On 26 June, JETRO Yangon (Japan External Trade Organization), Nippon Koei, and MCRB jointly hosted a half-day seminar in Yangon for Japanese companies operating in Myanmar to enhance understanding of responsible business conduct in the Myanmar context. Read more: http://www.myanmar-responsiblebusiness.org/news/sdgs-csr-esg-japanese-companies.html

1. 国際基準に照らし合わせたミャンマーにおけ
る労働環境の現状と今後の展望
野上 菜都
チーフ・テクニカル・アドバイザー
ILO ミャンマー事務所

2. ILOの自己紹介
国際基準から見たミャンマーの労働環境
ILO労働法ガイドの経緯と目的
現在進行中の労働法改正について
ミャンマー労働環境における主な課題
ILOから日系企業さんへのメッセージ
本日の講演内容

3. 国際労働機関（ILO）とは
• 国連の専門機関（187の加盟国）
• 1919年ベルサイユ条約によって国際連盟と共に
誕生
• 2019年に創設100周年を迎える
• 国連機関の中では唯一、
政労使の三者構成
• 幅広い労働問題に取り組む国際機関（ 雇用創出、
労働権利、社会保護、社会対話、等）。

4. ILO in Myanmar

5. 国際中核（最低）基準からもかけはなれた現状ー児童労働、
結社の自由の弾圧、差別、強制労働。
「開国」したばかりであることを考えるとある意味仕方が
ないので、長い目で見る必要あり。
その一方で、欧米の投資家や貿易相手国の間では、国際中
核（最低）基準に関しては国内法・慣行にかかわらず遵守
しようという認識が共有されている。「責任あるビジネ
ス」意識をもってミャンマー入りする投資家が多く、特に
メジャーなブランドは独自のサプライチェーン内のリスク
回避に真剣に積極的に取り組んでいる。
そんな「責任あるビジネス」が直面する問題とは。。。
国際水準からみたミャンマーの労働環境

6. 法制度の不整備による法遵守の難しさ
法の支配（Rule of Law）が発達しておらず、これまで法律は紙面上の
ものにすぎないか、国民との関連性がなかった。もしくは、当局に都合
の良い条項が解釈適用されていたこともある。
労働に関する法律は現在２０以上に及ぶ。
• 分野別に適用される法（工場法や店舗及び商業施設法など）があっ
たり、または
• 項目別に適用される法（賃金法や休暇法など）がある。
• とても古い法律がまだ有効であったりする
• 法律間で労使の権利・義務に関してあいまいな部分がある
外国人にとって、ミャンマー労働法＆規則の翻訳版を手に入れることが
極めて難しかった
様々な省令や通達が、一般公開されることなく施行される。地
域ごとに違う規則が適用されることもあり。
責任あるビジネス」が直面する問題

7. • 目的：ミャンマーの現行労働法、および、国際労働基準に関して、整理され
て利用しやすいことを目的としたガイド。
• 対象は全ての方（雇用者、労働者、投資家、貿易パートナー、等）
• 言語：英語、ミャンマー語、日本語、中国語、韓国語。
http://www.ilo.org/yangon/whatwedo/publications/WCMS_577563/lang--
en/index.htm
• 資金提供：
欧州連合、ノルウェー、スイス、
米国労働省（プロジェクトMMR/13/10/USA）
及びILO
ILO労働法ガイド

8. 免責事項
• 本書の作成に当たっては膨大な時間と人材が必要とされ、大変困難な作業でし
た。ILOはミャンマー政府との相談の元、誠実に、注意深く、そして良心の元
に作成してはおりますが、出版以降、本書中の規定に不正確な記述が残念なが
らいくつか指摘されています。
• ですが、ILOガイドはあくまでガイドでありミャンマー法そのものではありま
せんので、ILOが責任を負うことはできません。
• 最終的なミャンマー法の解釈はミャンマー連邦共和国の関連機関および裁判所
の判断に依ります。
• 第二版出版予定2018：現行法に関して指摘された不正確な箇所は全て第二版で
訂正し、新法や改正法に関する情報も第二版に掲載する予定です。

9. イントロ
• 本書の構成
• 本書の使い方
• 略語
II. 労働における基本原則
及び権利(国際中核基準)
A. 結社の自由及び団体交渉
（ILO 87&98号条約）
B. 強制労働の排除 （ILO29&105
号条約）
C. 児童労働の廃止（ ILO
138&182号条約）
D. 雇用及び職業における差別
の排除（ ILO100&111号条
約）
III. ミャンマー労働法
1. 雇用の規則
2. 従業員の採用
3. 賃金
4. 勤務時間及び残業
5. 祝日及び休暇
6. 労働安全衛生
7. 障害及び疾病に関する社会保障及び補償
8. 雇用終了
9. 労務の監督
10. 労働者及び使用者の組織
11. 職場調整委員会
12. 紛争解決
13. ストライキ及びロックアウト
14. 児童労働及び若年労働者
15. 強制労働
16. 外国人労働者
17. 経済特区
目次

10. 適用される法律の確認
Legislation Covered employers/industries Covered workers
Employment and Skills
Development Law
(employment contract and
skills development)
All businesses owned by the State,
cooperative, private or joint venture
employing more workers than stipulated,
whether permanently or temporary.
All workers employed for wages in the government,
government organizations, cooperatives, private or
joint venture organizations or companies or in other
occupations. Apprentices are also included.
Minimum Wages Act 1. Commercial
2. Production
3. Services
4. Agriculture
Minimum wages determined by the
National Committee for Minimum Wage
shall not apply to small and family-run
business employing less than 15 workers.
1. Permanent and temporary workers
2. Apprentices and trainees,
3. Clerks and staff
4. Outside workers
5. House-maids
6. Drivers, security men and guards
7. Sanitation workers.
Shops and
Establishments Act
1. Wholesale or retail sale shops
2. Commercial establishments (incl
employment agencies)
3. Establishments for public entertainment
Factories Act 1. Manufacturing
2. Processing
3. Transporting oil and water
4. Energy
5. Publishing/Printing
6. Ship-building services
7. Government-controlled factories
1. Manufacturing workers
2. Maintenance workers
3. Supervisor, accountant, clerk, security guard,
driver, cleaning worker, cook, odd-job man,
gardener and general worker
10

11. Legislation Covered employers/industries Covered workers
Leave and Holidays Act 1. Factories
2. Railways
3. Ports
4. Oilfields
5. Mines
6. Shops and establishments
7. Government-controlled factories.
Labour Organization Law 1. Factories and workshops
2. Establishments and their
production businesses
3. Construction and renovation
4. Transportation
5. Services
6. Government departments and
organizations
7. Other vocational work
1. Daily wage earners
2. Temporary workers,
3. Agricultural workers
4. Domestic workers
5. Government employees
6. Apprentices
7. Migrant workers
New OSH Bill? Is expected to cover all sectors?
Settlement of Labour Disputes Law All businesses owned by the State,
cooperative, private or joint venture
involved in:
1. Trade
2. Construction
3. Industry and production
4. Agriculture
5. Services
6. Vocational works
1. Daily wage earners
2. Temporary workers,
3. Agricultural workers
4. Domestic workers
5. Government employees
6. Apprentices
7. Workers terminated or dismissed
from work during a dispute
11

12. 本書の中身の一例：最低賃金

13. 本書の中身の一例： 時間外労働の賃金計算式

14. 本書の中身の一例：解雇と手当

15. 国際労働機関（ILO）とは
• 国連の専門機関（187の加盟国）
• 1919年ベルサイユ条約によって国際連盟と共に
誕生
• 2019年に創設100周年を迎える
• 国連機関の中では唯一、
政労使の三者構成
• 幅広い労働問題に取り組む国際機関（ 雇用創出、
労働権利、社会保護、社会対話、等）。

16. 国際労働機関（ILO）とは
• 国連の専門機関（187の加盟国）
• 1919年ベルサイユ条約によって国際連盟と共に
誕生
• 2019年に創設100周年を迎える
• 国連機関の中では唯一、
政労使の三者構成
• 幅広い労働問題に取り組む国際機関（ 雇用創出、
労働権利、社会保護、社会対話、等）。

17. National Tripartite Dialogue Forum (NTDF) :
三者協議機関としては国家最高レベルで、労働に関する様々な問題に
ついて協議し政府に提言する。3－4ヶ月ごとの定期開催。現在はILOの
財政・技術支援を受けているが、来年までには財政支援から卒業する
予定。
このNTDFの下に Technical Working Group on Labour Law Reform (TWG-LLR)
が立ち上げられ、労働法改正に関して三者が集中した議論を行いその
結果をNTDFに報告。ILOの財政・技術支援を受けている。
NTDFとTWG-LLRを補完するため労使二者協議も多く行われた。
2016－2017年は、労働契約、労働組織法、労働紛争解決法の改正に関
して多くの三者・二者協議が展開した。
現在進行中の労働法改正について

18. ILO’s Support for Myanmar through ILO-Myanmar
Labour Market Governance Programme
Developed under the framework of a multi-year initiative
agreed in 2014 among the Governments of Myanmar,
Denmark, Japan, the United States, the European Union
and the ILO: i.e. Initiative to Promote Fundamental
Labour Rights and Practices in Myanmar.
18

19. 軍支配から民主化への過渡期で、せっかく三者協議の制
度が整いつつあるが、形骸化の危険性もある。
政府の独断的な手法は根深く残り、経営者側も労働者
側も強い不満を訴えている。せっかく労使で合意を得
ても、政府に覆される（例：労働契約）
政府による労働市場への過度の介入、及び、予測不能
な行動（例：最低賃金の即日適用）
国会が突然主導権を握って法改正に乗り出し、三者協
議・合意を無視した改正法案を通そうとしている。国
際基準も無視。「Myanmar Way」がよく使われる（例：
マイナーな法違反に懲役を課そうとする等）
ミャンマー労働環境における主な課題

20. 全ての関係者の間で労使関係に関する知識が圧倒的に低い。
そもそも労使間で対話する文化ではない。トップダウンな
経営方針
Collective Bargaining (団交)＝“Collective demanding”と解釈されて
いるので、雇用者側は断固拒否。労働者側も団交が何かを
理解しきっていない人もあり
ストは、団交が決裂した際の「最後の手段」というよりは、
まずストが先に勃発してから後発的に紛争解決制度（調停、
仲裁）が適用される傾向。「違法」スト多し。
ストの理由の一つに、紛争解決制度（調停・仲裁・訴訟）
が未発達なこともある。「自分たちで何とかするしかな
い」意識が労働者側にある。
政府・雇用者による組合弾圧が蔓延
Labour Activistsの存在
© DVB news (20 March 2017)
ミャンマー労働環境における主な課題

21. ミャンマーに限らず、東南アジア全体で、原則的に日系企
業での労使紛争は少ない
海外では、文化や労使慣行の違いからおこる紛争はある意
味仕方がないですが、さらにミャンマーでは、法制度の圧
倒的な不整備・不透明が原因で勃発する紛争あるいは解決
されない紛争もある。企業側が十分に気をつけていてもお
きてしまう問題や紛争もある。
現地の管理職がまずい対応をした際に日本人経営者に情報
が行き届いていないという指摘もあるので、現地管理職の
訓練と本社との情報共有体制が大切かと思われます。
日系企業さんへのILOからのメッセージ

22. 労働問題に関してリスクの高い国と言えますが、
企業側の努力だけでリスク回避できる国ではないことも全
般的に周知されているので、大切なことは
法遵守・CSRの企業方針を日頃から公表しておき
問題が起きたら率直に対応する
メディアやNGOは大企業やブランドに対して特に厳し
い目で監視することもありますが、
基本的に、企業側に悪意がない場合は、きちんと自己
防衛することも大切です。
ILOとしても各方面へ啓蒙活動を行っています。
いつでも相談して下さい。
日系企業さんへのILOからのメッセージ

23. • Would you like to have a training
at your business?
• UMFCCI & MGMA offer trainings on
topics including:
• Employment Contract
• Social Dialogue
• Labor Law
• Dispute Resolution
• Calculating Wages
• Others…
23

24. Thank you
ILO Guide to Myanmar Labour Law 2017:
http://www.ilo.org/yangon/whatwedo/publications/WCMS_577563/lang--
en/index.htm (English, Burmese, Korean, Japanese and Chinese)
ILO’s (unofficial) English translations of some of the Myanmar labour
laws are availabe at ILO NATLEX at:
http://www.ilo.org/dyn/natlex/natlex4.countrySubjects?p_lang=en&p_cou
ntry=MMR