マルチフェーズを組み合わせた3次元CT画像
による経皮的腎砕石術のトラクト穿刺計画
磯谷周治1) ,野間泰央1) ,下山博史2),杉浦正一郎1) ,知名俊幸1) ,
堀内明3) ,古謝将之3) ,北村香介1) ,青木裕章1) ,永田政義1) ,
和久本芳彰1) ,新井貴博1) ,久末伸一1) ,井手久満3) ,武藤 智3) ,
山口雷蔵3) ,堀江重郎1)
1,順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学
2,順天堂大学医学部附属浦安病院
3, 帝京大学病院 泌尿器科
大きな腎結石に対しては,経皮的腎砕石術(PNL)が標準
治療方法とされている。しかしながら,最適なPNL用のアク
セスルートを作製する手法については,さまざまな方法が
試みられており,現時点では存在しない
われわれはCT-Urographyのマルチフェーズ画像を組み
合わせた (3D combined CTU: 3D-cCTU) から PNLのトラ
クト穿刺計画を立案し,PNLを施行している。このたび、わ
れわれの手法の有用性について検討したので報告する。
背景と目的
背景
以前我々が行なっていた,穿刺ライン計画と実際の穿刺
対象と方法
2013年4月より2014年12月のあいだで,PNLを
施行した 7例を対象とした。
術前に細精マルチフェーズCT-Urographyから
3D-cCTU を作成し、3D画像上で仮想穿刺ライ
ンを作製し,砕石に最適なトラクトを計画した。そ
のうえで立案された計画に沿った穿刺を行ってト
ラクトを作製してPNLを行なった。
対象
年齢(中央値, 幅) 60 (24-70)
男:女 5 : 2
右:左 2 : 5
結石直経 (cm) 4.5 (3.2-7.0)
結石体積 (mm3) 5941(3378-17459)
CT値の平均値 (HU) 697.3(538.7-990.7)
CT値のSD (HU) 285.9(171.5-470.1)
CT値の積分値 (HU) 4696.7(1705-8209.4)
3D-cCTUによる穿刺計画の作成
Step 1 細精スライスで動脈相,尿路相のCT撮影
を行なう
Step 2 腎内組織(腎血管,尿路,結石,嚢胞)及
び,周囲臓器(肝臓,脾臓,骨,腸管,皮
膚)のセグメンテーション処理と3D再構築
Step 3 3次元での最適な穿刺ラインの計画
穿刺計画の作成
Step 1 細精スライスで動脈相,(静脈相),尿路相
のCT撮影を行なう
動脈相 (皮髄相) 実質相 排泄相
穿刺計画の作成
Step 2 腎組織,他臓器のセグメンテーション処理
穿刺計画の作成
Step 2 腎内組織及び,他臓器の3D再構築
穿刺計画の作成
Step 3 最適な穿刺ラインの計画
穿刺計画の例
Step 3 最適な穿刺ラインの計画
結果
手術時間(分;中央値, 幅) 178 (106〜228)
グレード2以上の血尿が続いた
期間(日;中央値, 幅)
0 (0〜4)
輸血 なし
Hbの低下量 (g/dl) 0.8 (0.1〜1.8)
eGFRの変化量 (ml/min/1.73m2) 0 (-12.8〜3.5)
手術合併症 なし
残石のあった症例 (%) 1 (14%)
入院日数 (日;中央値, 幅) 13 (11〜15)
考察
3D-CT再構成画像を作成する事によって,2次元
のCTから得られない任意の方向の穿刺ラインに
関する情報が得られた。
本方法を用いる事によって,原理的には理想的な
穿刺ラインの計画が可能である。
本手法は他臓器損傷の危険を避ける目的や,複
雑な腎盂内の構造を持った結石に対して,有用で
あると考えられる。
まとめ
マルチフェーズを組み合わせた3次元CT画像
による経皮的腎砕石術のトラクト穿刺計画によ
るPNLは、安全かつ有効な治療法であることが
示唆された。

先進的な3D-cCTUによる,腎結石のPNL手術プランニング

Editor's Notes

  • #2 よろしくお願いいたします。
  • #3 大きな腎結石に対して,経皮的腎砕石術(PNL)が標準治療方法とされています。しかしながら,最適なPNL用のアクセスルートを作製する手法については,さまざまな方法が試みられており,確定的なものは存在しません。 われわれは CT-Urography画像のマルチフェーズを組み合わせた(3D combined CTU: 3D-cCTU) から PNLのトラクト穿刺計画を立案してPNLを施行しています。このたび、われわれの手法の有用性について検討したので報告します。
  • #4 われわれは以前より3D-CTを用いた穿刺トラクトのプランニングを行なっていました。 しかしこれまでの手法では,同一画像内に,腎実質と尿路の情報を表示する事はできませんでした。 そのため,穿刺用のプランニングは腎結石などをメルクマールとして作製するしかなく,腎盂自体を穿刺するプランニングを作製する事は困難でした。 その欠点を補うために,私たちはFUJIFILMと共同で,違った相のCT画像を融合し同一画面上に表示する手法について研究してきました。
  • #5 われわれの検討の対象と方法をしめします 2013年4月より2014年12月のあいだで,PNLを施行した7例を対象としました。 次に述べる方法で術前に細精マルチフェーズCT-Urographyから 3D-cCTU を作成し、3D画像上で仮想穿刺ラインを作製しました。そのうえで立案された計画に沿ったトラクトを作製してPNLを行ないました。
  • #6 症例の内訳を示します。年齢の中央値が60歳,結石の最大径の中央値が4.5cmであり,体積の中央値は5941mm3 でした。CT値は示す通りでした。
  • #7 3D-cCTUによる穿刺計画の作成の手順を示します。まず細精スライスで動脈相,尿路相のCT撮影を行なうことが1つ目のステップです。その後で,腎臓の内の組織(腎血管,尿路,結石,嚢胞)や,周囲の肝臓,脾臓,骨,腸管,皮膚を抽出するセグメンテーション処理を行ない,その結果を組み合わせて3D再構築を行ないます。そして最後に,3D表示された腎や体表を用いて,3次元での最適な穿刺ラインの計画をおこないます。
  • #8 すなわち,まず細精スライスで動脈相,(静脈相),尿路相のCT撮影を行なう
  • #9 その後で腎臓組織や,骨,体表,結石,血管,尿路などの要素を,セグメンテーション処理という画像処理を行なう事によって抽出します。
  • #10 その結果を組み合わせることのよって,このような3D再構築画像が作製されます。
  • #11 さて,その画像をもちいて最適な穿刺ラインを探します。画像を回転さ瀬,任意の方向から腎盂を観察する事によって,この図のように腎杯穿刺が出来るような穿刺ラインを3次元的に探していきます。
  • #12 例えばこの症例はサンゴ状結石にたいしてPNLを行なった症例です。 このように3箇所の穿刺ラインについて検討しています。この画像では,骨と腎結石が白色で示してあり,尿路が黄色,腎血管が赤と青で示してあります。また,皮膚は肌色 腎実質は黄土色で示してあります。 この3D再構築画像は,思った方向に回転させたり,それぞれの色分けされた臓器の透明度を変える事が可能です。 穿刺ラインとを腎盂に垂直になるように計画し,そのラインの延長線上が皮膚と交わる地点に緑色のマーカーをおいて,穿刺場所としました。 このように穿刺ラインを可視化することによって,腎臓内の血管を避け,肋骨などの妨げがなく,効果的な砕石が可能な穿刺ラインを探っていきます。 最終的に,穿刺ラインは1ー2箇所に絞ります。
  • #13 手術の結果を示します。 手術時間の中央値は178分であり 超音波と透視を組み合わせて目的とする腎盂を穿刺しました。 砕石方法は特殊な方法はとっておりません,バルーンダイレーションを用いて,腹臥位で超音波砕石と,レーザを併用し,行なっています。 但し,4例で経尿道的腎砕石術(TUL)を併用した(TUL assisted PNL)が行ないました。術後血尿が長く続いた症例や,輸血を要した症例はありませんでした。 術中および術後において重篤な合併症は認めず、手術前後のHb値を比較したところ、大きな変動を認めませんでした。入院期間の中央値は13日(11-15)で、残石のための1人ずつの患者(14%)においてPNL、ESWLが必要でした。治療3ヵ月後の評価においては結石の完全消失が6例(86%)であり、残石を1例(14%)で認めました。
  • #14 考察です。 3D-CT再構成画像を作成する事によって,2次元のCTから得られない任意の方向の穿刺ラインに関する情報が得られました。 本方法を用いる事によって,原理的には理想的な穿刺ラインの計画が可能でした。 本手法は他臓器損傷の危険を避ける目的や,複雑な腎盂内の構造を持った結石に対して,有用であると考えられるました
  • #15 まとめです。