「情報社会」に関する一見解
文教大学情報学部情報システム学科
阿部秀尚
このスライドで述べられる「情報社会」については,私個人の見解です.
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このスライドは2014年11月20日に神奈川県立山北高等学校の模擬授業資料を再構成したものです.
「情報社会」とは
「情報化社会」とは違うの?
◦ 情報化社会の後に起こること
→情報や情報を扱う機器を使いこなすことが前提となる
=「情報リテラシー」から高度な技能修得が必要に
◦ 単に使うこと(自動化)と使いこなすこと(情報化)は異なる
何が情報社会によって起こるの?
◦ 「情報」が価値を持つ社会になる ←考え方は1970年代から
◦ 「情報を扱えるようになること」(教育)も含む
◦ 情報を扱う力がそのまま価値の生産に影響する
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ドラッガーのいう“知識社会”
「マネジメントの神様」
◦ マネジメント:仕事がうまくいくように人的,物的,金銭的,
時間的資源をうまくやりくりすること
◦ マネージャの指示を受けて“仕事をさせる”のは管理者(監督者)
の仕事
知識社会 (Knowledge Society)
◦ 1993年の著書「ポスト資本主義社会」で提唱した造語
◦ 知識そのものや知識を持つ状態にすること(=教育)が
価値を持つ社会
◦ 知識と情報の境目はあいまいなので,「情報社会」と似
たところが多くある
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データ→情報→知識
データ
◦ 客観的な事実を(人間が認知できるかたちで)記録したり,されるもの
◦ 例:ある装置の赤,緑,黄色のいずれかの光が灯っている
情報
◦ データに基づく伝達手段,データへの意味づけが行われたもの
◦ 例:ある装置は交通信号であり,緑色の光が灯っている→青信号,
黄色い光が灯っている→黄色信号,赤い光が灯っている→赤信号
◦ データを伝えること,伝えられるようにすることで情報が生産される
知識
◦ 情報を扱うための情報:情報に基づく価値判断や行動への指示(意思
決定)を含む情報
◦ 例:黄色信号では止まる準備をする. 赤信号では止まる
◦ マニュアルや教本などとして表されて有形のこと(形式知)もあれば,
無形のこと(暗黙知)もある
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情報を活かして商売をする企業
~ネット通販の例~
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利用者 ショップ
(倉庫)
注文
商品配送
顧客の購買,
サイトでの行動
履歴データ
通販サイトを利用
することで収集
推薦モデルの
構築
商品推薦
エンジン
おすすめの商品
通販サイト
情報社会での経済学的な価値
仕事
◦ 従来からあるその職業で行わなければならないこと
◦ 例:商店→モノを売ることが仕事
+α
◦ 希少価値:ものめずらしさ
◦ 存在価値:そのものが存在していることによる価値
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個人や企業の価値=
仕事×情報技術・活用力+α
「知識(情報)社会」と経済学の関係については,
「知識社会の経済学―ポスト資本主義社会の構造改革」(大内秀明 著,1999)が詳しい
グローバリズムと情報社会化
グローバル化による価値への影響
◦ どこの国でもできること→価値が同じに
◦ 他の国や他国の人にできないこと→価値は変わりにくい
情報社会化による価値への影響
◦ 情報社会化では情報を扱う(伝えたり,活かす)力が重要
◦ 情報は物理的な制約を受けずに世界中に到達できる
◦ 情報の力を利用してきたこれまでの仕事の再考
◦ 知的財産権: 著作権,特許権,意匠権
◦ 生産方法: ライセンス(委託)生産,生産管理方法,品質管理方法
◦ 人的資源: 社員教育,タレント(資格)マネジメント
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“難しいこと”を憶えたり,教えたりする/できることに
価値のある時代
「情報」教育をめぐる日本と
世界
日本
欧米先進国・新興国(特に中欧諸国)
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「教育にはコストがかかるので,(今ある仕組みに従う)
即戦力の人材を!」→“情報=パソコンを使うこと!”
「これからの情報社会では“創造する力”が必要だから,
コンピュータ上で創造する力を小学生からつけさせよう!」
→コンピュータでのアルゴリズム的な思考を中心とした情報教育
もう35年以上前から提唱されている情報(情報を活用する力)
が価値を持つ社会で生き残るのはどちらの考え方でしょう?
情報を活用できる高度職業人へ
情報社会でビジネスを創造する
情報社会での問題を解決できる
情報社会を支えるインフラを扱える
◦ 情報を加工し,心に届け,表現する
情報社会を人間味豊かにする
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単に「使われる人」にとどまらず,「使いこなせる人」
「創り上げる人」「創り上げさせられる人」へ
(→“情報系”の学部学科で学ぶことが多い)
学部の系統(JSPSが用いている類型)
教養学系
教育学系
人文学系
社会科学系
体育学・芸術学・生
活学系
理学工学系
農学系
医学・看護学系
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「情報(学)系」は?
情報系といわれる学部・学科
理学系
◦ 理学部○○情報△△学科,数理情報○○学部/学科 など
工学系
◦ ○○情報工学部,理工学部/工学部○○情報△△工学科,
情報学部(情報科学科) など
経済学・社会学系
◦ “社会”や“文化”+情報学部,文教大学情報学部,情報学部
(情報社会学科) など
その他(上記以外,あるいは複数系統の学科がある)
◦ “芸術”や“都市”,“環境”+情報学部
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文教大学情報学部の紹介(1)
日本初の「情報学部」(1980年創設)
◦ 2014年に改組→新たな3学科体制に
◦ 文教大学湘南キャンパス(茅ヶ崎市)で学ぶ
◦ 情報学:工学とも理学とも異なる情報の可能性の追求
情報の総合力によって社会の問題解決を!
◦ 情報システム学科:
現代社会の情報基盤を作る力
◦ 情報社会学科: (情報/社会学/科ではなく,情報社会学/科
です)
情報基盤に立脚したビジネスの提案や実現する力
◦ メディア表現学科:
メディアを活用した表現で社会を創造する力
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※少しだけ所属の宣伝
文教大学情報学部の紹介(2)
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伝える力
創る力 実現する力
3学科それぞれのアプローチで情報を活用する総合力を身につける
コンピュータシステム,
デジタルコンテンツ,
マネジメント書類,分析レポート,
調査,番組,広告,出版物etc.
チーム作業,
科学的・現代的マネジメント,
グループ作業etc.
プレゼンテーション,
語学,情報通信技術,
国際感覚etc.
※少しだけ所属の宣伝
文教大学情報学部の紹介(3)
~各学科の専攻領域(専門科目群)~
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情報
システム
学科
情報社会
学科
メディア
表現学科
システム開発領域
情報デザイン領域
プロジェクトマネジメント領域
コミュニケーション戦略領域
メディア表現
領域
放送・映像分野
出版・ジャーナリズム分野
広告・デザイン・広報分野
社会学・社会調査分野
所属学科の
主専攻
+
所属学科,
または他学科
から
副専攻
がとれる
多彩な学び
※少しだけ所属の宣伝

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