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合理的配慮事例レポート

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障害者差別解消法の施行に向け、ろう者に対する「合理的配慮」とはどのようなものがあるのかを整理する。
ろうの生徒の教育支援に関する状況を整理する。

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合理的配慮事例レポート

  1. 1. 1 ろう者の社会生活における「合理的配慮」とろう生徒の選択肢の多様化について 2015年3月 BBEDリサーチプロジェクトチーム作成 (NPO法人 NPOコミュニケーション支援機構、NPO法人 二枚目の名刺 共同プロジェクト)
  2. 2. 2 当レポート作成の目的 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が平成28年4月に施行されます。合 理的配慮が、公的機関等において義務化されることをきっかけに、ろう者を含む障害者をめぐる環境が大きく変 わります。 これまでも、ろう者に対する公的な支援のほか、学校、職場等においてそれぞれ独自の取り組みが行われてきま したが、本人の希望による人生の選択肢が、聴者と比較してそん色ないものとするため一層の工夫と体制整備が 必要となります。 本資料は、ろう者への合理的配慮について、社会の理解が深まることを目的に作成されたものです。 1.障害者差別解消法の施行に向け、ろう者に対する「合理的配慮」とはどのようなものがあるの かを整理する。 2.ろうの生徒の教育支援に関する状況を整理する。 当レポートは書籍・インターネット等の一般公開資料のリサーチを元に作成しています。 (引用にあたっては出典を明記しています。) *一部は識者・関係者へのインタビューなど当レポート独自の情報に基づいています。
  3. 3. 3 当レポートの作成者 当レポートのリサーチャー一覧(50音順) 飯塚 敦(IT関連) 大竹 理瑛(IT関連) 加賀 宝(精密機器) 加形 拓也 (広告会社) 野中 清博(IT関連) 廣 優樹(商社) 藤村 智之(情報通信) 松澤 寿典(通信会社) BBED リサーチプロジェクトチームとは、 NPO法人 バイリンガル・バイカルチュラル ろう教育センター(BBED)サポートプロジェクトに参加した 社会人によるボランティアのリサーチチームです。 (BBEDサポートプロジェクトは、NPO法人NPOコミュニケーション支援機構〈a-con〉 NPO法人二枚目の名刺の共同プロジェクトとして実施しました。) 様々な職種のプロフェッショナルが集まっていることを活かし、 社会的課題の解決のために、 「課題を解決するためのアプローチにはどのようなものがあるか」 「様々なアプローチの中で最も優れているものはどれか」 といった問いを客観的な視点で検討し、 よりよい解決方法を探ることを追及しました。 BBEDリサーチプロジェクトチーム
  4. 4. 4 1.ろう者に対する合理的配慮の事例
  5. 5. 5 ろう者に対する「合理的配慮」のさまざまな事例 現在(試験的な導入も含め)実践されている様々な場面での合理的配慮の事例を紹介します。 A.学校 B.職場 C.役所 D.日常生活 学校で授業を受けるとき オフィスで仕事をするとき 様々な公的手続きをするとき その他、様々な生活の場面 合理的配慮の方法 教室内の音声を支援者が 要約筆記(ノートテイ ク)を行う 自動音声認識装置により ディスプレイへの文字表示 する インターネットを活用した遠 隔によるパソコン要約筆記を 行う 募集および採用時に、面接 を筆談等により行う 業務指示、連絡に際して、 筆談やメール等を利用する 必要に応じて、手話や要約筆 記のできる人を配置するなど 援助体制を図る 問合せや申込みをファック スやメールでできるように する 電光掲示板などの文字情 報設備を整備する 筆談用の筆記用具やメモ用 紙、筆談ボードを配備する テレビに字幕を入れる 旅客設備において、運行状 況のお知らせを表示するた めの掲示板を設置する 医療機関の受付や診察にお いて、筆談ができる環境を 用意する 合理的配慮の方法 合理的配慮の方法 合理的配慮の方法
  6. 6. ろう者に対する「合理的配慮」の事例のマッピング 6 一方向 各種窓口での筆談 音声案内の掲 示板表示 各種サービスのメール Faxによる申込み 各種窓口で の手話通訳 支援員あり支援員なし【色の凡例】 テレビ放送の字幕 職場や授業における 要約筆記・手話通訳 音声認識ソフト による通訳 【 課題 】 支援員には、翻訳以外に、適度 な要約や、専門知識の事前学習 等が必要となる。 【現状の選択肢】 ・手話通訳 ・要約筆記 (ノートテイク) ・要約筆記 (パソコン/パソコン遠隔) 横軸に扱う情報の特性を、縦軸にコミュニケーションの仕方をとり、合理的配慮の事例をマッピングした。また支援員の有無で色分けし た。職場における打合せや大学・高校の授業のように、専門的な情報を伝え、時には参加者が議論するような場合には、音声認識ソフト の実用事例は少なく、手話通訳や要約筆記(ノートテイク、パソコン/パソコン遠隔)を行う場合にも、適度な要約や事前学習が支援員にも 求められる。 【 課題 】 まだ実用化例が少ない。 講演等の要 約筆記 ・情報特性 専門的、情報量も多い ・伝達の方向性 双方向。 参加者による議論もあり。 (例:大学・高校の授業 や職場の打合せ) 量が少ない/一般的内容 量が多い/専門的内容 双方向 コミュニケーションの仕方 扱 う 情 報 ( 情 報 量 / 情 報 の 専 門 性 )
  7. 7. 7 要約筆記(ノートテイク) 要約筆記(ようやくひっき)は、聴覚障害者への情報保障手 段の一つで、話されている内容を要約し、文字として伝える ことをいう。 主に第一言語を手話としない中途失聴者・難聴 者などを対象とする。 要約筆記作業に従事する通訳者のこと を要約筆記奉仕員(ノートテイカー)と呼ぶ。 あくまで聴覚 障害者のために「発話時点で要約し、通訳すること」を保障 するのであって、音声の記録行為とは異なる。 (Wikipedia) 概要 【出典】日本学生支援機構 ノートテイクの基本知識 http://www.jasso.go.jp/tokubetsu_shien/documents/p2_jitsugitext.pdf ●準備が簡単 紙とペンだけなので準備が簡単。 ●早い 手書きなので早い。 ●保存に課題 手書きの用紙なので、あとで 検索したりできない。 ・基本的に2人1組で行う。主に1人がノートテイクし (メイン)、もう1人はメインが書ききれなかったところや 間違いを記入する(サポート)。 ・ノートテイクは約10~15分で交代して行う。 ・ノートテイクをするためには、以下のように座席をセッテ ングする。(聴覚障害者の両サイド) ・早く書くために、画数が多い感じはカタカナで書いたり、略 語を使う。 ・きれいに書く必要はなく、読みやすく要約して書く。 学校の授業の場合 例
  8. 8. 要訳筆記(パソコン <遠隔での支援を含む>) 8 パソコン要約筆記は、パーソナルコンピュータをプロジェク タに接続し、音声情報をパソコンにテキスト入力し、テキスト をスクリーン上に提供する要約筆記である。入力システムの単 語登録機能により作業効率が向上し、他の要約筆記に比べ圧倒 的に多い情報提供量が特徴である。入力システムには、IPtalk、 ITBC2、tach、RTD2、まぁちゃんなど、専用のソフトウェア を用いるほか、ワードプロセッサやテキストエディタなど、汎 用のソフトで行う方法もある。文章の入力方法には、単独で入 力する「一人入力」のほか、複数の人で1文を完成させてゆく 「連係入力」という方法がある。(Wikipedia) 概要 【出典】埼玉パソコン要約筆記サークル「彩caps」 http://www5e.biglobe.ne.jp/~tzq/sai_caps/ ●情報量が多い 辞書登録等を行うことで、情報提 供両が多い。 ●検索等が行える テキスト化されているので、検索 等も行える。 ●利用者が複数でも行える ネット接続で、複数で利用可能。 ●遠隔地でも行える インターネット等の接続で、利用 者、話者、入力者が遠隔でもOK. ●コストが高い 紙を使う要約筆記に比べ、パソコ ンはネットワークの整備が必要。 ●パソコン知識が必要 一般的な要約筆記知識・能力のほ か、確実なタッチタイピング能力、 パソコン・ネットワーク・専門ソ フトに対する知識を要求される。 ●トラブルへの対応が必要 パソコンやネット接続でトラブル が発生することがあり、スピー ディな対応が必要 情報保障形態のいろいろ ノートPCのLAN接続形態 (複数利用者) ノートPCのLAN接続形態 インターネット利用し、 利用者が遠隔地の形態 情報保障の表示のいろいろ Mobile機(PDA) プロジェクタ 大型映像装置
  9. 9. 9 手話通訳 手話を使って聴覚障害者と健聴者のコミュニケーションを 仲介すること。また、それを行う人。異なる音声言語や手話 言語(国際手話・フランス手話・イギリス手話・アメリカ手 話・日本手話・韓国手話など)を翻訳してコミュニケーショ ンを仲介すること。 【手話通訳士】 社会福祉法人聴力障害者情報文化センターが実施する手話 通訳技能認定試験に合格し、手話通訳士の登録を行った者、 およびその資格名称。厚生労働大臣認定資格。手話技術に よって、聴覚障害者と健聴者(聴覚に障害のない人)が円滑 にコミュニケーションをはかれるように支援する。 (デジタル大辞泉) 概要 【出典】社会福祉法人 聴力障害者情報文化センター http://www.jyoubun-center.or.jp/ ●高い通訳精度 教室で同席している通訳者が 通訳するため、精度は抜群。 ●手話通訳の資格制度あり 厚生労働省の認定資格。 ●コストが高い 生徒1人につき1-2人の手話通訳 者が常に同席する必要がある。 通訳者1人が長時間連続して通訳 することは難しい。 ●手話通訳者に起因する理解 度のばらつき 手話の種類(日本手話、日本語 対応手話)や手話通訳者の手話 レベルにより理解度がばらつく。 概要 手話通訳士 ●登録者合計:3,271(手話通訳士名簿 H26.7.1更新) ●手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験) ◆学科試験 (90分) ・障害者福祉の基礎知識 ・聴覚障害者に関する基礎知識 (90分) ・手話通訳のあり方 ・国語 ◆実技試験 ・聞取り通訳(音声による出題を手話で解答) ・読取り通訳(手話による出題を音声で解答) ◆受験手数料 18,000円 塩尻市議会での手話通訳の例 テレビ放送の例
  10. 10. 10 (事例) 富士通では、ろう者が含まれる会議において、聴者が会議の内容をパソコン要 約筆記を用いて内容をほぼリアルタイムで文字化することにより、ろう者に対 して情報保証を行っている。要約筆記者に対して、社内教育プログラムの一環 としてパソコン要約筆記に関する講座を開いており、短時間で効率的に最低限 の知識と技術を習得できるよう工夫をしている。 また聴者の社員において、以下のような効果があることが示された。 • 発言者が要点を絞って簡潔に話すため、会議が効率的になった。 • 入力した内容が議事録として展開できる。 ろうの社員に対するパソコン要約筆記による情報保障 (富士通株式会社) 概要 【出典】第一生命 企業の聴覚障害者活用への取り組み事例 (2007) http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/watching/wt0707b.pdf 【画像出典】同上 ●理解度の向上 会話の内容を要約された形ですべて 伝えることができ、内容の理解度が 高い ●聴者へのメリット共有 • 分かりやすく要点を絞って話すため、 会議が効率的になる • 自動的に議事録が残り、情報共有が されやすい。 • 会議の内容を瞬時に理解し要約する ため、要約筆記者の要約力が高まる。 ●タイムラグの発生 発言された内容をパソコンに打ち 込むため、数秒間のタイムラグが 発生する ●要約筆記スキルの習得 効果的な要約筆記を行うためには ある程度の知識・経験とスキルが 必要となる(文字入力や要約力、 他の通訳者との連携など)
  11. 11. 11 (事例) 日立製作所のショールーム「日立ユビキタススクエア横浜」にて、ろうの 来場者に対して、ろうの社員による手話を使用した案内を行っている。 手話による説明により、ろうの来場者は文字による説明情報に加えて、よ り詳細の説明を受けることができる。また質問や意見の交換等、双方向な コミュニケーションができる。 手話で案内するスタッフ(手話スタッフ)はろうの社員が担当している。 手話による製品紹介 (日立製作所) 概要 【出典】第一生命 企業の聴覚障害者活用への取り組み事例 (2007) http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/watching/wt0707b.pdf 【画像出典】同上 ●双方向なコミュニケー ション 双方向コミュニケーションである ため、その場で質問や意見交換な ど、理解度の向上と双方からの情 報発信が期待できる。 ●特別なシステムが不要 パソコンや通信機器などの特別な 機材やシステムは必要ない。 ●オンサイト&オンタイムで の対応が必要 手話通訳スタッフは、開場時間中は 常時、現地での対応が必要となる。
  12. 12. 12 (参考) 自治体・団体等による合理的配慮の事例紹介 学校 職場 役所 日常生活 大阪府の例 ・教育 ・雇用 ・情報・コミュニケーショ ン ・自治体のサービス ・公共交通機関・公共的施設の利用 ・買い物やサービスの利用 ・医療 ・情報・コミュニケーション 全日本ろうあ 連盟の例 ・教育現場 ・職場,就職活 動など就労場面 ・行政窓口,警察,消防署, 裁判所など公共機関で ・選挙や議会傍聴など政治 参加の場面 ・福祉サービス利用 ・医療機関 ・図書館,資料館など ・金融機関 ・交通機関 ・マスメディアの利用 ・住まいやその地域 ・地域の公園や河川敷 ・文化施設 ・飲食店 ・宿泊施設 沖縄県の例 ・教育 ・雇用 ・福祉 ・医療 ・商品販売・サービス提供 ・建物等・公共交通機関 ・住まい ・情報の提供等 ・所得 ろう者に対する配慮や工夫については、自治体や団体が調査を行っており、様々な場面で分けて整理 しています。詳細は各自治体のホームページ等を参照してください。
  13. 13. 参考・引用サイト(1/2) 13 (全事例) ◆内閣府 内閣府ホーム > 共生社会政策トップ > 障害者施策 > もっと詳しく > 基本的枠組み > 障害を理由とする差別の解消の推進 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html#kentoukai ◆大阪府 ホーム > 障がい者が必要とする社会的障壁の除去のための配慮や工夫の事例について http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/go-hai/ ◆千葉県 ホーム > 生活・福祉・医療 > 福祉・子育て > 障害者(児) > 障害福祉施策情報 > 障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり http://www.pref.chiba.lg.jp/shoufuku/shougai-kurashi/index.html ◆全日本ろうあ連盟 聴覚障害者の差別事例と合理的配慮不提供の事例アンケート集計結果 http://www.jfd.or.jp/2014/12/01/pid12885 ◆さいたま市 トップページ >健康・医療・福祉 >福祉 >障害のある方 >ノーマライゼーション条例Web >ノーマライゼーション条例とは? >差別事例の紹介 > 障害者差別と思われる事例集 http://www.city.saitama.jp/002/003/004/001/001/005/p033574.html ◆沖縄県 障害のある人に対する差別と思われえる事例集 http://www.pref.okinawa.jp/site/kodomo/shogaifukushi/keikaku/kenminkaigi/documents/omonajireitou.pdf ◆PEPNet-Japan http://www.tsukuba-tech.ac.jp/ce/xoops/modules/tinyd1/index.php?id=109& ◆日本手話通訳士協会 http://www.jasli.jp/ ◆全国手話通訳問題研究会 http://www.zentsuken.net/ ◆障害者情報ネットワーク ノーマネット http://www.normanet.ne.jp/
  14. 14. 参考・引用サイト(2/2) 14 (学校の事例) ◆文部科学省 トップ > 政策・審議会 > 審議会情報 > 中央教育審議会 > 初等中等教育分科会 > 特別支援教育の在り方に関する特別委員会 > 特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第3回) 配付資料 > 資料3:合理的配慮について http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1297380.htm ◆文部科学省 「合理的配慮」実践事例データベース http://inclusive.nise.go.jp/?page_id=15 ◆第10回 日本聴覚障害学校高等教育支援シンポジウム http://www.tsukuba-tech.ac.jp/ce/xoops/file/10th_symposium/handout_all.pdf ◆日本学生支援機構 http://www.jasso.go.jp/index.html (職場の例) ◆厚生労働省 ホーム > 報道・広報 > 報道発表資料 > 2014年6月 > 「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」の報告書 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000047446.html ◆東京都 障害者雇用促進ハンドブック http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/koyo/shogai/H25HandBook_web.pdf (行政の例) ◆別府市 合理的配慮の関するガイドライン(情報アクセス・コミュニケーションの分野) http://www.city.beppu.oita.jp/03gyosei/syogai/aru_nai/pdf/guideline.pdf
  15. 15. 15 2.教育分野におけるろう生徒の公的支援体制
  16. 16. 教育機関 特別支援学校 (特別支援教育) 一般学校 公的支援 その他支援 物理的支援 金銭的支援 対学校 対ろう生徒 大学 筑波技術大学 - 国立大学法人運営費 交付金 私立大学等経常費 補助金 - 障害学生支援室/学生 ボランティア等による 各種支援 高校 各ろう学校高等部 - - - その他個別の支援 中学校 各ろう学校中学部 特別支援学級/通級 特別支援教育支援員 各教育委員会や校長の 裁量による各種支援 - - その他個別の支援 小学校 各ろう学校小学部 特別支援学級/通級 特別支援教育支援員 各教育委員会や校長の 裁量による各種支援 - - その他個別の支援 義務教育 ろう生徒に対する支援まとめ ろうの生徒が一般学校に通おうとした場合、小学校・中学校は、義務教育の中で支援体制が存在。ま た、大学は学校に対する金銭的支援が存在。一方、高校は、それらの支援体制が存在しない。
  17. 17. 17 3.ろう者への合理的配慮(情報保障)の方法
  18. 18. 18 手話通訳 音声認識ソフト ノートテイク 遠隔PC 文字通訳 手話通訳士が教室の前で教師の 会話を同時通訳。 ノートテイカーが教室内にて教 師の会話を同時に文字に変換。 手記またはPCによるノートテイ ク。 スマートフォンなどを使用し、 教室内の発言を文字として画面 上に表示。遠隔の文字通訳者が、 ネットワークを介して送られて くる教師・生徒の発言の音声を PCに打ち込み文字に変換。 •現地に手話通訳士を配置する必要。 •隣で行うため、非支援者にストレスがある。 •通訳士の手話言語、通訳技術にばらつき、熟練した手話通訳士数が 少ない。 音声認識ソフトにより、教室内 での音声情報を自動的に文字に 変換。 •通訳者の確保が不要。 •現地に通訳者がいないことから、被支援者へのストレスがない。 •現時点では、認識率が低い(60%~80%程度)。誤認識の存在は、 例えば情報の正確な認識が必要な教育現場等には不向き。 •今後も継続的な開発投資が必要。 概要 考慮点 •文字通訳者は遠隔地に配置可能。通訳者の確保が容易化。 •現地に通訳者がいないことから、被支援者へのストレスがない。 •複数通訳者の対応により、かなりの部分の情報捕捉が可能。 •通訳者は、一定の訓練が必要。ICT環境を確保する必要。 •現地にノートテイカーを配置する必要。 •隣で行うため、非支援者にストレスがある。 •情報の捕捉率は20%(PCを活用した場合でも25%程度) •高度な道具、スキルは必要としない。 ろう者への合理的配慮(情報保障)の方法 ICTの進展に伴い、ろう者の情報支援を行う仕組みとして、遠隔パソコン文字通訳、自動音声認識ソ フトが開発されている。 リレーサービス 聴覚障害者と電話の相手先(聴 者)を、リレーサービスのオペ レーターが文字や手話と音声の 通訳をすることにより、電話で 即時双方向につなぐサービス。 •ビデオ(手話)リレーサービス(ビデオチャット)と文字リレー サービス(チャット/LINE等)がある。 •電話会社またはサービス事業者の費用負担をどうするかが課題。 •情報の捕捉率はかなり高い。
  19. 19. 19 4.結びに(リサーチを通して感じたこと)
  20. 20. 20 ● 公的機関等で義務化される合理的配慮の考え方については、現時点では内閣府設置の委員会にて 議論が行われており、今後、各現場機関で具体的な判断基準の検討が行われます。何が合理的配慮 かということについては、最終的に各ろう者と現場機関の間でのすり合わせの中で決まります。そ の際、前例のみを参照するのではなく、それぞれの現場で、ろう者の多様な人生を実現し得るもの か十分に考慮されることを切望します。 ● ろう者の情報支援の仕組みは、ICTの発達に伴い進化しています。情報捕捉率の向上、クラウド 化による費用の低減、活用場面に合わせた手法の選択も可能となりつつあります。こうした、技術 面での進歩も十分に考慮する必要があると考えます。 ● ろうの生徒の教育に目を向けると、従来、ろうの生徒が一般高校に進むことは殆どなかった事実 が見えてきます。これは、一般高校において情報保障を行う体制がなかったこと、またそうした情 報保障を支える公的な支援体制がなかったことが背景にあるようです。公的支援は、義務教育であ る小学校・中学校、また大学には存在することを考えると、制度面ですっぽりにけ落ちしまってい るように思われます。この結果、現時点で、ろうの生徒はろう学校進学以外の選択肢が大幅に狭め られているのが現実です。 ● ろうの生徒が一般高校に進学しないとできないことがあります。例えば、スポーツ。ろう学校で は硬式野球部に所属して、甲子園を目指すという選択肢はありません。また、その他のスポーツで も全国レベルで取り組みたいろうの生徒は一般高校に進学したいと思うのです。 リサーチを通じて感じたこと(1/2)
  21. 21. • 手話通訳を利用した聴覚障害者への情報提供コスト 560万円/年 前提 一人あたり週10コマ、年間400コマ 1コマあたり通訳者2名 人件費+交通費 計 14,000円 (社会福祉法人 神奈川聴覚障害者総合福祉協会 手話通訳者派遣費 より試算) • 一般高校における生徒一人あたり行政コスト (※) 124万円/年 21 ろう学校 高等部 手話通訳 遠隔PC 文字通訳 • 東京都ろう学校4校における生徒一人あたりの行政コスト (※) 619万円/年 • 遠隔PC文字通訳を利用した聴覚障害者への情報提供コスト 200万円/年 前提 一人あたり週10コマ、年間400コマ 1コマあたり通訳者2名 人件費計 5,000円 にて試算 • 一般高校における生徒一人あたり行政コスト (※) 124万円/年 合計 619万円 324万円 684万円 見積もり詳細 ※ 東京都教育委員会 平成24年度決算分都立学校バランスシート 一般 高校 リサーチを通じて感じたこと(2/2) ● ろうの生徒の人生の選択肢を多様化することは、必ずしも行政コストの負担増には直結しません。 技術の進歩を取り込み工夫を行うことで、追加的な行政コストなく実現できる可能性があります。例 えば、ろうの生徒が一般校に進学した場合の合理的配慮として、遠隔PC文字通訳がその対応策の一 つと位置付けられれば、大きな行政コストなく、ろうの生徒に有効な情報保障が実現できる可能性が あります。ろうの生徒の一般高校への進学は、当人の人生の選択肢拡大とともに、生徒一人当たりの 行政負担額が、ろう学校に進学した場合(600万円程度)に比べ半減する可能性もあります。 ● 教育現場での情報保障では、対応策の一つとして音声認識ソフトの開発が進められています。しか し、音声認識ソフトは情報捕捉率は高まっていますが、新しいことを学ぼうとする教育分野では、ほ んの少しの変換違いが誤った理解につながります。現時点でこの課題を乗り越える手法として、ICT と従来のPCによる文字通訳をハイブリッドに組み合わせた遠隔パソコン文字通訳が現実的、という のが実際に複数の仕組みを体感した私たちの感想です。

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