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検証実験の次のステージ
目視・画像検査へのDeep Learning導入
2018/10/24 Nvidia Inception Connect Tokyo
株式会社Rist 代表取締役 遠野宏季
©Rist Inc.
©Rist Inc.
そうだ 京都、行こう。
©Rist Inc.
©Rist Inc.
©Rist Inc.
製造業の検査工程
従来の検査手法1:目視検査
• なんとなくの違いも、経験により検査可能
• 導入のしやすさから、世界的に広く普及
• 検査項目・条件が変わっても柔軟に対応可能
人による目視検査
課題:不確定要素が多く、コスト高なことも
少子高齢化による
人手不足
熟練検査員の
ノウハウ継承が難しい
人や体調・環境によって
判断基準がずれる
©2017 Rist Inc. 4
従来の検査手法2:画像検査
• 客観的な評価基準による一定の品質保証
• 導入出来れば人手・手間いらず
• 検査速度を含めた経済的な効率化
機械による画像検査
課題:自動化できない対象が多く、出来ても精度が低い場合がある
個体差があるものなど
数値で定義できないものは検査困難
微妙な光の加減などで
エラーが起きやすい
左程度だとOK, 右ぐらいだとNGという検査は
数値化しずらく難しい
左と右は光の加減が違い
別物と判断してしまう
©2017 Rist Inc. 5
© Rist Inc.
人類の感覚器官に
自由を取り戻す
8
人の目による判断をAIで補完する
Deep Inspection
Deep Learningを用いた画像検査システム
©Rist Inc.
例えば…
NGOK
NG
OK
大量のOKデータ画像とNGデータ画像により
ネットワークをトレーニングする
過去の人間の判定基準と同様に
新しい画像を自動で判定することが可能
©2017 Rist Inc. 8
Deep Learningを利用したソリューション
製造業に特化したDeep Learning検査システム
汚れ群 サビ群 キズ群
・・・
異常箇所検知アルゴリズム セグメンテーションアルゴリズム
分類アルゴリズム
©Rist Inc.
村上開明堂:バックミラーで国内シェアNo.1
©Rist Inc.
鏡の表面検査工程
1. 鏡の表面の不具合の検知
2. 不具合の種類の15種類の分類を行う
・・・
©Rist Inc.
自動化の対象
多クラス分類の畳み込みネットワーク(CNN)を使用
A
B
C
・・・
©Rist Inc.
Deep Inspectionの自信度
30
25
20
15
0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
35
10
5
0
Deep Inspectionの判定自信度
サンプル数
青線:正解 橙色:不正解
精度:99%以上
従来通り目視検査
精度:99%以下
自動システム検査
Ristのアプローチ
全体では90%の精度
→使い物にならない
低い自信度のものは
従来通り目視検査
高い自信度のものは
自動検査へ
自信がないものは人間に判断を委ねつつ、確実に目視検査の負荷を軽減
• 3000枚を検証
• 従来の精度60%から、精度97%を達成
• 2018年ラインへ導入済み、増産決定
• 全ライン導入後は検品作業員が 7割削減
• タイ、中国といった海外展開を検討中
検討結果
今後の取り組み
検査の自動化により得られたデータから
上流工程の最適化なども目指していく
©Rist Inc.
大手パッケージラベル製造会社
http://mi.eng.cam.ac.uk/projects/segnet/#publication©Rist Inc.
パッケージ製造会社
©Rist Inc.
やりたいこと(画像はイメージ)
ある領域の高さ・幅のピクセル数を測定
高さ
幅
パッケージ製造会社
©Rist Inc.
従来の課題(K社製の検査機器使用)
高さ
幅
1. 影やシワなどで、測定すべきラインの検出を間違える
2. 100枚に1枚程、上記のような正しくないラインを検出
パッケージ製造会社
©Rist Inc.
Ristアプローチ
自動運転や医療に利用されている領域抽出ネットワークの利用
パッケージのある領域をDeep Learningで抽出し、幅測定
高さ
幅
SegNet FusionNet
https://arxiv.org/pdf/1612.05360.pdf
http://mi.eng.cam.ac.uk/projects/segnet/
パッケージ製造会社
©Rist Inc.
K社の検査機器:100枚に1枚のエラー
Ristのシステム:10,000枚に1枚のエラー
100倍の精度向上を実現
試験結果
2018年8月工場へ導入検証成功
現在実稼働のための最終調整中
Rist独自の比較検査システム
Deep Inspection Collatio
©Rist Inc.
Ristの提案する欠陥検出手法(学習フェーズ)
1. 同一部品エリアの良品・不良品のペアを作成
3. Rist独自比較ニューラルネットワークを使用し、良品エリア差分/不良エリア差分の特徴を学習
2. 不良エリアを教示
許容される差分
許容されない差分
画像提供:精密工学会 外観検査アルゴリスムコンテスト2015
©Rist Inc.
予測結果例
画像提供:精密工学会 外観検査アルゴリスムコンテスト2015
©Rist Inc.
正常画像 異常画像
「異常な差異」のみを検知する非常に柔軟な比較検査
比較検査の印刷業界への応用
プリンター&スキャン由来の差異を学び
検知すべき異常のみを見つける
©Rist Inc.
なぜ
汎用パッケージソフトを
売らないのか
©Rist Inc.
©Rist Inc.
Deep Learning x Machine Visionソフト
COGNEX社
VISIONPRO VIDI
SUALAB社
SuaKIT
http://www.sualab.com/news/media/2
https://www.cognex.com/ja-jp/products/machine-
vision/vision-software/visionpro-vidi
世界的に有名なパッケージソフト
なぜ
汎用パッケージソフトを
売らないのか
©Rist Inc.
領域を絞り
本気で導入させて役に立つものを作
問い合わせ~導入まで
8
1. 問い合わせ
2. 要件定義
3. 試作開発
© Rist Inc.
カメラや照明などの選定
運用や現場導入も実績ベースで提案
4. 本開発
5. 導入
6. 保守
©Rist Inc.
「検査ソフトウェア」ではなく
「目視検査の必要無い世界」を提供します
https://www.deep-inspection.com

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Nvidia Inception Connect Tokyo - Manufacturing Visual Inspection and Deep Learning -

Editor's Notes

  1. こんにちは、Ristの遠野です 私たちは京都を拠点として活動してまして、京都大学卒業生がメンバーの中心となっているベンチャーになります 東京と京都を行き来してはいるのですが、あまり東京のイベントにも参加していないので、Ristの名前を始めて聞くという方も多いのではないかと思っています。
  2. NvidiaさんのInception Connectionということで、今日はぜひ皆さんにこの秋、弊社の京都オフィスに来て頂けるように、10分フルに使って京都の美しい紅葉の宣伝をしていきたいと思います!
  3. 冗談です、きちんとサービスの説明をさせて頂きます ですけど、紅葉とか、自然って綺麗ですよね ずっと見ていたくなります けれど皆さん、こちらはどうでしょうか
  4. 小さい頃は夢中でやっていた人もいるかもしれませんが、正直今これをやろうとしても苦痛ですよね これを毎日なんて、誰もやりたくないんじゃないでしょうか ちなみに、ウォーリーはここです だけど、これと似たことを、朝から晩まで、9時から5時まで、週5日で来る日も来る日も行っている人がいることをしっていますか?
  5. そう、製造業の現場では、製品の外観に傷がないか、きちんと仕様に沿った形状をしているのかといったことのテストを、毎日毎日行ってくれている人がいます 材料の段階の金属材料や木材から始まり、ネジや鏡、ホイール、プラスチック成型物といった一時製造物、そしてスマートフォンやパソコン、自動車、カーテン、ジャケット、野菜といった最終製品に至るまで、すべての工程の最後には必ず目視での確認が必要です。
  6. 目視検査は、その導入のしやすさと柔軟性から、国内では特に検査の最後の砦としての役目を担っています 一方で、人手不足やノウハウ継承の難しさ、個人差や体調によるパフォーマンスのむらなどなど、働き方革命とも相まって課題をもっておられる会社も非常に増えています といった課題が深刻です
  7. もちろん、既存の画像処理で克服できた課題もあります ただ、それで対応できるのは、まだまだごく一部です
  8. この21世紀でも、まだまだ人間は工場の歯車として働かないといけない状況です。 弊社の社員も、実はある期間、工場で目視検査をせざるを得ない状況になった時があったそうですが、非常に苦しかったと聞いています。 私たちは、人間の目は、製品の傷や、異常を見つけるためではなく、京都の紅葉などの見ていて気持ちいいものを見るために使うべきだと考えています。
  9. そこで私たちは、Deep Learningを始めとした機械学習を元に、これらの画像検査・目視検査の自動化を目指して、Deep Learningが注目を浴びて直ぐのタイミングから取り組みを始めました
  10. 具体的には、過去の検査員の検査結果を元に、学習を行い、その通りに分類します
  11. もちろん、良いか悪いかというシンプルな検査というのは非常に稀ですし、良否判定を下す見るべき箇所は各案件ごとに異なるので、弊社では様々なアルゴリズムをクライアントの現場の要望に応じて使い分けています
  12. 例としては、村上開明堂さん バックミラーの生産で国内シェアNo1の静岡にある会社になります。
  13. こちらの会社では、バックミラーの鏡面検査を行う工程があり、2016年からその工程の自動化を目指してRistと取り組んできました。
  14. アプローチとしては、鏡表面の異常を検知したのちに、その異常がどんなものかを分類するものになります。 それだけでは他の会社でもされている取り組みですが、ここでは村上開明堂さんから、「全体の精度は100%でなくてもいいので、確実の分けられるものだけをAIに分けさせて、自信が無いものは今まで通り人で分けられるようにしたい」という要望をもとに、弊社独自の手法として自信度という指標を取り入れたシステム作りを行いました。 独自の自信度の指標を算出すると、このように自信があるものは正解し、自信が無いものは誤判定が増えるというように可視化することができます そこで、例え全体で90%の精度だったとしても、自信のある99%以上の精度実績で分けれるものだけを機械に任せ、それ以外の怪しいものを人が分けるといった処理が可能になり、導入を行っています。
  15. こちらが実際の現場になります
  16. 最終的に、目標の精度に到達し 今年度に増産の発注をいただいています また今後は海外展開も検討していただいているように、単に実証実験で終わらず、すでに役に立つレベルに弊社のシステムは到達しています。
  17. 続いて大手パッケージラベル製造会社さんの事例です
  18. やりたいことは幅を計る
  19. キーエンスさんのもの、100枚に一枚の異常
  20. 弊社のもので1万枚に一枚の異常 すでに検証フェーズは終了し、社長様の了承も得たので実運転に向けた最終調整中 こちらの工場も、複数ラインへの導入を前提として進めております。
  21. 凸版印刷と、印刷物へ応用を始めている
  22. パッケージ売りはしない、まだ出来ない 弊社のクライアントは、パッケージを利用してうまくいかなかったが、それでもどうにかしたいという相談をされる
  23. 画像検査業界でDeep Learningのパッケージでは世界的にはVidi/Suakit パッケージで出来ることはパッケージでやった方がコストもメンテも良いが、パッケージでは差もつかないし、やれることも非常に限られる
  24. だからRistは、パッケージではやれない領域や分野に深く絞ってその領域の現場のノウハウを元に使えるものを作り、その領域でのパッケージ化を狙っています 印刷物 鋳物 半導体 などなど
  25. 基本的には、実証実験ではなく、本当に導入し役に立つ見込みのある案件のみを取り組む 実際は、90%か95%といった細かい精度よりも、確実に起こりうる見逃しをどのように人間がフォローしていくのか、多品種小ロットの製品の場合に、新製品の学習と検証はどうしていくのか、カメラや照明、ラインをどうしていくのか、といったAI以外の部分が重要だったりすると思います Ristはこの分野を他社に先駆けて取り組んできた実績から、AI開発以外の部分からコンサルティングを行い、提案を行っていくことが可能です。
  26. 最後に、Ristは製品を提供してはいません。 各クライアントの現場で毎日目を酷使している人を楽にし、人手不足を解決し、製品の質を高水準に保つことのできる世界を提供しています。