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震災復興におけるコミュニティベースの太陽光普及モデル事業の提案
- 2. 震災後、太陽光発電の導入構想は続々
復興住宅に太陽光パネル付き
放射汚染地、耕作放棄地にメガソーラー
しかし、
初期投資は高い
回収期間が長い
制度的制約があるなど、実現の壁が高い
災害は危機、復興は改革の好機
- 3. 問題の所在
環境省は平成21年より「再生可能エネルギー導入
ポテンシャル委託調査」を実施。
平成23年度報告では、東北地域には巨大な太陽
光、風力、地熱資源が存在すると評価。一方、
結論において、“太陽光発電に関する共通点とし
て、「事業継続可能な適正利益が得られる発電事
業」としての検討・実績事例が少ないことが挙げら
れる”。
- 4. 本提案の目的
コミュニティベースで導入するメリットを明らかにし、震災
復興のためのモデル事業の提案を行い、持続的に運営できる
ビジネスモデルと、その普及政策を提案する。
津波震災復興地では新しい街を作る好機を生かし、地域と世
界に誇れる復興モデルをみせる。
コミュニティ・エネルギー・アクションプランを作成
震災の復旧・復興に向けてのニーズ①にも貢献する。
放射線量調査に基づいて放射性物質で汚染され利活用が困
難な農地等の電力畑への転用可能性を評価することによ
り、放射線量の除染/低減化後の土地活用方策の検討や、
農家などの新しい収入限確保や新産業創出につなげる。
- 5. 住宅太陽光発電事業モデルと課題
家庭モデル 実施主体の転換 コミュニティモデル
屋根面・農地の借り上げ
市民ファンド
政策補助
全量買い上げ パネルのリース 共同出資と共同運営
期待されるメリット
【未導入家庭】
震災後、太陽光への購入意欲が高 ①地域資源の共同利用
まった人達は約25%増加。※再生可 ②事業資金の確保
能エネルギー世界大会でのアンケート調 ③リスクの分散
査(n=136)より
④分散エネルギー社会への移行
太陽光補助金申請件数(持ち家一軒
家)は増加している。 ⑤雇用の創出
代表的取り組み:エコハウス 代表的取り組み:スマートシティ
【導入済家庭の課題】 【導入上の課題】
近隣のPVと比較しても遜色なく発電し、 ・PVは付け足しのようなもの。
売電されているかが不明
・実験設備などハードウエイ先行
トラブル対応が困難
・持続可能なビジネスモデルが未確立
※ NPO法人PV-Net調査結果
・資金集めは容易ではない。
・コミュニティの参加は限定的
- 6. 研究内容と構成
事前調査 震災後国民意識変化の調査 コミュニティ単位の導入事例調査
アンケート調査 国内50 海外50
WEBでの大量調 地域での郵送調査 文献調査 重点事例視察
査
太陽光発電導入済み・未導入別 「個益・公益に基づいた事業分析」
事業要件の特定 家庭単独導入と運用の効果と課題 コミュニティベースの導入の事業要件
被災地の特性の
津波被災地 違いによる比較 放射線物質汚染地域
研究地域の選定 (気仙沼市・高所移転) (南相馬市・汚染地対策)
(スマートシティ/ 政策課題の抽出
(メガソーラー/売電)
エネルギー地産地消)
原発風評被害地
太陽光と他のエネ (福島市・温泉街再生)
事業モデルの構想 ビジネルモデ
ルギーとの比較 (マイクロ水力/
ルの比較
エネルギー地産地消)
自然エネッルギーの導 震災復興エネル 復興モデル事業の
モデル事業の作成
入ポテンシャルの評価 ギー計画 設計
エネルギー政策目標の エネルギーコモ 協働的プラット
設定(省/創エネ) ンズの空間構成 フォームの構築
事業提案書の完成
- 7. 放射汚染被害地域の調査と政策課題の特定
(1)農家を対象とした新規事業に対する経営意向を調査する
調査目的:震災後の農水省や県の農業継続意向調査などを基盤と
し、新規事業への理解度、サポート体制への要望、資金運営への懸
念など、再生可能エネルギー事業を実施するうえで農家が直面する
課題を事前に調査すること目的とする。
サンプル数:100件程度(福島市及び南相馬市周辺の農業法人、農業
組合、個別農家等)
(2)観光客や地元企業を対象とした環境保全・修復に対する
支払い意志を調査する
調査目的:水力発電施設のコストを負担するために、観光客や地元
企業に対して社会貢献や直接的便益をデザインし提案しながら、寄
付・出資の意識について調査を行う。
サンプル数:500件程度(地元企業:100件、観光客400件)
- 8. 放射汚染地域の再生エネルギーモデル事業の形成
農地を利用した太陽光発電システム
主な検討課題:個々の農家が実現可能な事業モデルを検討する(①農地利用の規制緩
和、②電力買取価格、③固定資産税などの税制優遇、出資・寄付を含めた資金運営、④
地元の農家との合意形成手法の確立)
検討会メンバー:
地元:農家、農業団体、地元企業、自治体
学識者:慶應大、福島大学、アドバイザー:先行事例(山梨県など)
マイクロ水力発電等を通じた観光地の環境負荷削減と観光振興
主な検討課題:①出資・寄付を含めた資金運営、②観光地に対し関心を向上させるメカ
ニズムの検討、③自然環境の保全とPayment for Ecosystem Service
検討会メンバー
地元:地元温泉観光協会、製造業を中心とする地元企業、旅行代理店、自治体
学識者:慶應大、福島大学、アドバイザー:先行事例(熊本県など)
- 9. コミュニティエネルギーアクションプラン
エネルギー創生事業 放射線物質汚染地域
○関連施設の共同運営や、節電、燃料事
業をミックスし経営モデルを確立 農業併用の資源生産経営
○収益は地域の復興(主に生業の再生) エネルギー三圃式農業、 新規農業開発へ投資
へ再投資し相乗効果を生み出す 農畜連携型発電事業 (除染・植物工場等)
○新規事業者に対して電力、燃料、ガス、 (メガソーラー/売電)
相互事業間の規制緩和提言
利益 原発風評被害地(福島市・温泉街再生)
低投資
早期収益性事業 関連施設の共同運営
観光資源保全・修復事業
(バイオ燃料等) 水力発電所
・国立公園等の修復事業
蓄熱設備の共同運営
・建物被害街区の再形成
(マイクロ水力/地産地消)
5年 10年 20年
高投資
長期収益性事業 津波被災地(気仙沼市・高所移転)
太陽光パネル
売電事業 (スマートビレッジ
エネルギー地産地消)
漁業関連施設再生
資金サポート 節電、発電、蓄電事業
避難施設の機能強化
街区節電アクションプラ
節電アクション等によるボー ン
ナス
補助金・資金調達市民出資・寄付 蓄電池の共同運営
- 10. 期待される研究成果
震災後、太陽光など自然エネルギーに対する国民意識と
マーケットの変化をとらえ、家庭単独導入の課題とコミュ
ニティベースの導入効果の違いを明らかにする。
事例調査とモデル事業の設計を通して、持続的な運営方法
を検討し、コミュニティベースの太陽光利用を促進する支
援制度の創設を提案する。
発電/節電のポテンシャルマップを作成する方法を検討
し、コミュニティ・エネルギー・アクションプランの制度
化を提案する。
高所移転地、風評被害地、放射線汚染地の3事例で、地域
特性に適した、世界に誇れる震災復興のモデル事業を提示
する。