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平成 18 幎床内閣府経枈瀟䌚総合研究所 むノベヌション囜際共同研究プロゞェクト
瀟䌚むノベヌション研究䌚「Social Enterprise / Social Entrepreneurship 関連文献レビュヌ集」より




“Measuring Economic and Social Impacts of Membership in a Community
Development Financial Institution”
コミュニティ開発金融機関における経枈的・瀟䌚的むンパクトの評䟡
By Jane Kolodinsky, Caryl Stewart and Antonia Bullard
Journal of Family and Economic Issues, Vol.27, No.1, Spring 2006, Springer Science+Business
Media, Inc.
芁玄
                                東京工業倧孊ノンプロフィットマネゞメントコヌス 茂朚 勇


  本研究は、“地域開発金融機関CDFI: community development financial institutionは、䌚
員に蚈枬可胜な氎準の瀟䌚的䟿益をもたらしおいるのか”ずいう問いに、量的および質的
評䟡を甚いお答えるものである。結論的には CDFI は、参加者の人生の転機ずしお倧きく䜜
甚しおいお、必芁ずする䜏宅が買えるようになったり、財政的な将来蚭蚈を立おられるよ
うになったり、぀いにはその個人ないし䞖垯が財政面を超えお、ある皮の゚ンパワメント
を達成するこずが分かった。
  たた、総じお、CDFI のもたらすむンパクトは、「䜎所埗か぀䜎孊歎な䞖垯」「子育お䞖
                                       、
垯」「より倚くのサヌビスを利甚する䞖垯」
  、                 、そしお「財産・資産圢成サヌビスが最重芁ず
回答する䞖垯」においお、倧きいこずが分かった。


  キヌワヌド銀行業               地域開発金融機関             ファむナンス        䜎所埗      ゜ヌシャル・キャピ
タル


◆はじめに
  郜䌚であれ田舎であれ、孀立しおいお、䞎信が欠乏しおいる人がいる。通垞の金融機関
はサゞを投げ、町金の連䞭は圌らのなけなしの資産を剥ぎ取り、食い物にする。蓄積され
た財産や教育がなく、たた最沢で信頌できる金融サヌビスを利甚できないため、圌ら個人、
䞖垯、そしお地域コミュニティたで、抜け出せない貧困、借金、堕萜、そしお絶望に盎面
するこずになる。
  この状況は、米囜内でも諞倖囜でも、およそどこでも芋られる光景である。米囜では、
金融業界の倧倉革が’70’80 幎代に行われ、これにより䜎所埗者局は貯蓄、小切手、モヌゲ
ヌゞロヌンをはじめずする金融サヌビスから閉め出されおいったBarr 2004, Campden
1998。
  1970 幎代に、シカゎの Shore 銀行やノヌスカロラむナのセルフヘルプなどは、新しいタ
むプの貧困解消戊略ずなる地域開発金融䌚瀟CDFIの先駆けずなった。CDFI はそれたで
非営利セクタヌで採られおいた手法ではなく、むしろ金融業界のそれに近いスタむルを採
った。



                                                                                       378
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瀟䌚むノベヌション研究䌚「Social Enterprise / Social Entrepreneurship 関連文献レビュヌ集」より




  CDFI は民間セクタヌに属し、コミュニティ開発を第 1 ミッションずする金融専門のむン
タヌミディアリヌである。CDFI はマヌケット原理に基づきながら、地域密着の経営を行う
組織であり、掻動の成果指暙ずしお金融業瞟ず地域開発成果の 2 ぀の指暙を甚いおいる。
  䌝統的な NPO が助成金を受けお事業プログラムを実斜しおいたのに察し、CDFI は瀟䌚
的目暙達成のために、公的資金、慈善的資金、民間資金ず、融資、投資その他の金融業界
が提䟛する各皮のサヌビスずを組み合わせお提䟛しおいる。
  CDFI は、金融業界で䞻流の仮説―䜎所埗局は信甚リスクが乏しいずいう経枈合理的な理
由があるために䞎信が欠乏しおいる―に察しお異を唱えた。圌らは、財政的に自埋持続的
な手法でサヌビス提䟛するこずが可胜である旚を実蚌しようずしはじめたShore Bank
Corporation 2002。
  1994 幎、Riegle Community Development and Regulatory Improvement Act が超党掟によっお
成立、CDFI ファンドが米囜財務省に蚭眮された。同法により、銀行やクレゞット協䌚、リ
ボルビング・ロヌン・ファンド、ベンチャヌキャピタル・ファンドを含む CDFI の蚭立に匟
みを぀け、芏暡を拡倧させようずした。それ以降、CDFI ファンドは 6 億ドル超700 億円
超を投じ、米囜党土の 675 の CDFI の蚭立を支えた米囜財務省 2003。
  CDFI は比范的、順調に財政面の業瞟をあげおいった。芏定に基づく預蚗者ずしお、地域
開発銀行ず地域開発クレゞット協䌚は、本業機関ず同様の監督を受けるこずずされた。そ
の他の CDFI は州法適甚ないし監督を受けるが、公的機関からの預金を受蚗するこずが認め
られた指定預蚗者の受けるような監督レベルに比べれば、それはかなり䜎い氎準のもので
ある。これらの CDFI には、䟋えば地域開発ベンチャヌキャピタルないしロヌンファンドな
どがある。厳しい芏制の代わりに、ビゞネスずしおは、CDFI は投資家や基金創蚭者たちに、
財務効率性を枬るたくさんの指暙を甚いお、比范的、統䞀的な報告曞を䜜成するようにな
った。しかしながら、瀟䌚的なむンパクトを枬るこずに぀いおは、より倧きな課題が浮き
圫りずなった。CDFI は察象ずしおいる消費者や地域コミュニティの生掻ぶりに改善をもた
らしたのか        本研究は、ある CDFI から埗られた調査デヌタを甚いお、その質問CDFI
は䌚員に察しお枬定可胜な瀟䌚的䟿益をもたらしおいるかに答えるこずずしたい。


◆背景
  本研究では Vermont 州の事䟋を取りあげる。か぀お、同州は山がちな地圢、厳しい気候、
痩せた土地、倩然資源の少なさ、たた地理的にも孀立しおいるこずから、米囜党土で最も
貧しい州のひず぀ず蚀われたこずもあった。ここ 30 幎ほどで、連邊高速道路が走り、IBM
䞻力工堎ができ、芳光産業が立ち䞊がり、郜垂緑化や囜土保党などが行われたため、比范
的、豊かな州ぞず転向し、平均家蚈収入は党囜平均の 95%氎準ずなっお、高い生掻氎準ず
しお有名になった。
  しかし、これらの倉化はすべおの Vermont 州民に察しお繁栄をもたらしたわけではない。
Madeline Kunin 前州知事は Vermont 州民を 2 皮類に芏定する。䞀方は、教育を受けおおり、



                                                                          379
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瀟䌚むノベヌション研究䌚「Social Enterprise / Social Entrepreneurship 関連文献レビュヌ集」より




所埗氎準も高く、おおむね倖郚転入組、そしお経枈成長から恩恵を受けるタむプの人間。
他方は、土地生たれで蟲村郚に䜏んでおり、生掻に必芁な賃金を皌げおいない人間。埌者
の Vermont 州民は 90,000 䞖垯の䜎所埗局を含んでおりUS Census Bureau2000、圌らは䜎
賃金・長時間劎働ないし季節劎働をし぀぀、トレヌラヌハりスや暙準以䞋の叀い䜏宅に暮
らす。すでに働き盛りを過ぎ、子どもたちに䞊䜍の教育を受けさせられないでいる。
 1968 幎、Vermont 州唯䞀の郜垂圏で、䜎所埗者が倚く居䜏する geater Burlington 地域にお
いお、奉仕ベヌスで瀟䌚問題解決に取り組む「Burlington キリスト教奉仕団BEAM」が蚭
立される。20 幎間の掻動の結果、BEAM は、数々の瀟䌚問題は「最沢な資金ず金融サヌビ
ス」の利甚が出来ないこずに根源があるず分析、1989 幎、瀟䌚ミッションに基づく金融機
関ずしお Vermont Development Credit UnionVDCUを蚭立する。
 VDCU は、
       「䜎所埗者や恵たれない人々に察しお、最沢な資金ず金融サヌビスの提䟛する
こずにより、資産の圢成ず草の根レベルのコミュニティ匷化を狙う」ずするミッションを
掲げるナニヌクな金融機関である。
○VDCU の抂芁
 州政府公認、連邊保蚌 CU、米囜 215 の地域開発 CU、財務省承認の 679CDFI の 1 ぀
 2001 幎 VDCU 䌚員 6,000 名     →   2004 幎 VDCU 䌚員 10,744 名205 地区より
 総資産 2,150 䞇ドル、融資実瞟 10,000 件8,800 䞇ドル、返枈完玍率 99.5%


◆先行研究
 ・埓来の CDFI のむンパクトを扱った研究は、経枈的評䟡に限った議論をしおいる
 ・CDFI の家蚈に察する瀟䌚的むンパクトに焊点を圓おた研究を行う必芁がある。


◆抂念化Conceptualization
 経枈孊の範囲で容易に枬定できるような意味合いを超えたむンパクト成果に぀いお、
これたで䜓系的に研究されおこなかったのには、いく぀か理由がある。
 ①そもそも枬定しにくい
   「コミュニティの感芚がアップした」っおどうやっお定量化するのか
 ②定矩があいたいである
   瀟䌚的なむンパクトを個人レベルでどう衚珟する                       個人の生掻の質の向䞊ずは
 ③関連性が芋えづらい
   数ある芁玠の䞭で 1 ぀のプログラムが圱響を䞎えるのは極めお郚分的だ


 こんな耇雑で䞍明瞭なテヌマに、どう調査フレヌムを䜜ったらよいのか
 本研究では『定量的手法定性的手法』をミックスした方法をずるのが良いだろう。
 埓来の定量的手法だけでは、モチベヌション、耇雑な関係性、投入→結果の因果関係
が䞍明



                                                                        380
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  Organization Theory                      Drucker基準がないずきの基準はどうすれば良いか?
  Family Life Management     →   MIX   ←   Schorr芁は公的目暙が達成されたかどうかだ
  Evaluation Theory


                           むンパクト枬定の抂念化



 本皿ではサヌビス業の流れを“Inputs-Throughputs-Outputs-Impact”に分類図 1 参照
 さらにむンパクトのレベルを 3 ぀に分類した。すなわち、
   1First Level        クレゞットナニオンのメンバヌ察象
   2Second Level  もう少し範囲を広くずったもの
   3Third Level        もう少し範囲を広くずったもの


◆方法論Methodology
デヌタ収集
 ○アンケヌト調査2000 幎はじめ⇒定量的手法に盞圓プレ調査
 デヌタ出所ある CDFI で実斜したアンケヌト調査暙本数 3,000党登録数の 50%
                盞圓
 質問内容VDCU のメンバヌになったこずで、生掻が良くなりたしたか
 回答結果回収率は 8だったが、その 89は YES ず回答
 分析結果VDCU のメンバヌになるこずは生掻をポゞティブに倉える可胜性があるこ
   ずが分かった
 ○Focus Group Interview 調査2000 幎 6 月⇒定性的手法に盞圓プレ調査
   FGI メリット統蚈的にデヌタ凊理できない等の䞍利な点はあるが、質的調査を厳栌に
                  実斜可胜
   FGI デメリット参加者抜出が困難 1人の流動性が高い2䜎所埗局の数は
                  定矩により異なる
 デヌタ出所FGI 参加者 10 名VDCU での勧誘電話勧誘Newsletter 告知
                  参加の条件&恩兞2 時間拘束ピザ&ドリンク付き$20 預金が謝瀌
   →NVIVO ずいう質的調査パッケヌゞを䜿っお解析 ⇒ むンパクトには 3 ぀のレベル
 Impact の 3 ぀のレベルプレ調査の結果




                                                                        381
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                                                (1)Home Dollars Programで自
     (1)借金を返した            (1)財務状況が改善しおいる
                                                己成長した
     (2)高利のクレゞットカヌドを持     (2)持ち家も無理ではないず思
  1st たない               2nd うようになった          3rd (2)自分に自信が぀いた
  レ                      レ                    レ
      (3)消費節玄できる                                 (3)将来的な目暙が広がった
  ベ                      ベ                   ベ
  ル (4)䞎信床が改善した          ル                   ル

     (5)預金できおいる


 ○本調査2001 幎実斜
 調査察象 ある CDFI からの無䜜為抜出サンプル 244 95/6 有意氎準盞圓 for 暙本数 6,000
                             
 調査方法電話調査、質問玙調査、WEB 調査
 質問内容
   1メンバヌず CU ずの関係に関する調査→結果衚 1、衚 2 参照
     Aなぜ CU に参加したのか4 倉数
     B最重芁サヌビスは䜕か5 倉数
     C銀行からサヌビスを断られたか
     D人口統蚈孊的質問項目
   ゞェンダヌ、教育3 倉数、家族構成4 倉数、幎収3 倉数、幎霢3 倉数
   2VDCU に入っお自分にむンパクトが発生しおいるか→衚 3 参照
     *第 1 レベルでむンパクトのあった人77%                 ※巊蚘より VDCU の䌚員になる
     *第 2 レベルでむンパクトのあった人72%                  こずは、生掻にむンパクトを
     *第 3 レベルでむンパクトのあった人67%                  䞎えるものず思料される


統蚈孊的分析
 クレゞットナニオンの䌚員になるこずによっお埗られるむンパクトの期埅倀は享受す
   る䟿益の氎準ずは独立しお決定されるず考える。䟋えば、個人の QOL は、CU 䌚員に
   長い間なり続けるこずで改善するが、個人から CU ぞの貢献はないずいう具合である。
 このこずを定匏化するず以䞋になる。なお、y*は個人が受け取るむンパクトレベルで
   ある。
     Proby*>0=Ίγ’z
     Proby*,=0=1Ίγ’z
   このモデルは 2 本の方皋匏によっお構造化できるこずになる。
   1ベネフィットを埗おいるかどうか                  を衚す方皋匏
   2どのレベルのベネフィットを埗おいるか                     を衚す方皋匏


◆分析結果Results
○調査によっお、第 1第 3 むンパクトに適甚されるいく぀かの結果がもたらされた。
 第 1 に、
       「CU でのサヌビス利甚数」が増えるこずにより、第 1、第 2、第 3 すべおのレ



                                                                            382
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   ベルにおけるむンパクトに関わる期埅倀が高くなる。
 第 2 に、
       「CU でのサヌビス利甚数」が増えるこずにより、第 1、第 2、第 3 すべおのレ
   ベルにおけるむンパクトの知芚の床合いが䞊がるこず。぀たり、CU ずの関係性を深め
   るこずで、むンパクトがより倧きくなる。
 第 3 に、「䌚員の属性」がむンパクトを䞎える。
 第 4 に、「䌚員の目暙」ず「䌚員にずっおの最重芁サヌビス」は、むンパクトに圱響を
   䞎える
○枬定されたモデルは非線圢non-linearのため、各倉数の係数はそのたたむンパクトを
 説明するこずはできない。衚 4 は、独立倉数それぞれの限界効果を算出したもので、こ
 れらは暙本の条件付き平均倀をもずに蚈算されおいるから、トヌタルむンパクトに察し
 お圱響を䞎える独立倉数ずしお説明される。
○むンパクトぞの貢献
 「サヌビス利甚数の増加」の貢献床が高いが、これのみならず、「CU ぞの参加理由」や
 「最重芁サヌビスず思う内容」も貢献床が高い
○たた、人口統蚈孊的な特城に぀いおも、むンパクトぞの圱響はある䜆し子どもの数を
 陀く
 第 1 レベル[probit]女男、䜎所埗高所埗、25 歳以䞋26-64 歳の局
               [Degree]䞭卒高卒以䞊、2 人倧人䞖垯2 人以䞊倧人䞖垯
 第 2 レベル[probit]幎収 35,000$未満幎収 35,000 以䞊、2 人以䞊倧人䞖垯独身䞖垯
               [Degree]高卒以䞋倧卒以䞊、子どもの数の増加↑、65 歳以䞊26-64 æ­³
               の局
 第 3 レベル[probit]高卒倧卒以䞊、子どもの数が増加するごずに↑
               [Degree]子どもの数の増加↑、高卒以䞊倧卒以䞊、䜎所埗者局高所埗
               者局、25 歳未満65 歳以䞊26-64 歳の局


◆ディスカッションたずめDiscussion
○本研究の目的
 CU 䌚員が、䌚員になるこずで生掻が倉わるのか吊か、たたどのように倉わるものか、3
 ぀のレベルで枬るこずにあった。
○本研究の結果
1サヌビスの利甚数を増やすほど、期埅倀も埗られる䟿益のレベルも高くなるこず
2サヌビス利甚の組合せずしお、債務敎理やロヌン利甚などの信甚関連サヌビスに重き
   を眮くひずは、第 2、第 3 レベルのむンパクトが最も倧きい
○本研究の結果内蚳
 第 1 レベル・むンパクト
   お金の管理ず貯蓄ずいった銀行サヌビスずの関連した䟿益を想定



                                                                        383
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    →䌚員になるこずは、䜎孊歎の単身䞖垯で経枈的に恵たれおいない人々に察しお、財
      政的に独立するための初めの䞀歩を提䟛しおいる
 第 2 レベル・むンパクト
   収入、雇甚、䜏宅ずいった経枈的機䌚に関連した䟿益を想定
   →䌚員になるこずは、債務を枛らし、資産を増やすずいった経枈機䌚の拡倧


 第 3 レベル・むンパクト
   広矩の䟿益ずしお QOL 向䞊や自信の獲埗を想定
   →䜎孊歎局、幎寄り䞖垯、モヌゲヌゞロヌン利甚者に匷い盞関
○結論
 䌚員になるこずを通じお、「資産ずなる䜏宅を獲埗するこず」、そしお「各皮のサヌビ
   ス利甚」は䌚員の生掻を改善する。
 本研究で取り䞊げた CU の事䟋は、埓来の金融システムからあぶれおいる恵たれない
   人々に察しお、サヌビス提䟛を継続するこずの意味を瀺しおいる。
●本研究の限界ず今埌の課題
 1 ぀の団䜓しか扱っおいないため、CDFI の組織䞊の特性がどのように倉数に効いおく
   るか、分からない耇数団䜓から情報を取るべきである。
 䌝統的に恵たれない人々の「銀行サヌビスに関する満たされない需芁の代替」に過ぎ
   ないのか或いは「CDFI の運営のどこかが、䌚員のポゞティブなむンパクトに寄䞎」し
   おいるのか、明らかにすべきであろう。
 本研究で扱った指暙は、すべお自己申告自己評䟡なので、将来的には䌚員の貯蓄
   や債務が長期間に枡っお、どのように倉化したか怜蚌するこずが出来るかもしれない。
 ただし、CU にずっお、限られた資源のなかで「䜏宅䟡倀」「雇甚状況倉化」「収入歎
                              、       、
   幎倉化」「近所ずの亀わり」等に぀いお、デヌタ収集するこずは、たず無理な話であ
       、
   る。


                                                                        以䞊




                                                                        384

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2006-23

  • 1. 平成 18 幎床内閣府経枈瀟䌚総合研究所 むノベヌション囜際共同研究プロゞェクト 瀟䌚むノベヌション研究䌚「Social Enterprise / Social Entrepreneurship 関連文献レビュヌ集」より “Measuring Economic and Social Impacts of Membership in a Community Development Financial Institution” コミュニティ開発金融機関における経枈的・瀟䌚的むンパクトの評䟡 By Jane Kolodinsky, Caryl Stewart and Antonia Bullard Journal of Family and Economic Issues, Vol.27, No.1, Spring 2006, Springer Science+Business Media, Inc. 芁玄 東京工業倧孊ノンプロフィットマネゞメントコヌス 茂朚 勇 本研究は、“地域開発金融機関CDFI: community development financial institutionは、䌚 員に蚈枬可胜な氎準の瀟䌚的䟿益をもたらしおいるのか”ずいう問いに、量的および質的 評䟡を甚いお答えるものである。結論的には CDFI は、参加者の人生の転機ずしお倧きく䜜 甚しおいお、必芁ずする䜏宅が買えるようになったり、財政的な将来蚭蚈を立おられるよ うになったり、぀いにはその個人ないし䞖垯が財政面を超えお、ある皮の゚ンパワメント を達成するこずが分かった。 たた、総じお、CDFI のもたらすむンパクトは、「䜎所埗か぀䜎孊歎な䞖垯」「子育お䞖 、 垯」「より倚くのサヌビスを利甚する䞖垯」 、 、そしお「財産・資産圢成サヌビスが最重芁ず 回答する䞖垯」においお、倧きいこずが分かった。 キヌワヌド銀行業 地域開発金融機関 ファむナンス 䜎所埗 ゜ヌシャル・キャピ タル ◆はじめに 郜䌚であれ田舎であれ、孀立しおいお、䞎信が欠乏しおいる人がいる。通垞の金融機関 はサゞを投げ、町金の連䞭は圌らのなけなしの資産を剥ぎ取り、食い物にする。蓄積され た財産や教育がなく、たた最沢で信頌できる金融サヌビスを利甚できないため、圌ら個人、 䞖垯、そしお地域コミュニティたで、抜け出せない貧困、借金、堕萜、そしお絶望に盎面 するこずになる。 この状況は、米囜内でも諞倖囜でも、およそどこでも芋られる光景である。米囜では、 金融業界の倧倉革が’70’80 幎代に行われ、これにより䜎所埗者局は貯蓄、小切手、モヌゲ ヌゞロヌンをはじめずする金融サヌビスから閉め出されおいったBarr 2004, Campden 1998。 1970 幎代に、シカゎの Shore 銀行やノヌスカロラむナのセルフヘルプなどは、新しいタ むプの貧困解消戊略ずなる地域開発金融䌚瀟CDFIの先駆けずなった。CDFI はそれたで 非営利セクタヌで採られおいた手法ではなく、むしろ金融業界のそれに近いスタむルを採 った。 378
  • 2. 平成 18 幎床内閣府経枈瀟䌚総合研究所 むノベヌション囜際共同研究プロゞェクト 瀟䌚むノベヌション研究䌚「Social Enterprise / Social Entrepreneurship 関連文献レビュヌ集」より CDFI は民間セクタヌに属し、コミュニティ開発を第 1 ミッションずする金融専門のむン タヌミディアリヌである。CDFI はマヌケット原理に基づきながら、地域密着の経営を行う 組織であり、掻動の成果指暙ずしお金融業瞟ず地域開発成果の 2 ぀の指暙を甚いおいる。 䌝統的な NPO が助成金を受けお事業プログラムを実斜しおいたのに察し、CDFI は瀟䌚 的目暙達成のために、公的資金、慈善的資金、民間資金ず、融資、投資その他の金融業界 が提䟛する各皮のサヌビスずを組み合わせお提䟛しおいる。 CDFI は、金融業界で䞻流の仮説―䜎所埗局は信甚リスクが乏しいずいう経枈合理的な理 由があるために䞎信が欠乏しおいる―に察しお異を唱えた。圌らは、財政的に自埋持続的 な手法でサヌビス提䟛するこずが可胜である旚を実蚌しようずしはじめたShore Bank Corporation 2002。 1994 幎、Riegle Community Development and Regulatory Improvement Act が超党掟によっお 成立、CDFI ファンドが米囜財務省に蚭眮された。同法により、銀行やクレゞット協䌚、リ ボルビング・ロヌン・ファンド、ベンチャヌキャピタル・ファンドを含む CDFI の蚭立に匟 みを぀け、芏暡を拡倧させようずした。それ以降、CDFI ファンドは 6 億ドル超700 億円 超を投じ、米囜党土の 675 の CDFI の蚭立を支えた米囜財務省 2003。 CDFI は比范的、順調に財政面の業瞟をあげおいった。芏定に基づく預蚗者ずしお、地域 開発銀行ず地域開発クレゞット協䌚は、本業機関ず同様の監督を受けるこずずされた。そ の他の CDFI は州法適甚ないし監督を受けるが、公的機関からの預金を受蚗するこずが認め られた指定預蚗者の受けるような監督レベルに比べれば、それはかなり䜎い氎準のもので ある。これらの CDFI には、䟋えば地域開発ベンチャヌキャピタルないしロヌンファンドな どがある。厳しい芏制の代わりに、ビゞネスずしおは、CDFI は投資家や基金創蚭者たちに、 財務効率性を枬るたくさんの指暙を甚いお、比范的、統䞀的な報告曞を䜜成するようにな った。しかしながら、瀟䌚的なむンパクトを枬るこずに぀いおは、より倧きな課題が浮き 圫りずなった。CDFI は察象ずしおいる消費者や地域コミュニティの生掻ぶりに改善をもた らしたのか 本研究は、ある CDFI から埗られた調査デヌタを甚いお、その質問CDFI は䌚員に察しお枬定可胜な瀟䌚的䟿益をもたらしおいるかに答えるこずずしたい。 ◆背景 本研究では Vermont 州の事䟋を取りあげる。か぀お、同州は山がちな地圢、厳しい気候、 痩せた土地、倩然資源の少なさ、たた地理的にも孀立しおいるこずから、米囜党土で最も 貧しい州のひず぀ず蚀われたこずもあった。ここ 30 幎ほどで、連邊高速道路が走り、IBM 䞻力工堎ができ、芳光産業が立ち䞊がり、郜垂緑化や囜土保党などが行われたため、比范 的、豊かな州ぞず転向し、平均家蚈収入は党囜平均の 95%氎準ずなっお、高い生掻氎準ず しお有名になった。 しかし、これらの倉化はすべおの Vermont 州民に察しお繁栄をもたらしたわけではない。 Madeline Kunin 前州知事は Vermont 州民を 2 皮類に芏定する。䞀方は、教育を受けおおり、 379
  • 3. 平成 18 幎床内閣府経枈瀟䌚総合研究所 むノベヌション囜際共同研究プロゞェクト 瀟䌚むノベヌション研究䌚「Social Enterprise / Social Entrepreneurship 関連文献レビュヌ集」より 所埗氎準も高く、おおむね倖郚転入組、そしお経枈成長から恩恵を受けるタむプの人間。 他方は、土地生たれで蟲村郚に䜏んでおり、生掻に必芁な賃金を皌げおいない人間。埌者 の Vermont 州民は 90,000 䞖垯の䜎所埗局を含んでおりUS Census Bureau2000、圌らは䜎 賃金・長時間劎働ないし季節劎働をし぀぀、トレヌラヌハりスや暙準以䞋の叀い䜏宅に暮 らす。すでに働き盛りを過ぎ、子どもたちに䞊䜍の教育を受けさせられないでいる。 1968 幎、Vermont 州唯䞀の郜垂圏で、䜎所埗者が倚く居䜏する geater Burlington 地域にお いお、奉仕ベヌスで瀟䌚問題解決に取り組む「Burlington キリスト教奉仕団BEAM」が蚭 立される。20 幎間の掻動の結果、BEAM は、数々の瀟䌚問題は「最沢な資金ず金融サヌビ ス」の利甚が出来ないこずに根源があるず分析、1989 幎、瀟䌚ミッションに基づく金融機 関ずしお Vermont Development Credit UnionVDCUを蚭立する。 VDCU は、 「䜎所埗者や恵たれない人々に察しお、最沢な資金ず金融サヌビスの提䟛する こずにより、資産の圢成ず草の根レベルのコミュニティ匷化を狙う」ずするミッションを 掲げるナニヌクな金融機関である。 ○VDCU の抂芁 州政府公認、連邊保蚌 CU、米囜 215 の地域開発 CU、財務省承認の 679CDFI の 1 ぀ 2001 幎 VDCU 䌚員 6,000 名 → 2004 幎 VDCU 䌚員 10,744 名205 地区より 総資産 2,150 䞇ドル、融資実瞟 10,000 件8,800 䞇ドル、返枈完玍率 99.5% ◆先行研究 ・埓来の CDFI のむンパクトを扱った研究は、経枈的評䟡に限った議論をしおいる ・CDFI の家蚈に察する瀟䌚的むンパクトに焊点を圓おた研究を行う必芁がある。 ◆抂念化Conceptualization 経枈孊の範囲で容易に枬定できるような意味合いを超えたむンパクト成果に぀いお、 これたで䜓系的に研究されおこなかったのには、いく぀か理由がある。 ①そもそも枬定しにくい 「コミュニティの感芚がアップした」っおどうやっお定量化するのか ②定矩があいたいである 瀟䌚的なむンパクトを個人レベルでどう衚珟する 個人の生掻の質の向䞊ずは ③関連性が芋えづらい 数ある芁玠の䞭で 1 ぀のプログラムが圱響を䞎えるのは極めお郚分的だ こんな耇雑で䞍明瞭なテヌマに、どう調査フレヌムを䜜ったらよいのか 本研究では『定量的手法定性的手法』をミックスした方法をずるのが良いだろう。 埓来の定量的手法だけでは、モチベヌション、耇雑な関係性、投入→結果の因果関係 が䞍明 380
  • 4. 平成 18 幎床内閣府経枈瀟䌚総合研究所 むノベヌション囜際共同研究プロゞェクト 瀟䌚むノベヌション研究䌚「Social Enterprise / Social Entrepreneurship 関連文献レビュヌ集」より Organization Theory Drucker基準がないずきの基準はどうすれば良いか? Family Life Management → MIX ← Schorr芁は公的目暙が達成されたかどうかだ Evaluation Theory むンパクト枬定の抂念化 本皿ではサヌビス業の流れを“Inputs-Throughputs-Outputs-Impact”に分類図 1 参照 さらにむンパクトのレベルを 3 ぀に分類した。すなわち、 1First Level  クレゞットナニオンのメンバヌ察象 2Second Level  もう少し範囲を広くずったもの 3Third Level  もう少し範囲を広くずったもの ◆方法論Methodology デヌタ収集 ○アンケヌト調査2000 幎はじめ⇒定量的手法に盞圓プレ調査 デヌタ出所ある CDFI で実斜したアンケヌト調査暙本数 3,000党登録数の 50% 盞圓 質問内容VDCU のメンバヌになったこずで、生掻が良くなりたしたか 回答結果回収率は 8だったが、その 89は YES ず回答 分析結果VDCU のメンバヌになるこずは生掻をポゞティブに倉える可胜性があるこ ずが分かった ○Focus Group Interview 調査2000 幎 6 月⇒定性的手法に盞圓プレ調査 FGI メリット統蚈的にデヌタ凊理できない等の䞍利な点はあるが、質的調査を厳栌に 実斜可胜 FGI デメリット参加者抜出が困難 1人の流動性が高い2䜎所埗局の数は 定矩により異なる デヌタ出所FGI 参加者 10 名VDCU での勧誘電話勧誘Newsletter 告知 参加の条件&恩兞2 時間拘束ピザ&ドリンク付き$20 預金が謝瀌 →NVIVO ずいう質的調査パッケヌゞを䜿っお解析 ⇒ むンパクトには 3 ぀のレベル Impact の 3 ぀のレベルプレ調査の結果 381
  • 5. 平成 18 幎床内閣府経枈瀟䌚総合研究所 むノベヌション囜際共同研究プロゞェクト 瀟䌚むノベヌション研究䌚「Social Enterprise / Social Entrepreneurship 関連文献レビュヌ集」より (1)Home Dollars Programで自 (1)借金を返した (1)財務状況が改善しおいる 己成長した (2)高利のクレゞットカヌドを持 (2)持ち家も無理ではないず思 1st たない 2nd うようになった 3rd (2)自分に自信が぀いた レ レ レ (3)消費節玄できる (3)将来的な目暙が広がった ベ ベ ベ ル (4)䞎信床が改善した ル ル (5)預金できおいる ○本調査2001 幎実斜 調査察象 ある CDFI からの無䜜為抜出サンプル 244 95/6 有意氎準盞圓 for 暙本数 6,000   調査方法電話調査、質問玙調査、WEB 調査 質問内容 1メンバヌず CU ずの関係に関する調査→結果衚 1、衚 2 参照 Aなぜ CU に参加したのか4 倉数 B最重芁サヌビスは䜕か5 倉数 C銀行からサヌビスを断られたか D人口統蚈孊的質問項目 ゞェンダヌ、教育3 倉数、家族構成4 倉数、幎収3 倉数、幎霢3 倉数 2VDCU に入っお自分にむンパクトが発生しおいるか→衚 3 参照 *第 1 レベルでむンパクトのあった人77% ※巊蚘より VDCU の䌚員になる *第 2 レベルでむンパクトのあった人72% こずは、生掻にむンパクトを *第 3 レベルでむンパクトのあった人67% 䞎えるものず思料される 統蚈孊的分析 クレゞットナニオンの䌚員になるこずによっお埗られるむンパクトの期埅倀は享受す る䟿益の氎準ずは独立しお決定されるず考える。䟋えば、個人の QOL は、CU 䌚員に 長い間なり続けるこずで改善するが、個人から CU ぞの貢献はないずいう具合である。 このこずを定匏化するず以䞋になる。なお、y*は個人が受け取るむンパクトレベルで ある。 Proby*>0=Ίγ’z Proby*,=0=1Ίγ’z このモデルは 2 本の方皋匏によっお構造化できるこずになる。 1ベネフィットを埗おいるかどうか を衚す方皋匏 2どのレベルのベネフィットを埗おいるか を衚す方皋匏 ◆分析結果Results ○調査によっお、第 1第 3 むンパクトに適甚されるいく぀かの結果がもたらされた。 第 1 に、 「CU でのサヌビス利甚数」が増えるこずにより、第 1、第 2、第 3 すべおのレ 382
  • 6. 平成 18 幎床内閣府経枈瀟䌚総合研究所 むノベヌション囜際共同研究プロゞェクト 瀟䌚むノベヌション研究䌚「Social Enterprise / Social Entrepreneurship 関連文献レビュヌ集」より ベルにおけるむンパクトに関わる期埅倀が高くなる。 第 2 に、 「CU でのサヌビス利甚数」が増えるこずにより、第 1、第 2、第 3 すべおのレ ベルにおけるむンパクトの知芚の床合いが䞊がるこず。぀たり、CU ずの関係性を深め るこずで、むンパクトがより倧きくなる。 第 3 に、「䌚員の属性」がむンパクトを䞎える。 第 4 に、「䌚員の目暙」ず「䌚員にずっおの最重芁サヌビス」は、むンパクトに圱響を 䞎える ○枬定されたモデルは非線圢non-linearのため、各倉数の係数はそのたたむンパクトを 説明するこずはできない。衚 4 は、独立倉数それぞれの限界効果を算出したもので、こ れらは暙本の条件付き平均倀をもずに蚈算されおいるから、トヌタルむンパクトに察し お圱響を䞎える独立倉数ずしお説明される。 ○むンパクトぞの貢献 「サヌビス利甚数の増加」の貢献床が高いが、これのみならず、「CU ぞの参加理由」や 「最重芁サヌビスず思う内容」も貢献床が高い ○たた、人口統蚈孊的な特城に぀いおも、むンパクトぞの圱響はある䜆し子どもの数を 陀く 第 1 レベル[probit]女男、䜎所埗高所埗、25 歳以䞋26-64 歳の局 [Degree]䞭卒高卒以䞊、2 人倧人䞖垯2 人以䞊倧人䞖垯 第 2 レベル[probit]幎収 35,000$未満幎収 35,000 以䞊、2 人以䞊倧人䞖垯独身䞖垯 [Degree]高卒以䞋倧卒以䞊、子どもの数の増加↑、65 歳以䞊26-64 æ­³ の局 第 3 レベル[probit]高卒倧卒以䞊、子どもの数が増加するごずに↑ [Degree]子どもの数の増加↑、高卒以䞊倧卒以䞊、䜎所埗者局高所埗 者局、25 歳未満65 歳以䞊26-64 歳の局 ◆ディスカッションたずめDiscussion ○本研究の目的 CU 䌚員が、䌚員になるこずで生掻が倉わるのか吊か、たたどのように倉わるものか、3 ぀のレベルで枬るこずにあった。 ○本研究の結果 1サヌビスの利甚数を増やすほど、期埅倀も埗られる䟿益のレベルも高くなるこず 2サヌビス利甚の組合せずしお、債務敎理やロヌン利甚などの信甚関連サヌビスに重き を眮くひずは、第 2、第 3 レベルのむンパクトが最も倧きい ○本研究の結果内蚳 第 1 レベル・むンパクト お金の管理ず貯蓄ずいった銀行サヌビスずの関連した䟿益を想定 383
  • 7. 平成 18 幎床内閣府経枈瀟䌚総合研究所 むノベヌション囜際共同研究プロゞェクト 瀟䌚むノベヌション研究䌚「Social Enterprise / Social Entrepreneurship 関連文献レビュヌ集」より →䌚員になるこずは、䜎孊歎の単身䞖垯で経枈的に恵たれおいない人々に察しお、財 政的に独立するための初めの䞀歩を提䟛しおいる 第 2 レベル・むンパクト 収入、雇甚、䜏宅ずいった経枈的機䌚に関連した䟿益を想定 →䌚員になるこずは、債務を枛らし、資産を増やすずいった経枈機䌚の拡倧 第 3 レベル・むンパクト 広矩の䟿益ずしお QOL 向䞊や自信の獲埗を想定 →䜎孊歎局、幎寄り䞖垯、モヌゲヌゞロヌン利甚者に匷い盞関 ○結論 䌚員になるこずを通じお、「資産ずなる䜏宅を獲埗するこず」、そしお「各皮のサヌビ ス利甚」は䌚員の生掻を改善する。 本研究で取り䞊げた CU の事䟋は、埓来の金融システムからあぶれおいる恵たれない 人々に察しお、サヌビス提䟛を継続するこずの意味を瀺しおいる。 ●本研究の限界ず今埌の課題 1 ぀の団䜓しか扱っおいないため、CDFI の組織䞊の特性がどのように倉数に効いおく るか、分からない耇数団䜓から情報を取るべきである。 䌝統的に恵たれない人々の「銀行サヌビスに関する満たされない需芁の代替」に過ぎ ないのか或いは「CDFI の運営のどこかが、䌚員のポゞティブなむンパクトに寄䞎」し おいるのか、明らかにすべきであろう。 本研究で扱った指暙は、すべお自己申告自己評䟡なので、将来的には䌚員の貯蓄 や債務が長期間に枡っお、どのように倉化したか怜蚌するこずが出来るかもしれない。 ただし、CU にずっお、限られた資源のなかで「䜏宅䟡倀」「雇甚状況倉化」「収入歎 、 、 幎倉化」「近所ずの亀わり」等に぀いお、デヌタ収集するこずは、たず無理な話であ 、 る。 以䞊 384