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今年読んだ一番好きな論文2017

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#今年読んだ一番好きな論文 12/22投稿分@gonta_seedです。
生物系かつ昆虫系かつ分子生物学系です。異分野の方 (特に非生物系) にはとっつきにくいかもですが、虫さんの話なので是非ともご覧いただければと!みなさん小さい頃は虫が好きだったはずですよね?

Published in: Science
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今年読んだ一番好きな論文2017

  1. 1. ABC transporter functions as a pacemaker for sequenstration of plant glucosides in leaf beetles ハムシにおける、植物グルコシド隔離のペースメーカーと してのABCトランスポーターの機能 Presented by ラットとジャンハムを飼ってる ハムスター, @gonta_seed 2017/12/22 C. Populi Dec. 2013 published by eLIFE CpMRP
  2. 2. Motivation & Self-introduction 某カエル氏に誘われて… #今年読んだ好きな論文2017 に エントリー Hey You! 参加しちゃいなYo! ラットとジャンハムを飼ってるハムスター (通称:はむすた, @gonta_seed) 動物、とくにネズミ類をこよなく愛する博士課程 学生。昆虫を題材に分子生物学と生化学をかじって いる。ツイッタはかなりの割合で愛しの息子「こー すけ」 (ファンシーラット♂, 1歳, 通称:こすけ) に 浸食されている。なお、かなりの昆虫好きでもある。 こすけなのでぃぃす! よろしくなのでぃぃす!
  3. 3. この論文を選んだ/好きな理由 ABCトランスポーターの 昆虫における役割を知るために 読んだ論文 昆虫と宿主植物の関係に興味があったから 昆虫が好きだから (昆虫系研究室所属) 自分の研究内容に昆虫のABCトランスポーターが 登場するから(う゛っ…身バレする…) Motivation
  4. 4. ABCトランスポーターとは? ヒトのABCCサブファミリーに属するABC トランスポーターは広範囲の基質 (薬、 cyclicな核酸、様々な化合物、グルタチオ ン複合体) を認識する、広いスペクトルを 持つ。節足動物 (昆虫) におけるABCCト ランスポーターとの相同性も高く、その 機能も似ていると考えられている。 ATP-binding cassetteを持つ 輸送体膜タンパク質 (transporter) ⇒ ATPの力を利用して動く Introduction Dermauw and Leeuwen, 2014 ヒトではがん細胞で抗がん剤を排出 昆虫では体内に入り込んだ農薬の排出 に関わるなどが有名
  5. 5. 本日の主人公… Chrysomela populi ドロノキハムシ (ちゃん♥) • 甲虫目 (鞘翅目)、ハムシ科 • ヤナギ科 (ポプラ、ヤナギ属など) の葉を食害 • 成虫は体長約10 mm、鞘翅は赤色 • 成虫世代で越冬する、成虫の生存期間は長い • 年2回発生 (@北海道) ※1:北海道立総合研究機構林業試験場HPをもとに作成 Introduction
  6. 6. 草食性の昆虫に食べられないように… 植物も防御戦略を発達させている Phytochemical (ファイトケミカル): 植物に含まれる化学物質 ポリフェノール、カロテノイド、テルペン類などが有名 Salicin:サリシン 例:ヤナギに含まれるβ-グリコシド ⇒ 抗炎症作用がある 配糖体 (glycoside) 糖以外の物質と糖が結合した物質。 なお糖以外の部分をアグリコンという。 植物は配糖体の形で 防御物質を持つことが多い※2:構造式はJIAHERBより Introduction
  7. 7. (ピンセットでつついていぢめると…) 「反転腺は背部に9対ある袋状の器官であり、通常は体内に収まっているが、 頭部を有柄針などで刺激すると反転して分泌液を押し出すようになっており、 針を除くと再び体内に分泌液を吸い込みながら戻り、次の刺激 (外敵の攻撃) に備える。」 1962年 化学と生物 P.565-P.568 PDF版 防御物質は食草のヤナギ由来? Introduction C. populi の幼虫を刺激すると… 防御物質、サリチルアルデヒド を含むと判明 (Wain et al., 1943) https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/18/8/18_8_565/_pdf 背中の防御腺 (反転腺)から分泌液が 出てくる Salicin:サリシン
  8. 8. Purpose & Aim 食べられないために植物が作りだした毒を 逆に利用して自分自身を守ることに使う昆虫 ⇒ 毒の利用の仕組み解明に挑む 先に結論を言ってしまうと… 今回の論文は、「ドロノキハムシは、 食草であるヤナギの有害な化合物 (サリ シン) を防御腺に移動させるために、 ABCトランスポーターを使う」ことを 明らかにした (草食性の昆虫において、植物の二次代謝産物の標的器官への隔離にABC トランスポーターが関わることを示した最初の論文のようです) ⇒Here We GO!!! (昆虫の中には毒をイチから自前で作る頑張り屋さんもいる。 ex.) モノテルペン合成経路を持つなど)
  9. 9. 緑:モノテルペンのイリドイド 合成経路を持つ自己合成グループ 橙:偏性隔離 (利用) を行うグループ 灰:ブチル化エステルの生合成を進化 させた混合代謝を行う半合成グループ …系統樹もおおよそグループごとに 分かれている Results & Discussion ①反転腺で高発現するABCトランスポーターを同定:CpMRP 防御腺で他の箇所の7000倍以上のタンパク質 発現を確認 ※() 内は脊椎動物における相当器官を示す
  10. 10. CpMRPは ABCトランスポーター の特異的特徴を持つ ・2つのTMD、2つの NBD ・WalkerA, B box ・ABC signature motif ヒト多剤耐性関連タン パク質MRP4と61%の 相同性をもつ ※P-グリコプロテイン(P糖タンパク質, MRP4): 消化管粘膜、腎尿細管上皮細胞、脳血管内皮細胞などで異物、薬物など を細胞外へ排出するABCトランスポーターファミリーの一つ (日本薬学会HP 薬学用語解説http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?P-gp) Results & Discussion ①反転腺で高発現するABCトランスポーターを同定:CpMRP
  11. 11. 虫全体を使って免疫染色 (抗体を用いてCpMRPが幼虫のどの部分に発現しているかを調べた) ⇒ 幼虫の背中の防御腺にある細胞に局在 (そこだけに強く発現) することが 明らかになった 緑:CpMRP 青:核 Results & Discussion ②CpMRPは防御腺に局在している スケールバー:50 µm
  12. 12. 緑:CpMRP 青:核 赤:細胞内膜 が染められている 免疫染色 (前スライドで染まったところを もう少し詳しく見てみたよ) Results & Discussion ③CpMRPは防御腺の分泌腺細胞に局在している 分泌腺細胞の細胞内膜の内側に網模様状に存在する! 2光子顕微鏡 (良い顕微鏡) で撮影した後、 3D再構成! 小胞体かな?
  13. 13. 2光子顕微鏡 1分子に2個の光子を同時に当 てることにより、光子密度の高 い焦点位置だけが励起される → 高解像度の画像が得られる、 高い3次元分解能が実現できる 近赤外光を励起に用 いることで、散乱し にくく、生体深部の 観察ができる (数百μm~1mm) 多重同時染色も可能 ※3:OLYMPUS HPを元に作成 はむすたは、顕微鏡が好きです。 観察するのも、画像を見るのも、話を聞くのも♥ ちょっと紹介Appendix
  14. 14. ③-2 CpMRPは防御腺の分泌腺細胞の小胞体膜表面に局在 Results & Discussion 緑:エステラーゼ活性有 青:核 赤:細胞内膜 網模様状になっているものはエステラーゼ活性を持つ By MesserWoland および Szczepan1990 - 投稿者自身による作品 (Inkscape 作成), CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1279365 やっぱり 小胞体っぽい!! ⑧が滑面小胞体 ※小胞体は中に酵素を 含んだ液胞である ヤナギに含まれる サリシンが… 小胞体内で サリチルアルデヒドに なるのかも?
  15. 15. タンパク質は生体内で、DNA (遺伝子) ⇒ mRNA ⇒ タンパク質合成 (リ ボソーム etc.) という流れで合成される ☆RNAiは狙ったタンパク質のmRNAを破壊し、タンパク質 合成量を格段に減らす (ノックダウンする) 手法 Results & Discussion ④RNAiによりCpMRPを失ったドロノキハムシちゃんは… CpMRPをRNAiでノックダウンしても (次スライド図C参照)、 幼虫の成長は阻害されなかった (写真が可愛い) ⇒ 成長に必須のタンパク質じゃないらしい
  16. 16. CpMRPをRNAiでノックダウン Results & Discussion ④RNAiによりCpMRPを失ったドロノキハムシちゃんは… RNAiによりCpMRP合成量は激減 (図のC) 激減すると分泌液が出なくなった! (図のBお よび右の写真)
  17. 17. RNAiによるノックダウン でCpMRPが消えていく… (TAT) Results & Discussion ④RNAiによりCpMRPを失ったドロノキハムシちゃんは… CpMRPをRNAiでノックダウン (5日目から効果が)
  18. 18. Results & Discussion ⑤CpMRPはサリシンを認識して排出できる カエル (!!) の卵にCpMRPを発現させておき、 サリシンなどの基質を卵に打ち込み、CpMRPによって 卵から排出されたかをHPLCで測定 (卵外液を調べた) サリシンが排出される (図A) しかも濃度依存的に排出が促進される (図B) ⇒ CpMRPはサリシンのトランスポーターである
  19. 19. CpMRPの役割は低親和性のグルコシドトランスポーターで、 広いグルコシドスペクトラムを持つ と推測できる Results & Discussion ⑤-2 CpMRPはグルコシドっぽいのを認識してゆるく排出する ①サリシンの他に… ②8-ヒドロキシゲラニオル-O-グルコシド (P. cochleariaeのモノテルペン経路で見つかったイリドイドの前駆体) ③フェニルエチル-S-グルコシド (C. lapponicaの分泌腺から得られる、O-グルコシドをまねた基質) ⑤チオサリシンと④チオサリシンのアナログ さすがにガラクトースは無理 (グルコースへの特異性はある)
  20. 20. Results & Discussion ⑥CpMRPは分泌腺細胞内において、小胞へサリシンを選択的 に取り込むために使われている 今回見つけたのはここ! 小胞体への輸送をCpMRPが 担っている 血リンパ (体液) 分泌細胞 貯留槽 (防御腺)⇒ ⇒
  21. 21. 結論 • CpMRPはABCトランスポーターに特徴的な構造を 有し、ヒトABCC4 (MRP4) との相同性が60% → ABCトランスポーターである • CpMRPは分泌腺細胞に局在するが、分泌腺細胞の 基底膜上ではなく、細胞内の小胞膜上に局在する • CpMRPは低親和性のグルコシドトランスポーターで、 広いグルコシドスペクトラムを持つ • CpMRPはサリシンの防御腺への隔離における 重要なペースメーカーとしての役割を持つ Conclusion
  22. 22. Conclusion 異分野の方向けにもっとざっくりまとめると… ドロノキハムシ ちゃんが… 激おこぷんぷん丸٩(๑`^´๑)۶ するには… このタンパク質が 必要です! By Alpsdake - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=15807206 虫好きなはむすたとしては、アゲハ類の幼虫の 肉角の仕組みも、同じ感じなのかなぁと ワクワクしている所です♥ (今度調べようっと) ٩(๑`^´๑)۶
  23. 23. 参考文献 ※1:北海道立総合研究機構林業試験場 HPhttp://www.hfri.pref.hokkaido.jp/zukan/konchu /00data/kochu/hamusi/doronoki/note.html ※2:JIAHERB HP http://www.jiaherb.com/jhzh/Product_jp.asp?c=1 &id=146 ※3:OLYMPUS HP http://bioimaging.jp/topics/008/
  24. 24. Thank you for Listening! & Watching!

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