本日の内容
○ 東大農学部の活動と教育プログラムの
紹介
○ 福島県産農産物の放射性物質モニタリ
ングの取組み
○ 放射線・放射性物質の基礎知識と放射
線の人体影響
東京大学大学院農学生命科学研究科
放射性同位元素施設
田野井慶太朗
2011年3月11日 東日本大震災
東京電力福島第一原子力発電所事故
放射性物質による汚染
汚染を知る
3.11 事故当初

陸地汚染の多くが農林畜産関連

急務:農産物の汚染を防ぐ策
農業現場のデータがない
農学部全体で活動
土壌表層にとどまる
塩沢先生
セシウムの固定
粘土(土壌鉱物)によるセシウム固定
Frayed Edge Site (FES)
アルミニウム八面体シート

粘土結晶
の層間

ケイ素四面体シート

ある種の
粘土鉱物

Cs+

放射性セシウム降下

Cs+はこのポケットにしっかりと固定される

(Dolcater et al. Soil Sci. Soc. Am. Proc, 32: 795-798 (1968) より作図)
汚染は均一でない

小林先生

畑(植生なし)

小麦の畑

畑

小麦の畑

菜種の畑

水田

2011年4月21日サンプリング
汚染は均一でない

コムギ

田野井

2011年5月26日

3/20

5/26
wheat
くだものの話
第2回
東京大学大学院農学生命科学研究科放射能の農畜水産物等への影響についての研究報告会
果樹における放射性核種の移行と分配について
高田 大輔 (東京大学大学院農学生命科学研究科・附属生態調和農学機構・助教)より
一部スライドを再編集
樹皮が汚染源
樹皮のどこに?
皮目
田野井

→可視化

果樹研究所にて
2011年データ

6月中旬(事故後3ヶ月)

皮目

広瀬先生
牛乳の話
第1回
東京大学大学院農学生命科学研究科放射能の農畜水産物等への影響についての研究報告会
乳牛における放射性セシウムの動態
李 俊佑(東京大学大学院農学生命科学研究科・附属牧場・助教)より
研究の目的
福島第一原子力
発電所

牛乳は安全か?
• 原発事故で牛乳生産に
欠かせない東北・関東
圏の牧草地が放射性物
質で汚染された。
• 牧草の放射性物質がど
の程度牛乳中に混入す
るのか?
• 給与を止めると牛乳中
から消失するのか?

約130km

附属牧場
茨城県笠間市

18
材料と方法
供試動物
• 泌乳中のホルスタイン種牛

供試飼料

附属牧場

• ヘイレージ:附属牧場で栽
培し、本年5月に刈取・乾
燥・プラスチックフィルム
で包装して嫌気発酵させた
牧草。
• TMR(配合飼料):乳牛
に必要な全飼料成分を配合
した飼料。

ヘイレージ
ヘイレージの生産
イタリアンライグラス

110-260 Bq/kg

種蒔(前年の10月)

乾燥

刈取(5月)

巻取

フィルム包装
実験設計
TMR
14日間

TMR
14日間

TMR
14日間

TMR
14日間

ヘイレージ+TMR
14日間

TMR
14日間

• TMR(配合飼料):
毎日35キロ

餌
35 kg

• ヘイレージ + TMR:
毎日ヘイレージ10キロ + TMR
25キロ
(合計35キロ)
1,250 Bq/kg

水 80 L
実験の状況
ヘイレージ
10 kg+TMR
25 kg/日

TMR(配合飼料)
35 kg/日

朝夕2回に分けて給与
実験の状況

朝夕2回に分けて個
体別に搾乳した後、
秤量し、放射能濃度
を測定
牛乳の放射能濃度の推移
(Bq/kg)

放射性セシウムを含む飼料

含まない飼料

40
35

TMR

30

へイレージ+TMR

25
20

ヘイレージ+TMR:
ヘイレージ10 kg +
TMR25 kg/日

15
10
5
0
0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

22

24

28 (日)
お肉の話
第2回
東京大学大学院農学生命科学研究科放射能の農畜水産物等への影響についての研究報告会
畜産業の復興について:南相馬市警戒区域内における暴露状況
眞鍋 昇 (東京大学大学院農学生命科学研究科・附属牧場・教授)より
目的
福島県南相馬市
小高区川房

畜産業の復興を具体
化するために、
高汚染レベルにおけ
る家畜と環境の放射
性核種による汚染状
況を把握する。

警戒区域
(半径20km圏内)

約18km
福島第1原発

福島第2原発
経緯
• 平成23年3月11日:東日本大地震
• 3月17日:食品衛生法上の暫定規制値設定
• 4月22日:警戒区域(福島第1原発から半
径20キロ以内)設定
• 5月12日:所有者の同意を得た上で、警戒
区域内の家畜の殺処分決定(原子力災害対策
特別措置法)
• 平成24年4月1日:食品衛生法上の規制値
設定
経緯
警戒区域内の飼養頭数(概数)
平成22年10月(畜舎約380ヶ所)
牛約4000頭
豚約3万頭
馬約100頭
鶏約90万羽
平成23年5月
牛約3500頭
豚約2万頭
鶏約60万羽
平成24年2月(放れ家畜)
牛約600頭
豚約200頭
採材

南相馬市役所
小高庁舎

福島県南相馬市
小高区川房
浪江町
葛尾村

約18km
20km
双葉町

大熊町

福島第一原子力
発電所
家畜の汚染
各3頭

一般食品の新規制値(100 Bq/kg)

骨格筋(大腰筋)
→フィレ肉
腎

肝
脾
卵巣
尿
血液
0

1000

2000

3000

4000 Bq/kg
家畜の汚染
母牛と胎仔各1頭

一般食品の新基準値(100 Bq/kg)

骨格筋(大腰筋)

胎仔

腎
肝
妊娠中の母牛

脾
卵巣

尿
血液
胎盤
臍帯
羊水
0

500

1000

1500 Bq/kg

20
環境中の動態
放射性セシウム(Bq/kg)
飲料水

16

飼料(乾草)

3,503

第一胃内容物

餌
20 kg

2,570

糞

水 50 L

12,245

堆肥

53,347
0

20,000

40,000

60,000
(Bq/kg)
イノシシのはなし
捕獲したイノシシの測定

• 東京大学大学院農学生命科学研究科
• 田野井慶太朗
採取
捕獲

測定

封入
Bq kg-1

筋肉が最も高濃度
Bq kg-1

食べ物の通り道

糞の調査が必要
Bq kg-1

血液:筋肉=1:5

血液
参考:【野生化した牛】
約 1 : 20から30

筋肉:前

筋肉:後
追跡調査が必要
胃の内容物

個体間差
食べ物の違い?
胃

肝臓

筋肉
今後:病理検査も
つづいて、、、東大農学部の教育
大学で教育:講義が始まりました
• 学部(3年生):農業環境の放射線影響
• 大学院(修士1年生):農業環境における放射
線影響ゼミナール
• 月曜日6限:18:30-20:00
• 全15回
森林実習(9月20~22日、
伊達市)
第1回
2011年11月

次回
2013年12月
(予定)
参考書
Agricultural Implications of the
Fukushima Nuclear Accident

無料でpdfがダウンロードできます。
参考書

2013年9月下旬 発売
福島県産農産物の

放射性物質モニタリングの取組み

東京大学大学院農学生命科学研究科
放射性同位元素施設
准教授 二瓶直登 作成
49
2011年3月11日 東日本大震災
東京電力福島第一原子力発電所事故
放射性物質による汚染
Q. 事故から2年、現在の福島県民の避
難者は?(福島県の人口 約200万人)

1 1,500人
2 15,000人
3 150,000人
Q. 事故から2年、現在の福島県民の避
難者は?(福島県の人口 約200万人)
1 1,500人

2 15,000人
3 150,000人
農業の総生産額 2,441億円(2007年、全国第12位)
Q. 食の安全性を確認するために、何を
したでしょうか?

1 農家の出荷物の検査
2 流通物の検査
3 日常食の検査
Q. 食の安全性を確認するために、何を
したでしょうか?

1 農家の出荷物の検査
2 流通物の検査
3 日常食の検査
福島県産食品の安全・安心を確保する取組について

生産段階

流通・消費段階

産地・生産者

流通事業者・消費者
流通食品

学校
給食

県、市町村等
出荷物

出荷物
国、県、市

加工食品

国、県

JA、出荷業者等

モニタリング
検査

産地での検査
県、食品製造業者

家庭
菜園
市町村等
日常
食

県、民間等
2011年3月11日 東日本大震災
東京電力福島第一原子力発電所事故
放射性物質による汚染
農林水産物に係る緊急時環境
放射線モニタリング
・原子力災害特別措置法に基づき原子力
災害対策本部の指示により県が実施
・市町村単位で1品目3点以上検査

2011年3月17日

・最初の検査品目は原乳
・モニタリング検査で基準値を超えると、
市町村単位等に出荷制限等の措置
農林水産物に係る緊急時環境放射能モニタリングの実施フロー
制限・解除等

全体調整窓口・周知

記者会見

国(厚生労働省等)

環境保全農業課
通知・HP掲載

県災害対策本部
(広報課)

保健福祉部
(食品生活衛生課)

オフサイトセンター
(原子力災害対策特別措
置法に定める 「 緊急事態
応急対策拠点施設」)

サンプル採取・調整
本庁(各担当課)
出先機関
園 芸 課 、 畜 産 課 、 各農林事務所、
林業振興課、
普及部(所)、
水産課、
森林林業部
水田畑作課

分析・集計・報告
農業総合センター
県原子力セン
(野菜、果樹、きのこ、 ター福島支所
山菜、魚介類、肉類、
穀類、鶏卵)
58
Q. どのようにして農産物の放射性セシ
ウム濃度を測定しているでしょうか?

1 表面を測定
2 刻んで測定

3 カメラで測定
Q. どのようにして農産物の放射性セシ
ウム濃度を測定しているでしょうか?

1 表面を測定
2 刻んで測定

3 カメラで測定
モニタリング検査の検査体制
○ 出荷が始まる直前から出荷期に、生産量や出荷額等に留意し、市町村、関係団
体等と協議して、品目やサンプル採取場所等を決定
○ 抽出したサンプルの可食部を粉砕して容器に詰め、分析機器で測定。

農産物を生産

分析用の
サンプルを抽出

サンプルの粉砕

容器への詰め作業
61
モニタリング検査の検査体制
○ 農業総合センターに分析課を設置(16人)
○ ゲルマニウム半導体検出器を10台設置し分析を実施

62
モニタリング検査結果の公表

http://www.new-fukushima.jp/monitoring.php
放射性セシウムの基準値
○ 厚生労働省は事故直後に放射性物質の暫定規制値を設定。

○ 平成24年4月1日から新基準値を設定。モニタリング調査で基準値を超えた場
合は、市町村ごとに出荷制限等の措置がとられる。
◎放射性物質の暫定規制値

◎放射性セシウムの基準値
(平成24年4月1日から)

(平成23年4月~平成24年3月)

食品群

規制値
(ベクレル/kg)

食品群

基準値
(ベクレル/kg)

一般食品

100

乳児用食品

50

野菜
穀類
肉・卵・魚・他

500

牛乳・乳製品

200

牛乳

50

飲料水

200

飲料水

10
64
モニタリング検査で基準値を超えた場合
○ 摂取や出荷等を市町村毎に差し控えるよう要請
摂取や出荷等を差し控えるよう要請している食品(抜粋)

区分

品目

該当産出地

果実

ウメ

ビワ

福島市、伊達市、南相馬市、 出荷
桑折町、国見町
川俣町
収穫
南相馬市
出荷

ザクロ

伊達市

出荷

カキ

南相馬市

出荷

差し控えるよう
要請している
内容

65

(平成25年1月26日現在)
Q. 次のうち、比較的高い濃度が検出さ
れたのは?

1 野菜・果樹
2 畜産(肉、牛乳)
3 林産(キノコ、山菜)
Q. 次のうち、比較的高い濃度が検出さ
れたのは?

1 野菜・果樹
2 畜産(肉、牛乳)
3 林産(キノコ、山菜)
100%

500Bq/kg~

100Bq/kg~500Bq/kg

80%

ND~100Bq/kg

~ND

60%

2011年3月~ 40%
2011年6月 20%
0%

野菜・果実
100%
80%

畜産物

林産物

水産物
500Bq/kg~
100Bq/kg~500Bq/kg

ND~100Bq/kg
60%

40%

~ND
野菜・果実

100000

野菜・果樹

Bq/kg

10000

1000

100

10

ND1

3/11/11

6/19/11

9/27/11

1/5/12

4/14/12

2011年3月~6月

7/23/12

10/31/12

2/8/13

2012年4月~2012年3月

2011年3月~2013年3月:13,343点
最大値:84,000Bq/kg(クキタチナ)
69
畜産物

100000

肉・原乳・鶏卵

Bq/kg

10000

1000

100

10

ND 1
3/11/11

6/19/11

9/27/11

1/5/12

4/14/12

2011年3月~6月

7/23/12

10/31/12

2/8/13

2012年4月~2012年3月

2011年3月~2013年3月:12,787点
最大値:510Bq/kg(牛肉)
70
林産物

100000

山菜・キノコ

Bq/kg

10000

1000

100

10

ND 1
3/11/11

6/19/11

9/27/11

1/5/12

4/14/12

2011年3月~6月

7/23/12

10/31/12

2/8/13

2012年4月~2012年3月

2011年3月~2013年3月:2,263点
最大値:2,800Bq/kg(チチタケ)
71
100%

500Bq/kg~

100Bq/kg~500Bq/kg

80%

ND~100Bq/kg

~ND

60%
40%

2011年3月
~2011年6
月

20%
0%

野菜・果実

畜産物

林産物

水産物

100%

500Bq/kg~
100Bq/kg~500Bq/kg

80%

ND~100Bq/kg
~ND

60%

40%
20%

2012年4月
~2012年3
月

0%

野菜・果実

畜産物

林産物

水産物
Q. 野菜のうち、事故直後高い濃度が
検出されたのは?

1 ホウレンソウ
2 キュウリ
3 ジャガイモ
Q. 野菜のうち、事故直後高い濃度が
検出されたのは?

1 ホウレンソウ
2 キュウリ
3 ジャガイモ
100%

100%

80%

80%

80%

60%

葉菜類

100%

60%

60%

40%

40%

20%

20%

0%

0%

40%
20%

2011年 2012年

0%

ホウレンソウ

コマツナ
100%

100%

80%

80%

80%

60%

60%

60%

40%

40%

40%

20%

20%

20%

0%

0%

0%

キュウリ

ND~100B
q/kg

カボチャ

サヤインゲン

100%

100%

100%

80%

根菜類
芋類

100~500
Bq/kg

キャベツ

100%

果菜類

500Bq/kg
~

80%

80%

60%

60%

60%

40%

40%

40%

20%

20%

20%

0%

0%

0%

ダイコン

ニンジン

バレイショ

~ND
○放射性物質の直接降下(フォールアウト)により、葉菜類(ホウレンソウ等)
への影響が大きい。

ホウレンソウ

キュウリ

76
Q. 安全性をより確認するために、2012
年から導入された米の検査法とは?

1 圃場ごとに検査する
2 農家ごとに検査する
3 全袋検査する
Q. 安全性をより確認するために、2012
年から導入された米の検査法とは?

1 圃場ごとに検査する
2 農家ごとに検査する
3 全袋検査する
Q. 2012年の検査点数は?

1 100,000袋
2 1000,000袋
3 10,000,000袋
Q. 2012年の検査点数は?

1 100,000袋
2 1000,000袋
3 10,000,000袋
福島県の水稲

(平成24年度)

○ 福島県の水田面積 63,000ha(全国7位)
○ 生産量
○ 30kg玄米袋

357,000t

平成21年度は
約100,000ha
(全国4位)

12,000,000袋
農林水産省統計部「作物統計」

81
ゲルマニウム半導体検出器

30分で1点測定
県で10台保有
1日10時間稼働とすると
◎ 20点/台×10台=200点/日
10,000,000点の分析にかかる日数
◎ 10,000,000/200=50,000日
2012年度の検査体制

福島県産米を全量測定→30kg玄米袋(12,000,000袋)
○ 検査機器の開発
一定の精度を確保しつつ、20~30秒/袋で測定
精密な測定値ではなく、基準値(100Bq/kg)を超えるかどう
かを判断(検査結果は参考値扱い)。
→“食品中の放射性セシウムスクリーニング法“(厚生労働
省)
○ 検査体制の構築
生産者データの登録、検査結果の表示等

83
ベルトコンベア式放射性セシウム検査器

キャンベラ製

・各メーカー3ケ月程度で機器を開発
・20~30秒/袋で測定
・福島県内に約300台導入
島津製作所製
富士電機製

三菱重工製

日立造船製

84
農家情報の伝達
○
○
○
○

事前に農家情報を登録(農家名、作付地等)
各農家にバーコードを発行(玄米袋単位)
農家はバーコードを玄米袋に貼付して、検査所に持ち込み
測定前にバーコードリーダーで情報を読み取り
→ 検査結果とリンク

85
検査の流れ
検査場に
持ち込み

ライン挿入

バーコー
ド読込

検査済ラベル
印刷・貼付

検査器
本体
測定

86
Q. 10,000,000袋中、100Bq/kgを超えた
数は?
1 71袋
2 710袋
3 7100袋
Q. 10,000,000袋中、100Bq/kgを超えた
数は?
100%

1 71袋

100~500Bq/kg

80%

2 710袋

500Bq/kg~

40%

ND~100Bq/kg
ND

60%

20%

3 7100袋

0%

会津地方 中通り

浜通り

100Bq/kg超過: 10,335,000袋中71袋
米・全量全袋検査結果の公表
ふくしまの恵み安全対策協議会:https://fukumegu.org/ok/mieru/

89
検査結果の伝達

90
精米袋への表示

91
おわり
ありがとうございました。

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