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ブランドの産み方
Tomoko Nishio
参考書
2010年
ケビン・ケラー
2000年
デューン・ナップ
2003年
秦郷次郎
2003年
窪山哲雄
Agenda
1. ブランドとは
2. 背景:ブランディングへの興味
3. ブランドの生まれ方
4. 事例:ヴィトンとレクサス
5. 誰でもできるブランドの産み方 その①
6. まとめ:ブランディングでもっとも大切なもの
Agenda
1. ブランドとは
2. 背景:ブランディングへの興味
3. ブランドの生まれ方
4. 事例:ヴィトンとレクサス
5. 誰でもできるブランドの産み方 その①
6. まとめ:ブランディングでもっとも大切なもの
ブランドとは
• ロゴのこと
1.ブランドとは
ブランドとはロゴのこと
• 生産物を他と区別する印をつけたのがブランドの始まり

⇦ギルドの職人、輸送中のワイン
• 「焼印をつけること」を意味する brander というノル
ウェーの古ノルド語から「ブランド」という言葉が派生
• (ただし現在『ブランド=ロゴ』は狭義)
1.ブランドとは
ブランドとは『概念』になること
1.ブランドとは
ブランドとは『概念』になること
• 個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサー
ビスを識別させ、競合他社の商品やサービスと
差別化するための、ネーム・言葉・記号・シン
ボル・デザイン・あるいはそれらを組み合わせ
たもの 

(アメリカマーケティング協会)
1.ブランドとは
ブランドとは『概念』になること
• 市場に一定の認知・評判・存在感などを生み出
したもの

(ケビン・ケラー「戦略的ブランドマネジメン
ト」)
1.ブランドとは
• 価値のために存在するもの。顧客がそのブランドの情緒的・
機能的ベネフィットのメンタルモデルを構築し際立っている
と認識しているもの

(デューンE・ナップ「ブランドマインドセット」)
• 企業体が提供する商品・サービスの価値を示す概念のこと

概念名=ブランド名

ロゴ=概念のショートカット
1.ブランドとは
ブランドとは『概念』になること
例)壊れない、美しい、素材と技術がすぐれている、
使いやすい、長く使える、信頼できる、有名、伝統が
ある、お店が世界中にあってフォローが充実、接客が
丁寧で上品、満足感がある、高級、革新性がある
=
Agenda
1. ブランドとは
2. 背景:ブランディングへの興味
3. ブランドの生まれ方
4. 事例:ヴィトンとレクサス
5. 誰でもできるブランドの産み方 その①
6. まとめ:ブランディングでもっとも大切なもの
ブランディングへの(個人的)興味
2.背景:ブランディングへの興味
1999年 ブランドって作れるんだ
2005年 ブランド作ってみたい
2016年
ブランディングとは何だったの
か
ブランディングへの興味 1999年
ブランド=モノ、商品
ブランディング:
✦ ビジネス現場のノウハウ
✦ 一部の大学で個人の方法論を教諭
✦ 未体系の実学
2.背景:ブランディングへの興味
ブランドって作れるんだ
ブランディングへの興味 2005年
認識の変化 by情報量の増加
✦ ブランド=モノ→サービス化
✦ 商品だけでなくタッチ・フォロー
も含めて全体がブランド
✦ サービスもブランドになりうる
2.背景:ブランディングへの興味
ブランド作ってみたい
ブランディングしてみたい
Agenda
1. ブランドとは
2. 背景:ブランディングへの興味
3. ブランドの生まれ方
4. 事例:ヴィトンとレクサス
5. 誰でもできるブランドの産み方 その①
6. まとめ:ブランディングでもっとも大切なもの
ブランドメンタルモデルがない
• ニーズ想起 → 商品探索

例)カバンが欲しい → ネットで探す
3.ブランドの生まれ方
○が欲しい
ブランドメンタルモデルがある
3.ブランドの生まれ方
□に行こう
• 自分のニーズ、商品やサービス名、購入時後の満足感
を同時想起
• →商品やサービスが(脳内に)存在している状態
• → 購入 = 強い購買行動&満足
ブランド設計は全プロセスが対象
3.ブランドの生まれ方
すべてのプロセスはブランドフィロソフィー(哲学・理念・信
念)に基づいて設計されていてバラツキがない
イメージ 品質
メッセージ 接客
使い心地
企画
広告
フォロー
フォロー
philosophy
製造
販売
philosophy philosophy
ブランド設計は変化しない
3.ブランドの生まれ方
ブランドフィロソフィーはイテレーションを
経ても変わらないため、顧客は別々の接点か
ら同質のブランドメンタルモデルを構築する
企画広告 製造販売
フォロー
ブランドバリュー
企画広告 製造販売
フォロー
企画広告 製造販売
フォロー
企画広告 製造販売
フォロー
企画広告 製造販売
フォロー
philosophy
ブランドフィロソフィー
<フォーマット>
(1)(私・我々は)□□(自らの際立った存在理由)ゆえに、
(2)△△(ターゲット)のために、
(3)○○(価値)を提供する
3.ブランドの生まれ方
(1)商品・サービスを提供する企業体の存在理由。ブランドストーリーの形で語ら
れることもある。代替がきかない唯一無二の担い手となる。軸がぶれなくなる。
(2)顧客セグメント。ターゲットが明確でないものは売れない。具体的であるほど
良い。一人のための商品・サービスが広まりブランド化した例も少なくない。
(3)商品・サービスの価値。価値があるからこそブランドとなりうる。ブランドス
テートメントやプロミスとして語られることもある。
ブランドを生む = ブランドフィロソフィーを持つ
ブランドフィロソフィーの例
3.ブランドの生まれ方
私たちは、音・音楽を原点に培った技術と感性で、新たな感動と
豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます (ヤマハ株式会
社)
In 1983, Howard traveled to Italy and became captivated
with Italian coffee bars and the romance of the coffee
experience. He had a vision to bring the Italian coffeehouse
tradition back to the United States. A place for
conversation and a sense of community. A third place
between work and home. (Starbucks Inc.)
ブランドフィロソフィーの生まれ方
3.ブランドの生まれ方
1. 創業者の想い・ビジョンがフィロソフィーとなり、
組織・人・プロセスに浸透
2. 戦略的にフィロソフィーを導き出し、組織・人・
プロセスが徹底するよう設計
Agenda
1. ブランドとは
2. 背景:ブランディングへの興味
3. ブランドの生まれ方
4. 事例:ヴィトンとレクサス
5. 誰でもできるブランドの産み方 その①
6. まとめ:ブランディングでもっとも大切なもの
ルイ・ヴィトン
4.事例
創業者 ルイ・ヴィトン
創業 1854年
売上高 25億ユーロ(2010年)
レゾンデトール クラフツマンシップ → 仕事をやり抜く情熱
ターゲット 旅する貴族 → 富裕層、ビジネスマン
価値 旅の安心 → 大切なものを守る。品格と誇り
ルイ・ヴィトン
4.事例
創業者ルイ・ヴィトン
1821年生まれ
14歳のときアンシェイから400km歩いてパリへ出る
荷造り用木箱製造 兼 荷造り職人 として働く
1854年ルイ・ヴィトン創立
平ら・防水加工・軽い・丈夫な旅行カバンが船・鉄道で
旅する貴族の評判を呼ぶ
ウジェニー皇后が顧客
2代目ジョルジュ・ヴィトン
ダミエ・モノグラムライン(模造品対策)
商標登録を行う
1912年水没事故でもトランク内に水が入らないと話題に
ルイ・ヴィトン
4.事例
日本法人初代社長 秦郷次郎
1976年コンサルティング契約
→ブランド自らが全てをコントロールする必要がある
 店舗戦略,PR広告戦略,サービス戦略,モノづくり
1978年日本支社代表 国内6店舗同時オープン
1980∼2005年ルイ・ヴィトン・ジャパン社長
1. 信念を貫く ブランドビジネスモデル
2. 伝統とストーリーを売る (店舗戦略)
3. 誠実さを支える力があってこそ (価格ポリシー)
4. クレディビリティの構築 (PR/広告)
5. サービスの神話化 (顧客サービス)
6. 買わない理由をなくす(商品開発)
7. 進化し続けるブランド (カテゴリ拡張)
8. ラグジュアリーブランドの本質
ルイ・ヴィトン
4.事例
PR/広告の一貫性 商品よりもブランドを理解してもらう
1978年 「ルイ・ヴィトン展」 クラフツマンシップを紹介
1978年 「ルイ・ヴィトンはネクタイを作っておりません」
     (新聞広告)
1980年 「セレブリティシリーズ」男性ターゲット インタビュー広告
    (石原慎太郎、芥川也寸志 他 文化人の旅の楽しみを2ペー
ジインタビューで雑誌連載)
『女性向けハンドバッグのファッションブランド』(並行輸入) ⇨
『旅行カバンのメゾン』ブランドイメージ書き換えに成功
ルイ・ヴィトン
4.事例
ルイ・ヴィトン
4.事例
ルイ・ヴィトン
4.事例
コールセンターではない。ここと同じ店舗です。
新しい場所でおもてなしを提供するのです。
「コールセンターができるのですか」という質問に対して
セグメントなど考えてはいけない。目の前のお
客様が満足すること、それが全てです。
「お客様をみて属性を判断するのですか」という質問に対して
仕事で人間性が磨かれます
レクサス
4.事例
創業者 トヨタ自動車レクサス本部
創業
1989年北米にてブランド開始
2005年日本参入&再ブランディング
売上高 2015年グローバル販売台数652,000台(前年比+12%)
レゾンデトール
トヨタであること?BMWに負けたくない?ディスカウン
トなしの販売網?
ターゲット 自ら運転する富裕層
価値 高級?プレミアム?燃費よくパーツも安くリーズナブル
Agenda
1. ブランドとは
2. 背景:ブランディングへの興味
3. ブランドの生まれ方
4. 事例:ヴィトンとレクサス
5. 誰でもできるブランドの産み方 その①
6. まとめ:ブランディングでもっとも大切なもの
誰でもできるブランドの産み方 その①
商品・サービス決定
市場調査
ターゲット決定
ターゲットを具体的な一人に絞り込む
価値決定
自己存在理由決定
ブランド名、ロゴ、ステートメント、プロミス等
決定
0
1
2
5.ブランドの産み方 その①
誰でもできるブランドの産み方 その①
商品・サービス決定
市場調査
ターゲット決定
0 マーケティング
腐らない
昨年在庫も売れる
希少性
5.ブランドの産み方 その①
例)
誰でもできるブランドの産み方 その①
ブランド名、ロゴ、ステートメント、クレド、プロ
ミス等決定、
、、、
2
5.ブランドの産み方 その①
ブランドフィロソフィーなしでやると
埋もれる
誰でもできるブランドの産み方 その①
ターゲットを具体的な一人に絞り込む
価値決定
自己存在理由決定
1
ブランドフィロソフィー
5.ブランドの産み方 その①
例)
• デザインの勉強
• 目が肥えている
• 良いものには反応しそう
こういうの
ずっと前から
欲しいと思ってた
(価値)ずっと受け継がれて
いるのに気づいていない日
本人の豊かさを提供
Agenda
1. ブランドとは
2. 背景:ブランディングへの興味
3. ブランドの生まれ方
4. 事例:ヴィトンとレクサス
5. 誰でもできるブランドの産み方 その①
6. まとめ:ブランディングでもっとも大切なもの
まとめ
ブランディング と マーケティング は別もの
ブランドは価値を表す概念としての存在
ブランドを生むにはブランドフィロソフィーが必要
ブランドフィロソフィー
=ブランド担い手のレゾンデトール
+至極限定されたターゲット
+価値

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