キッチュの誕生:文化屋雑貨店店主・長谷川義太郎のオーラル・ヒストリー
- 3. CCTにおける
テイスト研究
• 階級を再生産するものとして
のテイスト (Bourdieu 1984;
Üstüner and Holt 2007; Üstüner and
Holt 2010)
• リフレクティブに意識できる
消費者像を踏まえた理論構築
(Arsel and Bean 2013; Hennion 2007;
Maciel and Wallendorf 2016)
• 労働者階級で消費されるモノ
(例えばトイレの詰まり取り)を敢え
てハイファッションで回収
(Bean, Khorramian, and O’Donnell
2018; Modrak 2015)
• 「見立て」をすれば、モノ自
体を変えることなく、審美性
に基づいた消費が行われる
- 4. テイスト研究におけるリサーチギャップ
既存研究 発見事実
非支配的テイストは、支配的なテイ
ストを置き換えられる (Simmel 1957)。
新しいテイストはやがて支配的なテ
イストに回収されることで陳腐なも
のになり、別のテイストが新たに立
ち現れるという際限のないプロセス
(Arsel and Thompson 2011)。
長谷川が創造し定着させたキッチュ
という非支配的テイストは、マス市
場にまで波及せずとも、テイスト
メーカーとして多くのクリエイター
に影響を与え続けた
テイストメーカーは、従来は特権的
な少数者。しかしインターネットの
発達によって、一般の人々もまたテ
イストメーカーになり得る (Dolbec and
Fischer 2015; McQuarrie, Miller, and Phillips
2013)。
長谷川がアウトサイダーとして実現
したこの文化的アントレプレナー
シップは、インターネットがない時
代に実現した
- 8. データ
• 長谷川 (1983)、長谷川 (2014)
• 長谷川氏が提供した各種資料
• 雑誌記事
• インタビュー(含む対談、6回、合
計692分)
• オーラルヒストリー:自身の歴
史をどのようなナラティブとし
て語るのか (Ritchie 2015)
- 19. テイスト研究におけるリサーチギャップ(再掲)
既存研究 発見事実
非支配的テイストは、支配的なテイ
ストを置き換えられる (Simmel 1957)。
新しいテイストはやがて支配的なテ
イストに回収されることで陳腐なも
のになり、別のテイストが新たに立
ち現れるという際限のないプロセス
(Arsel and Thompson 2011)。
長谷川が創造し定着させたキッチュ
という非支配的テイストは、マス市
場にまで波及せずとも、テイスト
メーカーとして多くのクリエイター
に影響を与え続けた
テイストメーカーは、従来は特権的
な少数者。しかしインターネットの
発達によって、一般の人々もまたテ
イストメーカーになり得る (Dolbec and
Fischer 2015; McQuarrie, Miller, and Phillips
2013)。
長谷川がアウトサイダーとして実現
したこの文化的アントレプレナー
シップは、インターネットがない時
代に実現した
- 20. カテゴリー出現とカテゴリー創造
(Durand and Khaire 2017)
カテゴリー出現
(category emergence)
カテゴリー創造
(category creation)
既存の製品カテゴリーの境界線を書
き換えて新しいカテゴリーが生まれ
ること
• 「ミニバン」 (Rosa et al. 1999)
• 「スマートフォン」 (Suarez, Grodal, and
Gotsopoulos 2015)
既存の製品カテゴリー内における分
類体系の変更
• 「モダン・インディアン・アート」
(Khaire and Wadhwani 2010)
• 「有機食品」 (Ertug et al. 2016)
業界のアウトサイダーにより行われ
ることが多い
業界のインサイダーにより行われる
ことが多い
物質的なイノベーション→ラベリン
グ(雑貨は逆)
ラベリング→物質的なイノベーショ
ン