第16回日本バイオロギング研究会シンポジウム・サテライトワークショップ「総説論文を書こう！」趣旨説明の講演スライド

1. 国⽴環境研究所琵琶湖分室 吉⽥誠
2020年11⽉29⽇
趣旨説明
「総説論⽂執筆を振り返って：若⼿研究者のいち体験談」

2. 総説執筆の経緯
吉⽥ 誠
学位：博⼠(農学)［2017年9⽉］
出⾝：東京⼤学⼤気海洋研究所 ⾏動⽣態計測分野
現所属：国⽴環境研究所琵琶湖分室・特別研究員(ポスドク)
矢作川のアメリカナマズ研究
・⿂類相データの収集・整備
・コイ科⿂類の産着卵調査
○2020年5⽉…和⽂総説の執筆依頼（8⽉末〆切）
国際環境研究協会(AiRiES)『地球環境』誌
→10/27 受理，10/30 著者最終稿公開
吉⽥・⾺渕 (印刷中) 地球環境 [Link]
「湖沼におけるバイオロギング研究：
個体ベースで解き明かす⿂類の⾏動と⽣態」
・⽇本在来コイの採餌⾏動
・在来コイ/フナ類の産卵回遊
・外来⿂アメリカナマズの分布
・⿂類の遊泳⾏動と浮⼒の関係
○研究テーマ：琵琶湖の⿂類の分布/⾏動/⽣態

3. 執筆依頼「湖沼のバイオロギング研究のレビュー書いてよ」
○特集テーマ「湖沼環境研究の新たな動き：現象，アプローチ，⼿法・装置，モデル解析」
○想定する読者層…環境問題に関⼼のある，幅広い分野の研究者や技術者

4. 初めてレビュー論⽂を書くときに考えたこと
○特集テーマ「湖沼環境研究の新たな動き：現象，アプローチ，⼿法・装置，モデル解析」
○想定する読者層…環境問題に関⼼のある，幅広い分野の研究者や技術者
○何を書けばよい？
・バイオロギング研究の歴史（history）
・バイオロギング研究の⼿法＆機器解説（methodology）
・過去に湖沼で⾏われたバイオロギング研究の概説（overview 1）
・⿂類を対象にしたバイオロギング研究の概説（overview 2）
・⾃分が進めている琵琶湖の⿂類のバイオロギング研究紹介（original study）
・今後の展望（future perspective）

5. 初めてレビュー論⽂を書くときに考えたこと
○特集テーマ「湖沼環境研究の新たな動き：現象，アプローチ，⼿法・装置，モデル解析」
○想定する読者層…環境問題に関⼼のある，幅広い分野の研究者や技術者
○何を書けばよい？
・バイオロギング研究の歴史（history）
・バイオロギング研究の⼿法＆機器解説（methodology）
・過去に湖沼で⾏われたバイオロギング研究の概説（overview 1）
・⿂類を対象にしたバイオロギング研究の概説（overview 2）
・⾃分が進めている琵琶湖の⿂類のバイオロギング研究紹介（original study）
・今後の展望（future perspective）
←書籍，他の総説に何度も書かれてる
←つい最近，教科書が出てる
←多すぎる（⿂類以外はわからん）
←多すぎる（湖沼だけで⼗分）
←最近始めたばかり
←上の流れが決まらないと書けない

6. 実際にレビュー論⽂に書いた内容
○特集テーマ「湖沼環境研究の新たな動き：現象，アプローチ，⼿法・装置，モデル解析」
○想定する読者層…環境問題に関⼼のある，幅広い分野の研究者や技術者
○実際の章⽴て
・イントロ：湖沼の⿂類はいつ，どこで，どのように過ごしているのか？
・バイオロギングの⼿法
└湖沼で⽤いられるバイオロギングの各⼿法の特徴
・湖沼における⿂類のバイオロギング研究
└⽇本の研究者による，湖沼における⿂類のバイオロギング研究
・湖沼におけるバイオロギングの展開
└⽔産資源管理と⽣物多様性保全の達成に向けた，現在の知識ギャップとその解決策

7. 実際にレビュー論⽂に書いた内容
○特集テーマ「湖沼環境研究の新たな動き：現象，アプローチ，⼿法・装置，モデル解析」
○想定する読者層…環境問題に関⼼のある，幅広い分野の研究者や技術者
○実際の章⽴て
・イントロ：湖沼の⿂類はいつ，どこで，どのように過ごしているのか？
・バイオロギングの⼿法
└湖沼で⽤いられるバイオロギングの各⼿法の特徴
・湖沼における⿂類のバイオロギング研究
└⽇本の研究者による，湖沼における⿂類のバイオロギング研究
・湖沼におけるバイオロギングの展開
└⽔産資源管理と⽣物多様性保全の達成に向けた，現在の知識ギャップとその解決策
←範囲を絞った
←対象を絞り，網羅性を⾼めた
↑視点を2つ⽤意して現状を整理し，⼀歩先に⾒えている(ごく近い)将来について書いた
←対象・問いを絞った

8. 総説論⽂を書くときの検討項⽬
・分野の歴史 ……どこを起点にするか，過去/現在/未来の配分
・概念や⼿法の解説 ……想定読者層
・既往研究の概説 ……カバー範囲の広さと網羅性のトレードオフ
・⾃分の研究の位置付け ……書いてみると客観的な⽴ち位置が⾒えてくる
・今後の展望 ……現在と地続きな，⼀歩先の未来
※どこに重きを置くか？で総説にも複数のタイプがある
総説(review)，解説/概説(overview)，展望(survey)，⽬録(catalog)，意⾒(opinion)，
⾒解(perspective)，総覧(monograph)，図説(atlas)，...

9. 総説論⽂を書くときの検討項⽬
・分野の歴史 ……どこを起点にするか，過去/現在/未来の配分
・概念や⼿法の解説 ……想定読者層
・既往研究の概説 ……カバー範囲の広さと網羅性のトレードオフ
・⾃分の研究の位置付け ……書いてみると客観的な⽴ち位置が⾒えてくる
・今後の展望 ……現在と地続きな，⼀歩先の未来
※どこに重きを置くか？で総説にも複数のタイプがある
総説(review)，解説/概説(overview)，展望(survey)，⽬録(catalog)，意⾒(opinion)，
⾒解(perspective)，総覧(monograph)，図説(atlas)，...
『誰に向けて，何について，どこまで書くのか？』
→ ⾃問⾃答 ＋共著者とのやり取りも⼤事！

10. ワークショップ『総説を書こう！』
○話題提供
・内藤靖彦さん【バイオロギング，⼤ベテラン】…レビュー執筆の経験談
「バイオロギングと私の妄想」
・⼊⾕亮介さん【数理進化学，若⼿】…意⾒論⽂執筆中の共著者とのやり取り
「オピニオン論⽂とは何か？いつ、誰が、どうやって書くか？」
・⼀⽅井祐⼦さん【科学コミュニケーション論，若⼿】…コミュニティの観点から⼀般化
「科学コミュニケーションとしての総説論⽂」
○総合討論
̶ Webアンケート『総説論⽂って読みますか？』集計結果の紹介
̶「学⽣・若⼿研究者が総説を書き上げるには？」