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American musical 01
- 2. アメリカン・ミュージカル：研究の方法論 Diachronic Approach（通時的研究方法） 研究対象の時代ごとの変遷を考察（Historical Approachとも） Synchronic Approach（共時的研究方法） 研究対象の「普遍的な」（＝歴史を超越した）特徴を考察
- 3. アメリカン・ミュージカルという制度 通時的特徴：物語 「夢の（ような）世界」 死・暴力・性（セックス）・貧困・病気は扱われない：「現 実味」「生々しさ」を欠いている ご都合主義的展開：ハッピーエンディング 現実の暗い影：「抑圧されたものの回帰」（フロイト）が反 映されるという点でも夢に似ている 夢とは違い、辻褄（coherence）は合っているし、脈略 （cohesion）もある
- 4. アメリカン・ミュージカルという制度 通時的特徴：（表面上の）リアリズムとコンベンション オペラとの違い：レチタティーヴォがない 感情の「自然な発露」として歌い、踊る 実際には長年の訓練や天性の才能によって選ばれた人間だけが可 能な振り付けや歌が披露される コンベンション現実にはありえないことを「自然」に見せかける ための装置：歌舞伎の黒衣；マンガの吹き出し
- 5. アメリカン・ミュージカルという制度 通時的特徴：構造 物語とナンバー（＝ダンス・歌）が有機的に結びついた一体感の ある構造（organic unity）を指向する 直線的な時間を表象：「時間のリアリズム」＝一回性 その一方で、観客はしばしばその場その場だけを楽しむ（”show stopper”の存在）
- 6. アメリカン・ミュージカルという制度 通時的特徴：折衷主義 「極端」にならず、「中庸」を尊ぶ 中産階級の価値観（middlebrow）：「上品ぶった」ものを斥け、 「下品」なものを嫌う
- 7. アメリカン・ミュージカルの歴史的変遷 「時代区分」（periodization）の恣意性 便宜上の区分 1920-30年代 1940-50年代 1960-70年代 1980年代以降
- 8. 1920-30年代：黎明期 ヴォードヴィル（Vaudeville）・ミンストレル・ショー （Minstrel Show）・バーレスク（Burlesqueから「ミュージ カル・コメディ」へ 『ショウ・ボート』（Show Boat,1927/ 1955） 『ブロードウェイ・メロディ』（Broadway Melody, 1929）
- 9. 1940-50年代：発展期 リチャード・ロジャース（Richard Rodgers, 1902-79） とオ スカー・ハマースタイン（Oskar Hammerstein II, 1895- 1960）のコンビによる一連のミュージカル 『オクラホマ！ 』（Oklahoma!, 1943/1955） 物語とナンバーの「有機的」結合
- 10. 1960-70年代：爛熟期 ミュージカルという制度を打ち破ろうとする動き 『ウェスト・サイド物語』（West Side Story, 1957/1961） Self-parodyの出現：「ジャンル」としての死 『ロッキー・ホラー・ショー』（The Rocky Horror Picture Show, 1975）