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2013年10月29日 第3回SEMATカーネル勉強会

SEMATカーネル
アルファ状態カードゲーム
鷲崎 弘宜
SEMAT Japan Chapter Chair
Twitter: @Hiro_Washi washizaki@waseda.jp
http://www.washi.cs.waseda.ac.jp/
(ベース資料)
Ivar Jacobson International (IJI): Alpha State Card Games
http://www.ivarjacobson.com/alphastatecards/
ゲームの進め方
• 4-5名のチーム
• 各チームで1名がストーリーテラー役
– 自身の現在(あるいはある時点)の開発状況を説
明する。
– カードは扱わない。指示もしない。聞かれたら答
える。

• 他のメンバはプレイヤ役(大抵は開発者)

2
進捗ポーカー(Progress poker)
• 開発における各アルファの状態の認識につ
いて、チーム内で効率的に同意する。
1. 各プレイヤは検討対象のアルファの状態カ
ードを選択する。
2. 選択カードを一斉に提示 or 指さす。
3. 全プレイヤが
– 同一カードを選択しなかった場合、最も進んでい
ない状態と最も進んでいる状態を選択した参加
者がそれぞれ理由を説明する。1に戻る。
– 同一カードを選択した場合は終了する。
3
状態の追跡(Chase the state)
1. 各アルファのカードを横一列に。左端に最初の状態
2. チームにおいて当該状態に達しているかどうかを問
いかけ(不明な場合は「進捗ポーカー」の実施)
3. ある状態に達している場合は当該状態のカードを左
側に
4. 未到達・未検討の状態のカードを右側に
図5. チームは現在地の特定にアルファを使用する

要求

要求

要求

構想

スコープ定義

・新しいシステムのニーズが明確である
・ユーザが識別されている
・最初の出資者が識別されている

・システムの目的とスコープが同意され
ている
・成功の判断基準が明確である
・要求管理の仕組みが同意されている
・制約と前提が識別されている

1/6

2/6

ソフトウェアシステム

ソフトウェアシステム

アーキテクチャ決定

論証完了

・重要な技術リスクに対応可能な
アーキテクチャが採用されている
・アーキテクチャの選択基準が同意され
ている
・使用するプラットフォーム、技術、
言語が選択されている
・購入、構築、再利用の方針が決定して
いる

・重要なアーキテクチャの特性が論証
できている
・アーキテクチャが適切であることを
ステークホルダが同意している
・重要なインタフェースとシステム構成
が論証できている

1/6

2/6

要求

一貫性・体系化
・明確な全体像が関係者に共有されている
・重要な利用シナリオが共有されている
・要求の優先度が明確である
・認識の不一致が対応されている
・要求がもたらす影響力が理解されている

3/6

要求

受理可能

実装

・関係者が受理可能な解決策が示されて
いる
・同意された要求が変更される確度は低い
・価値が明確である

・システムの受理に必要十分な要求が
実装されている
・システムが稼働させる価値のある状態に
あることにステークホルダが同意してい
る

4/6

ソフトウェアシステム
使用可能
・システムは使用可能であり、要求された
品質特性を達成できている
・ユーザがシステムを操作可能である
・機能と性能がテストされており、
検収済みである
・欠陥レベルが許容されている
・リリース内容が周知されている

3/6

要求

5/6

ソフトウェアシステム

ソフトウェアシステム

準備完了

運用

・ユーザドキュメントが利用できる
・ステークホルダがシステムを受理して
いる
・ステークホルダがシステムの運用方法
を準備しようとしている

・運用環境でシステムが使用されている
・想定されたユーザに利用されている
・システムの全機能を運用した事例が
少なくとも一つある。
・システム保守のサービスレベルが同意
されている

4/6

5/6

満足
・システムは要求とニーズを満足している
・完成を妨げる未解決の要求が存在しない

6/6

ソフトウェアシステム
退役
・システムは保守されていない
・システム更新によるリリースはない
・システムは置き換えられるか開発が
中止されている

6/6

4
• 最上位の7つのアルファに対する状態識別に意味はあるか。
– アルファを捉えるスコープで最初に合意すべき。全体、部分。
– 組織、プロジェクト固有のアルファを持つことの大切さ。背景知識重要。

• チームA
– 要求: 構想で合意
• 当初ばらついていたが、最終的に低い方で収束

– 仕事の仕方: 合意せず
• 個人開発のため人によって捉え方が異なった
• 減速の決定有無をまずは意識合わせすると良さそう

• チームB
– 機会: 課題解決で合意
• チェックリストの確認により合意

– ステークホルダ: 時間切れ
• ステークホルダの種類によって異なる
• 質問の仕方が大事

• チームC
– ソフトウェアシステム: 合意せず
• 対象とするシステム範囲が異なっていた
• 範囲を合意したのちも、使用可能から運用までばらついた

• チームD(アジャイル開発)
– 要求: 合意せず
• アジャイル開発における要求の満足について捉え方に食い違い。未完なのか、 5
当該時点において満足と判断するのか。

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第3回SEMAT勉強会 アルファカードゲーム

  • 1. 2013年10月29日 第3回SEMATカーネル勉強会 SEMATカーネル アルファ状態カードゲーム 鷲崎 弘宜 SEMAT Japan Chapter Chair Twitter: @Hiro_Washi washizaki@waseda.jp http://www.washi.cs.waseda.ac.jp/ (ベース資料) Ivar Jacobson International (IJI): Alpha State Card Games http://www.ivarjacobson.com/alphastatecards/
  • 2. ゲームの進め方 • 4-5名のチーム • 各チームで1名がストーリーテラー役 – 自身の現在(あるいはある時点)の開発状況を説 明する。 – カードは扱わない。指示もしない。聞かれたら答 える。 • 他のメンバはプレイヤ役(大抵は開発者) 2
  • 3. 進捗ポーカー(Progress poker) • 開発における各アルファの状態の認識につ いて、チーム内で効率的に同意する。 1. 各プレイヤは検討対象のアルファの状態カ ードを選択する。 2. 選択カードを一斉に提示 or 指さす。 3. 全プレイヤが – 同一カードを選択しなかった場合、最も進んでい ない状態と最も進んでいる状態を選択した参加 者がそれぞれ理由を説明する。1に戻る。 – 同一カードを選択した場合は終了する。 3
  • 4. 状態の追跡(Chase the state) 1. 各アルファのカードを横一列に。左端に最初の状態 2. チームにおいて当該状態に達しているかどうかを問 いかけ(不明な場合は「進捗ポーカー」の実施) 3. ある状態に達している場合は当該状態のカードを左 側に 4. 未到達・未検討の状態のカードを右側に 図5. チームは現在地の特定にアルファを使用する 要求 要求 要求 構想 スコープ定義 ・新しいシステムのニーズが明確である ・ユーザが識別されている ・最初の出資者が識別されている ・システムの目的とスコープが同意され ている ・成功の判断基準が明確である ・要求管理の仕組みが同意されている ・制約と前提が識別されている 1/6 2/6 ソフトウェアシステム ソフトウェアシステム アーキテクチャ決定 論証完了 ・重要な技術リスクに対応可能な アーキテクチャが採用されている ・アーキテクチャの選択基準が同意され ている ・使用するプラットフォーム、技術、 言語が選択されている ・購入、構築、再利用の方針が決定して いる ・重要なアーキテクチャの特性が論証 できている ・アーキテクチャが適切であることを ステークホルダが同意している ・重要なインタフェースとシステム構成 が論証できている 1/6 2/6 要求 一貫性・体系化 ・明確な全体像が関係者に共有されている ・重要な利用シナリオが共有されている ・要求の優先度が明確である ・認識の不一致が対応されている ・要求がもたらす影響力が理解されている 3/6 要求 受理可能 実装 ・関係者が受理可能な解決策が示されて いる ・同意された要求が変更される確度は低い ・価値が明確である ・システムの受理に必要十分な要求が 実装されている ・システムが稼働させる価値のある状態に あることにステークホルダが同意してい る 4/6 ソフトウェアシステム 使用可能 ・システムは使用可能であり、要求された 品質特性を達成できている ・ユーザがシステムを操作可能である ・機能と性能がテストされており、 検収済みである ・欠陥レベルが許容されている ・リリース内容が周知されている 3/6 要求 5/6 ソフトウェアシステム ソフトウェアシステム 準備完了 運用 ・ユーザドキュメントが利用できる ・ステークホルダがシステムを受理して いる ・ステークホルダがシステムの運用方法 を準備しようとしている ・運用環境でシステムが使用されている ・想定されたユーザに利用されている ・システムの全機能を運用した事例が 少なくとも一つある。 ・システム保守のサービスレベルが同意 されている 4/6 5/6 満足 ・システムは要求とニーズを満足している ・完成を妨げる未解決の要求が存在しない 6/6 ソフトウェアシステム 退役 ・システムは保守されていない ・システム更新によるリリースはない ・システムは置き換えられるか開発が 中止されている 6/6 4
  • 5. • 最上位の7つのアルファに対する状態識別に意味はあるか。 – アルファを捉えるスコープで最初に合意すべき。全体、部分。 – 組織、プロジェクト固有のアルファを持つことの大切さ。背景知識重要。 • チームA – 要求: 構想で合意 • 当初ばらついていたが、最終的に低い方で収束 – 仕事の仕方: 合意せず • 個人開発のため人によって捉え方が異なった • 減速の決定有無をまずは意識合わせすると良さそう • チームB – 機会: 課題解決で合意 • チェックリストの確認により合意 – ステークホルダ: 時間切れ • ステークホルダの種類によって異なる • 質問の仕方が大事 • チームC – ソフトウェアシステム: 合意せず • 対象とするシステム範囲が異なっていた • 範囲を合意したのちも、使用可能から運用までばらついた • チームD(アジャイル開発) – 要求: 合意せず • アジャイル開発における要求の満足について捉え方に食い違い。未完なのか、 5 当該時点において満足と判断するのか。