＜NEURAL GP Networkとは＞ 島根県初・総合診療医育成プロジェクト 地域医療現場と大学を結ぶTeal型組織構造 診療医療の育成は現場においてのみ可能である。 しかし、現場だけでは日本全体の総合診療を成長させるには不十分。 だから、わたしたちは今、 島根県からITを駆使して総合医療のニューラルネットワーク構築を目指します。 NEURAL GP Network WEBサイト: https://shimanegp.com/

1. v
妊婦の訴え・症状
パート２：妊娠中の腹痛 問診・診断
加藤一朗

2. 問診① まずは妊娠？の場合
女性を見たら妊娠と思え！
異所性妊娠を見落とすな！
◆ 妊娠可能な女性？→月経開始の10歳～閉経の50歳頃
◆ 必ず妊娠の確認の有無
◆ 同伴の親やパートナーに席を外してもらう配慮を
◆ 「妊娠の可能性はない」という回答で妊娠の否定はできない
◆ 以下説明して了承を得て妊娠反応検査を
� 「当院では女性の皆さんに確認しているのですが・・・」
� 「妊娠されていると今後の検査に支障をきたすので・・・」
� 「月経と思った出血が切迫流産の可能性もあるので・・・」

3. 問診② 妊娠はすでに分かっている場合
◆ 妊娠何週？→まず母子手帳を確認
◆ 初期であれば最終月経（初日が0週0日）から計算
例：最終月経1月1日～ 受診日が2月12日→6週
◆ 産婦人科医コンサルト時、妊娠○ヶ月でなく妊娠○週と報告

4. ◆ Onset 発症様式
◆ Provocation/Palliative factors 憎悪・寛解因子
◆ Quality 性状
◆ Region, Radiation/Related symptom 場所、関連症状
◆ Severity 程度
◆ Time course 時間経過
問診③ 腹痛について詳細にOPQRST

5. 胃腸炎？
36歳 女性 妊娠32週 腹痛を主訴に救急外来受診
OPQRSTを意識して問診しまとめると・・・
昨日朝から（Ｏ）、
心窩部に（Ｒ）、
重いだるい感じあり（Ｑ）、
横になって休むと少し良かったけど（Ｐ）、
今朝になってになって痛みがひどくなり（Ｓ）、
吐気も伴う（Ｒ）ため受診
一昨日家族で焼肉を食べに行くも、家族には同症状なし
何を考えて次行動する？
症例

6. バイタルサイン：高血圧を見逃さない！
◆ 妊娠高血圧症候群（HDP：Hypertensive disorders of pregnancy)を見逃さない！
◆ 収縮期血圧140mmHgあるいは拡張期血圧90mmHg以上
◆ 全妊娠の1～3%で発症
◆ 子癇、HELLP症候群、常位胎盤早期剥離を合併
◆ 収縮期血圧160あるいは拡張期血圧110以上で重症
過度な降圧は子宮胎盤循環障害をきたし胎児機能不全に至る危険があり要注意！
◆ 根本治療は妊娠の終了

7. 超音波検査
◆ まずは胎児心拍を確認！
胎児心拍を確認することで妊婦は安心する
◆ 正常の胎児心拍110～160/分
明らかに胎児心拍が遅い→産婦人科医call
◆ 次に胎盤：早剥の胎盤後血腫像は判断が難しいこともある

8. ここまで迅速にオーダーし
産婦人科医callできたらgood job!
血液検査
◆ HELLP症候群→肝機能・CBC
Sibaiの診断基準：LDH>600、AST>70、plt<10万
◆ 常位胎盤早期剥離→凝固系＋輸血も考慮しクロスマッチ
大量出血をきたし、DICが進行の可能性