実施内容
改善後の画⾯デザイン
19
Fixel Inc. All rights reserved.
実施内容
Before / After
20
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UXデザインの効果
21
デザインスプリントの⼿法を変更して適⽤し、
「短納期&サーバー側は変更不可」という制約の下でも
⼤幅なデザイン改善ができた
結果的にアメリカの案件が取れた
社内で「なぜそれができたか︖」をレポートすることになり、
UXデザインへの興味が⾼まった
デザインの評判がよく、製品全体に同デザインを適⽤するこ
とになった
なぜ今、デザインなのか︖
Fixel Inc. All rights reserved.
なぜ今UXデザイン︖
23
新しい
他にない
多機能
⾼機能
⾼級感/信頼性
↕
安い
付加価値
⼯業商品のライフサイクル
Fixel Inc. All rights reserved.
なぜ今UXデザイン︖
24
新しい
他にない
多機能
⾼機能
⾼級感/信頼性
↕
安い
付加価値
⼯業商品のライフサイクル
• 多くの商品がこの段階まで進んでいる
• 付加価値の提供のため、視点が商品から
⼈に移る
AI/IoT Cloud
Computing
SNS, Game,
その他のサービス
ERP等パッケージ
App
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UXデザイン︓Why?
l ⽕付け役
• アップルのiPhone
• Mac
25
(私が考える)
⽕付け役の⼈と製品
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商品の価値基準が変わった
26
商品スペック 使⽤者経験<
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新しい価値提供⼿段としてのUXデザイン
27
「UXデザインがビジネスの
成敗の(重要な)要因」
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「UXの要件」を意識しよう
l 機能・⾮機能要件だけでは対
応できない課題がある
l システムの要件定義の際から
UXの要件を意識して定義する
ようにする
28
UXの要件
機能要件
⾮機能要件
システム・サービスの要件
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UXデザインの業務システムへの期待効果
ü 作業員の負荷を下げる
ü 業務ミスを防ぐ
ü 作業効率を上げる
ü セキュリティーのリスクを下げる
ü 対顧客サービスの質が向上する
ü 企業のコストを低減する
ü システム実装・改修費⽤を下げる
29
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業務系のシステムこそ、最初の効果が出やすい︕
30
品質
時間
初回UXデザインプロジェクト
の効果が最も⼤きい
フェーズ#1 フェーズ#2
User eXperience
デザイン導⼊の課題と
今までの(Fixelの)対応策
Fixel Inc. All rights reserved.
⼤⼿SIer、⼤企業のIT部⾨の現状
32
2011年 2018年
既存製品のデザイン
を改善してほしい
新規サービスを
⼀緒に考えてほしい
⾃社にUXデザインの⼈材を育て
たい・部署を作りたい
UXデザインの部署もできたけど、ど
うやって広げればいいか︖
今ここ︕
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ITにおけるデザイン導⼊の⽅法
l 外部のデザイナー・デザイン会社に作業を依頼する
• 既存ITプロセスのどの段階でデザインを依頼するか︖
• どのような成果物か期待できるか︖
• 該当プロジェクトにおいてデザインはどれくらいの価値があるか︖
ü どこまで投資すべきか︖
ü 価値をどうやって測るか︖
l ⾃社内にデザインチームを新設する
• チームメンバーをどう構成するか︖どう育てるか︖
• デザインチームとITチームとのコラボレーションはどうするか︖
• どうやって組織にデザインを浸透させるか︖
• デザインチームの価値をどうやって⾒せるか︖
33
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デザイン導⼊に対して今までやって来たこと
1. デザインに求める価値とその測定⽅法を明確にする
2. デザインを意識した新しいITプロセスを定義して実践する
3. デザインの成果物をITに合わせて再定義する
4. エンジニアにUXデザインの知識を教える
34
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1. デザインに求める価値とその測定⽅法の定義
l 各プロジェクトでUXデザインに求めるものを明確にする
• 考慮すべきUXの特徴
• 達成すべきUXのレベル
l KGI/KLI明確に定義し、それのビジネス価値を計算してデザイ
ンへの投資額を決める ⇒ ROIの算出
35
UX Honey Comb
対象システムの特徴
を考慮して定義する
多くの業務システム
が求めるレベル
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例︓先ほどの事例を振り返ると、
l Case 1
• フェーズ1
ü KGIは新規契約数
ü R: 新規契約1件の平均予想利益 x 契約増加数
ü I︓UXデザインとフロント実装に投資した⾦額
• フェーズ2
ü KGIは既存顧客アンケートにおける満⾜度
ü R: 既存契約者の継続によって予想される利益
ü I︓UXデザインとフロント実装に投資した⾦額
l Case 2
• KGI: 案件獲得
• R: 新規案件獲得時の利益
• I︓UXデザインとフロント実装に投資した⾦額
36
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反復
2. デザインがマージされたプロセスの定義
37
コンテキスト分析
ジャーニーマップ
作成
メンタルモデル
分析
プロトタイプ作成 ユーザーテスト
評価と改善
ゴールと範囲の
設定
分析フェーズ 実証フェーズ
l プロジェクトのゴール・要件に応じて上記のプロセスを適切に調整
評価基準の検討
計画フェーズ
ペルソナ定義
UXデザインの⼀般的プロセス
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UXデザイン × ウォータフォールプロセス
l ITプロセスの「要件定義」及び「基本設計」フェーズの⼀部を
UXデザインのタスクでリプレースできる
38
要件定義 基本設計 詳細設計 実装 テスト
コンテキスト分析
ジャーニーマップ
作成
メンタルモデル
分析
プロトタイプ作成 ユーザーテスト
評価と改善
ゴールと範囲の
設定
分析フェーズ 実証フェーズ
評価基準の検討
計画フェーズ
ペルソナ定義
Fixel Inc. All rights reserved.
UXデザイン × アジャイルプロセス
l タスクの⼀部としてデザインを受け⼊れ、常に次のイテレーション向けのデ
ザインを⾏う
l 各リリースにユーザーテストができるコードを追加し、常いユーザーテスト
ができている状態にする
l 各イテレーションから得られた情報に基づき、次回のデザイン作業に反映し
つつ、既存機能の改善を⾏う
39
デザイン
実装
デザイン
基盤作成 実装
デザイン
イテレーション イテレーション イテレーション
リリース リリース
テ
ス
ト
テ
ス
ト
デ
ザ
イ
ン
デ
ザ
イ
ン
コンテキスト
分析
ジャーニー
マップ
作成
メンタルモデ
ル
分析
プロトタイプ
作成
ユーザーテス
ト
評価と改善
ゴールと範
囲の設定
分析フェーズ 実証フェーズ
評価基準の
検討
計画フェーズ
ペルソナ定義
プラニングフェーズ
実装フェーズ
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3. デザインの成果物をITに合わせて再定義する
l ITが必要とする資料とUXデザインの成果物の精度は異なる
• ⽬的が異なるので、当たり前
l UXデザインの成果物から情報の損失なくITに必要なインプッ
トとするのは難しい
l プロジェクト単位(企業単位)でデザインとITの接点としての
⽂書の体系と内容の調整が必要
40
IT
Project
UXD
⽤語と成果物を合わせる
Fixel Inc. All rights reserved.
3. デザインの成果物をITに合わせて再定義する
l ITが必要とする資料とUXデザインの成果物の精度は異なる
• ⽬的が異なるので、当たり前
l UXデザインの成果物から情報の損失なくITに必要なインプッ
トとするのは難しい
l プロジェクト単位(企業単位)でデザインとITの接点としての
⽂書の体系と内容の調整が必要
41
IT
Project
UXD
⽤語と成果物を合わせる
それでも⽋落する情報があるので、
UXデザインのプロセスにエンジニ
ア側のリーダーを参加させ、デザイ
ンにおけるコンテキスト共有を⾏う
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4. エンジニアにUXデザインの知識を教える
l UXデザインは論理的な思考と⼈に
対する理解があれば誰でもできる
• 美的センスが必要な部分はごく⼀部で、それ
は専⾨家(ビジュアルデザイナー)に任せれ
ばいい
• ユーザーに対する理解・配慮がもっと⼤事
l UIデザインの裏のロジックも
学習できる
• 作る必要はない。評価できればいい
• 参考︓http://www.slideshare.net/ksc1213/ui-45852142
l 最初はUXデザイナーと⼀緒に経験を
積み、⾃⽴して⾏くように誘導する
42
論理的思考が必要な部分
美的センスやツールのスキルが必要な部分
Fixel Inc. All rights reserved.
先述した対応策に対する振り返り
l 個別プロジェクトにおける効果は確認済み
• 全社に広げるのは結構⼤変
l プロセスを変えることには努⼒と費⽤が必要
• ベストプラクティスがまだ不⾜している
l 専⾨家のサポートが必要
l デザインの学習には時間とコストがかかる
43
Fixel Inc. All rights reserved.
先述した対応策に対する振り返り
l 個別プロジェクトにおける効果は確認済み
• 全社に広げるのは結構⼤変
l プロセスを変えることには努⼒と費⽤が必要
• ベストプラクティスがまだ不⾜している
l 専⾨家のサポートが必要
l デザインの学習には時間とコストがかかる
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効果はあるものの、それなりに⼤変︕
さらなる課題
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時間の経過に伴うデザイン品質の劣化
l 商品のライフサイクルとデザイン品質の変化
46
品質
時間
初回リリース
2回⽬リリース
3回⽬リリース
Fixel Inc. All rights reserved.
時間の経過に伴うデザイン品質の劣化
l 商品のライフサイクルとデザイン品質の変化
47
品質
時間
初回リリース
2回⽬リリース
3回⽬リリース
その場あたりの
改修・機能追加
初回デザインとは異なるデザイン
ポリシーによってデザインされる
もう最初のデザインの思想
なんて誰も知らない
その場あたりの
改修・機能追加
カオス︕
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組織の壁によるデザイン品質の差
l システム単位でデザインの品質がバラバラ
48
品質
システムA システムB システムC システムD
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ブランド構築に失敗
l サービス単位に異なるテイストのデザイン
49
品質
サービスA サービスB サービスC サービスD
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ブランド構築に失敗
l サービス単位に異なるテイストのデザイン
50
品質
サービスA サービスB サービスC サービスD
UX品質の低下
ブランド構築失敗
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デザイン導⼊後の課題
l 作ったデザインの品質をどうやって保つか︖
• ⼀つの製品の時間の経過によるデザインの⼀貫性を維持
• 複数のシステム・サービス間のデザインの⼀貫性を維持
l 「デザインを作る」だけではなく、「共有する」、「管理す
る」、「再利⽤する」ことへの考慮が必要
l デザインの深い知識がないエンジニアがデザインの品質を維持
しながら効率よく実装する⼿法が必要
51
より根本的な質問
Fixel Inc. All rights reserved.
こうはなれないか︖
l 企業からの理想は、デザインも商品扱いできればベストではな
いか︖
53
「今度作る新サービスに新しいデザインが必要ですね」
「あ、そう︖今あるものではダメなん︖」
「今のデザインの在庫ではちょっと、要件に合っているのがないです」
「じゃあ、1個買って」
「分かりました。今週中に買って適⽤します。」
「管理台帳にも記録して、他に必要な⼈達に共有してね」
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こうはなれないか︖
l 企業からの理想は、デザインも商品扱いできればベストではな
いか︖
54
「今度作る新サービスに新しいデザインが必要ですね」
「あ、そう︖今あるものではダメなん︖」
「今のデザインの在庫ではちょっと、要件に合っているのがないです」
「じゃあ、1個買って」
「分かりました。今週中に買って適⽤します。」
「管理台帳にも記録して、必要な⼈達に共有してね」
なぜこうならないか︖
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なぜデザインは難しいか︖
l デザインはまだまだ抽象度が⾼い
l 「創造性の世界」との認識が強く属⼈性が⾼い
• プロセスや根底にある思いが明⽂化されることが少ない
• 共有できない。つまり、引き継げない、再現できない
l ITとのコラボ期間がまだ短い
55
アート> デザイン > コード > 商品
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歴史は繰り返す
ITも⼀時期は芸術の領域に近かった
• 「コードは芸術か否か︖」と旺盛に議論していた時代もあった
ITは規模が⼤きくなりながら建築から多くのことを学んだ
• ウォーターフォルプロセス
• アーキテクチャー、モジュール、コンポーネントの再利⽤等、多くの概念・⽤
語を建築から学んで理論武装できた
• 個⼈のコードからみんなのコードへと、認識が変わって来た
デザインは今ITから「猛烈に」学んでいる
• シリコンバレーではITとデザインの⼤融合が発⽣中
ü デザインもコーディングもできる⼈の急増
• デザインがITに似て来ている
• デザインがより具体的でかつ管理可能なものに変わりつつある
56
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なぜデザインは難しいか︖
l デザインはまだまだ抽象度が⾼い ➡ 具体化する
l 「創造性の世界」との認識が強く属⼈性が⾼い
• プロセスや根底にある思いが明⽂化されることが少ない ➡ 明⽂
化する
• 共有できない。つまり、引き継げない、再現できない ➡ 仕組み
を作る
l ITとのコラボ期間がまだ短い ➡ 必要なツールを揃える
57
アート> デザイン > コード > 商品
[今起きていること]
デザインの抽象度を
落とし⾒える化する︕
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例︓“Atomic Design” という⼿法の登場
UIデザインをページ単位ではなく
「コンポーネント単位」でとらえデザインする手法
58
UI要素を「原⼦・分⼦・有機体…」と
いった物理世界を構成する仕組みにな
らって構造化・部品化している。
それらを階層的に組み合わせることで、
⼤きなコンポーネントやページを作成
する考え⽅。
※Brad Frost⽒が提唱している考え⽅
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Atomic Designの詳細
l ①原⼦ ②分⼦ ③有機体 ④テンプレート ⑤ページ の5段階で構成。
l 原⼦ ︓ 最も抽象度が高いUI部品。様々な画⾯で再利用される。
l [原⼦ ➡ 分⼦ ➡ 有機体] の順でより具体的なUIコンポーネントになる。
l テンプレート ︓ 複数画⾯へ展開するためのページレイアウトの枠組
み。
l ページ ︓ 具体的な内容(テキストや画像、アイコンなど)が⼊った個別画⾯。
59
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Atomic Designを使ったデザイン
ü Atomic Designの構造にならい、シンボルを⼊れ⼦構造で作る。
ü デザインの構造に合わせて、コンポーネントも実装する。
60
Atomic
Design
Sketch
の区分
対象要素 サンプル
- Lv0
部品に紐づく属性など
※Sketchでの作業上定義する
原子
Atoms
Lv1
これ以上分解できない
最⼩単位の部品
分子
Molecules
Lv2
原⼦を組み合わせて作る
様々な画⾯やコンテキストで利⽤
できる汎⽤性のある部品
有機体
Organisms
Lv3
複数の原⼦・分⼦で構成
⽐較的複雑な部品
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Atomic Designを⽤いるメリット
ü Atomic Designの分割⽅法でUIコンポーネントを設計することで、デザイン
上の構造と、コード上の構造を共通化できる。それにより効率的にデザイン
システム化ができる。
ü 最⼩単位のコンポーネントが独⽴しているため、部分的な修正がどう全体に
影響するかわかりやすく、全体の品質を崩さずデザインの改変が可能になる。
61
Fixel Inc. All rights reserved.
関連書籍の出版
62
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ITとデザインのエコー環境⽐較
区分 IT デザイン
制作ツール IDE、各種エディタ Ps、Ai、Sketchなど
統合ツール 各種UT、CIツールで⾃動化
履歴管理ツール Github、Subversionなど
共有ツール Github、Subversionなど Adobe Cloud︖
プロセス • ウォーターフォール、ア
ジャイル等。
• 実績・情報多数
• UXデザインとUIデザイン
を網羅したプロセスの不在
• 情報不⾜
関連情報 ⽂書体系、管理体制が整って
いる。資産管理ツールがある
共有⽂化 OSS Dribble︖(作品の公開であり、知識
の共有ではない)
63
l デザインには組織として活⽤されるためのツールが揃えていない
• 個⼈の作業を中⼼に捉えたツールが揃えてある状態
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ITとデザインのエコー環境⽐較
区分 IT デザイン
制作ツール IDE、各種エディタ Ps、Ai、Sketchなど
統合ツール 各種UT、CIツールで⾃動化
履歴管理ツール Github、Subversionなど
共有ツール Github、Subversionなど Adobe Cloud︖
プロセス • ウォーターフォール、ア
ジャイル等。
• 実績・情報多数
• UXデザインとUIデザイン
を網羅したプロセスの不在
• 情報不⾜
関連情報 ⽂書体系、管理体制が整って
いる。資産管理ツールがある
共有⽂化 OSS Dribble︖(作品の公開であり、知識
の共有ではない)
64
l デザインには組織として活⽤されるためのツールが揃えていない
• 個⼈の作業を中⼼に捉えたツールが揃えてある状態
これらのツールなしで、
ITのプロジェクトは管理で
きますか︖
これらのツールなしで、
ITのプロジェクトは管理で
きますか︖
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ITとデザインのエコー環境⽐較
区分 IT デザイン
制作ツール IDE、各種エディタ Ps、Ai、Sketchなど
統合ツール 各種UT、CIツールで⾃動化
履歴管理ツール Github、Subversionなど
共有ツール Github、Subversionなど Adobe Cloud︖
プロセス • ウォーターフォール、ア
ジャイル等。
• 実績・情報多数
• UXデザインとUIデザイン
を網羅したプロセスの不在
• 情報不⾜
関連情報 ⽂書体系、管理体制が整って
いる。資産管理ツールがある
共有⽂化 OSS Dribble︖(作品の公開であり、知識
の共有ではない)
65
l デザインには組織として活⽤されるためのツールが揃えていない
• 個⼈の作業を中⼼に捉えたツールが揃えてある状態
これらのツールなしで、
デザインのプロジェクトは
管理できますか︖
これらのツールなしで、
デザインのプロジェクトは
管理できますか︖
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ITとデザインのエコー環境⽐較
区分 IT デザイン
制作ツール IDE、各種エディタ Ps、Ai、Sketchなど
統合ツール 各種UT、CIツールで⾃動化 ︖
履歴管理ツール Github、Subversionなど ︖
共有ツール Github、Subversionなど Adobe Cloud︖
プロセス • ウォーターフォール、ア
ジャイル等。
• 実績・情報多数
• UXデザインとUIデザイン
を網羅したプロセスの不在
• 情報不⾜
関連情報 ⽂書体系、管理体制が整って
いる。資産管理ツールがある
︖
共有⽂化 OSS Dribble︖(作品の公開であり、知識
の共有ではない)
66
l デザインには組織として活⽤されるためのツールが揃えていない
• 個⼈の作業を中⼼に捉えたツールが揃えてある状態
これらのツールがあると、少なくとも
コードと同じくらいの抽象度でデザイ
ンを管理することができる
これらのツールがあると、少なくとも
コードと同じくらいの抽象度で、
デザインを管理することができる
デザイン システムの紹介
Fixel Inc. All rights reserved.
デザインシステムとは
68
デザインシステムの構成
デザインガイドライン
+
デザインポリシー
+
UIコンポーネント
(パターンライブラリー)
+
各種リソース
デザインシステムの価値
• デザインの⽅針とその背景などの情報が共有で
きるので、関係者全員がデザインに対して共通
の認識を持つことができる
• デザインの実装に必要な情報が網羅されている
• 複数のデザイナーが⼀貫性のあるデザインを効
率よく作成できる
• エンジニアの開発⽣産性と実装の品質が上がる
• デザイン資産を具体化して管理できるものにす
る
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Salesforceのデザインシステム
l 3rd party サービスプロバイダー向
けのデザインガイドラインを公開
していたが、あまり効果がなかっ
たのでデザインシステムの提供に
⽅針転換
l Web、iOS、Android向けのデザイ
ンシステムを提供
l 実装技術に依存しない、UIコン
ポーネントを提供
l Localization、markupやスタイル
ガイドラインまで提供
69
Salesforce
Lightning Design System
https://www.lightningdesignsystem.com
Fixel Inc. All rights reserved.
IBMのデザインシステム
l SketchファイルによるUI Design KitとComponent Library Kitを提
供
l Vanila.jsとReact.js向けの実装を提供(Angula版は⾮公式)
l テーマがあって、サービス別にカスタマイズして使⽤
• Bluemix、Watson向けのテーマとその他汎⽤的なテーマがある
70
IBM Carbon Design System
http://carbondesignsystem.com
Fixel Inc. All rights reserved.
その他のデザインシステム
Alibabaのインターナルデスクトップ⽤のデザインシステム
71
ANT Design System
https://ant.design
U.S. Web Design Standards
https://standards.usa.gov
アメリカの政府機関のデザインシステム
Fixel Inc. All rights reserved.
デザインシステムの例
l プラットフォームレベルでUXの⼀貫性を維持するためのもの
72
Google Material Design
https://material.io/guidelines/material-
design/introduction.html
Microsoft Fluent Design System
https://fluent.microsoft.com
Fixel Inc. All rights reserved.
⽇本企業のデザインシステム
73
Mercari UK
https://medium.com/mercari-uk/mercari-uks-new-look-design-system-2918964902d0
Fixel Inc. All rights reserved.
デザインシステムの⼀覧
Githubに公開されたデザインシステム⼀覧
74
Awesome Design Systems
https://github.com/alexpate/awesome-design-systems
Adele
https://adele.uxpin.com/
UXPinで運⽤するデザインシステム⼀覧
デザインシステム導⼊における課題
Fixel Inc. All rights reserved.
デザインシステム構築・運営における課題
l 初期コストがかかる
• デザインガイドの作成
• UI部品の作成
• デザインシステム公開のためのサイト構築
• デザイナーとエンジニアで構成されたチームが必要
l 継続的な運⽤が必要
• デザインシステムの専任チームが必要
l 結果的に現状は主に⼤⼿企業や有名サービスだけが
デザインシステムを構築・運営している
76
Fixel Inc. All rights reserved.
デザインシステム構築・運営における課題
l 初期コストがかかる
• デザインガイドの作成
• UI部品の作成
• デザインシステム公開のためのサイト構築
• デザイナーとエンジニアで構成されたチームが必要
l 継続的な運⽤が必要
• デザインシステムの専任チームが必要
l 結果的に現状は主に⼤⼿企業や有名サービスだけがデザインシ
ステムを構築・運営している
77
その対応策を2部で、
お話しさせていただきます︕
ITにおけるデザイン活用の課題と対応策ーデザインシステムでできること

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  • 2. Fixel Inc. All rights reserved. プロフィール l FixelのUXデザイナー兼代表取締役 l デロイト、アビーム、BEA、オラクル、EMCなどでITコンサルタントとアーキ テクトを経験 l B2B、B2EシステムのUX/UIデザインを⾏う l 趣味でMac/iOSのアプリ開発 2 金 成哲 Roy Kim
  • 4. Fixel Inc. All rights reserved. UXの改善で 新規契約数を増やす︕ ヒューマンテクノロジーズ Case 01 4
  • 5. Fixel Inc. All rights reserved. アウトライン お客様 • ヒューマンテクノロジーズ 企業向けクラウド勤怠管理サービス「KING OF TIME」を提供。 国内トップシェアで歴史があるサービス。 依頼内容 • 競合サービスに勝てるUXに変え、新規利⽤企業を増やしたい。 背景 ① 競合サービスが増え、無償トライアル期間で⽐較されると採択さ れにくくなっている。 ② 多機能なため始めて使う際の分かりやすさ、操作性などUX⾯での 改善を必要と考えていた。 5
  • 6. Fixel Inc. All rights reserved. 実施内容 プロセス・期間 6 [フェーズ 0] パートナー選定 [フェーズ 1] UI改善プロジェクト [フェーズ 2] UX改善プロジェクト 約2カ⽉ 約9カ⽉ 約3カ⽉ 1stリリース 2ndリリース
  • 7. Fixel Inc. All rights reserved. 実施内容 プロセス・期間 7 [フェーズ 0] パートナー選定 [フェーズ 1] UI改善プロジェクト [フェーズ 2] UX改善プロジェクト 約2カ⽉ 約9カ⽉ 約3カ⽉ ① 提案コンペ(6社) UX改善のための計画と改善案の提案コンペ ② トライアル プロジェクト(3社) 既存サービスの改善を短期ワークショップ形式で⾏ い、プロトタイピングと簡易ユーザーテストまで実 施。その後の改善の⽅針と計画を提案しパートナー に選定された。 実施内容 1stリリース 2ndリリース
  • 8. Fixel Inc. All rights reserved. 実施内容 プロセス・期間 8 [フェーズ 0] パートナー選定 [フェーズ 1] UI改善プロジェクト [フェーズ 2] UX改善プロジェクト 約2カ⽉ 約9カ⽉ 約3カ⽉ ① 現状分析 画⾯遷移・レイアウトやUI要素の分析、競合⽐較 ② UI改善案検討 分析を踏まえUI部品/画⾯レイアウトなどを検討 ③ 評価検証 機能⾯、実装⾯などから検証と調整 ④ 実装時の技術サポート 新UIの実装⽅法に関する技術⽀援 ⑤ リリース後評価 リリース後の評価、次フェーズ計画 実施内容 1stリリース 2ndリリース
  • 9. Fixel Inc. All rights reserved. 実施内容 元の画⾯ 9
  • 10. Fixel Inc. All rights reserved. 実施内容 フェーズ1の成果物など • サービスのメタファー(イ 10 UI改善後の画⾯・ビジュアルデザイン
  • 11. Fixel Inc. All rights reserved. 実施内容 プロセス・期間 11 [フェーズ 0] パートナー選定 [フェーズ 1] UI改善プロジェクト [フェーズ 2] UX改善プロジェクト 約2カ⽉ 約9カ⽉ 約3カ⽉ ① 既存ユーザーへの調査 インタビュー調査、課題の抽出 ② UX改善案検討 UX/UI改善⽅針、ワイヤーフレーム検討、 ビジュアルデザイン調整、プロトタイピング ③ 評価検証 ユーザーテストを⾏い評価と改善 ④ 実装時の技術サポート 新UIの実装⽅法に関する技術⽀援 実施内容 2ndリリース
  • 12. Fixel Inc. All rights reserved. 実施内容 12 ナビゲーションの改善 テーブル表⽰の改善 配⾊の改善その他・各画⾯の改善
  • 13. Fixel Inc. All rights reserved. UXデザインの効果 13 ビジネスの課題を意識したUXデザインは有効 ゴールが明確であれば、戦略も⽴てやすい しかし、既存ユーザーからは慣れていたUIが変わることに 対する反対の声があった Step by Stepのアプローチが必要 Done Is Better Than Perfect! v 新規契約獲得数が70%アップ︕ ※前年⽐
  • 14. Fixel Inc. All rights reserved. デザインだけの改善で 海外案件獲得 ⽇本発グローバル企業の情シス Case 02 14
  • 15. Fixel Inc. All rights reserved. アウトライン お客様 • 世界に散在する400社の系列社を持つ⽇本企業 • ⽇本をベースに多国・多⽂化圏に業務⽤システムを提供する情シス部 ⾨ 依頼内容 • 2週間の短期間で既存ワークフローシステムのデザイン改善 背景 ① 既存ワークフローシステムをアメリカの関連会社に提案したけど、 使い勝⼿の悪さや分かりにくさを理由に断られる ② 4週間後に再度提案のチャンスがあるので、そこまでできる改善を急 いで実施したい ⇒ デザインに使えるのは2週間︕ 15
  • 16. Fixel Inc. All rights reserved. 実施内容 プロセス・期間 実施内容 • 短期間で既存システムをUXデザイナーに説明し、習得させる • 営業、プロダクトオーナー、エンジニア、UXデザイナーがブレインス トーミングに参加。その結果を受けてUIデザイナーがビジュアルデザ イン作成 • PC版からスマホ版に順に対応 16 実装 1週⽬(PC版) 2週⽬(スマホ版) 既存システム理解 (3時間) UIデザイン作成 (3⽇) ブレインストーミング (4時間) 既存システム理解 (1時間) UIデザイン作成 (2⽇) ブレインストーミング (3時間)
  • 17. Fixel Inc. All rights reserved. 実施内容 元の画⾯ 17
  • 18. Fixel Inc. All rights reserved. 実施内容 ブレインストーミング資料 18
  • 19. Fixel Inc. All rights reserved. 実施内容 改善後の画⾯デザイン 19
  • 20. Fixel Inc. All rights reserved. 実施内容 Before / After 20
  • 21. Fixel Inc. All rights reserved. UXデザインの効果 21 デザインスプリントの⼿法を変更して適⽤し、 「短納期&サーバー側は変更不可」という制約の下でも ⼤幅なデザイン改善ができた 結果的にアメリカの案件が取れた 社内で「なぜそれができたか︖」をレポートすることになり、 UXデザインへの興味が⾼まった デザインの評判がよく、製品全体に同デザインを適⽤するこ とになった
  • 23. Fixel Inc. All rights reserved. なぜ今UXデザイン︖ 23 新しい 他にない 多機能 ⾼機能 ⾼級感/信頼性 ↕ 安い 付加価値 ⼯業商品のライフサイクル
  • 24. Fixel Inc. All rights reserved. なぜ今UXデザイン︖ 24 新しい 他にない 多機能 ⾼機能 ⾼級感/信頼性 ↕ 安い 付加価値 ⼯業商品のライフサイクル • 多くの商品がこの段階まで進んでいる • 付加価値の提供のため、視点が商品から ⼈に移る AI/IoT Cloud Computing SNS, Game, その他のサービス ERP等パッケージ App
  • 25. Fixel Inc. All rights reserved. UXデザイン︓Why? l ⽕付け役 • アップルのiPhone • Mac 25 (私が考える) ⽕付け役の⼈と製品
  • 26. Fixel Inc. All rights reserved. 商品の価値基準が変わった 26 商品スペック 使⽤者経験<
  • 27. Fixel Inc. All rights reserved. 新しい価値提供⼿段としてのUXデザイン 27 「UXデザインがビジネスの 成敗の(重要な)要因」
  • 28. Fixel Inc. All rights reserved. 「UXの要件」を意識しよう l 機能・⾮機能要件だけでは対 応できない課題がある l システムの要件定義の際から UXの要件を意識して定義する ようにする 28 UXの要件 機能要件 ⾮機能要件 システム・サービスの要件
  • 29. Fixel Inc. All rights reserved. UXデザインの業務システムへの期待効果 ü 作業員の負荷を下げる ü 業務ミスを防ぐ ü 作業効率を上げる ü セキュリティーのリスクを下げる ü 対顧客サービスの質が向上する ü 企業のコストを低減する ü システム実装・改修費⽤を下げる 29
  • 30. Fixel Inc. All rights reserved. 業務系のシステムこそ、最初の効果が出やすい︕ 30 品質 時間 初回UXデザインプロジェクト の効果が最も⼤きい フェーズ#1 フェーズ#2 User eXperience
  • 32. Fixel Inc. All rights reserved. ⼤⼿SIer、⼤企業のIT部⾨の現状 32 2011年 2018年 既存製品のデザイン を改善してほしい 新規サービスを ⼀緒に考えてほしい ⾃社にUXデザインの⼈材を育て たい・部署を作りたい UXデザインの部署もできたけど、ど うやって広げればいいか︖ 今ここ︕
  • 33. Fixel Inc. All rights reserved. ITにおけるデザイン導⼊の⽅法 l 外部のデザイナー・デザイン会社に作業を依頼する • 既存ITプロセスのどの段階でデザインを依頼するか︖ • どのような成果物か期待できるか︖ • 該当プロジェクトにおいてデザインはどれくらいの価値があるか︖ ü どこまで投資すべきか︖ ü 価値をどうやって測るか︖ l ⾃社内にデザインチームを新設する • チームメンバーをどう構成するか︖どう育てるか︖ • デザインチームとITチームとのコラボレーションはどうするか︖ • どうやって組織にデザインを浸透させるか︖ • デザインチームの価値をどうやって⾒せるか︖ 33
  • 34. Fixel Inc. All rights reserved. デザイン導⼊に対して今までやって来たこと 1. デザインに求める価値とその測定⽅法を明確にする 2. デザインを意識した新しいITプロセスを定義して実践する 3. デザインの成果物をITに合わせて再定義する 4. エンジニアにUXデザインの知識を教える 34
  • 35. Fixel Inc. All rights reserved. 1. デザインに求める価値とその測定⽅法の定義 l 各プロジェクトでUXデザインに求めるものを明確にする • 考慮すべきUXの特徴 • 達成すべきUXのレベル l KGI/KLI明確に定義し、それのビジネス価値を計算してデザイ ンへの投資額を決める ⇒ ROIの算出 35 UX Honey Comb 対象システムの特徴 を考慮して定義する 多くの業務システム が求めるレベル
  • 36. Fixel Inc. All rights reserved. 例︓先ほどの事例を振り返ると、 l Case 1 • フェーズ1 ü KGIは新規契約数 ü R: 新規契約1件の平均予想利益 x 契約増加数 ü I︓UXデザインとフロント実装に投資した⾦額 • フェーズ2 ü KGIは既存顧客アンケートにおける満⾜度 ü R: 既存契約者の継続によって予想される利益 ü I︓UXデザインとフロント実装に投資した⾦額 l Case 2 • KGI: 案件獲得 • R: 新規案件獲得時の利益 • I︓UXデザインとフロント実装に投資した⾦額 36
  • 37. Fixel Inc. All rights reserved. 反復 2. デザインがマージされたプロセスの定義 37 コンテキスト分析 ジャーニーマップ 作成 メンタルモデル 分析 プロトタイプ作成 ユーザーテスト 評価と改善 ゴールと範囲の 設定 分析フェーズ 実証フェーズ l プロジェクトのゴール・要件に応じて上記のプロセスを適切に調整 評価基準の検討 計画フェーズ ペルソナ定義 UXデザインの⼀般的プロセス
  • 38. Fixel Inc. All rights reserved. UXデザイン × ウォータフォールプロセス l ITプロセスの「要件定義」及び「基本設計」フェーズの⼀部を UXデザインのタスクでリプレースできる 38 要件定義 基本設計 詳細設計 実装 テスト コンテキスト分析 ジャーニーマップ 作成 メンタルモデル 分析 プロトタイプ作成 ユーザーテスト 評価と改善 ゴールと範囲の 設定 分析フェーズ 実証フェーズ 評価基準の検討 計画フェーズ ペルソナ定義
  • 39. Fixel Inc. All rights reserved. UXデザイン × アジャイルプロセス l タスクの⼀部としてデザインを受け⼊れ、常に次のイテレーション向けのデ ザインを⾏う l 各リリースにユーザーテストができるコードを追加し、常いユーザーテスト ができている状態にする l 各イテレーションから得られた情報に基づき、次回のデザイン作業に反映し つつ、既存機能の改善を⾏う 39 デザイン 実装 デザイン 基盤作成 実装 デザイン イテレーション イテレーション イテレーション リリース リリース テ ス ト テ ス ト デ ザ イ ン デ ザ イ ン コンテキスト 分析 ジャーニー マップ 作成 メンタルモデ ル 分析 プロトタイプ 作成 ユーザーテス ト 評価と改善 ゴールと範 囲の設定 分析フェーズ 実証フェーズ 評価基準の 検討 計画フェーズ ペルソナ定義 プラニングフェーズ 実装フェーズ
  • 40. Fixel Inc. All rights reserved. 3. デザインの成果物をITに合わせて再定義する l ITが必要とする資料とUXデザインの成果物の精度は異なる • ⽬的が異なるので、当たり前 l UXデザインの成果物から情報の損失なくITに必要なインプッ トとするのは難しい l プロジェクト単位(企業単位)でデザインとITの接点としての ⽂書の体系と内容の調整が必要 40 IT Project UXD ⽤語と成果物を合わせる
  • 41. Fixel Inc. All rights reserved. 3. デザインの成果物をITに合わせて再定義する l ITが必要とする資料とUXデザインの成果物の精度は異なる • ⽬的が異なるので、当たり前 l UXデザインの成果物から情報の損失なくITに必要なインプッ トとするのは難しい l プロジェクト単位(企業単位)でデザインとITの接点としての ⽂書の体系と内容の調整が必要 41 IT Project UXD ⽤語と成果物を合わせる それでも⽋落する情報があるので、 UXデザインのプロセスにエンジニ ア側のリーダーを参加させ、デザイ ンにおけるコンテキスト共有を⾏う
  • 42. Fixel Inc. All rights reserved. 4. エンジニアにUXデザインの知識を教える l UXデザインは論理的な思考と⼈に 対する理解があれば誰でもできる • 美的センスが必要な部分はごく⼀部で、それ は専⾨家(ビジュアルデザイナー)に任せれ ばいい • ユーザーに対する理解・配慮がもっと⼤事 l UIデザインの裏のロジックも 学習できる • 作る必要はない。評価できればいい • 参考︓http://www.slideshare.net/ksc1213/ui-45852142 l 最初はUXデザイナーと⼀緒に経験を 積み、⾃⽴して⾏くように誘導する 42 論理的思考が必要な部分 美的センスやツールのスキルが必要な部分
  • 43. Fixel Inc. All rights reserved. 先述した対応策に対する振り返り l 個別プロジェクトにおける効果は確認済み • 全社に広げるのは結構⼤変 l プロセスを変えることには努⼒と費⽤が必要 • ベストプラクティスがまだ不⾜している l 専⾨家のサポートが必要 l デザインの学習には時間とコストがかかる 43
  • 44. Fixel Inc. All rights reserved. 先述した対応策に対する振り返り l 個別プロジェクトにおける効果は確認済み • 全社に広げるのは結構⼤変 l プロセスを変えることには努⼒と費⽤が必要 • ベストプラクティスがまだ不⾜している l 専⾨家のサポートが必要 l デザインの学習には時間とコストがかかる 44 効果はあるものの、それなりに⼤変︕
  • 46. Fixel Inc. All rights reserved. 時間の経過に伴うデザイン品質の劣化 l 商品のライフサイクルとデザイン品質の変化 46 品質 時間 初回リリース 2回⽬リリース 3回⽬リリース
  • 47. Fixel Inc. All rights reserved. 時間の経過に伴うデザイン品質の劣化 l 商品のライフサイクルとデザイン品質の変化 47 品質 時間 初回リリース 2回⽬リリース 3回⽬リリース その場あたりの 改修・機能追加 初回デザインとは異なるデザイン ポリシーによってデザインされる もう最初のデザインの思想 なんて誰も知らない その場あたりの 改修・機能追加 カオス︕
  • 48. Fixel Inc. All rights reserved. 組織の壁によるデザイン品質の差 l システム単位でデザインの品質がバラバラ 48 品質 システムA システムB システムC システムD
  • 49. Fixel Inc. All rights reserved. ブランド構築に失敗 l サービス単位に異なるテイストのデザイン 49 品質 サービスA サービスB サービスC サービスD
  • 50. Fixel Inc. All rights reserved. ブランド構築に失敗 l サービス単位に異なるテイストのデザイン 50 品質 サービスA サービスB サービスC サービスD UX品質の低下 ブランド構築失敗
  • 51. Fixel Inc. All rights reserved. デザイン導⼊後の課題 l 作ったデザインの品質をどうやって保つか︖ • ⼀つの製品の時間の経過によるデザインの⼀貫性を維持 • 複数のシステム・サービス間のデザインの⼀貫性を維持 l 「デザインを作る」だけではなく、「共有する」、「管理す る」、「再利⽤する」ことへの考慮が必要 l デザインの深い知識がないエンジニアがデザインの品質を維持 しながら効率よく実装する⼿法が必要 51
  • 53. Fixel Inc. All rights reserved. こうはなれないか︖ l 企業からの理想は、デザインも商品扱いできればベストではな いか︖ 53 「今度作る新サービスに新しいデザインが必要ですね」 「あ、そう︖今あるものではダメなん︖」 「今のデザインの在庫ではちょっと、要件に合っているのがないです」 「じゃあ、1個買って」 「分かりました。今週中に買って適⽤します。」 「管理台帳にも記録して、他に必要な⼈達に共有してね」
  • 54. Fixel Inc. All rights reserved. こうはなれないか︖ l 企業からの理想は、デザインも商品扱いできればベストではな いか︖ 54 「今度作る新サービスに新しいデザインが必要ですね」 「あ、そう︖今あるものではダメなん︖」 「今のデザインの在庫ではちょっと、要件に合っているのがないです」 「じゃあ、1個買って」 「分かりました。今週中に買って適⽤します。」 「管理台帳にも記録して、必要な⼈達に共有してね」 なぜこうならないか︖
  • 55. Fixel Inc. All rights reserved. なぜデザインは難しいか︖ l デザインはまだまだ抽象度が⾼い l 「創造性の世界」との認識が強く属⼈性が⾼い • プロセスや根底にある思いが明⽂化されることが少ない • 共有できない。つまり、引き継げない、再現できない l ITとのコラボ期間がまだ短い 55 アート> デザイン > コード > 商品
  • 56. Fixel Inc. All rights reserved. 歴史は繰り返す ITも⼀時期は芸術の領域に近かった • 「コードは芸術か否か︖」と旺盛に議論していた時代もあった ITは規模が⼤きくなりながら建築から多くのことを学んだ • ウォーターフォルプロセス • アーキテクチャー、モジュール、コンポーネントの再利⽤等、多くの概念・⽤ 語を建築から学んで理論武装できた • 個⼈のコードからみんなのコードへと、認識が変わって来た デザインは今ITから「猛烈に」学んでいる • シリコンバレーではITとデザインの⼤融合が発⽣中 ü デザインもコーディングもできる⼈の急増 • デザインがITに似て来ている • デザインがより具体的でかつ管理可能なものに変わりつつある 56
  • 57. Fixel Inc. All rights reserved. なぜデザインは難しいか︖ l デザインはまだまだ抽象度が⾼い ➡ 具体化する l 「創造性の世界」との認識が強く属⼈性が⾼い • プロセスや根底にある思いが明⽂化されることが少ない ➡ 明⽂ 化する • 共有できない。つまり、引き継げない、再現できない ➡ 仕組み を作る l ITとのコラボ期間がまだ短い ➡ 必要なツールを揃える 57 アート> デザイン > コード > 商品 [今起きていること] デザインの抽象度を 落とし⾒える化する︕
  • 58. Fixel Inc. All rights reserved. 例︓“Atomic Design” という⼿法の登場 UIデザインをページ単位ではなく 「コンポーネント単位」でとらえデザインする手法 58 UI要素を「原⼦・分⼦・有機体…」と いった物理世界を構成する仕組みにな らって構造化・部品化している。 それらを階層的に組み合わせることで、 ⼤きなコンポーネントやページを作成 する考え⽅。 ※Brad Frost⽒が提唱している考え⽅
  • 59. Fixel Inc. All rights reserved. Atomic Designの詳細 l ①原⼦ ②分⼦ ③有機体 ④テンプレート ⑤ページ の5段階で構成。 l 原⼦ ︓ 最も抽象度が高いUI部品。様々な画⾯で再利用される。 l [原⼦ ➡ 分⼦ ➡ 有機体] の順でより具体的なUIコンポーネントになる。 l テンプレート ︓ 複数画⾯へ展開するためのページレイアウトの枠組 み。 l ページ ︓ 具体的な内容(テキストや画像、アイコンなど)が⼊った個別画⾯。 59
  • 60. Fixel Inc. All rights reserved. Atomic Designを使ったデザイン ü Atomic Designの構造にならい、シンボルを⼊れ⼦構造で作る。 ü デザインの構造に合わせて、コンポーネントも実装する。 60 Atomic Design Sketch の区分 対象要素 サンプル - Lv0 部品に紐づく属性など ※Sketchでの作業上定義する 原子 Atoms Lv1 これ以上分解できない 最⼩単位の部品 分子 Molecules Lv2 原⼦を組み合わせて作る 様々な画⾯やコンテキストで利⽤ できる汎⽤性のある部品 有機体 Organisms Lv3 複数の原⼦・分⼦で構成 ⽐較的複雑な部品
  • 61. Fixel Inc. All rights reserved. Atomic Designを⽤いるメリット ü Atomic Designの分割⽅法でUIコンポーネントを設計することで、デザイン 上の構造と、コード上の構造を共通化できる。それにより効率的にデザイン システム化ができる。 ü 最⼩単位のコンポーネントが独⽴しているため、部分的な修正がどう全体に 影響するかわかりやすく、全体の品質を崩さずデザインの改変が可能になる。 61
  • 62. Fixel Inc. All rights reserved. 関連書籍の出版 62
  • 63. Fixel Inc. All rights reserved. ITとデザインのエコー環境⽐較 区分 IT デザイン 制作ツール IDE、各種エディタ Ps、Ai、Sketchなど 統合ツール 各種UT、CIツールで⾃動化 履歴管理ツール Github、Subversionなど 共有ツール Github、Subversionなど Adobe Cloud︖ プロセス • ウォーターフォール、ア ジャイル等。 • 実績・情報多数 • UXデザインとUIデザイン を網羅したプロセスの不在 • 情報不⾜ 関連情報 ⽂書体系、管理体制が整って いる。資産管理ツールがある 共有⽂化 OSS Dribble︖(作品の公開であり、知識 の共有ではない) 63 l デザインには組織として活⽤されるためのツールが揃えていない • 個⼈の作業を中⼼に捉えたツールが揃えてある状態
  • 64. Fixel Inc. All rights reserved. ITとデザインのエコー環境⽐較 区分 IT デザイン 制作ツール IDE、各種エディタ Ps、Ai、Sketchなど 統合ツール 各種UT、CIツールで⾃動化 履歴管理ツール Github、Subversionなど 共有ツール Github、Subversionなど Adobe Cloud︖ プロセス • ウォーターフォール、ア ジャイル等。 • 実績・情報多数 • UXデザインとUIデザイン を網羅したプロセスの不在 • 情報不⾜ 関連情報 ⽂書体系、管理体制が整って いる。資産管理ツールがある 共有⽂化 OSS Dribble︖(作品の公開であり、知識 の共有ではない) 64 l デザインには組織として活⽤されるためのツールが揃えていない • 個⼈の作業を中⼼に捉えたツールが揃えてある状態 これらのツールなしで、 ITのプロジェクトは管理で きますか︖ これらのツールなしで、 ITのプロジェクトは管理で きますか︖
  • 65. Fixel Inc. All rights reserved. ITとデザインのエコー環境⽐較 区分 IT デザイン 制作ツール IDE、各種エディタ Ps、Ai、Sketchなど 統合ツール 各種UT、CIツールで⾃動化 履歴管理ツール Github、Subversionなど 共有ツール Github、Subversionなど Adobe Cloud︖ プロセス • ウォーターフォール、ア ジャイル等。 • 実績・情報多数 • UXデザインとUIデザイン を網羅したプロセスの不在 • 情報不⾜ 関連情報 ⽂書体系、管理体制が整って いる。資産管理ツールがある 共有⽂化 OSS Dribble︖(作品の公開であり、知識 の共有ではない) 65 l デザインには組織として活⽤されるためのツールが揃えていない • 個⼈の作業を中⼼に捉えたツールが揃えてある状態 これらのツールなしで、 デザインのプロジェクトは 管理できますか︖ これらのツールなしで、 デザインのプロジェクトは 管理できますか︖
  • 66. Fixel Inc. All rights reserved. ITとデザインのエコー環境⽐較 区分 IT デザイン 制作ツール IDE、各種エディタ Ps、Ai、Sketchなど 統合ツール 各種UT、CIツールで⾃動化 ︖ 履歴管理ツール Github、Subversionなど ︖ 共有ツール Github、Subversionなど Adobe Cloud︖ プロセス • ウォーターフォール、ア ジャイル等。 • 実績・情報多数 • UXデザインとUIデザイン を網羅したプロセスの不在 • 情報不⾜ 関連情報 ⽂書体系、管理体制が整って いる。資産管理ツールがある ︖ 共有⽂化 OSS Dribble︖(作品の公開であり、知識 の共有ではない) 66 l デザインには組織として活⽤されるためのツールが揃えていない • 個⼈の作業を中⼼に捉えたツールが揃えてある状態 これらのツールがあると、少なくとも コードと同じくらいの抽象度でデザイ ンを管理することができる これらのツールがあると、少なくとも コードと同じくらいの抽象度で、 デザインを管理することができる
  • 68. Fixel Inc. All rights reserved. デザインシステムとは 68 デザインシステムの構成 デザインガイドライン + デザインポリシー + UIコンポーネント (パターンライブラリー) + 各種リソース デザインシステムの価値 • デザインの⽅針とその背景などの情報が共有で きるので、関係者全員がデザインに対して共通 の認識を持つことができる • デザインの実装に必要な情報が網羅されている • 複数のデザイナーが⼀貫性のあるデザインを効 率よく作成できる • エンジニアの開発⽣産性と実装の品質が上がる • デザイン資産を具体化して管理できるものにす る
  • 69. Fixel Inc. All rights reserved. Salesforceのデザインシステム l 3rd party サービスプロバイダー向 けのデザインガイドラインを公開 していたが、あまり効果がなかっ たのでデザインシステムの提供に ⽅針転換 l Web、iOS、Android向けのデザイ ンシステムを提供 l 実装技術に依存しない、UIコン ポーネントを提供 l Localization、markupやスタイル ガイドラインまで提供 69 Salesforce Lightning Design System https://www.lightningdesignsystem.com
  • 70. Fixel Inc. All rights reserved. IBMのデザインシステム l SketchファイルによるUI Design KitとComponent Library Kitを提 供 l Vanila.jsとReact.js向けの実装を提供(Angula版は⾮公式) l テーマがあって、サービス別にカスタマイズして使⽤ • Bluemix、Watson向けのテーマとその他汎⽤的なテーマがある 70 IBM Carbon Design System http://carbondesignsystem.com
  • 71. Fixel Inc. All rights reserved. その他のデザインシステム Alibabaのインターナルデスクトップ⽤のデザインシステム 71 ANT Design System https://ant.design U.S. Web Design Standards https://standards.usa.gov アメリカの政府機関のデザインシステム
  • 72. Fixel Inc. All rights reserved. デザインシステムの例 l プラットフォームレベルでUXの⼀貫性を維持するためのもの 72 Google Material Design https://material.io/guidelines/material- design/introduction.html Microsoft Fluent Design System https://fluent.microsoft.com
  • 73. Fixel Inc. All rights reserved. ⽇本企業のデザインシステム 73 Mercari UK https://medium.com/mercari-uk/mercari-uks-new-look-design-system-2918964902d0
  • 74. Fixel Inc. All rights reserved. デザインシステムの⼀覧 Githubに公開されたデザインシステム⼀覧 74 Awesome Design Systems https://github.com/alexpate/awesome-design-systems Adele https://adele.uxpin.com/ UXPinで運⽤するデザインシステム⼀覧
  • 76. Fixel Inc. All rights reserved. デザインシステム構築・運営における課題 l 初期コストがかかる • デザインガイドの作成 • UI部品の作成 • デザインシステム公開のためのサイト構築 • デザイナーとエンジニアで構成されたチームが必要 l 継続的な運⽤が必要 • デザインシステムの専任チームが必要 l 結果的に現状は主に⼤⼿企業や有名サービスだけが デザインシステムを構築・運営している 76
  • 77. Fixel Inc. All rights reserved. デザインシステム構築・運営における課題 l 初期コストがかかる • デザインガイドの作成 • UI部品の作成 • デザインシステム公開のためのサイト構築 • デザイナーとエンジニアで構成されたチームが必要 l 継続的な運⽤が必要 • デザインシステムの専任チームが必要 l 結果的に現状は主に⼤⼿企業や有名サービスだけがデザインシ ステムを構築・運営している 77 その対応策を2部で、 お話しさせていただきます︕