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台風センドン被災者支援



             Kuya Fish Campaign


            第一次ミッション報告書


                      2012 年 2 月 13 日




期間:2 月 4 日~2 月 11 日
参加者:田中一成、伊東光穂、今井裕明(記録)
地域:フィリピン、ミンダナオ島、カガヤン・デ・オロ市
主な成果:204 戸に対するやかん、ポット、バケツの配給
       BMFI による活動の支援(衣類の仕分け、家屋補修資材の配給)
       第二次活動に係る Habitat for Humanity との合意




    目次
    1.経緯と現地の状況
    2.ミッションの成果
    3.第二次ミッションの計画
1.経緯との現地の状況
 (1) 経緯と 2 月 4 日~11 日の現地の状況
   台風センドン(国際名ワシ)により 2011 年 12 月 16 日に発生した洪水は、ミンダナ
 オ島北部およびネグロス島南部を襲いミンダナオ島カガヤン・デ・オロ市、イリガン
 市を中心に死者 1,268 名、被災者約 40 万人(2012 年 1 月 26 日、NDRRMC Update
 より)の被害をもたらす。半世紀ぶりの台風であり防災対策がなされていなかったこ
 と、天然のダムが決壊し急激な水位上昇をもたらしたこと、住民が就寝後の深夜に洪
 水が発生したことから死者数の多さが特徴。
   生存者の話(第一次ミッションでのヒアリング)によると当時の様子は、
                                   「水がすご
 い勢いで流れてきて表面が白く波打っていた。水中の蛇にかまれる、急激に流れてく
 るトタン屋根で手足を切るなど、凄惨な状況だった」「目が覚めた時にはすでに危険
                         、
 な水位に達しており、身分証も持たずに逃げてきた」「洪水直後は市内の人でさえそ
                         、
 の発生を知らずに、どろどろの服でデパートに服を買いに行っていぶかしがられた」
 等。




                                 流失したカラカラの様子

   カガヤン・デ・オロ市では洪水発生数時間で水のペットボトル配給が開始された。
 政府は小学校の体育館等に緊急避難所を開設。最初の数週間には炊き出しが行われた。
 数週間経過したころから市街地の外のテントシティー(仮設住宅)への移転が開始さ
 れ、食料は自炊に移った。 月 21 日時点で完全に破壊された家屋約 11 千戸に対してテ
             1
 ント数は約 2 千戸。




                        Indahag Church テントシティーの様子
第一次ミッション時には水・食糧等は国際 NGO を中心に安定的に供給されていた。
食事は、米、大豆、野菜(オクラ、インゲン豆、かぼちゃ)、魚の干物、卵など。「災
害前よりむしろ良くなった」という声もあり。水はカトリック・リリーフ・サービス
(CRS)等により定期的に供給されている。各テントに寝具、椅子、テーブル、電気、
服、洗濯たらい、調理器具、手回し充電式ラジオ等、最低限必要なものはそろってお
り、ポータブル DVD 等を持っているテントもある。ただし、活動期限を 3 月までとす
る NGO もおり、安定的な仮設住宅生活がいつまで続くか不透明。また用地不足により
国際基準を満たさない過密状態となっている。




               干し魚




                     野菜




                          テントシティーの子供たち
デルモンテ社寄付の炊事場




                     各家庭の食器、水タンク、洗濯たらい等。

 2 月 7 日の Shelter Cluster のコーディネーションミーティングでは、避難所からテ
ントシティーに移住させることが目下の課題として議論された(永住住宅の議論はま
だ本格化していない)。避難所は小学校の施設等を利用しており、移設しないと教育に
支障あり。ただし、カガヤン・デ・オロ市では被災者支援がメイヤー対ガバナーの政
争に発展し、土地の確保や移住者リストの作成が遅延しがちとの噂が流布している。
流失した地域は No Build ゾーンに指定されており、その再開発は同ミーティングでは
議論の俎上に上っていない。
 長期的には、永住先の用地確保・住宅建設と被災住民の就業支援が最重要課題と、
被災住民、支援団体ともに認識されている。Indahag school テントシティーでは、
                                            「子
供に絵をかかせたら、皆家の絵を描いたの。家が欲しいのよ。」との声あり。就業支援
では一時的な Cash for Work(日給 215 ペソ)があるが、長期的には市内から車で 20
~30 分(往復交通費 60 ペソ)離れた永住先で持続的に所得獲得できるようにすること
が課題。Indahags San Miguel Church テントシティーでは女性中心にラグ(足ふきマ
ットや鍋敷きに使う厚手の編み物)の生産が開始されている(一枚 40 ペソ、一日2枚
生産可能 販売可能な品質)。
ラグの生産を行う女性


 (2)Kuya Fish Campaign の活動経緯
   12 月 27 日~1 月 9 日 田中一成がカガヤン デ オロ市ザビエル大学を拠点として、
                    :         ・ ・
   被災者支援ボランティア活動を実施。帰国後、Facebook 等を通じて日本国内で支援
   を呼びかける。Kuya Fish とは、避難所で田中一成が子供から呼ばれていたあだ名
   (「イッセー」の発音が魚を意味する「イスダ」に変形)
                            。
   1 月 21 日:KFC キックオフミーティングを実施。慶応大学、秋田国際教養大学、東
   京大学、社会人を含む 11 名が参加。日本国内外への情報発信、KFC 自身による直轄
   事業の実施といった活動の方向性を決定。
   1 月 27 日:ACC21 伊藤道雄代表と面談。KFC 活動への賛同と協力の意向を得る。
   バライミンダナオ財団(Balay Mindanaw Foundation Inc. 以下、
                                               「BMFI」という。
                                                        )
   の紹介を受ける。
   1 月 28 日:第二回 KFC ミーティングを実施。新規に 5 つの学生団体代表に対して、
   KFC の趣旨を説明し、協力の意向を得る。
   1 月 31 日:BMFI より KFC の第一次ミッションの受け入れ許可を得る。
   2 月 4 日~:第一次ミッションをカガヤン・デ・オロ市に派遣(*)
   (*)外務省海外安全情報で「十分注意してください」と指定されている地域


2.ミッションの成果
 (1) 物資配給活動
       カガヤン・デ・オロ市の 42 か所(BMFI Bing 氏談)のテントシティー・避
      難所のうち、3 テントシティーと 1 つのコミュニティの合計 207 戸に対して合
      計 30 万円相当の物資を配給。配給内容は、BMFI がテントシティーの住民か
      ら意見をくみ上げてやかん、ポット、バケツ(女性のための尿瓶として利用)
      を KFC に対して提案。
       1 月 30 日付 OCHA レポートで、脆弱な立場に置かれやすい女性に対する支
      援や乳児のミルクコードの違反等が重要課題として言及されており、妥当性が
      高いものと判断して供与を決定。2 月 8 日に Indahag School, Indahag San
Miguel Church, Gusa の 3 テントシティーに配給完了。Iponan へは 2 月 11 日
以降配給予定。


Indahag School              59 戸   やかん、まくら、バケツ(完了)
Indahag San Miguel Church    62 戸 やかん、ポット、バケツ(完了)
Gusa                        35 戸 やかん、ポット、バケツ(完了)
Iponan                      51 戸 やかん、ポット、バケツ(予定)


やかん…テントシティーは炊き出しが必要とされる時期から自炊を行う時期に
移っており、鍋、フライパン等の調理器具が提供済み。やかんを配給すること
でお湯を沸かす時間を短縮し、女性の調理労働にかかる負担を軽減することを
意図したもの。


ポット…お湯を保存することで、乳児のミルクの用意を適時に行えるようにす
る等の利便性を高めることを意図したもの。


バケツ…女性が深夜に共用トイレに行きたくないという声にこたえて、尿瓶と
して提供したもの。


まくら…テントではマットレス等の配給がおこなわれているが、まくらの配給
は未了。良質な睡眠をとることは精神安定上にも重要であり住民のニーズが大
きかったため、既にポットを所持しているテントシティーに対してポットの代
わりに提供したもの。




                 一戸当たり約 700 ペソ 1400 円相当
戸別の袋詰め作業




  物資配給の光景(Gusa テントシティー)




  「ミルク作りが便利になった」と語る住民




 早速、その日の調理に利用されているやかん
(注)テントシティーとは、被災者が通常の生活を取り戻すまでの避難所→仮設住宅→
    定住住宅の 3 段階のうち 2 段階目の仮設住宅の一つの形態としてテント(合計 8 畳程
    度で居間+3 室)を利用するもの。国際宝くじ協会の供与が目立った。日本ではプレハ
    ブに当たるか。


    (2) バライミンダナオ財団による活動の支援
      バライミンダナオ財団(Balay Mindanaw Foundation Inc.、以下「BMFI」とい
     う。)の本来業務は、コミュニティ強化、平和構築、モデルファーム経営、マイクロ
     ファイナンスであったが、今回の災害では、経験のない災害支援分野に組織を挙げ
     て取り組んでいる。第一次ミッション時点の BMFI の災害支援活動は、主に支援物
           所管 3 テントシティー
     資の配給活動、          (Indahag School, Indahag San Miguel Church,
     Gusa)及び 5 地区(Iponan, Bulua, Bonbon, Kauswagan, Canito-An)のモニタリ
     ング、就業支援、ドナーコミュニティーでの連絡調整、心のケア活動。
      短期的ニーズに対応する物資の配給活動から長期的な自律的生活支援のための就
     業支援等にシフトしつつある段階との由。


      支援物資の配給活動は、BMFI に直接届く支援物資の配給と大手 NGO 等の大規模
     配給活動の一翼を担う活動(物資は大手 NGO が調達し、BMFI が戸別に仕分けて配
     給するもの)の二つから成る。KFC は、前者として下着の仕分け作業、後者として
     建築資材の配給活動に参加した。


     下着の仕分け作業
      2 月 6 日(月)、国内からの支援物資(下着等1)の仕分け作業を補助する。支援者
     に対する説明責任と受給者に対する平等性を確保するため、支援物資を一枚一枚数
     え、種類・サイズ別に仕分け、すべての配給家計に平等にいきわたるように袋詰め
     する。一家計当たり 17 枚程度の下着パックを作成。
      全体で段ボール 4 箱、約 4000 ピース、4~5 名×8 時間の仕事量、深夜 23 時 30
     分に完了。洪水直後には最大 600 箱程度のストックを抱えたとのことなので、膨大
     な仕分け作業を行ってきたことがうかがえる。
      BMFI の長期ボランティア 1 名と正社員 1~2 名(担当レベル)による作業を、伊
     東、今井と伊東の友人のフィリピン人学生の 3 名で補助する。マネジメントクラス
     だけでなく、ボランティア生や担当レベルの社員まで説明責任や平等性に係る意識
     が高く、規律が徹底していたことが印象的。
      「(これだけ大変な作業を行っているのだから一つくらいもらっても良いのでは
     ないかと問うたところ)私はサバイバーではないから、支援物品を受け取るわけに

1   女性用下着が太宗を占め、次いで男性用下着、子供服、ブラジャー。
はいかない」 「まとめて配ると平等性を確保できないので(手間がかかっても)小
      、
分けの作業が必要」等の声有り。




                              仕分けの光景




                                仕分け結果


家屋補修資材配給作業
 家屋補修資材の配給は、半壊の家に住み続けている住民向けに行われる。Habitat
for Humanity の提供する資材を BMFI 管轄地域に配給する作業。2 月 8 日(水)、
翌日の家屋補修資材の配給活動に向けて釘を戸別に仕分ける作業を実施。
 釘の袋詰め作業は、 種類の釘を 500 グラムずつ、
          5               合計 2.5 キロ分袋に詰める作業。
釘をまとめて地元の人に渡し配分を任せると横領が起きる可能性があるので、透明
性、平等性を確保するために、20 時 30 分~午前 2 時まで 3~5 人掛かり(BMFI ス
タッフ 2 名と KFC 田中、今井、Kris さん(Xavier 大学生徒会の女性))で実施。こ
こでも透明性・平等性を確保するために仕分け作業に相当のコストを裂いているこ
とが伺えた。
 2 月 9 日(木)、Kauswagan 区役所で家屋補修資材の配給活動を実施。フィリピ
ン陸軍とともに木材を同数ずつ仕分ける。KFC より田中、今井が参加。家 BMFI の
所管地区では 1000 戸以上の対象住民がいるが、第一バッチ 200 戸、今回の第二バッ
チでも 200 戸を対象に配給。受給資格があるもののまだ受給できない家計が数多く
      「どうして私の家は受け取ることができないの」と BMFI スタッフに
残されており、
嘆く住民が見受けられた。
(参考)Kauswanga 区役所は被災者が各種支援を申請するための行政手続きを行うた
 めにごった返していた。もろもろの支援活動は、すべて受給者のリストを作成した
 上で行われており、Organized されていることが印象的だった(不特定多数にモノ
 を配る活動は皆無だった)
            。


  モニタリング活動は、所管するテントシティーが適切に運営されるように全体調
 整を行うもの。具体的には、定期的にテントシティー等を訪問してキャンプマネー
 ジャーから水、食料、トイレ等の支援が適切に提供されているかヒアリングを行い、
 問題が生じている場合には、関連機関とコーディネーションを行うもの。
  KFC が同行した 2 月 5 日(日)のモニタリングでは、Cash for Work スキームに
 よるトイレ建設の遅延(資材が届かないため)を確認。その他は特段の問題無いこ
 とを確認。
  また、2 月 6 日(月)には近所の避難所の住民が「ここ 2 週間避難所に食料が届い
 ていない」と相談に来る。BMFI が状況把握のためにスタッフを派遣(定期的なモニ
 タリングが行われており、そのような事態は生じないはずとの由)。避難所の住民の
 拠り所として機能していた。




                        Indahag Church のモニタリング




                   BMFI を訪れた住民に耳を傾ける BMFI スタッフ
就業支援活動では、生活の基盤を失った住民が再就業できるように BMFI が職業
 訓練等を企画。2 月 12 日までにテントシティー住民一人ひとりの職歴、指向やスキ
 ルにかかるプロファイルを作成し、それに基づく技術支援、就職のあっせんを実施
 予定(例えば、機械工、マッサージ、大工など)。


   他、ドナーコミュニティーでの連絡調整については、以下2.(3)を参照。心の
 ケア活動については時間の制約から参加出来なかった。


(3) Shelter Cluster に係る情報収集
     (最新情報は、以下の Shelter Cluster ウェブサイトより)
     https://www.sheltercluster.org/Asia/Philippines/TropicalStormSendong2011
     /Pages/default.aspx
       2 月 7 日 10 時~12 時カガヤン・デ・オロ市社会福祉局(DSWD)主催住宅
     セクター会議(注、政府が NGO との情報共有・問題解決の場として定期的に
     設定するもの)が開催され、BMFI からは、Shelter 担当の Bing 氏と、KFC
     伊東、今井(記録)が出席。主な出席者は、政府のとりまとめ部局、政府のロ
     ジスティック部局、国際宝くじ協会、Save the children 等。合計 30 名程度。
     議事要旨以下の通り。




                                                セクター会議の様子

     空室問題の解決…国際宝くじ協会が、2 月 6 日時点で 462 戸のテントの空室を
指摘。避難民を早急に避難所から移動させるよう要請(放置されるのであれば
      テントを撤去すると赤十字が言っていると、国際宝くじが警告)。ロジスティ
      ックスの制約により移住が滞っていると担当機関が回答。そのはずはないとロ
      ジ責任者が反論。政府担当者から、462 戸への入居者選定において政治家から
      自身の反対者をリストから除外するように圧力があると示唆あり(BMFI Bing
      氏による解釈)。最終的に、2 月 7 日中にリストを完成させ、一週間以内に 462
      戸の空室を満たすべく関係者が協調することに合意。


      建築禁止地域の範囲拡大と移住を要する住民の把握…洪水直後に現地視察した
      アキノ大統領の政令により建築禁止地域が設定されたが、市政府は同地域の拡
      大(+20 メートル)を企画している。拡大範囲に在住する住民に代替住宅を提
      供することが必要と問題提起あり。市政府は、その地域には人はだれも住んで
      いないと説明するも、複数の NGO から、どこどこに何戸が居住している等の
      指摘あり。拡大した建築禁止地域に含まれるすべての住民が補償を受けられる
      ように受給者リストを作成するための実査の実施が提案された。


      NGO と政府が対等な立場で建設的な議論を行う場があること自体有意義と思
      料。BMFI の Bing 氏によると、当初は 100 を超える国際 NGO が自分たちの
      スタンダードを押しつけるように言いたいことをいって甚だ混乱したとの由
      (ほとんどの NGO は時間の経過とともに被災地を去って行った)。現在の会
      合もフラットすぎて大小の議論が混在する等の課題は残るが、問題解決機能を
      発揮できている。
       「私には本業があるのよ、いつまでもうだうだしているなら本業に戻らせて
      ちょうだい、付き合っていられないわ」と責任のなすり合いで進まない議論に
      対して不満を表した政府のロジスティック担当部局の人の言葉が印象的。NGO
      は本業として災害支援を行っているが、政府は災害支援の業務が制度化されて
      いないため、本業の傍ら追加的に災害支援活動を行わなければならない。


(4) Habitat for Humanity
       2 月 9 日カガヤン・デ・オロ市における永住住宅建設の総括団体である
      Habitat for Humanity の現地代表 David Liban(呼称 DABS)から、3 月 9 日
      ~21 日まで、日本人ボランティア 10 人~15 名の受け入れ許可を得た。
David 氏と現地大学生(手前は KFC 田中)
    9 日は、現地大学生の代表(カガヤン・デ・オロ市の青年議会の議員)に対
   して Habitat for Humanity が協力依頼を行う会議(Habitat マニラ支部から 2
   名、カガヤン・デ・オロから 2 名、現地ボランティア約 10 名)が開催され、
   BMFI 通じで面識を得た Habitat for Humanity の Eugene 氏の働きかけで
   KFC(田中、今井)も参加することができた。
    永住住宅建設の目標は当初 3 カ月に 500 戸(一日 6 戸程度) 年で 6000 戸
                                      、1
   (一日 16 戸程度)というもの。10 人日で一戸の建設が可能な仕様。技能を持
   たないボランティアが、プロの監督の元作業を行う。
    建設用地の確保が進んでおらず、現在土地は Kalaanan と Indahag の二か所
   数百戸分のみ。Habitat for Humanity は 2 月 9 日時点では 3 月以降の詳細な予
   定をもたないため、ボランティア活動の詳細計画は継続協議となった。ただし、
   3 月 10 日のラウンチングセレモニー、 月 10 日の学生 1000 人動員建設デーの
                        6
   み決まっている。


(5) ザビエル大学との連携
    2 月 9 日、ACC21 伊藤代表の友人のザビエル大学農学部長 Roel R Ravanera
   氏と面談を行った。農学部長は、KFC の活動に賛同し ACC21 伊東代表への感
   謝の気持ちを示した。Resettlement site のコミュニティー計画の立案支援へ参
   画できないか問うたところ、ザビエル大学が開発した Resettlement site が紹
   介され、既に計画済みで建設も開始されているが、現地視察を行うことで何ら
   かの示唆を得られるのではないかと助言をいただいた。
    また、同じく Kris 氏の働きかけによりザビエル大学生徒会長と面談し、3 月
   のボランティア派遣時に週末にザビエル大学生との交流会を開くことに合意し
   た。
Roel 氏との面談




                                     ザビエル大学生徒会長との面談


       2 月 10 日、面談時に紹介された、Xavier Eco Village(ザビエル大学の所有
     地を無償で住民移転先として提供して建設するもの、500 ヘクタール。場所は
     空港近くのルンビア)を見学。仮設住宅の建設が進捗しており、既に 100 戸以
     上が生活している。今後永住住宅の建設がおこなわれる予定。ごみの分別回収
     の実施と緑のあるスペースをコミュニティー内に設置することが Eco Village
     のいわれ。Xavier 大学の用地であることから計画、実施まで Xavier 大学の裁
     量で決定している。




                                  Eco Village 玄関口の旧航空機倉庫


(6)その他
・ BMFI では Kaloy 代表の旧友のイギリス人 Arther Social Pastoral Institute 所属)
                                 (
  がプライベートでアドバイザリー業務を行っており、2 月 8 日には、Arther による
  兵庫フレームワークの講義が行われた(国際的に共有されている災害対策枠組みの
紹介)
         。
    ・ BMFI の紹介で、WASH セクターの中心アクターであるカトリック・リリーフ・サ
       ービス の Juan 氏と連絡先の交換を行った。
    ・ ザビエルエコビレッジ視察時に、偶然エストラダ大統領の息子と現地記者の一行に
       出くわし、エストラダ元大統領息子から声をかけられ KFC の趣旨を説明した。




3.第二次ミッションの計画
  第二次ミッションとして、3 月 9 日~21 日まで住宅建設ボランティアの現地派遣を実施
することを、受け入れ団体である BMFI と住宅建設担当の Habitat for Humanity と合意し
た。詳細計画は別添9のとおり。




別添1.スケジュール
別添2.地図
別添3.写真、記録 VTR:
Facebook サイト:Kuya Fish Campaign
http://www.facebook.com/photo.php?fbid=178433125582828&set=a.107961802629961.1
5530.100002484262894&type=1&theater#!/groups/166087433494881/
ブログ:Tumblr に開設 Kuya Fish Campaign
http://kuyafishcampaign.tumblr.com/
別添4.Shelter cluster 現況調査報告書及び関連資料
別添5.バライミンダナオ財団関連資料(紹介 DVD 等)
写真は Kuya Fish Campaign の Facebook をご参照
http://www.facebook.com/photo.php?fbid=178433125582828&set=a.107961802629961.1
5530.100002484262894&type=1&theater#!/groups/166087433494881/
別添6.Habitat for Humanity 関連資料(紹介 DVD)
別添7.WASH cluster 関連資料
別添8.第一次ミッション物資配給活動の領収書
別添9.ボランティア募集要項
別添10.BMFI による 1 月 30 日~2 月 5 日、2 月 6 日~13 日報告書
別添1.
Kuya Fish Campaign 第一次ミッションスケジュール(2 月 4 日~11 日)


2月4日        配給物資の決定
(今井)       BMFI のオリエンテーション


2月5日        以下の視察
(伊東、今井)    3テントシティー(Calaanan、Indahag school、Indahag Church)
                                                          、
            1 流失地域(Karakara)


2月6日        BMFI の月曜定例会への参加
(伊東、今井)     下着の仕分け作業


2月7日           住宅セクター会議への出席
(田中、伊東、今井) カトリック・リリーフ・サービス Juan 氏と顔合わせ
               KFC 配給物品の袋詰め作業
               Habitat for Humanity の Eugene との面談


2月8日           Arther による国際的な防災枠組みの講義聴講
(田中、伊東、今井) KFC 物資の配給活動
               釘の仕分け作業


2月9日           住宅補修資材の配給
(田中、今井)        Xavier 大学農学部長との面談
               Xavier 大学生徒会長との面談
               Habitat for Humanity の David 氏との面談


2 月 10 日      Xavier Eco Village の視察
(田中、今井)       第二次ミッションのロジスティックの BMFI との協議




2 月 11 日      今井帰国、田中は継続活動(第二次ミッションに向けた各種調整)

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2012.feb.13 第一次ミッション報告書

  • 1. 台風センドン被災者支援 Kuya Fish Campaign 第一次ミッション報告書 2012 年 2 月 13 日 期間:2 月 4 日~2 月 11 日 参加者:田中一成、伊東光穂、今井裕明(記録) 地域:フィリピン、ミンダナオ島、カガヤン・デ・オロ市 主な成果:204 戸に対するやかん、ポット、バケツの配給 BMFI による活動の支援(衣類の仕分け、家屋補修資材の配給) 第二次活動に係る Habitat for Humanity との合意 目次 1.経緯と現地の状況 2.ミッションの成果 3.第二次ミッションの計画
  • 2. 1.経緯との現地の状況 (1) 経緯と 2 月 4 日~11 日の現地の状況 台風センドン(国際名ワシ)により 2011 年 12 月 16 日に発生した洪水は、ミンダナ オ島北部およびネグロス島南部を襲いミンダナオ島カガヤン・デ・オロ市、イリガン 市を中心に死者 1,268 名、被災者約 40 万人(2012 年 1 月 26 日、NDRRMC Update より)の被害をもたらす。半世紀ぶりの台風であり防災対策がなされていなかったこ と、天然のダムが決壊し急激な水位上昇をもたらしたこと、住民が就寝後の深夜に洪 水が発生したことから死者数の多さが特徴。 生存者の話(第一次ミッションでのヒアリング)によると当時の様子は、 「水がすご い勢いで流れてきて表面が白く波打っていた。水中の蛇にかまれる、急激に流れてく るトタン屋根で手足を切るなど、凄惨な状況だった」「目が覚めた時にはすでに危険 、 な水位に達しており、身分証も持たずに逃げてきた」「洪水直後は市内の人でさえそ 、 の発生を知らずに、どろどろの服でデパートに服を買いに行っていぶかしがられた」 等。 流失したカラカラの様子 カガヤン・デ・オロ市では洪水発生数時間で水のペットボトル配給が開始された。 政府は小学校の体育館等に緊急避難所を開設。最初の数週間には炊き出しが行われた。 数週間経過したころから市街地の外のテントシティー(仮設住宅)への移転が開始さ れ、食料は自炊に移った。 月 21 日時点で完全に破壊された家屋約 11 千戸に対してテ 1 ント数は約 2 千戸。 Indahag Church テントシティーの様子
  • 3. 第一次ミッション時には水・食糧等は国際 NGO を中心に安定的に供給されていた。 食事は、米、大豆、野菜(オクラ、インゲン豆、かぼちゃ)、魚の干物、卵など。「災 害前よりむしろ良くなった」という声もあり。水はカトリック・リリーフ・サービス (CRS)等により定期的に供給されている。各テントに寝具、椅子、テーブル、電気、 服、洗濯たらい、調理器具、手回し充電式ラジオ等、最低限必要なものはそろってお り、ポータブル DVD 等を持っているテントもある。ただし、活動期限を 3 月までとす る NGO もおり、安定的な仮設住宅生活がいつまで続くか不透明。また用地不足により 国際基準を満たさない過密状態となっている。 干し魚 野菜 テントシティーの子供たち
  • 4. デルモンテ社寄付の炊事場 各家庭の食器、水タンク、洗濯たらい等。 2 月 7 日の Shelter Cluster のコーディネーションミーティングでは、避難所からテ ントシティーに移住させることが目下の課題として議論された(永住住宅の議論はま だ本格化していない)。避難所は小学校の施設等を利用しており、移設しないと教育に 支障あり。ただし、カガヤン・デ・オロ市では被災者支援がメイヤー対ガバナーの政 争に発展し、土地の確保や移住者リストの作成が遅延しがちとの噂が流布している。 流失した地域は No Build ゾーンに指定されており、その再開発は同ミーティングでは 議論の俎上に上っていない。 長期的には、永住先の用地確保・住宅建設と被災住民の就業支援が最重要課題と、 被災住民、支援団体ともに認識されている。Indahag school テントシティーでは、 「子 供に絵をかかせたら、皆家の絵を描いたの。家が欲しいのよ。」との声あり。就業支援 では一時的な Cash for Work(日給 215 ペソ)があるが、長期的には市内から車で 20 ~30 分(往復交通費 60 ペソ)離れた永住先で持続的に所得獲得できるようにすること が課題。Indahags San Miguel Church テントシティーでは女性中心にラグ(足ふきマ ットや鍋敷きに使う厚手の編み物)の生産が開始されている(一枚 40 ペソ、一日2枚 生産可能 販売可能な品質)。
  • 5. ラグの生産を行う女性 (2)Kuya Fish Campaign の活動経緯 12 月 27 日~1 月 9 日 田中一成がカガヤン デ オロ市ザビエル大学を拠点として、 : ・ ・ 被災者支援ボランティア活動を実施。帰国後、Facebook 等を通じて日本国内で支援 を呼びかける。Kuya Fish とは、避難所で田中一成が子供から呼ばれていたあだ名 (「イッセー」の発音が魚を意味する「イスダ」に変形) 。 1 月 21 日:KFC キックオフミーティングを実施。慶応大学、秋田国際教養大学、東 京大学、社会人を含む 11 名が参加。日本国内外への情報発信、KFC 自身による直轄 事業の実施といった活動の方向性を決定。 1 月 27 日:ACC21 伊藤道雄代表と面談。KFC 活動への賛同と協力の意向を得る。 バライミンダナオ財団(Balay Mindanaw Foundation Inc. 以下、 「BMFI」という。 ) の紹介を受ける。 1 月 28 日:第二回 KFC ミーティングを実施。新規に 5 つの学生団体代表に対して、 KFC の趣旨を説明し、協力の意向を得る。 1 月 31 日:BMFI より KFC の第一次ミッションの受け入れ許可を得る。 2 月 4 日~:第一次ミッションをカガヤン・デ・オロ市に派遣(*) (*)外務省海外安全情報で「十分注意してください」と指定されている地域 2.ミッションの成果 (1) 物資配給活動 カガヤン・デ・オロ市の 42 か所(BMFI Bing 氏談)のテントシティー・避 難所のうち、3 テントシティーと 1 つのコミュニティの合計 207 戸に対して合 計 30 万円相当の物資を配給。配給内容は、BMFI がテントシティーの住民か ら意見をくみ上げてやかん、ポット、バケツ(女性のための尿瓶として利用) を KFC に対して提案。 1 月 30 日付 OCHA レポートで、脆弱な立場に置かれやすい女性に対する支 援や乳児のミルクコードの違反等が重要課題として言及されており、妥当性が 高いものと判断して供与を決定。2 月 8 日に Indahag School, Indahag San
  • 6. Miguel Church, Gusa の 3 テントシティーに配給完了。Iponan へは 2 月 11 日 以降配給予定。 Indahag School 59 戸 やかん、まくら、バケツ(完了) Indahag San Miguel Church 62 戸 やかん、ポット、バケツ(完了) Gusa 35 戸 やかん、ポット、バケツ(完了) Iponan 51 戸 やかん、ポット、バケツ(予定) やかん…テントシティーは炊き出しが必要とされる時期から自炊を行う時期に 移っており、鍋、フライパン等の調理器具が提供済み。やかんを配給すること でお湯を沸かす時間を短縮し、女性の調理労働にかかる負担を軽減することを 意図したもの。 ポット…お湯を保存することで、乳児のミルクの用意を適時に行えるようにす る等の利便性を高めることを意図したもの。 バケツ…女性が深夜に共用トイレに行きたくないという声にこたえて、尿瓶と して提供したもの。 まくら…テントではマットレス等の配給がおこなわれているが、まくらの配給 は未了。良質な睡眠をとることは精神安定上にも重要であり住民のニーズが大 きかったため、既にポットを所持しているテントシティーに対してポットの代 わりに提供したもの。 一戸当たり約 700 ペソ 1400 円相当
  • 7. 戸別の袋詰め作業 物資配給の光景(Gusa テントシティー) 「ミルク作りが便利になった」と語る住民 早速、その日の調理に利用されているやかん
  • 8. (注)テントシティーとは、被災者が通常の生活を取り戻すまでの避難所→仮設住宅→ 定住住宅の 3 段階のうち 2 段階目の仮設住宅の一つの形態としてテント(合計 8 畳程 度で居間+3 室)を利用するもの。国際宝くじ協会の供与が目立った。日本ではプレハ ブに当たるか。 (2) バライミンダナオ財団による活動の支援 バライミンダナオ財団(Balay Mindanaw Foundation Inc.、以下「BMFI」とい う。)の本来業務は、コミュニティ強化、平和構築、モデルファーム経営、マイクロ ファイナンスであったが、今回の災害では、経験のない災害支援分野に組織を挙げ て取り組んでいる。第一次ミッション時点の BMFI の災害支援活動は、主に支援物 所管 3 テントシティー 資の配給活動、 (Indahag School, Indahag San Miguel Church, Gusa)及び 5 地区(Iponan, Bulua, Bonbon, Kauswagan, Canito-An)のモニタリ ング、就業支援、ドナーコミュニティーでの連絡調整、心のケア活動。 短期的ニーズに対応する物資の配給活動から長期的な自律的生活支援のための就 業支援等にシフトしつつある段階との由。 支援物資の配給活動は、BMFI に直接届く支援物資の配給と大手 NGO 等の大規模 配給活動の一翼を担う活動(物資は大手 NGO が調達し、BMFI が戸別に仕分けて配 給するもの)の二つから成る。KFC は、前者として下着の仕分け作業、後者として 建築資材の配給活動に参加した。 下着の仕分け作業 2 月 6 日(月)、国内からの支援物資(下着等1)の仕分け作業を補助する。支援者 に対する説明責任と受給者に対する平等性を確保するため、支援物資を一枚一枚数 え、種類・サイズ別に仕分け、すべての配給家計に平等にいきわたるように袋詰め する。一家計当たり 17 枚程度の下着パックを作成。 全体で段ボール 4 箱、約 4000 ピース、4~5 名×8 時間の仕事量、深夜 23 時 30 分に完了。洪水直後には最大 600 箱程度のストックを抱えたとのことなので、膨大 な仕分け作業を行ってきたことがうかがえる。 BMFI の長期ボランティア 1 名と正社員 1~2 名(担当レベル)による作業を、伊 東、今井と伊東の友人のフィリピン人学生の 3 名で補助する。マネジメントクラス だけでなく、ボランティア生や担当レベルの社員まで説明責任や平等性に係る意識 が高く、規律が徹底していたことが印象的。 「(これだけ大変な作業を行っているのだから一つくらいもらっても良いのでは ないかと問うたところ)私はサバイバーではないから、支援物品を受け取るわけに 1 女性用下着が太宗を占め、次いで男性用下着、子供服、ブラジャー。
  • 9. はいかない」 「まとめて配ると平等性を確保できないので(手間がかかっても)小 、 分けの作業が必要」等の声有り。 仕分けの光景 仕分け結果 家屋補修資材配給作業 家屋補修資材の配給は、半壊の家に住み続けている住民向けに行われる。Habitat for Humanity の提供する資材を BMFI 管轄地域に配給する作業。2 月 8 日(水)、 翌日の家屋補修資材の配給活動に向けて釘を戸別に仕分ける作業を実施。 釘の袋詰め作業は、 種類の釘を 500 グラムずつ、 5 合計 2.5 キロ分袋に詰める作業。 釘をまとめて地元の人に渡し配分を任せると横領が起きる可能性があるので、透明 性、平等性を確保するために、20 時 30 分~午前 2 時まで 3~5 人掛かり(BMFI ス タッフ 2 名と KFC 田中、今井、Kris さん(Xavier 大学生徒会の女性))で実施。こ こでも透明性・平等性を確保するために仕分け作業に相当のコストを裂いているこ とが伺えた。 2 月 9 日(木)、Kauswagan 区役所で家屋補修資材の配給活動を実施。フィリピ ン陸軍とともに木材を同数ずつ仕分ける。KFC より田中、今井が参加。家 BMFI の 所管地区では 1000 戸以上の対象住民がいるが、第一バッチ 200 戸、今回の第二バッ チでも 200 戸を対象に配給。受給資格があるもののまだ受給できない家計が数多く 「どうして私の家は受け取ることができないの」と BMFI スタッフに 残されており、 嘆く住民が見受けられた。
  • 10. (参考)Kauswanga 区役所は被災者が各種支援を申請するための行政手続きを行うた めにごった返していた。もろもろの支援活動は、すべて受給者のリストを作成した 上で行われており、Organized されていることが印象的だった(不特定多数にモノ を配る活動は皆無だった) 。 モニタリング活動は、所管するテントシティーが適切に運営されるように全体調 整を行うもの。具体的には、定期的にテントシティー等を訪問してキャンプマネー ジャーから水、食料、トイレ等の支援が適切に提供されているかヒアリングを行い、 問題が生じている場合には、関連機関とコーディネーションを行うもの。 KFC が同行した 2 月 5 日(日)のモニタリングでは、Cash for Work スキームに よるトイレ建設の遅延(資材が届かないため)を確認。その他は特段の問題無いこ とを確認。 また、2 月 6 日(月)には近所の避難所の住民が「ここ 2 週間避難所に食料が届い ていない」と相談に来る。BMFI が状況把握のためにスタッフを派遣(定期的なモニ タリングが行われており、そのような事態は生じないはずとの由)。避難所の住民の 拠り所として機能していた。 Indahag Church のモニタリング BMFI を訪れた住民に耳を傾ける BMFI スタッフ
  • 11. 就業支援活動では、生活の基盤を失った住民が再就業できるように BMFI が職業 訓練等を企画。2 月 12 日までにテントシティー住民一人ひとりの職歴、指向やスキ ルにかかるプロファイルを作成し、それに基づく技術支援、就職のあっせんを実施 予定(例えば、機械工、マッサージ、大工など)。 他、ドナーコミュニティーでの連絡調整については、以下2.(3)を参照。心の ケア活動については時間の制約から参加出来なかった。 (3) Shelter Cluster に係る情報収集 (最新情報は、以下の Shelter Cluster ウェブサイトより) https://www.sheltercluster.org/Asia/Philippines/TropicalStormSendong2011 /Pages/default.aspx 2 月 7 日 10 時~12 時カガヤン・デ・オロ市社会福祉局(DSWD)主催住宅 セクター会議(注、政府が NGO との情報共有・問題解決の場として定期的に 設定するもの)が開催され、BMFI からは、Shelter 担当の Bing 氏と、KFC 伊東、今井(記録)が出席。主な出席者は、政府のとりまとめ部局、政府のロ ジスティック部局、国際宝くじ協会、Save the children 等。合計 30 名程度。 議事要旨以下の通り。 セクター会議の様子 空室問題の解決…国際宝くじ協会が、2 月 6 日時点で 462 戸のテントの空室を
  • 12. 指摘。避難民を早急に避難所から移動させるよう要請(放置されるのであれば テントを撤去すると赤十字が言っていると、国際宝くじが警告)。ロジスティ ックスの制約により移住が滞っていると担当機関が回答。そのはずはないとロ ジ責任者が反論。政府担当者から、462 戸への入居者選定において政治家から 自身の反対者をリストから除外するように圧力があると示唆あり(BMFI Bing 氏による解釈)。最終的に、2 月 7 日中にリストを完成させ、一週間以内に 462 戸の空室を満たすべく関係者が協調することに合意。 建築禁止地域の範囲拡大と移住を要する住民の把握…洪水直後に現地視察した アキノ大統領の政令により建築禁止地域が設定されたが、市政府は同地域の拡 大(+20 メートル)を企画している。拡大範囲に在住する住民に代替住宅を提 供することが必要と問題提起あり。市政府は、その地域には人はだれも住んで いないと説明するも、複数の NGO から、どこどこに何戸が居住している等の 指摘あり。拡大した建築禁止地域に含まれるすべての住民が補償を受けられる ように受給者リストを作成するための実査の実施が提案された。 NGO と政府が対等な立場で建設的な議論を行う場があること自体有意義と思 料。BMFI の Bing 氏によると、当初は 100 を超える国際 NGO が自分たちの スタンダードを押しつけるように言いたいことをいって甚だ混乱したとの由 (ほとんどの NGO は時間の経過とともに被災地を去って行った)。現在の会 合もフラットすぎて大小の議論が混在する等の課題は残るが、問題解決機能を 発揮できている。 「私には本業があるのよ、いつまでもうだうだしているなら本業に戻らせて ちょうだい、付き合っていられないわ」と責任のなすり合いで進まない議論に 対して不満を表した政府のロジスティック担当部局の人の言葉が印象的。NGO は本業として災害支援を行っているが、政府は災害支援の業務が制度化されて いないため、本業の傍ら追加的に災害支援活動を行わなければならない。 (4) Habitat for Humanity 2 月 9 日カガヤン・デ・オロ市における永住住宅建設の総括団体である Habitat for Humanity の現地代表 David Liban(呼称 DABS)から、3 月 9 日 ~21 日まで、日本人ボランティア 10 人~15 名の受け入れ許可を得た。
  • 13. David 氏と現地大学生(手前は KFC 田中) 9 日は、現地大学生の代表(カガヤン・デ・オロ市の青年議会の議員)に対 して Habitat for Humanity が協力依頼を行う会議(Habitat マニラ支部から 2 名、カガヤン・デ・オロから 2 名、現地ボランティア約 10 名)が開催され、 BMFI 通じで面識を得た Habitat for Humanity の Eugene 氏の働きかけで KFC(田中、今井)も参加することができた。 永住住宅建設の目標は当初 3 カ月に 500 戸(一日 6 戸程度) 年で 6000 戸 、1 (一日 16 戸程度)というもの。10 人日で一戸の建設が可能な仕様。技能を持 たないボランティアが、プロの監督の元作業を行う。 建設用地の確保が進んでおらず、現在土地は Kalaanan と Indahag の二か所 数百戸分のみ。Habitat for Humanity は 2 月 9 日時点では 3 月以降の詳細な予 定をもたないため、ボランティア活動の詳細計画は継続協議となった。ただし、 3 月 10 日のラウンチングセレモニー、 月 10 日の学生 1000 人動員建設デーの 6 み決まっている。 (5) ザビエル大学との連携 2 月 9 日、ACC21 伊藤代表の友人のザビエル大学農学部長 Roel R Ravanera 氏と面談を行った。農学部長は、KFC の活動に賛同し ACC21 伊東代表への感 謝の気持ちを示した。Resettlement site のコミュニティー計画の立案支援へ参 画できないか問うたところ、ザビエル大学が開発した Resettlement site が紹 介され、既に計画済みで建設も開始されているが、現地視察を行うことで何ら かの示唆を得られるのではないかと助言をいただいた。 また、同じく Kris 氏の働きかけによりザビエル大学生徒会長と面談し、3 月 のボランティア派遣時に週末にザビエル大学生との交流会を開くことに合意し た。
  • 14. Roel 氏との面談 ザビエル大学生徒会長との面談 2 月 10 日、面談時に紹介された、Xavier Eco Village(ザビエル大学の所有 地を無償で住民移転先として提供して建設するもの、500 ヘクタール。場所は 空港近くのルンビア)を見学。仮設住宅の建設が進捗しており、既に 100 戸以 上が生活している。今後永住住宅の建設がおこなわれる予定。ごみの分別回収 の実施と緑のあるスペースをコミュニティー内に設置することが Eco Village のいわれ。Xavier 大学の用地であることから計画、実施まで Xavier 大学の裁 量で決定している。 Eco Village 玄関口の旧航空機倉庫 (6)その他 ・ BMFI では Kaloy 代表の旧友のイギリス人 Arther Social Pastoral Institute 所属) ( がプライベートでアドバイザリー業務を行っており、2 月 8 日には、Arther による 兵庫フレームワークの講義が行われた(国際的に共有されている災害対策枠組みの
  • 15. 紹介) 。 ・ BMFI の紹介で、WASH セクターの中心アクターであるカトリック・リリーフ・サ ービス の Juan 氏と連絡先の交換を行った。 ・ ザビエルエコビレッジ視察時に、偶然エストラダ大統領の息子と現地記者の一行に 出くわし、エストラダ元大統領息子から声をかけられ KFC の趣旨を説明した。 3.第二次ミッションの計画 第二次ミッションとして、3 月 9 日~21 日まで住宅建設ボランティアの現地派遣を実施 することを、受け入れ団体である BMFI と住宅建設担当の Habitat for Humanity と合意し た。詳細計画は別添9のとおり。 別添1.スケジュール 別添2.地図 別添3.写真、記録 VTR: Facebook サイト:Kuya Fish Campaign http://www.facebook.com/photo.php?fbid=178433125582828&set=a.107961802629961.1 5530.100002484262894&type=1&theater#!/groups/166087433494881/ ブログ:Tumblr に開設 Kuya Fish Campaign http://kuyafishcampaign.tumblr.com/ 別添4.Shelter cluster 現況調査報告書及び関連資料 別添5.バライミンダナオ財団関連資料(紹介 DVD 等) 写真は Kuya Fish Campaign の Facebook をご参照 http://www.facebook.com/photo.php?fbid=178433125582828&set=a.107961802629961.1 5530.100002484262894&type=1&theater#!/groups/166087433494881/ 別添6.Habitat for Humanity 関連資料(紹介 DVD) 別添7.WASH cluster 関連資料 別添8.第一次ミッション物資配給活動の領収書 別添9.ボランティア募集要項 別添10.BMFI による 1 月 30 日~2 月 5 日、2 月 6 日~13 日報告書
  • 16. 別添1. Kuya Fish Campaign 第一次ミッションスケジュール(2 月 4 日~11 日) 2月4日 配給物資の決定 (今井) BMFI のオリエンテーション 2月5日 以下の視察 (伊東、今井) 3テントシティー(Calaanan、Indahag school、Indahag Church) 、 1 流失地域(Karakara) 2月6日 BMFI の月曜定例会への参加 (伊東、今井) 下着の仕分け作業 2月7日 住宅セクター会議への出席 (田中、伊東、今井) カトリック・リリーフ・サービス Juan 氏と顔合わせ KFC 配給物品の袋詰め作業 Habitat for Humanity の Eugene との面談 2月8日 Arther による国際的な防災枠組みの講義聴講 (田中、伊東、今井) KFC 物資の配給活動 釘の仕分け作業 2月9日 住宅補修資材の配給 (田中、今井) Xavier 大学農学部長との面談 Xavier 大学生徒会長との面談 Habitat for Humanity の David 氏との面談 2 月 10 日 Xavier Eco Village の視察 (田中、今井) 第二次ミッションのロジスティックの BMFI との協議 2 月 11 日 今井帰国、田中は継続活動(第二次ミッションに向けた各種調整)