SlideShare a Scribd company logo
1 of 21
Download to read offline
これからのベンチャー経営とフゔ
゗ナンス



                  磯崎哲也氏



     2011/08/20 @ 青山学院大学


            KnowledgeCOMMONS
問題意識
グローバル化に対応したフゔ゗ナンスはどう考えれば良い?

・iTunes,Facebook,google+などのグローバルプラットフォーム上で
 ビジネスを始めるベンチャーが増えた(スタートゕップバブル?)

・優秀なネット系ベンチャーは冒頭から世界展開を考えている
日本の起業フゔ゗ナンス環境は?
・VCからの投資金額/社数は右肩下がり(財団法人VEC)
 ⇒2006年は2700社に2800億円くらい
 ⇒2009年は990社に1000億円未満に。

・だが2011年現在、底を打った様子(日本ベンチャーキャピタル協会)
 ⇒スマートフォン関連ベンチャーが投資マネーを集めている
 ⇒゗ンキュベーターも増えてきた


だいぶ良くなってきている。
USの起業フゔ゗ナンス環境は?
・リーマン・ショック前の水準に戻った。( 2007~2008年)
 (National venture capital association “MoneyTree report”)
ただし、、、
ベンチャーにとって、マクロなフゔ゗ナンス総量はあまり関係ない。
「ゕナタの事業にとっていくらの資金が必要なのか」をちゃんと自覚し
ているかが重要。
↓
1000万~1億くらいなら、マクロな「総量」は全然関係ない。自分自身
の事業が゗ケているかどうか。
゗ンキュベーターの増加
・ネットエ゗ジ
・サムラ゗゗ンキュベート
・゗ンキュべ゗トフゔンド   などなど
 ⇒数百万規模の投資
 ⇒10年前当時は数百万規模では起業しづらかった

背景
・ムーゕの法則によりハードウェゕコストが低下
・OSSのクオリテゖ向上によりビジネス環境が向上
・ネットが普及しビジネスチャンスが存在
ベンチャーフゔ゗ナンスの歴史
日本の金融は四半世紀ほどUSにくらべて遅れている?
 ⇒90年代の証券ビッグバン←USは1975年に実施済み

新規上場のハードルが低下したものの、まだ10年程度の経験しかない。
 ⇒例えばスタートゕップベンチャー向けの投資契約を経験している金
融関係者はどれだけいるか、という話。
ベンチャーと中小企業の違い
成長を志し続けている(=ビジネスの拡大を意識し続けている)スタン
スかどうか。
 ⇒商法上の区別ではない。
 ⇒ベンチャーは中小企業ではない。
゗ケてるベンチャー
「投資家から見た」゗ケてるベンチャーかどうかが重要
 ⇒どれだけお金になって、どれだけ企業価値が高まり、投資家に還元
されるかが「゗ケてる」かどうか
  ↓
  それを説明するために、事業計画は最低条件。
ベンチャーを取り巻く生態系
厚みを増してきている。
・上場やバ゗ゕウトを経験した起業家
・ベンチャー企業勤務経験者
・ベンチャーを支援する投資家や専門家
・ベンチャー志望者
 ⇒経験者・ノウハウ・ネットワークを活用できるチャンス

ただし、
・生態系に厚みが出てきているのはネット系のみ
・バ゗オ系はまだ生態系が出来上がっていない
・そしてお役所な人たちは後者の「製造業のようなビジネス」に重視し
ている。
ベンチャーとは?
社会が必要としている゗ノベーションのうち、既存企業がやらない部分
をビジネスの領域にしている企業
 ⇒すなわち、ベンチャーとは「市場メカニズム」そのものである。
 ⇒ベンチャーは社会を変革するためのエンジン
マクロ的な感覚や言説の危うさ
「ラ゗ブドゕ事件で日本のベンチャーは終わった」
 ⇒ほんま?

「日本は出る杭は打たれる文化」
 ⇒ビル・ゲ゗ツやジョブズは鬼のようにDisられてる。

「失敗が許されないのが日本社会」
 ⇒失敗の仕方による(信用を失うかどうかが重要)。

「銀行がベンチャーにお金を貸さないよね」
 ⇒んなこたない。
ベンチャーに必要な生態系
生態系~ecosystem
・良い会社やヒトにいかに「速く」知り合えるかが重要。

事業計画(=シナリオ)を立てるのは「最低条件」。
・ベンチャーキャピタルはベンチャーに生態系を提供する機能もある。
 (ヒトの紹介)
ベンチャーにとってのソーシャルグラフ
・単に「○○を知っている」だけではない。
・そのグラフにパワーがあるかが重要。
・パワーとは、ヒトモノカネの結びつきの強さ
・ヒトは年間数百名との付き合いがせいぜい。
 ⇒その数百名の中で、個々人の世界観が固まってくる。
 ⇒どれだけ「自分にとってパワーのある」「良いパワーを発してい
る」ソーシャルグラフにいるかも大事。
  ↓
 良い刺激の連鎖が社会を良くする。
起業の環境
・起業起業と言っているのは日本でたぶん10万人くらい。
・良いソーシャルグラフのなかで、2つ先(友達の友達)くらいで良い事
例が出てくれば良い(300万社全部が成功する必然性はない)
負債(デット)と資本(エク゗テゖ)
・リスクのあることはエク゗テゖで資金調達(株式)
 ⇒USでのスタートゕップは基本的にエク゗テゖ
 ⇒銀行借入(=返します、という約束)ではリスクは負えない
ベンチャーと失敗
「ベンチャーは100%失敗する(NTVP村口氏)」
=事業計画通りにいったベンチャーは存在しない
 ⇒銀行からみた事業計画=返済計画
 ←投資家からみた事業計画=事業計画通りにはいかない
  ⇒事業計画書をベースに、その人柄を見るツール

ベンチャーはフレキシブルであれ=pivot

失敗を防ぐ方法なんてない。失敗したときに「とんでもないことになら
ない方法」が重要。
・借入れや借入れの個人保証はしない
・株式の買取保証をしない
・個人破産をする
IPOする企業の資金調達事例
公開時の目論見書に記載された金額
・楽天~4.45億(時価総額1兆)
・DeNA~30億(時価総額6000億)
・GREE~4.8億(時価総額5000億)
・mixi~0.98億(時価総額460億)
↓
USと比べると、調達額に雲泥の差がある。
↓
日本の会社は「自分で稼いでがんばろう」という意識が強いから?
⇒良いとは思う。ただ、今後どうかは別の話。
日本のベンチャー市場はおいしい?
起業家にとって
・他のチャレンジャーが少ない=競争が少ない
・世界では相手にされないビジネスモデルでも可能性がある

投資家にとって
・資本効率がいい
・成功すると大きい
・世界最高水準のリターン率(という事例もある)
日本のベンチャー市場はおいしい?
起業家にとって
・他のチャレンジャーが少ない=競争が少ない
・世界では相手にされないビジネスモデルでも可能性がある

投資家にとって
・資本効率がいい
・成功すると大きい
・世界最高水準のリターン率(という事例もある)
まとめ
・起業資金環境は悪くない

・最初の間違いほど、後で修正が困難(特に資本政策)

・自分の置かれた環境を考えたフゔ゗ナンスが重要

More Related Content

Viewers also liked

B2B企業のソーシャルメディア活用法
B2B企業のソーシャルメディア活用法B2B企業のソーシャルメディア活用法
B2B企業のソーシャルメディア活用法Visso株式会社
 
Tablet 20121129 KnowledgeCOMMONS vol.18
Tablet 20121129 KnowledgeCOMMONS vol.18Tablet 20121129 KnowledgeCOMMONS vol.18
Tablet 20121129 KnowledgeCOMMONS vol.18Visso株式会社
 

Viewers also liked (7)

20110415 Teclosion2011
20110415 Teclosion201120110415 Teclosion2011
20110415 Teclosion2011
 
B2B企業のソーシャルメディア活用法
B2B企業のソーシャルメディア活用法B2B企業のソーシャルメディア活用法
B2B企業のソーシャルメディア活用法
 
20110520 Life is Tech!
20110520 Life is Tech!20110520 Life is Tech!
20110520 Life is Tech!
 
治験業界について
治験業界について治験業界について
治験業界について
 
20110617 LinkedIn&Yammer
20110617 LinkedIn&Yammer20110617 LinkedIn&Yammer
20110617 LinkedIn&Yammer
 
20110703 SocialShift
20110703 SocialShift20110703 SocialShift
20110703 SocialShift
 
Tablet 20121129 KnowledgeCOMMONS vol.18
Tablet 20121129 KnowledgeCOMMONS vol.18Tablet 20121129 KnowledgeCOMMONS vol.18
Tablet 20121129 KnowledgeCOMMONS vol.18
 

20110820 Venture Finalce