衛 紀生 (2005)
「日本のアーツマネジメント研究と
その実践における課題と問題点」
について
赤尾充哉
東洋学園大学
Cubic Kiwi
アーツマネジメントにおける経営管理の欠如
• アーツマネジメントは以下の特性を持つ
• 認識の困難性をともない、共感性と共創性と非自存性という特徴を持つ
商品特性
→リレーショナル・マーケティングの重要性
• 収入の最大化に限界性を持つ装置型産業(会場のキャパシティの制約)
→コスト管理の重要性
• しかし、アーツマネジメント研究とその実践は、
専ら現場の空疎な「意識改革」と「アーツの社会化という概念」の周辺に
とどまっている
「社会との架け橋」論
• 伊藤 (1996)が、ウィリアム・バーンズによるアーツマネジメントの定義
「芸術と社会の出会いをアレンジする」を紹介
• これに多くの研究者と現場に携わる者が飛びついた
→「社会との架け橋論」
• それにより、芸術をむやみに社会に向かわせることが自己目的化
• 本来「芸術と社会の出会い」は結果論であり、アーツマネジメントが
創造環境整備や活動のサステナビリティに努めなければならないが、
このことが省みられなくなった
• また、「芸術と社会の出会い」をアレンジするというなら、
顧客創造、社会支援事業、ステイクホルダーとの良好な関係づくり
といった議論に向かうべきだが、そうはならなかった
日本における特殊事情
• 日本の芸術創造団体のほとんどすべてが自前の劇場やホールを
持っていない。そのため、
• 会場費が固定費的に経営を圧迫する
(それにも関わらず人員を毎年のように増やす)
• 複数の経営資源を補完的に作用させることができず、
客席のひとつひとつを売るだけという単品経営になっている
(欧米のホールは多目的スペースになっており、
多様なライフスタイルの人々へ時間と空間を提供している)
• 80年代以降、オンライン・チケッティング・サービスが普及
• その結果、顧客データがチケッティング・サービス会社に
留まってしまい、マーケティングに活用できない
• そのため、マス・マーケティングに向かいがちだが、
共感性・共創性を商品特性とするアーツとマス・マーケティングは
ミスマッチである
具体策
• 自前のホールではないので、欧米のように施設を使ったマーケティングが
できないが、
代わりにインターネットを活用したコミュニティ形成を利用する
• 複数の経営資源を補完的に作用させることが自前でできないのなら、
同業種・異業種に関わらず、戦略的コラボレーションを積極的に展開する
• かつてとは異なり、安価で自前のオンライン・チケット販売サービスが
構築できるようになったので、
これにより顧客データを蓄積してマーケティングに活かす

衛2005