データ分析分野の高校生向けの授業用につくったスライドです。

1. 高校生のためのデータ分析
情報科 山岸直生

2. 目次
• テーマ0 : はじめに
• テーマ1 : 点差はどれくらい？
• テーマ2 ：理科と数学の点数の関係
• テーマ3 ：因果と相関
• テーマ4 : 直線を使って予想する
• テーマ5 : サイコロは偏っている？
• テーマ6 : 偏差値の計算

3. コンビニのカード
もっていますか？

4. カードを使うと
割引されるのは
なぜ？

5. カードを使うと
割引されるのは
なぜ？
どういう人が、
どういうときにどんな商品を、
どんな商品と一緒に、
購入しているかがわかる

6. カードを使うと
割引されるのは
なぜ？
・在庫管理
・棚の配置
・割引企画
・新商品開発
などに役立つ

7. 学校にもデータは
たくさんある
生徒番号 国語 英語 数学 理科
1 85 80 65 70
2 70 75 90 85
3 40 40 30 60
4 60 60 100 85
5 90 100 60 65
6 45 20 45 55
7 86 94 86 91

8. テスト結果
から何が
わかるだろうか？

9. テスト結果からわかること
• どのくらいの難易度だったか
• どのくらい点差がついたか
• だれがどのくらいできるか
⇒他にもいっぱいある

10. テスト結果からわかること
• どのくらいの難易度だったか
⇒平均
• どのくらい点差がついたか
⇒偏差
• だれがどのくらいできるか
⇒合計

11. 学校にもデータは
たくさんある
生徒番号 国語 英語 数学 理科
1 85 80 65 70
2 70 75 90 85
3 40 40 30 60
4 60 60 100 85
5 90 100 60 65
6 45 20 45 55
7 86 94 86 91

12. 自力でできるなら・・・
⑥各生徒の平均点を出せ
⑦各科目の中央値（メジアン）を出せ
⑧各生徒の順位を出せ
⑨この試験問題において、
数学で90点とるのと理科で90点とるのとでは、
どちらがより「すごい」と考えられるか。

13. テーマ１：
点差はどのくらい？

14. どのくらいの差がついた？
国語 数学
49 0
51 0
48 100
52 100

15. 平均を引いてみよう
国語 数学
49(-1) 0(-50)
51(+1) 0(-50)
48(-2) 100(+50)
52(+2) 100(+50)

16. ( )の中の数値：偏差
国語 数学
49(-1) 0(-50)
51(+1) 0(-50)
48(-2) 100(+50)
52(+2) 100(+50)

17. どのくらいの差？
国語 数学
-1 -50
+1 -50
-2 +50
+2 +50

18. 平均を計算する？？
国語
-1
+1
-2
+2

19. 点差はどのくらい？
数学
-50
-50
+50
+50

20. 偏差の平均は０
国語 数学
-1 -50
+1 -50
-2 +50
+2 +50

21. 差を計算するには？
国語 数学
-1 -50
+1 -50
-2 +50
+2 +50

22. 偏差の「絶対値」を使えばいい？
国語 数学
-1(1) -50(50)
+1(1) -50(50)
-2(2) +50(50)
+2(2) +50(50)

23. 偏差の絶対値
国語 数学
1 50
1 50
2 50
2 50

24. 偏差の絶対値の平均
国語
1
1
2
2

25. 偏差の絶対値の平均
数学
50
50
50
50

26. 偏差の絶対値の平均
国語：1.5
数学：50
なので数学の方が
48.5点分
点差がつきやすい
国語 数学
49 0
51 0
48 100
52 100

27. 偏差の絶対値の平均＝平均偏差
国語 数学
49 0
51 0
48 100
52 100
平均偏差 1.5 50

28. どのくらい
点差がつきやすいか
を調べるには
平均偏差(Average Deviation)
を計算すればいい

29. Excelで計算

30. 似てるけど少し違う用語

31. 平均偏差より標準偏差
の方がよく使う？
• 平均偏差(Average Deviation)
⇒偏差の絶対値の平均
• 標準偏差(Standard Deviation)
⇒偏差の二乗の平均のルート

32. 標準偏差の計算をしてみよう

33. 国語 数学
49 0
51 0
48 100
52 100

34. 偏差
国語 数学
-1 -50
+1 -50
-2 50
+2 50

35. 二乗
国語 数学
1 2500
1 2500
4 2500
4 2500

36. 平均
国語 数学
1 2500
1 2500
4 2500
4 2500
平均 2.5 2500

37. ルート
国語 数学
1 2500
1 2500
4 2500
4 2500
平均 2.5 2500
ルート 1.58 50

38. 計算結果
国語 数学
49 0
51 0
48 100
52 100
平均偏差 1.5 50
標準偏差 1.58 50

39. Excelで計算

40. Rで計算

41. まとめ
• データを見たらまず
・平均(average)
・標準偏差(standard deviation)
をチェックしよう

42. 課題
• 偏差値について調べてみよう。
• 五数要約について調べてみよう。

43. 練習：標準偏差を求めてみよう
生徒番号 国語 英語 数学 理科
1 85 80 65 70
2 70 75 90 85
3 40 40 30 60
4 60 60 100 85
5 90 100 60 65
6 45 20 45 55
7 86 94 86 91

44. テーマ２：
数学の点が高い人は
理科の点も高い？
生徒番号 国語 英語 数学 理科
1 85 80 65 70
2 70 75 90 85
3 40 40 30 60
4 60 60 100 85
5 90 100 60 65
6 45 20 45 55
7 86 94 86 91

45. 数学と理科の関係をどう示す？
生徒番号 国語 英語 数学 理科
1 85 80 65 70
2 70 75 90 85
3 40 40 30 60
4 60 60 100 85
5 90 100 60 65
6 45 20 45 55
7 86 94 86 91

46. 数学ー理科の散布図を描く
30
40
50
60
70
80
90
100
30 40 50 60 70 80 90 100
理科
数学

47. 右に行くほど
上にデータがある感じがする？
30
40
50
60
70
80
90
100
30 40 50 60 70 80 90 100
理科
数学

48. 右に行くほど上にデータがある
⇒正の相関がある という
30
40
50
60
70
80
90
100
30 40 50 60 70 80 90 100
理科
数学

49. 正の相関がある散布図の例

50. 負の相関がある散布図の例

51. 散布図を描けば
２つの科目間の
関係がわかる

52. Excelで散布図を描く

53. 「相関」は計算できる？

54. 相関は計算できる？

55. 相関は計算できる？

56. 相関係数
• R
• correlation coefficient
• 右に行くほど
上に行けば大きくなる

57. 相関係数R
⇒Rが大きいほど、正の相関が大きい
⇒Rが小さいほど、負の相関が大きい

58. 相関係数
• −1 ≤ 𝑅 ≤ 1の範囲の値をとる
• R＝１: 右上がりの直線
• R=-1 : 右下がりの直線
• R > 0 : 正の相関がある
• R < 0 :負の相関がある

59. 𝑅 = −0.76

60. 𝑅 = −0.05

61. R=0.24

62. 相関係数からわかること
• 数学と理科の相関係数はR=0.91
⇒強い正の相関がある
⇒数学ができる人は
理科もできる可能性が高い

63. まとめ
二変数データをみたら、
散布図を描こう

64. Rによる散布図行列

65. 散布図行列を作成してみよう
国語<-c(85,70,40,60,90,45,86)
英語<-c(80,75,40,60,100,20,94)
数学<-c(65,90,30,100,60,45,86)
理科<-c(70,85,60,85,65,55,91)
test<-c(国語,英語,数学,理科)
テスト<-matrix(t(test),nrow=7,ncol=4)
colnames(テスト)<-c("国語","英語","数学","理科")
pairs(test,cex=3)

66. さらに工夫すると・・・

67. まとめ
多変数データをみたら、
散布図行列を描こう

68. 練習：
他の科目間の相関係数を
求めてみましょう

69. テーマ３：
因果と相関
次の散布図からいえることは？

70. R = 0.905

71. 散布図からいえること
• 気温が高いほど、売上が多い？
• 売上が多いほど、気温が高い？
• 気温が上がることによって、売上が変わる？
• 売上が上がることによって、気温が上がる？

72. 散布図からいえること？
○気温が高いほど、売上が多い
○売上が多いほど、気温が高い
○気温が上がることによって、売上が上がる
×売上が上がることによって、気温が上がる

73. 散布図からいえること？
○気温が上がる ⇒ 売上が変わる
×売上が上がる ⇒ 気温が上がる

74. 散布図からいえること？
原因：気温が上がる
結果： 売上が変わる

75. 散布図からいえること？
原因：気温が上がる
結果： 売上が変わる
直接関係

76. R = 0.81

77. 散布図からいえること？
気温が上がる
水難事故が増える

78. 散布図からいえること？
気温が上がる
海水浴客が増える
水難事故が増える

79. 散布図からいえること？
気温が上がる
海水浴客が増える
水難事故が増える
間
接
関
係

80. R = 0.85

81. R = 0.98

82. Rの計算結果
気温が上がる
海水浴客が増える
水難事故が増える
間
接
関
係
R = 0.81
R = 0.98
R = 0.85

83. R = 0.86

84. • 原因：水難事故件数
• 結果：アイスの売り上げ個数

85. • 原因：水難事故件数
• 結果：アイスの売り上げ個数
ではないよね？

86. 気温
アイス
水難事故

87. 気温
アイス
水難事故

88. 気温
アイス
水難事故
共通原因による
疑似相関

89. 相関があっても、
原因結果関係があるとは
限らない！

90. 課題
• 疑似相関について
調べてみよう

91. 参考

92. テーマ４：
直線を使って予想する
理科が８０点の人の数学の点数は？

93. 生徒番号 国語 英語 数学 理科
1 85 80 65 70
2 70 75 90 85
3 40 40 30 60
4 60 60 100 85
5 90 100 60 65
6 45 20 45 55
7 86 94 86 91
理科が８０点の人の
数学の点数は？

94. 生徒番号 国語 英語 数学 理科
1 85 80 65 70
2 70 75 90 85
3 40 40 30 60
4 60 60 100 85
5 90 100 60 65
6 45 20 45 55
7 86 94 86 91
散布図を描いて予想してみよう

95. R = 0.９１

97. 回帰直線

98. 理科が８０点の生徒は
数学も８０点くらいだと予想される

99. 数学=理科×1.7-50

100. 課題
• Excelまたは統計処理ソフトRで、
同じようなことをやってみよう。
• 英語が50点の人の国語の点数は？

101. テーマ５：
サイコロの出た目は
偏ってるの？
乱数とヒストグラム

102. 0～１が同じ確率
で出る乱数をパソコンは
発生させることができる

105. １～６が同じ確率
で出る乱数をパソコンは
発生させることができる

108. このようにつくった
サイコロの目は偏って
いないだろうか？

109. １０万回サイコロ
を振ってみよう
各目10万÷6=16667回
ずつ目が出るはず

111. 0 5 10 15 20 25
1
2
3
4
5
6

113. まとめ
かなり多くの回数さいころを振らないと
「本当に偏っているか」はわからない

114. テーマ6：
実際に「偏差値」を
計算してみよう

115. 「偏差」を計算することで
平均が０のデータをつくれる

116. 「偏差」を計算することで
平均が０のデータをつくれる
標準偏差が同じデータを
つくるには？

117. 復習
国語 数学
49 0
51 0
48 100
52 100

118. 偏差
国語 数学
-1 -50
+1 -50
-2 +50
+2 +50

119. 平均は０
国語 数学
-1 -50
+1 -50
-2 +50
+2 +50

120. 標準偏差は「ばらつき」度合い
国語 数学
49 0
51 0
48 100
52 100
標準偏差 1.58 50

121. 「ばらつき度合い」を
同じにするには？

122. 「ばらつき度合い」を
同じにするには？
バラつき度合い：標準偏差
で割ればいい

123. 偏差に直す
国語 数学
-1 -50
+1 -50
-2 +50
+2 +50

124. 標準偏差で割った
国語 数学
-1(-0.63) -50(-1)
+1(0.63) -50(-1)
-2(-1.26) +50(1)
+2(1.26) +50(1)
標準偏差 1.58 50

125. これをZ値という
国語 数学
-0.63 -1
0.63 -1
-1.26 1
1.26 1

126. Z値
国語 数学
-0.63 -1
0.63 -1
-1.26 1
1.26 1
標準偏差 1.0 1.0
平均 0 0

127. Z値の性質
• 平均０
• 標準偏差１
• 普通、－１～１の間に７０％
くらいのデータが含まれる