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ガン死調査報告書 
2002年3月25日 
東京都西多摩郡日の出町大久野7444 
中西四七生 
調査の契機 
1997年の春頃、玉の内地域の友人田島喜代惠さんから同地域に最近癌死者が多くなったとい 
う話を聞く。 
田島さんの話によると、もともと同地域はのどかな環境であり葬儀も天寿を全うされた方のも 
のが多かったそうである。しかしその頃にはガンで亡くなる方の葬儀が急に増え、しかも比較的 
若い方がガンで亡くなることがしばしばあるとのことであった。 
同地域は谷戸沢処分場と南西に隣接した川沿いにあり、以前この地域の民家の井戸水が汚染さ 
れたことがあり、そのこととガン死の多発との関係が気になった。しかし地下水汚染問題が起き 
て以降この地域では井戸水を飲用しなくなっていたので、水の汚染とは結びつかなかった。 
ただこの地域の人から、処分場ができてから谷戸おろしが強くなったと聞いた。 
谷戸おろしというのは今は埋立が終わってしまった谷戸沢処分場がある山の上から同地区に 
吹き降ろしてくる北東風のことを言うとのことであった。 
私はこの谷戸おろしと同地域のガン死の多発が関係あるのではないかと思い、局地気象について 
調べてみた。 
その結果谷底で埋立処分される焼却灰は非常に細かい粒子なので、ひとたび舞い上がった焼却 
灰は日中山の斜面が太陽に温められて発生する上昇気流に乗り処分場周辺に飛散し、夜間の冷気 
により周辺地区の地上に高濃度に濃縮されることが予測された。 
もしこの予測のようなことが現実に起こっているとしたら、日々大変な汚染が起こっていたこ 
とになる。そこでさっそくガン死の多発している同地区と処分場から離れた大気汚染が受けにく 
いであろう他地域との間に有意の差が認められるのかの調査を地域の人たちと始めた。 
調査の目的 
処分場に隣接する玉の内地域のガン死亡率が他地域に比較して特異的に高いのか否かを調べ 
る。それを本格的な疫学調査の必要性が見極められる程度に明らかにする。 
調査の方法 
1. 処分場関連地域の10万人当たりのガン死亡者数と標準化死亡比(SMR)の 
9 年間比較 
玉の内地区と同じような自然環境で年齢構成もほぼ同じ地域を対照地区として 
長井・水口地区とのガン死亡率を比較する。(両者の違いは処分場との位置関係であ 
る。) 
玉の内地区及び対象地区のガン死確認のデータが日の出町からは公表してもらえなか 
ったので、住民の聞き取りによる調査をした。 
ただし聞き取りによる誤差を少なくするためにガン死者一人に対して複数(3名以 
上)の聞き取り調査で一致した場合だけをガン死とした。 
また玉の内地区は100戸370人程度と人口が少ない地域なので、ガン死亡率の年に
よるばらつきを均すために過去9年間をさかのぼった累積データを比較した。 
さらに日の出町全体、東京都、全国、およびすでに焼却場周辺でガン死の多発が問題にな 
っている新利根町地域との比較もした。 
またガン死率は年齢構成にかなり依存するので、年齢構成のファクターが影響しないよ 
うに統計処理をして比較した。 
そのため厚生省の1985年モデルを基準として間接法による年齢調整死亡率の指標 
としての標準化死亡比(SMR:standardized mortality ratio)の変化を比較した。 
標準化死亡比(SMR)= 観察集団死亡実数/期待死亡数×100 
=観察集団死亡実数/Σ〔(基準集団の年齢別死亡率)×(観察集団の 
年齢別人口)〕 
この手法は、観察集団のガン総死亡数と年齢階級別の人口のデータが得られれば年齢階 
級別の死亡率データが不明でも年齢調整済みの指標を簡便に算出できる。すなわち観察集 
団の人口規模が小さく死亡数データのばらつきが大きい場合でも死亡数のばらつきの影 
響を少なくして年齢調整値を得ることができるのでこれを採用した。 
2.日の出町、全国ガン標準化死亡比(SMR)を公式データにより経年比較 
さらに地域を広げて谷戸沢処分場ができる前後の日の出町全体のガン死亡率の経年の 
変化を五日市保健所の事業概要の人口動態統計データを基に東京都、全国のそれと比較し 
てみた。 
3.期別男子出生率変化比較 
さらにガン死とは直接関係はないが、焼却灰にはダイオキシン類など内分泌を撹乱して 
男子の出生率を減らす傾向にある物質が含まれていることから、日の出町の男子出生率の 
変化を東京都、全国のそれと比較してみた。 
調査の実施期間 
問題になる玉の内地域と対照地域の長井、水口地区の聞き取り調査は、1997年9月から同 
年12月まで4ヶ月間住民の聞き取りによる調査をおこなった。 
それ以外の行政から得られるデータは、1999年までのデータを使用した。 
調査結果 
1.処分場関連地域10万人当たりのガン死亡者数 
処分場直下玉の内地域谷戸おろし下流(1989年から1997年) 
ガン死者数18名 人口271名(1998年1月1日現在) 
10万人当たりガン死者数738.0名 
処分場直下玉の内地域全体(1989年から1997年) 
ガン死者数18名 人口370名(1998年1月1日現在) 
10万人当たりガン死者数540.5名 
対照地域長井、水口地域(1989年から1997年) 
ガン死者数5名 人口396名(1998年1月1日現在) 
10万人当たりガン死者数140.3名 
日の出町全体(1989年から1997年)
ガン死者数207名 人口16,519名(1998年1月1日現在) 
10万人当たりガン死者数156.6名 
新利根町焼却炉周辺1km以内(1985年から1995年) 
ガン死者数24名 人口642名 
10万人当たりガン死者数339.8名 
新利根町全体(1985年から1995年) 
ガン死者数231名 人口9,413名 
10万人当たりガン死者数233名 
全国平均(1985年から1995年) 178.7名 
処分場直下玉の内地域及び対照地域長井、水口地域:住民聞き取り調査 
日の出町全体   :人口動態統計 
新利根町全体   :茨城県衛生統計 
玉の内地域は谷戸沢処分場南西直下300~500メートル程のところにあり、 
対照地域長井、水口地域は、処分場西北西1.3~2キロメートルのところの尾根を2つ越えたと 
ころにある。 
玉の内地区・長井・水口地区のSMR比較 
200 
150 
100 
50 
0 
標準化死亡比 
(SMR) 
(1990年~1998年) 
SMR長井・水口SMR玉の内 
系列1 22.5 190.5 
2.日の出町、全国ガン標準化死亡比(SMR)経年比較 
癌標準化死亡比(SMR 比較 
(基準人口:1985年モデル人口〕 
120 
110 
100 
90 
80 
70 
60 
50 
40 
日の出 
全国 
谷戸沢処分場開場 
1975~80年1981~86年1987~92年1993~98年1999年 
日の出64.7 80.9 82.3 95.0 107.1 
全国100.0 98.0 101.9 100.3
3.期別男子出生率変化比較 
54.0 
53.0 
52.0 
51 .0 
50.0 
49.0 
48.0 
47.0 
(1977年~1981年) (1982年~1989年) (1990年~1997年) (1998年~2003年) 
調査結果の評価 
結果1について  
期別男子出生率 
処分場からの焼却灰による大気汚染が問題になった玉の内地域は、対照地域、日の出町 
全体、全国平均(ただし比較年度が多少ずれているので後日補正する。)と比べていずれ 
の場合も10万人当たりのガン死亡率が3倍以上高い。ただし玉の内地域の人口が少ない 
ため統計的に有意かの判断はできない。 
また玉の内地域は、対照地域長井、水口と標準化死亡比(SMR)の比較をすると9倍弱高 
いことになる。このことの統計的有意性は、後日改めて検証したい。 
しかし焼却灰に含まれる有害物質はガン死の多発や生体に蓄積され世代間の異常を起 
こさせ、しかも大気汚染は広くゆっくりと広がる公害を引き起こすため、統計的な有意な 
データを待って対応していたら取り返しがつかない被害が起きる恐れがある。 
公害が起こるところは、本来自然環境がよく、それ故人工密度が小さい地域に集中する 
ことがしばしば起こる。 
したがって、汚染のメカニズムが予測され、それに沿った実証データがある程度出た段 
階で何らかの対策を緊急に立てるべきである。 
ちなみにこの件については神奈川県立外語短期大学の木山英明教授が相関の手法で「社 
会の疫学」的に有意であるとの評価をされている。(証拠提出予定) 
結果2について 
日の出町は処分場ができるまでは、東京の郊外にあり森林が多く環境がよいためガン死 
率は低かった。しかし処分場開場後徐々にガン標準化死亡比(SMR)は高くなってきて 
いる。 
処分場からの大気汚染の局地気象の市民調査で処分場から飛散した焼却灰の一部は、川 
筋に沿って昼間は上流に流れ、夜間は下流に流れ循環するので処分場からの焼却灰は,直 
下に吹き下ろすだけでなく日の出町の全体を汚染することがわかった。(「たまあじさい 
は見ていた」(甲  号証) 
したがってガン死の調査をした1997年以前の日の出町のガン標準化死亡比 
% 
日の出町全国入間市本庄市鳩ヶ谷市三芳町
(SMR)は全国平均より低かったが、1999年ついに全国平均を超えてしまったのは 
この汚染の広がりと一致する。 
結果3について 
 男子の出生率の変化については、行政法人物理工学工業技術研究所の松崎早苗氏が全国 
的に市町村のデータを集約され統計処理をされている。 
日の出町の男子出生率は、出生数が100人前後/毎年程度で少ないこともあり95% 
信頼度の異常値の範囲には入っていないが、全国、東京都に対し相対的に出生率が減って 
ることは事実であり、この傾向は埼玉県の三芳町などダイオキシン類による汚染が問題に 
なっているところと同じである。(全国市町村自治体の男子出生率調査中間報告書より、 
証拠提出予定) 
全体評価と今後の疫学的調査の必要性 
   以上の結果から処分場からの焼却灰の飛散による大気汚染が処分場直下の玉の内地域の 
ガン死の多発を誘発しているとの疫学的な評価ができないまでも、本格的な疫学的調査の 
必要性は相当程度明らかになったと考える。 
処分場周辺で毎日生活している住民にとっては、非常に深刻な問題でありなおかつ緊急 
な問題である。 
まして全国にこれと同じ構造の処分場が3.441ヶ所(厚生省平成8年許可、届入 
れ)もあることを考えると一刻も早く精度の高い本格的な調査がなされなければならな 
い。 
すでに証拠として提出した「たまあじさいは見ていた」(甲  号証)は、ガン死多発の 
調査結果から、処分場から飛散した焼却灰がどの地域に高濃度に停滞しやすいかを検証す 
るための調査であった。その結果玉の内地区のような処分場直下の谷筋の地域の集落は夜 
間早朝に焼却灰に高濃度に汚染されることがわかった。 
したがって日の出町は死亡診断書を疫学の専門家に開示してより正確な疫学調査に協 
力する必要がある。また今回の調査はガン死の多発がきっかけになったが、焼却灰の大気 
汚染はアトピー性皮膚炎や喘息などのさまざまな症状を調べることで疫学的調査の評価 
の精度をあげる必要がある。 
以上
(SMR)は全国平均より低かったが、1999年ついに全国平均を超えてしまったのは 
この汚染の広がりと一致する。 
結果3について 
 男子の出生率の変化については、行政法人物理工学工業技術研究所の松崎早苗氏が全国 
的に市町村のデータを集約され統計処理をされている。 
日の出町の男子出生率は、出生数が100人前後/毎年程度で少ないこともあり95% 
信頼度の異常値の範囲には入っていないが、全国、東京都に対し相対的に出生率が減って 
ることは事実であり、この傾向は埼玉県の三芳町などダイオキシン類による汚染が問題に 
なっているところと同じである。(全国市町村自治体の男子出生率調査中間報告書より、 
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全体評価と今後の疫学的調査の必要性 
   以上の結果から処分場からの焼却灰の飛散による大気汚染が処分場直下の玉の内地域の 
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必要性は相当程度明らかになったと考える。 
処分場周辺で毎日生活している住民にとっては、非常に深刻な問題でありなおかつ緊急 
な問題である。 
まして全国にこれと同じ構造の処分場が3.441ヶ所(厚生省平成8年許可、届入 
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い。 
すでに証拠として提出した「たまあじさいは見ていた」(甲  号証)は、ガン死多発の 
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るための調査であった。その結果玉の内地区のような処分場直下の谷筋の地域の集落は夜 
間早朝に焼却灰に高濃度に汚染されることがわかった。 
したがって日の出町は死亡診断書を疫学の専門家に開示してより正確な疫学調査に協 
力する必要がある。また今回の調査はガン死の多発がきっかけになったが、焼却灰の大気 
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ガン死調査報告書甲344

  • 1. ガン死調査報告書 2002年3月25日 東京都西多摩郡日の出町大久野7444 中西四七生 調査の契機 1997年の春頃、玉の内地域の友人田島喜代惠さんから同地域に最近癌死者が多くなったとい う話を聞く。 田島さんの話によると、もともと同地域はのどかな環境であり葬儀も天寿を全うされた方のも のが多かったそうである。しかしその頃にはガンで亡くなる方の葬儀が急に増え、しかも比較的 若い方がガンで亡くなることがしばしばあるとのことであった。 同地域は谷戸沢処分場と南西に隣接した川沿いにあり、以前この地域の民家の井戸水が汚染さ れたことがあり、そのこととガン死の多発との関係が気になった。しかし地下水汚染問題が起き て以降この地域では井戸水を飲用しなくなっていたので、水の汚染とは結びつかなかった。 ただこの地域の人から、処分場ができてから谷戸おろしが強くなったと聞いた。 谷戸おろしというのは今は埋立が終わってしまった谷戸沢処分場がある山の上から同地区に 吹き降ろしてくる北東風のことを言うとのことであった。 私はこの谷戸おろしと同地域のガン死の多発が関係あるのではないかと思い、局地気象について 調べてみた。 その結果谷底で埋立処分される焼却灰は非常に細かい粒子なので、ひとたび舞い上がった焼却 灰は日中山の斜面が太陽に温められて発生する上昇気流に乗り処分場周辺に飛散し、夜間の冷気 により周辺地区の地上に高濃度に濃縮されることが予測された。 もしこの予測のようなことが現実に起こっているとしたら、日々大変な汚染が起こっていたこ とになる。そこでさっそくガン死の多発している同地区と処分場から離れた大気汚染が受けにく いであろう他地域との間に有意の差が認められるのかの調査を地域の人たちと始めた。 調査の目的 処分場に隣接する玉の内地域のガン死亡率が他地域に比較して特異的に高いのか否かを調べ る。それを本格的な疫学調査の必要性が見極められる程度に明らかにする。 調査の方法 1. 処分場関連地域の10万人当たりのガン死亡者数と標準化死亡比(SMR)の 9 年間比較 玉の内地区と同じような自然環境で年齢構成もほぼ同じ地域を対照地区として 長井・水口地区とのガン死亡率を比較する。(両者の違いは処分場との位置関係であ る。) 玉の内地区及び対象地区のガン死確認のデータが日の出町からは公表してもらえなか ったので、住民の聞き取りによる調査をした。 ただし聞き取りによる誤差を少なくするためにガン死者一人に対して複数(3名以 上)の聞き取り調査で一致した場合だけをガン死とした。 また玉の内地区は100戸370人程度と人口が少ない地域なので、ガン死亡率の年に
  • 2. よるばらつきを均すために過去9年間をさかのぼった累積データを比較した。 さらに日の出町全体、東京都、全国、およびすでに焼却場周辺でガン死の多発が問題にな っている新利根町地域との比較もした。 またガン死率は年齢構成にかなり依存するので、年齢構成のファクターが影響しないよ うに統計処理をして比較した。 そのため厚生省の1985年モデルを基準として間接法による年齢調整死亡率の指標 としての標準化死亡比(SMR:standardized mortality ratio)の変化を比較した。 標準化死亡比(SMR)= 観察集団死亡実数/期待死亡数×100 =観察集団死亡実数/Σ〔(基準集団の年齢別死亡率)×(観察集団の 年齢別人口)〕 この手法は、観察集団のガン総死亡数と年齢階級別の人口のデータが得られれば年齢階 級別の死亡率データが不明でも年齢調整済みの指標を簡便に算出できる。すなわち観察集 団の人口規模が小さく死亡数データのばらつきが大きい場合でも死亡数のばらつきの影 響を少なくして年齢調整値を得ることができるのでこれを採用した。 2.日の出町、全国ガン標準化死亡比(SMR)を公式データにより経年比較 さらに地域を広げて谷戸沢処分場ができる前後の日の出町全体のガン死亡率の経年の 変化を五日市保健所の事業概要の人口動態統計データを基に東京都、全国のそれと比較し てみた。 3.期別男子出生率変化比較 さらにガン死とは直接関係はないが、焼却灰にはダイオキシン類など内分泌を撹乱して 男子の出生率を減らす傾向にある物質が含まれていることから、日の出町の男子出生率の 変化を東京都、全国のそれと比較してみた。 調査の実施期間 問題になる玉の内地域と対照地域の長井、水口地区の聞き取り調査は、1997年9月から同 年12月まで4ヶ月間住民の聞き取りによる調査をおこなった。 それ以外の行政から得られるデータは、1999年までのデータを使用した。 調査結果 1.処分場関連地域10万人当たりのガン死亡者数 処分場直下玉の内地域谷戸おろし下流(1989年から1997年) ガン死者数18名 人口271名(1998年1月1日現在) 10万人当たりガン死者数738.0名 処分場直下玉の内地域全体(1989年から1997年) ガン死者数18名 人口370名(1998年1月1日現在) 10万人当たりガン死者数540.5名 対照地域長井、水口地域(1989年から1997年) ガン死者数5名 人口396名(1998年1月1日現在) 10万人当たりガン死者数140.3名 日の出町全体(1989年から1997年)
  • 3. ガン死者数207名 人口16,519名(1998年1月1日現在) 10万人当たりガン死者数156.6名 新利根町焼却炉周辺1km以内(1985年から1995年) ガン死者数24名 人口642名 10万人当たりガン死者数339.8名 新利根町全体(1985年から1995年) ガン死者数231名 人口9,413名 10万人当たりガン死者数233名 全国平均(1985年から1995年) 178.7名 処分場直下玉の内地域及び対照地域長井、水口地域:住民聞き取り調査 日の出町全体   :人口動態統計 新利根町全体   :茨城県衛生統計 玉の内地域は谷戸沢処分場南西直下300~500メートル程のところにあり、 対照地域長井、水口地域は、処分場西北西1.3~2キロメートルのところの尾根を2つ越えたと ころにある。 玉の内地区・長井・水口地区のSMR比較 200 150 100 50 0 標準化死亡比 (SMR) (1990年~1998年) SMR長井・水口SMR玉の内 系列1 22.5 190.5 2.日の出町、全国ガン標準化死亡比(SMR)経年比較 癌標準化死亡比(SMR 比較 (基準人口:1985年モデル人口〕 120 110 100 90 80 70 60 50 40 日の出 全国 谷戸沢処分場開場 1975~80年1981~86年1987~92年1993~98年1999年 日の出64.7 80.9 82.3 95.0 107.1 全国100.0 98.0 101.9 100.3
  • 4. 3.期別男子出生率変化比較 54.0 53.0 52.0 51 .0 50.0 49.0 48.0 47.0 (1977年~1981年) (1982年~1989年) (1990年~1997年) (1998年~2003年) 調査結果の評価 結果1について  期別男子出生率 処分場からの焼却灰による大気汚染が問題になった玉の内地域は、対照地域、日の出町 全体、全国平均(ただし比較年度が多少ずれているので後日補正する。)と比べていずれ の場合も10万人当たりのガン死亡率が3倍以上高い。ただし玉の内地域の人口が少ない ため統計的に有意かの判断はできない。 また玉の内地域は、対照地域長井、水口と標準化死亡比(SMR)の比較をすると9倍弱高 いことになる。このことの統計的有意性は、後日改めて検証したい。 しかし焼却灰に含まれる有害物質はガン死の多発や生体に蓄積され世代間の異常を起 こさせ、しかも大気汚染は広くゆっくりと広がる公害を引き起こすため、統計的な有意な データを待って対応していたら取り返しがつかない被害が起きる恐れがある。 公害が起こるところは、本来自然環境がよく、それ故人工密度が小さい地域に集中する ことがしばしば起こる。 したがって、汚染のメカニズムが予測され、それに沿った実証データがある程度出た段 階で何らかの対策を緊急に立てるべきである。 ちなみにこの件については神奈川県立外語短期大学の木山英明教授が相関の手法で「社 会の疫学」的に有意であるとの評価をされている。(証拠提出予定) 結果2について 日の出町は処分場ができるまでは、東京の郊外にあり森林が多く環境がよいためガン死 率は低かった。しかし処分場開場後徐々にガン標準化死亡比(SMR)は高くなってきて いる。 処分場からの大気汚染の局地気象の市民調査で処分場から飛散した焼却灰の一部は、川 筋に沿って昼間は上流に流れ、夜間は下流に流れ循環するので処分場からの焼却灰は,直 下に吹き下ろすだけでなく日の出町の全体を汚染することがわかった。(「たまあじさい は見ていた」(甲  号証) したがってガン死の調査をした1997年以前の日の出町のガン標準化死亡比 % 日の出町全国入間市本庄市鳩ヶ谷市三芳町
  • 5. (SMR)は全国平均より低かったが、1999年ついに全国平均を超えてしまったのは この汚染の広がりと一致する。 結果3について  男子の出生率の変化については、行政法人物理工学工業技術研究所の松崎早苗氏が全国 的に市町村のデータを集約され統計処理をされている。 日の出町の男子出生率は、出生数が100人前後/毎年程度で少ないこともあり95% 信頼度の異常値の範囲には入っていないが、全国、東京都に対し相対的に出生率が減って ることは事実であり、この傾向は埼玉県の三芳町などダイオキシン類による汚染が問題に なっているところと同じである。(全国市町村自治体の男子出生率調査中間報告書より、 証拠提出予定) 全体評価と今後の疫学的調査の必要性    以上の結果から処分場からの焼却灰の飛散による大気汚染が処分場直下の玉の内地域の ガン死の多発を誘発しているとの疫学的な評価ができないまでも、本格的な疫学的調査の 必要性は相当程度明らかになったと考える。 処分場周辺で毎日生活している住民にとっては、非常に深刻な問題でありなおかつ緊急 な問題である。 まして全国にこれと同じ構造の処分場が3.441ヶ所(厚生省平成8年許可、届入 れ)もあることを考えると一刻も早く精度の高い本格的な調査がなされなければならな い。 すでに証拠として提出した「たまあじさいは見ていた」(甲  号証)は、ガン死多発の 調査結果から、処分場から飛散した焼却灰がどの地域に高濃度に停滞しやすいかを検証す るための調査であった。その結果玉の内地区のような処分場直下の谷筋の地域の集落は夜 間早朝に焼却灰に高濃度に汚染されることがわかった。 したがって日の出町は死亡診断書を疫学の専門家に開示してより正確な疫学調査に協 力する必要がある。また今回の調査はガン死の多発がきっかけになったが、焼却灰の大気 汚染はアトピー性皮膚炎や喘息などのさまざまな症状を調べることで疫学的調査の評価 の精度をあげる必要がある。 以上
  • 6. (SMR)は全国平均より低かったが、1999年ついに全国平均を超えてしまったのは この汚染の広がりと一致する。 結果3について  男子の出生率の変化については、行政法人物理工学工業技術研究所の松崎早苗氏が全国 的に市町村のデータを集約され統計処理をされている。 日の出町の男子出生率は、出生数が100人前後/毎年程度で少ないこともあり95% 信頼度の異常値の範囲には入っていないが、全国、東京都に対し相対的に出生率が減って ることは事実であり、この傾向は埼玉県の三芳町などダイオキシン類による汚染が問題に なっているところと同じである。(全国市町村自治体の男子出生率調査中間報告書より、 証拠提出予定) 全体評価と今後の疫学的調査の必要性    以上の結果から処分場からの焼却灰の飛散による大気汚染が処分場直下の玉の内地域の ガン死の多発を誘発しているとの疫学的な評価ができないまでも、本格的な疫学的調査の 必要性は相当程度明らかになったと考える。 処分場周辺で毎日生活している住民にとっては、非常に深刻な問題でありなおかつ緊急 な問題である。 まして全国にこれと同じ構造の処分場が3.441ヶ所(厚生省平成8年許可、届入 れ)もあることを考えると一刻も早く精度の高い本格的な調査がなされなければならな い。 すでに証拠として提出した「たまあじさいは見ていた」(甲  号証)は、ガン死多発の 調査結果から、処分場から飛散した焼却灰がどの地域に高濃度に停滞しやすいかを検証す るための調査であった。その結果玉の内地区のような処分場直下の谷筋の地域の集落は夜 間早朝に焼却灰に高濃度に汚染されることがわかった。 したがって日の出町は死亡診断書を疫学の専門家に開示してより正確な疫学調査に協 力する必要がある。また今回の調査はガン死の多発がきっかけになったが、焼却灰の大気 汚染はアトピー性皮膚炎や喘息などのさまざまな症状を調べることで疫学的調査の評価 の精度をあげる必要がある。 以上