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1. 分布型水文流出モデル
操作マニュアル
2012.3
文責 宇野
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2. はじめに
分布型水文流出モデルでは河川流量を計算することができます．
対象とする流域の降水量データや気温データなどを入力条件として
与えることで簡単に計算することができます．詳細は先輩方の修論
や卒論を見てください．
本書ではフォートランの必要最低限の操作方法と入力データの作
成方法を中心に，綾川の2009年11月から2010年12月までの流量を
計算するモデルを例にして説明します．なお，既存のモデルを入力
条件を変更して回す場合を想定しています．
余談ですが，パソコンのスペックや対象とする流域の大きさにもよ
りますが，1年分の計算をするのに3～5時間程度かかりますので，
夕方計算をスタートさせてパソコンの電源を切らずに帰宅し，翌朝
結果をまとめるのがよいかと思います．
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3. 目次
１．モデルの回し方
１．１ 基本操作
１．２ 出力結果の確認
２． 入力データの作成方法
２．１ 降水量データ
２．２ 気温データ
２．３ 河道・斜面・流下方向データ
２．４ 計算条件
２．５ パラメータ
２．６ ratio
３． プログラム本体の設定変更
３．１ 計算時間の変更
３．２ ファイル名の変更
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4. １．モデルの回し方
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5. １．１ 基本操作
プログラムの入ったフォルダ
を開き，∞のようなアイコンをダ
ブルクリックしてください．プロ
グラム本体を編集できる画面
が出てきます．
！注意！
フォルダやファイルの名前を
変更するときは必ず英数字に
してください．また，かならずCド
ライブ上に保存してください．
5

6. ①
②
計算を回すためには様々な
準備が必要ですが，ここでは
ひとまずフォートランの操作
方法について説明します．計
算を回すための準備につい
ては第2章以降を見てください．
準備が整ったら，
①「Build」の「Compile」をク
リックしてください．文法のエ
ラーが出なければ，
②「Build」の「Build」をクリック
してください．
エラーがあれば頑張って探
してください．
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7. このままでも全く問題なく
計算は回りますが，次の設
定をすることで計算スピード
が少し速くなります．
①「Project」の「Settings」をク
リックしてください．
②現れた画面の中から
「Fortran」を選び，画面中ほ
どの「Optimization Level」を
「Maximum Optimizations」
に変更してください．
①
②
7

8. 最後に，「Build」の「Execute」
をクリックしてください．黒い画
面が出て計算がスタートしま
す．
Compileの段階ではエラーが
0となっていてもうまく計算が回
らないことがあります．プログ
ラム本体もしくは入力データの
どこかに間違いがあるので，
頑張って探してください．実は
この作業が一番大変です・・・
8

9. １．２ 出力結果の確認
数時間後，先ほどの黒い画面の一番下
に「Continue」と表示されます．これが出れ
ば無事計算終了です．黒い画面はもう閉じ
てしまっても構いません．
出力結果の画面は右のようになります．
左の行は日時です．今回は1時間ごとに
出力させるように設定いるので，1000は
2009年11月1日1時，2000は2009年11月1
日2時・・・となります．
右の行は流量です．単位はm3/sです．
！注意！
計算が終わったら早いところエクセルなり
なんなりに保存してください．保存する前に
再計算する（「Execute」を押す）と，自動的
に上書きされ消えてしまいます．数時間の
待ち時間がパーになります．
日時（1時間刻み）
流量（ m3/s ）
9
2009.11.1 1:00
2009.11.1 2:00
・
・
・

10. ２．入力データの作成方法
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11. ２．１ 降水量データ（rain2009-2010.txt）
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この綾川のモデルでは，滝宮と竜王山で観測されたAMeDASの降水量の1時間データ
を用いています．気象庁のホームページから取ってきてください．（付録で紹介するエク
セルのマクロを用いると楽に入手することができます．）下の画像のようにエクセルで編
集し，テキスト形式（.txt）で保存します．
下の画像では4行目に滝宮のデータ，5行目に竜王山のデータが入っていますが，各モ
デルで使用する観測所は異なります．3か所以上のデータを使っているモデルでは6行目
以降も使用します． 観測所の数
計算時間
この場合，
(61+365)日×24時間
滝宮 竜王山
1時間刻み
年 月 日
各観測所の降水量

12. ２．２ 気温データ（2009-2010temper.txt）
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気象庁のホームページで公表されている月平均気温を用います．この綾川モデル
では滝宮1か所のデータしか使用していませんが，モデルによっては2か所以上の
データを用いることもあります．
1行目に月（年は不要），2行目以降に各年月の月平均気温を入れてください．
複数年の場合、1行目は月番号を入れる（通し番号は駄目）。
月
各観測所の気温
2009年
2010年

13. ２．３ 河道・斜面・流下方向データ
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（ayagawa.txt）
接続する
河道の番号
接続する
斜面の番号
・前半：河道番号
・後半：斜面番号
この場合，25までが河道番号で，
それ以降は斜面番号
河道の数
河道の数＋斜面の数
26
27 28
29 30
31 32
33 34 36
41 35 37 38
42 43 40 39
44 45 47 48
46 53 49 50
54 51 52
55 57
56 58
1
2 3
4
5
6
11
7 8
9
12 14 15
10
13 16 17 18
21 19
22 20
23
24 25
河道番号 斜面番号 落水線
上図は綾川流域を2km×2kmのグリッドで表した図
です．ここから，例えば6番の河道であれば，7番と11
番の河道と33番と34番の斜面から水が入っているこ
とが分かります．これを右図のようにまとめます．

14. 14
先ほど作成した河道・斜面への接続情報の下に，以図のように各
河道・斜面の詳細な情報を入力します．
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭
① 河道・斜面番号 ⑧ 粗度係数
② 斜面長 ⑨ 流量流積関係式のべき定数
③ 斜面勾配（degree） ⑩ A層厚
④ 斜面上端の幅 ⑪ A層の有効空隙率
⑤ 斜面下端の幅 ⑫ 降水量観測地点
⑥ ダルシー型（1），マニング型（2），椎葉式（3） ⑬ 気温観測地点
⑦ 透水係数 ⑭

15. ２．４ 計算条件（CALCON.txt）
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① ② ③ ④ ⑤
①
② 差分の時間間隔
③ 計算期間
④ 流出量の計算結果をファイル出力する時間間隔
⑤ 水深の計算結果をファイル出力する時間間隔

16. ２．５ パラメータ（A-HYCY1.txt）
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① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ ⑯ ⑰ ⑱ ⑲ ⑳
① 斜面番号 ⑧ 林地系下層部の貯留定数 ⑮ 樹幹の最大貯留量
② 流路系の面積比率 ⑨ Rung-kutta法による計算上必要な微少流量 ⑯ 遮断蒸発強度
③ 流出寄与域率16%となる有効土層深 ⑩ 直接流出の貯留べき定数 ⑰ 月蒸発分布の平均値を与える係数
④ 流出寄与域率50%となる有効土層深 ⑪ 基底流出の貯留べき定数 ⑱ 月蒸発分布の変動を与える係数
⑤ 流路系の面積比率貯留係数 ⑫ 林内雨量比率 ⑲ 月蒸発分布の位相遅れを与える係数
⑥ 林地系直接流出の貯留定数 ⑬ 樹幹流比率 ⑳ 蒸散抑制の発生限界流量
⑦ 林地系表層部の貯留定数 ⑭ 樹冠の最大貯留量

17. ２．５ ratio
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計算する月数
この場合，14か月なので14個

18. ３．プログラム本体の設定変更
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19. ３．１ 計算時間の変更
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計算期間を変更する場合，
Izz= の値を計算する時間数に
変更してください．
プログラム内に何か所もあるた
め，Ctrl+h で一気に置き換えるこ
とができます．
横の図では、２ヶ月追加する例。

20. 20
同様に，COMMON文内の計算
時間数も変更します．
右の画像の例だと，(10224)と
(10224,33)があります．Ctlr+h で
置き換える場合には「(10224」と
指定してやるとよいかと思います．

21. 21
同様に，2250行目付近の右画
像の位置の赤丸で示した部分を
計算月数に変更します．

22. ３．２ ファイル名の変更
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入力データのファイル名を変
更した場合はプログラム本体も
書き換えてください．
Ctrl+fで簡単に探すことができ
ます．