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VR・AR・MRの基礎と活用事例
2019/02/20
自己紹介
氏名:吉永崇(Takashi Yoshinaga)
所属:九州先端科学技術研究所(ISIT)
専門:ARの医療・土木・農業への活用
モーションキャプチャ技術の開発
コミュニティ:ARコンテンツ作成勉強会 主催
VR・AR・MRって?
VR・AR・MRって?
VRとは(1/2)
Virtual Realityの略。日本語で「仮想現実」や「人工現実感」
とも呼ばれる。ユーザの五感を刺激することで、本物ではないが
機能としての本質は同じような体験や環境を作り出す技術。
VRとは(2/2)
様々な刺激により仮想空間で本物のような体験ができる技術
視覚
環境
触覚
嗅覚
VRで主に使われる刺激
人の知覚の割合は視覚が8割以上 (照明学会編 電気書院 1980)
視覚
環境
触覚
嗅覚
元祖HMD(Head Mounted Display)
1968, by Ivan Sutherland
VR元年(2016年)前後に一般に広く普及
HMDの普及
HMDの低価格化・簡便化・高性能化により、ここ3~4年で広く普及
¥39,800 ¥100~
¥8,400K
10年前
約¥35,000
Oculus Rift DK1
Google Cardboard
VRヘッドセット(HMD)の動向①
HTC Vive Windows MR
[特徴]
 自分の足で空間を自由に歩き、手を使ってCGを操作
• HTC Vive:部屋に計測器を設置して位置・角度を取得
• Windows MR : HMDにセンサを搭載して位置・角度を取得
 映像の生成ためにハイスペックなPCとの接続が必要
VRヘッドセット(HMD)の動向②
[特徴]
 スタンドアロン型のためVRの体験にケーブルや外部PCが不要。
• Oculus Go:視点は頭の向きにのみ追従。 (3DoF)
• Mirage Solo : 視点は頭の向きと位置に追従 。 (6DoF)
• Oculusから6DoF対応のOculusQuestも発売予定(2019年)
Oculus Go Mirage Solo
動作例:Windows MR
仮想空間でオブジェクト操作や移動はもちろん、アプリの操作も可能
VRの事例紹介
VR活用事例①:トレーニング
様々なシチュエーションを想定した体験が可能。
何度でも失敗できるので防災/医療/運転・操縦の訓練に最適。
引用元: MXモバイリング株式会社
VR活用事例②:製造業でのトレーニング
製造や保守点検に関するスキルを効率的かつ安全に習得可能
引用元:https://youtu.be/fMpfFnkX0uQ
VR活用事例③:製造現場のシミュレーション
工場のラインを仮作成し作業効率などを事前に確認して改良に活かす
引用元: https://youtu.be/PcFO_TAT8-A
VR活用事例④:アミューズメント
攻殻機動隊ARISE @VR ZONE新宿
VR活用事例④:アミューズメント
攻殻機動隊ARISE @VR ZONE新宿
「現実ではできない体験」を「複数の人数」で共有することが可能
VR活用事例➄:複数人での作業
VR空間の中で実際に装置や工場の組み立てを行い手順を確認
引用元: https://youtu.be/GiX29mcPymY
VR活用事例⑥:遠隔コミュニケーション
仮想空間で会話や3Dのモデルデータを用いたディスカッションも可能
引用元: ITmedia NEWS (http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1805/08/news092.html)
VR・AR・MRって?
ARとは(1/2)
Augmented Realityの略。日本語で「拡張現実感」
とも呼ばれる。デジタルな情報(CG,音,etc..)を現実空間に
付加する技術全般を指す。特に視覚情報の付加が主流。
ARとは(2/2)
そこに存在しない物を、あたかも存在するかのように見せる技術
CG
ようするに
引用元: http://pokemongo.nianticlabs.com/ja/
ARのイメージが分かったところで・・・
MRは?
MRとは
 Mixed Realityの頭文字からくる略語
 現実空間と仮想空間を混合する技術全般を指す
 現実>仮想の場合をAugmented Reality(AR)
 仮想>現実の場合をAugmented Virtuality(AV)
※Virtual Reality(VR)と表現される場合も多い
AR技術の普及:ARToolKitの流行
1999年に加藤博一氏(現、奈良先端大 教授)により発表
正方形の枠と内側の絵を組み合わせたマーカーを使用
必要なものはPC、Webカメラ、紙に印刷したマーカのみ
2007年前後に技術者・愛好家の間で一気に広まった
AR技術の普及:スマートフォンの登場
 スマホの普及・高性能化により誰もがARを体験可能
 販売促進やゲーム、観光分野でのコンテンツが増加
 スマホで使われるARのスタイルは大きく分けて2種類
• 画像中の目印(マーカー)を検出してその上にCGを表示
• GPSを使って現在地に紐づいた情報を表示
GPSベースのAR画像処理ベースのAR
次世代ARツールの登場(2016年~)
[特徴]
 空間の形を把握し自分の位置や向きを知ることが可能
 GoogleはARCore, AppleはARKitというモバイル端末用
のARプラットフォームを提供
 Microsoft HoloLensなどのAR専用デバイスが登場
Microsoft HoloLensARCore / ARKit
次世代ARツールの登場(2016年~)
ARCore / ARKit
[特徴]
 空間の形を把握し自分の位置や向きを知ることが可能
 GoogleはARCore, AppleはARKitというモバイル端末用
のARプラットフォームを提供
 Microsoft HoloLensなどのAR専用デバイスが登場
Microsoft HoloLens
スマホARの動向
 空間にCGを配置し、自由な位置・向きから観察できる
 壁や床の認識も可能なためCGと空間の相互作用も表現可能
次世代ARツールの登場(2016年~)
ARCore / ARKit
[特徴]
 空間の形を把握し自分の位置や向きを知ることが可能
 GoogleはARCore, AppleはARKitというモバイル端末用
のARプラットフォームを提供
 Microsoft HoloLensなどのAR専用デバイスが登場
Microsoft HoloLens
アプリケーション
ウィンドウ
3Dオブジェクト
Microsoft HoloLens
HoloLensとは
 Microsoft社が発売した次世代型ウェアラブルコンピュータ
 コンピュータを内蔵し,単独で動作 (OS: Windows)
 マーカー画像を用いず、空間にオブジェクトを配置可能
ジェスチャ操作
HoloLensの動作の様子
https://youtu.be/DlQ38aAUVDI
AR/MRヘッドセットの動向:光学シースルー
カメラ画像ではなく
人の目で見た風景
CGのみ重ね合わせ
AR/MRヘッドセットの動向:デバイスの種類
各社からデバイスが続々登場
 PC接続型: Meta2, Project North Star
描画処理をPCが行うので高画質なコンテンツの実現が容易
 スタンドアロン型:HoloLens, Magic Leap
ケーブルがないので自由に動けるが、処理性能はデバイス次第
Project
North Star
Meta2 Magic Leap
AR/MRの事例紹介
AR活用事例①:展示物の拡張
ミイラ内部の骨格のX線画像を重ねて表示し展示物の詳細解説
AR活用事例②:医療支援
AR活用事例②:医療支援
医療等の作業支援の場合、HMDを使うと手が自由になり非常に便利
製造業での作業支援のイメージ
AR活用事例③:品質検査支援
自動車の塗料膜厚検査にARを適用した結果、従来の方法では
「2人で1日」かかっていた作業が「1人で4時間」に短縮
引用元
https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/17/microsoft0419/p14/
AR活用事例④:機械の保守とIoT
作業支援情報やリアルタイムデータを表示してメンテナンスを効率化
引用元:http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1808/02/news026.html
AR活用事例➄:空間共有
AR活用事例⑥:製造業×空間共有
引用元: https://youtu.be/osTNlHxZEyo
3Dデータを自由に操作・配置・変更する様子を複数人で共有
AR活用事例⑦:遠隔地との情報共有
遠隔地の人たちと機械の詳細について効率的に情報共有
引用元:https://youtu.be/iOqbcuZflQs
AR活用事例⑧:メディアとの融合
2018年3月に日本テレビが「クリエイティブテクノロジーラボ」でHoloLensを用いてデモ
引用元:日テレ公式チャンネル https://youtu.be/6T7kGwzQsd4
AR活用事例⑨:紙面の拡張
引用元: https://youtu.be/Jq98OEXJSr8
動く物体に情報を追従させて表示する場合はマーカーベースが有効
まとめ:ARとVRを画像で比較
現実の背景+デジタル
AR VR
体験としては・・・
ARはコンテンツが「こっちに来る」、VRは自分が「あっちに行く」イメージ
人工的なデータがメイン

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