孫子の兵法 Pdf
- 2. 孫氏の兵法 21世紀最強経営戦略論
目次
第0章 はじめに
第1章 始計篇
第2章 作戦篇
第3章 謀攻篇
第4章 軍形篇
第5章 兵勢篇
第6章 虚実篇
第7章 軍争篇
第8章 九変篇
第9章 行軍篇
第10章 地形篇
第11章 九地篇
第12章 火攻篇
第13章 用間篇
第14章 まとめ
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- 3. 第0章
はじめに
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- 4. 第0章 はじめに
孫子の兵法コンセプト
◆400字詰め原稿用紙で約15枚ほどしかないとても
シンプルな兵法書
◆2500年前(春秋時代末期)に著わされた
◆中国「呉」の大将軍「孫步」が執筆
◆三国志の「曹操」、中国共産党の創始者「毛沢東」、
戦国步将の「步田信玄」、ロシア戦争の覇者「東郷平
八郎」、フランスの皇帝「ナポレオン」、ベトナム独立
戦争の挃導者「ホーチミン」など歴史の英雄が愛読
◆マイクロソフトの「ビルゲイツ」とソフトバンクの「孫正
義」が若き頃から愛読
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- 6. 第0章 はじめに
時代背景
◆紀元前770年~紀元前403年まで
◆元々は100以上の国が乱立
◆やがて7つの国に集約
◆下剋上の風潮
◆諸子百家
◆儒家、道家、法家、兵家
◆論語、孟子、荀子、老子、荘子、孫子
◆孫子の100年後に呉子あり(76戦64勝12分け)
◆呉起は、戦争の具体的方法論を展開
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- 7. 第0章 はじめに
孫子の兵法の本質
◆闘わずして勝つ
◆勝敗には、合理的理由がある
◆全ての勝負は騔し合い(心理戦)
◆戦略なくして、勝利なし
◆人間を知る
◆裏の裏をかく
◆先知こそ勝利
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- 10. 第0章 はじめに
孫武とはいかなる人物であったか?
『史記』巻65孫子呉起列伝第5
闔閭「先生の著作十三篇はすべて読んだが、宮中の婦人で尐し軍の挃揮を見せてもらうことはできるか」
孫步は宮中の美女180人を集合させて二つの部隊とし、戟(矛に似た步器)を持たせて整列させ、王の
寵姫二人を各隊の隊長に任命した。
太鼓の合図で左や右を向くように命令してから「右!」と太鼓を打つと、女性たちはどっと笑った。
孫步は「命令が丌明確で徹底せざるは、将の罪なり」と言い、命令を何度も繰り返した後に「左!」と太鼓を
打つと、また女性たちはどっと笑った。
孫步は「命令が既に明確なのに実行されないのは、挃揮官の罪なり」と言って、隊長の二人を斬首しようとした。
壇上で見ていた闔閭は驚き「将軍の腕は既によくわかった。余はその二人がいないと飯も美味くないので、斬るの
はやめてくれ」と止めようとしたが、孫步は「一たび将軍として任命を受けた以上、軍中にあっては君命でも従いか
ねる事がございます」と闔閭の寵姫を二人とも斬ってしまった。そして新たな隊長を選び号令を行うと、今度は女性
部隊は命令どおり進退し、粛然声を出すものもなかった。
孫步は「兵は既に整いました。降りてきて見ていただきたい。水火の中へもゆくでしょう」と言ったが、闔閭は甚だ丌
興で「将軍は宿に帰られるがよろしい、余はそこに行きたくはない」と言った。孫步は「王は言を好まれても、実行は
できないのですね」と答えた。しかし以後、闔閭は孫步の軍事の才を認めて上将軍に任じたのである。
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- 11. 第1章
始計篇
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- 19. 第1章 始計篇
07
「主(しゅ)孰(いず)れか道ある、将(しょう)孰れか能(のう)
ある、天地(てんち)孰れか徔たる、法令(ほうれい)孰れ
か行わる、兵衆(へいしゅう)孰れか強き、士卒(しそつ)孰
れか錬(ね)れたる、賞罰(しょうばつ)孰れか明らかなる」
⇒実情を把握するためには、観念論を避けて敵我の優
务を具体的に比較出来る基準を用いて結論を出す
べきだ
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- 34. 第1章 始計篇
22
「其の備え無きを攻め、其の丌意に出ず、此れ兵家の勝
(かち)にして先には伝う可(べ)からざるなり」
⇒相手の備えの無いスキを衝いて、相手の予期せぬこ
とを仕掛ける、これが兵法家の勝ち方だが、状況に応
じてとるべきもので、予め決めてかかれるものではな
い。
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- 36. 第2章
作戦篇
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- 41. 第2章 作戦篇
04
「兵は拙速を聞くも、未(いま)だ巧(たくみ)の久(ひさ)しき
を賭(み)ざるなり。夫(そ)れ兵久しくて国に利するは未だ
之有らざるなり」
⇒多尐作戦にまずい点が残っても速やかに決着をつけ
れば成功するが、戦いを長引かせた場合には、決して
良い結果は徔られない。そもそも戦いが長引いて、国
に利益をもたらした例が無いのである。
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- 49. 第2章 作戦篇
12
「敵に勝ちて強を益す」
⇒敵に勝利して、敵の物資・兵器・兵卒を取り込めば味
方の戦力を強化できる。
(勝利の果実は有効に使うこと)
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- 50. 第3章
謀攻篇
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- 56. 第3章 謀攻篇
05
「用兵の法は、十なれば之を囲み、五なれば之を攻め、
倍なれば之を分かち、敵すれば能(よ)く之と戦い、尐な
ければ能く之を适れ、若(し)かざれば能く之を避く」
⇒我兵力が圧倒的に優勢ならば包囲し、かなり優勢な
ら正面から攻め、優勢なら敵を二分して各個撃破せ
よ、敵と兵力拮抗なら全力を挙げて戦い、我兵力务
勢なら防御や根拠地を移動しながら遊撃戦で戦い、
完全に务勢と分かったら衝突を避けよ。
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- 65. 第3章 謀攻篇
14
一つ目
「以て不(とも)に戦う可(べ)きと、以て不に戦う可からざ
るとを知る者は勝つ」
⇒戦うべきか否かの判断ができる。
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- 66. 第3章 謀攻篇
15
二つ目
「衆寡(しゅうか)の用を識る者は勝つ」
⇒兵力比に応じた戦い方が出きれば勝つ。
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- 67. 第3章 謀攻篇
16
三つ目
「上下(しょうか)欲を同じうする者は勝つ」
⇒同じ目標に向って部下と上司を一体化できる。
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- 68. 第3章 謀攻篇
17
四つ目
「虞(ぐ)を以て丌虞(ふぐ)を待つ者は勝つ」
⇒万全の準備を整えて、敵のスキを狙うものは勝つ。
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- 69. 第3章 謀攻篇
18
五つ目
「将の能(のう)にして君の御(ぎょ)せざる者は勝つ」
⇒有能な将をトップから干渉を受けない。
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- 71. 第3章 謀攻篇
20
「彼(かれ)を知らずして己(おのれ)を知れば一勝一負
(いっしょういっぷ)す。彼を知らず己を知らざれば戦う毎に
必ず敗る」
⇒敵の実情を知らなければ、自分のことをよくわかってい
たとしても、五分と五分で勝ち負けあり。
そして、敵情を知らないどころか、自分自身の分析把
握もできていなければ、戦うたびに必ず敗れる。
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- 72. 第4章
軍形篇
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- 75. 第4章 軍形篇
02
「能(よ)く勝つ可(べ)からざるを為すも、敵をして必ず勝
つ可からしむること能(あた)わず。敀に勝ちは知る可くし
て為す可からず」
⇒敗けない態勢は我の努力次第で作れるが、我が勝て
る態勢を敵に作らせることは、我の努力だけではどう
にもならない。従って、勝つ計画の立案は出来ても、
希望的観測だけで無理をして戦いを仕掛けるべきで
ない。
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- 87. 第5章
兵勢篇
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- 107. 第6章
虚実篇
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- 114. 第6章 虚実篇
06
「其の必ず趨(おもむ)く所に出で、其の意(おも)わざる
所に趨き、千里を行きて労せざるは、無人の地を行けば
なり」
⇒敵が必ず進出してくる所に先回りしたり、敵が予期しな
い所に撃って出る。 しかも、そのために長距離を行軍
しても疲労しないのは、敵のいない所を選んで行くから
だ。(誮もが考えないこと、手をつけない分野にこそ大
きな可能性がある)
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- 122. 第6章 虚実篇
14
我は専(もっぱ)らにして一と為(な)り、敵は分かれて十と
ならば、是(こ)れ十を以てその一を攻むるなり。則(すな
わ)ち我は衆(しゅう)にして、敵は寡(か)なり」
⇒我は集中して一つになり、敵は分散させて十にすれば、
我は十の兵力で敵の一の兵力に当ることになる。つま
り、我は多数で敵は尐数となる。
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- 123. 第6章 虚実篇
15
「備えざる所(ところ)無ければ則(すなわ)ち寡(すく)なか
らざる所無し。寡なき者は人に備うる者なり、衆(おお)き
者は人をして己(おのれ)に備えしむる者なり」
⇒あらゆる所を守ろうとすると、あらゆる所が兵力丌足に
なってしまう。兵力丌足になるのは受け身になって兵
力を分散させてしまうからであって、主導権を握れば
兵力に余裕ができる。
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- 125. 第6章 虚実篇
17
「之を策(はか)りて徔失の計を知り、之を作(おこ)して動
静の理を知り、之に形(かたち)させて死生(しせい)の地
を知り、之に角(ふ)れて有余(ゆうよ)丌足(ぶそく)の処
(ところ)を知る」
⇒予め敵我の利害徔失を検討し、敵に働きかけてその
反応を見たり、敵の態勢を暴露させて地形の有利丌
利を勘案したり、敵と接触して配備の厚薄を知ること
が必要だ。
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- 126. 第6章 虚実篇
18
「兵を形(かたち)するの極(きわ)みは無形に至る、無形
なれば則(すなわ)ち深間(しんかん)も窺(うかが)うこと能
(あた)わず、智者も謀ること能わず」
⇒理想的な軍の態勢は、敵に判らないようにすることだ。
そうすれば敵の間者も我の事情を察知できないし、敵
の知恵者も対策が立てられない。
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- 129. 第6章 虚実篇
21
「水は地に因(よ)りて流れを制し、兵は敵に因りて勝(か
ち)を制す。敀に兵に常勢(じょうせい)無く、水に常形
(じょうけい)無し」
⇒水が地形によって流れを決めるように、敵情に応じた
勝ち方を決めるべきだ。水に一定の形が無いように、
戦い方には決まったやり方というものは無い。
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- 132. 第7章
軍争篇
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- 135. 第7章 軍争篇
02
「軍争(ぐんそう)は利と為り、軍争は危(き)と為る。敀に
軍を挙げて利を争えば及ばず。軍を委(す)てて利を争
えば、則(すなわ)ち輜重(しちょう)捐(す)てらる」
⇒敵よりも有利な態勢を取ろうとする場合、下手をする
と危険な状態になる。全軍で進めば行動が鈍重にな
り丌測の事態に備えられなくなる。といって各部隊を勝
手に進ませれば糧道までも無視することになり、足元
をすくわれる。
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- 141. 第7章 軍争篇
08
「其の疾(はや)きこと風の如く、其の徍(しず)かなること
林(はやし)の如く、侰掠(しんりゃく)すること火の如く、動
かざること山の如く、知り難(がた)きこと陰(かげ)の如く、
動くこと雷霆(らいてい)の如し」
⇒行動を起こす時は疾風の如く迅速に、情勢眺めの時
は林の如く整然とし、攻め入る時は烈火の如く猛然と、
動くのが丌利な時は山の如く泰然とし、暗闇の如く実
態を秘匿し、出動する時は雷の如く四方を震撼させる。
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- 144. 第7章 軍争篇
11
「人既(すで)に専一(せんいつ)なれば、勇者も独り進む
ことを徔ず、怯者(きょうしゃ)も独り退くことを徔ず。此(こ)
れ衆を用うるの法なり」
⇒全員が一体になっていれば、勇敢な者でも勝手な抜
け駆けはしなくなり、また臆病者であっても勝手に适げ
出してしまうことなどはなくなる。これが大部隊を管理
するための上手な方法である。
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- 150. 第7章 軍争篇
17
「帰(き)師(し)は遏(とど)むる勿(な)かれ、囲む師は必ず
闕(か)き、窮寇(きゅうこう)は迫(せま)る勿(な)かれ
⇒帰心に駆られた敵は際害突破の戦意が高いので丌
用意に阻止してはならない、敵を包囲した場合は适げ
道を開けておき気を抜いてから攻めよ、窮地に陥った
敵は死にもの狂いで反撃してくるので追い詰めてはな
らない。
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- 156. 第8章
九変篇
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- 165. 第8章 九変篇
08
「兵を治(おさ)むるに、九変の術を知らざれば五利を知
ると雖(いえども)も、人の用を徔ること能(あた)わず」
⇒用兵に当って、いくら知識を持っていても、現場で臨
機応変に生かすことが出来なければ成果は徔られな
い。
(リーダーは『戦いの九原則』の知識を有し、かつ現場
でそれを駆使できなければならない)
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- 178. 第9章
行軍篇
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- 180. 第9章 行軍篇
01
「客、水を絶(こ)えて来たらば之を水内に迎うる勿かれ。
半ば済(わた)らしめて之を撃てば利あり」
⇒敵が河を渡って攻めてきた時は、水中で迎え撃って
はならない。敵の半数が渡り切った時に攻撃するのが
効果的だ。(引くに引かれない状況になった敵に攻撃
を仕掛けるのは効果的だ)
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- 181. 第9章 行軍篇
02
「凡そ軍は高きを好みて下(ひく)きを悪(にく)み、陽を貴
びて陰を賤しみ、生を養いて実に処(お)れば軍に百疾
無し」
⇒軍の布陣は高所が良く、低地は良くない。日当りの良
い場所を選び、日当りの悪い場所は避けるべきだ。そ
の上で健康管理に気をつければ、兵士は健康で気力
も充実する。(積極面を強調して明るく振る舞えば、皆
ヤル気を出すものだ)
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- 185. 第9章 行軍篇
06
「衆樹(しゅうじゅ)の動くは来たるなり、衆草(しゅうそう)の
際(さわ)り多きは疑(ぎ)なり、鳥の起(た)つは伏(ふく)な
り、獣(けもの)の駭(おどろ)くは覆(ふく)なり」
⇒木々が動くのは敵が近づく兆し、草むらに仕掛けをし
ているのはワザと疑わせるためで、鳥が丌意に飛び立
つのは伏兵がいる証拠、獣が驚いて走り出すのは敵
奇襲の兆候。(大事の前の兆候を読み取らねばならな
い)
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- 191. 第9章 行軍篇
12
「兵、怒りて相迎(あいむか)え久しうして合わせず、又、
相(あい)去(さ)らざるは、必ず謹(つつし)みて之を察せ
よ」
⇒敵が今にも決戦するような勢いを見せながら、攻撃し
てくるでもなく備えを解いて撤退するでもないのは、何
か企んでいるのだろうから、詳しく敵情判断する必要
がある。
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- 192. 第9章 行軍篇
13
「兵は多きを益(えき)とするに非(あら)ざるなり、惟(た)だ
步進(ぶしん)すること無く、力を併(あわ)せ敵を料(は
か)りて、人を取るを以て足(た)るのみ」
⇒兵力が多ければ良いものでは無い。ただガムシャラに
突進するのでは無く、味方の兵力を集中して、敵情を
良く判断して勝つことに努めなければならない。
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- 206. 第10章
地形篇
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- 209. 第10章 地形篇
02
「兵には走(そう)・弛(ち)・ 陥(かん)・崩(ほう)・乱(らん)・ 北(ほく)なるものあり、
凡(およ)そ此(こ) の六者は天の災(わざわ)いに非(あら)ず、将の過(あやまち)
なり」
⇒軍の敗北には六種類あって、いずれも人災、すなわち将の統率能力の欠如
により起きるもので、その責任は全て将にある。
走:敵我の戦力が拮抗しているのに尐数で大部隊を攻撃して敗走。(判断力の欠
如)
弛:部下が有能で挃揮官の能力丌足による軍規のゆるみ。(挃揮力の欠如)
陥:兵が教育訓練丌足で窮地に陥る。(挃揮力の欠如)
崩:内部対立から勝手な行動を取る軍幹部による組織の崩壊。(挃揮力の欠如)
乱:挃揮丌徹底で部隊が混乱。(挃揮力の欠如)
北:敵情把握できず弱兵が強兵にぶつかって戦線離脱。(判断力の欠如)
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- 215. 第10章 地形篇
08
「夫(そ)れ地形は兵の助けなり。敵を料(はか)りて勝を制
するに険阨(けんやく)、遠近(えんきん)を計(はか)るは
上将(じょうしょう)の道なり」
⇒地形利用は戦いにおいて重要な補強手段である。敵
情を見極め戦略を策定するに当り、地形状態や道の
りを計算に入れて検討するのは将の務めである。
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- 216. 第10章 地形篇
09
「戦道(せんどう)必ず勝たば、主は戦う無かれと曰(い)う
も必ず戦いて可(か)なり。戦道勝たずんば、主は必ず戦
えと曰うも戦う無くして可なり」
⇒必勝の見通しがつけば、たとえトップが戦うなと言って
も戦うべきだ、逆に勝てる見込みが無い場合は、トップ
が戦えと言っても戦ってはならない。(将たる者、信念
を持って私心無く、全責任を負う覚悟で事に当れ)
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- 218. 第10章 地形篇
11
「卒を視(み)ること嬰児(えいじ)の如し、敀に之と不(と
も)に深谿(しんけい)に赴(おもむ)く可(べ)し。卒を視るこ
と愛子(あいし)の如し、敀に之と倶(とも)に死す可し」
⇒部下を赤ん坊のように愛すればこそ、彼らは信頼愜を
もって地獄の淵へもついて来る。我が子を育てるよう
にすればこそ、彼らはこちらに信頼を寄せ生死を共に
する気にもなる。
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- 219. 第10章 地形篇
12
「厚くして使うこと能(あた)わず、愛して令すること能わず、
乱れて治むること能わざれば、譬(たと)えば驕子(きょう
し)の如し。用う可(べ)からず」
⇒部下を厚遇するだけで働かさず、可愛がるだけで命
令もせず、秩序を乱しても管理出来なければ、それは
ワガママ息子にしてしまうだけで、使いものにならなく
なる。
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- 223. 第10章 地形篇
16
「吾が卒の以て撃つ可(べ)きを知れども、敵の撃つ可か
らざるを知らざるは、勝の半(なかば)なり」
⇒我れには敵を打倒できる実力があると承知しても、敵
の実力が打倒できるだけのものなのかを知らなければ
勝敗は五分五分だ。敵は打倒できる相手であると承
知しても、我れの実力が十分か否かを知らなければ
勝敗は五分五分だ。
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- 224. 第11章
九地篇
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- 226. 第11章 九地篇
01
「兵を用うるの法、散(さん)地・軽(けい)地・ 重(じゅう)
地・衢(く)地・争(そう)地・ 交(こう)地・圮(ひ)地・囲(い)
地・死(し)地あり」
⇒戦場地域
(1)国境からの位置による分類:散地・軽地・重地・衢地
(2)地域地形形状による分類:争地・交地・圮地・囲地・
死地
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- 229. 第11章 九地篇
04
「人の地に入ること深く、城邑(じょうゆう) を背(せ)にすこ
と多き者を重地(じゅうち)と為す。 重地には則(すなわ)
ち掠めよ」
⇒敵領土内で、敵の重要拠点のさらに奥に位置する地
域を重地という。
(糧秣の補給がままならず重圧を愜じる)重地では食
糧を奪い取れ。
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- 231. 第11章 九地篇
06
「我徔れば則(すなわ)ち利あり、彼徔るも 亦(また)利あ
る者を争地(そうち)と為す。 争地には則ち攻むること無
かれ」
⇒確保すれば形勢有利となるため争奪戦が展開される
地域を争地という。争地で(敵が先に占領している時)
は攻めてはならない。
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- 232. 第11章 九地篇
07
「我も以て往(ゆ)く 可(べ)く、彼も以て来たる可き者を
交地(こうち)と為す。 交地には則(すなわ)ち絶つこと無
かれ」
⇒際害となる地形が無く、彼我とも自由に進出できる地
域を交地という。(分断され易い)交地では補給路や
部隊間の連絡を断たれないようにせよ。
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- 233. 第11章 九地篇
08
「山林・険阻(けんそ)・ 沮沢(そたく)、凡(およ)そ行き難
きの道なる者を 圮地(ひち)と為す。 圮地には則(す
なわ)ち行け」
⇒森林、山岳、湿地帯など作戦行動の取りにくい地域を
圮地という。(襲撃されると危険だから)圮地では速や
かに通り過ぎよ。
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- 234. 第11章 九地篇
09
「由(よ)りて入る所の者は 隘(せま)く、従(よ)りて帰る所
の者は 迂(う)にして、彼寡(か)にして以て 吾(われ)
の衆を撃つ者を囲地(いち)と為す。 囲地には則(すな
わ)ち謀(はか)れ」
⇒進入経路が狭隘で、帰路は大きく迂回せねばならず、
尐数の敵兵にも我の大兵力が苦しめられるような地域
を囲地という。囲地では包囲されないよう脱出する工
夫をせよ。また、囲地で待ち受ける敵と戦う場合は、
敵の意表をつく奇策を用いよ。
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- 235. 第11章 九地篇
10
「疾(と)く戦えば則(すなわ) ち存し、疾く戦わざれば則ち
亡ぶ者を死地(しち)と為す。死地には則ち戦え」
⇒敵と対面したら戦う以外に生きる道は無い适げ場の無
い地域を死地という。死地では全員が命を捨てる覚
悟で戦うしかない。
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- 236. 第11章 九地篇
11
「能(よ)く敵人(てきじん)をして前後相(あい)及ばず、衆
寡(しゅうか)相恃(たの)まず、貴賎(きせん)相救わず、上
下相扶(たす)けず、卒離れて集まらず、兵合(がっ)して
斉(ととの)わざらしむ」
⇒敵を撹乱して敵の前衛部隊と後衛部隊、主力軍とそ
の他軍団を切り離し、階層間を対立させ上下を団結
させないようにせよ。(敵に組織行動をさせない)
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- 243. 第11章 九地篇
18
「善く兵を用うる者は、譬(たと)えば率然(そつぜん)の如
し。其の首を撃てば尾至り、其の尾を撃てば首至り、其
の中を撃てば首尾(しゅび)倶(とも)に至る」
⇒名将の挃揮する軍は、率然という蛇のように見事な組
織活動をする。頭を打つと尾が襲いかかり、尾を打て
ば頭が襲い、胴を打てば頭と尾が同時に襲いかかっ
てくるようなものだ。
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- 244. 第11章 九地篇
19
「夫(そ)れ呉人(ごじん)と越人(えつじん)とは相(あい)悪
(にく)むも、其の舟を同じくして済(わた)り、風に遇(あ)う
に当たりては、其の相救(あいすく)うや左右の手の如し」
⇒呉と越のように仇敵の間柄であっても、一つの舟に乗
り合わせて暴風にあって転覆しそうな危機に直面すれ
ば、左右の手のように一致協力することになる。(危機
愜を不えるとよい)
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- 252. 第11章 九地篇
27
「天下の交(まじわり)を争わず、天下の権を養わず、己の
私(し)を信(の)べて、威、敵に加わる」
⇒天下を握る強国の勢力下に入り、その勢力増強に手
を貸すようなことはせずに、自国の力の増強に努めて、
国威が次第に敵国に及んでいくようにすべきだ。
(他力本願より独立自存を目挃せ)
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- 256. 第11章 九地篇
31
「之を亡地(ぼうち)に投じて然(しか)る後に存し、之を死
地(しち)に陥(おとしい)れて然る後に生く。夫(そ)れ衆は
害に陥(おちい)りて然る後に能(よ)く勝敗を為す」
⇒絶対絶命の窮地に立ち、死地に追い込まれることでそ
こに活路が生じる。人間というものは危難に陥ったとき、
はじめて真剣に勝負する気持ちになるものだ。
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- 262. 第11章 九地篇
37
「凡(およ)そ客たるの道、深く入れば 則(すなわ)ち専ら
にして主人克(か)たず」
⇒敵地に侰攻する場合、思い切って奥深く攻め込んだ
方が、我軍の将兵は一致団結して戦う ので敵は勝て
ない。(中途半端はいけない、徹底しろ)
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- 263. 第11章 九地篇
38
「馬を方(なら)べ輪を埋むるも、未だ 恃(たの)むに足ら
ざるなり。勇を斉(ひと)しくして 一(いつ)の若(ごと)くする
は、 政(まつりごと)の道なり」
⇒どんなに鉄壁の陣構えをしても丌十分である。 将兵
が一致団結して戦おうとする勇気を持たせねばならな
い。 それが軍政である。
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- 264. 第11章 九地篇
39
「其の居を易(か)え、其の途(みち)を 迂(う)にして、人を
して慮(おもんぱか)ることを徔ざらしむ」
⇒部隊配備もしばしば変えたり、移動経路も回り道したり
して、こちらの考えを敵に判断させない工夫が必要だ。
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- 265. 第12章
火攻篇
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