福岡ブロックチェーンエコノミー勉強会(2020年3月6日） SSI（自己主権アイデンティティ）

1. SSI（⾃⼰主権アイデンティティ）
近畿⼤学 ⼭崎重⼀郎
福岡ブロックチェーンエコノミー勉強会 (2020年3⽉6⽇)

2. 勉強会の⽬的
論点を整理したい
l そもそも SSIやDIDはなんのために必要なのか︖
l それ（課題）を解決するための技術と発展の⽅向性
（⽂脈︓ブロックチェーン）

3. アイデンティティ

4. リバイアサン
トマス・ホッブス 1651年
「国⺠国家」の概念

5. 国⺠が⾝体、王の頭部、⼿に剣と杖
リバイアサン
l トマス・ホッブス 1651年
l 「国⺠国家」の概念の理論化
国⺠国家

6. 国家によるアイデンティティ
国家
国⺠登録
野⽣⽣物としての⼈間
法的アイデンティティ
（⼈権）
Identifier
名前
Entity
Entity

7. ⽇本の⼾籍

8. 韓国の「家族関係登録法」
2007年に⼾籍制度を廃⽌
l 国⺠⼀⼈１レコード
住⺠登録番号
l リレーショナルDBを意識した（︖）家族関係の登録
「本法は国⺠の出⽣・婚姻・死亡等の家族関係の発⽣及び変動事項 に
関する登録とその証明に関する事項を規定することを⽬的とする。」

9. 国連SDGsのID2020
2015年9⽉の国連総会
l すべての国が取り組むべき17の⽬標と169のターゲット
l SSIに基づき、2030年までにすべての出⽣証明を含む法的アイデ
ンティティを提供する
国家
国家による
アイデンティティ
難⺠

10. 国際的な、結婚、出⽣、死亡
国家 国家

11. ⾹港⼈のアイデンティティ
記憶
歴史

12. エストニア⼈のアイデンティティ
記憶
歴史

13. プラットフォーマによるアイデンティティ
リバイアサン
l トマス・ホッブス 1651年
l 「国⺠国家」の概念の理論化

14. プラットフォーマによるアイデンティティ
リバイアサン
l トマス・ホッブス 1651年
l 「国⺠国家」の概念の理論化
記憶
歴史
記憶
歴史
記憶
歴史
記憶
歴史
記憶
歴史
記憶
歴史

16. ⼭崎のfacebook上の個⼈データ
515Mbあった

17. Facebookアプリがアクセスできる情報

18. プラットフォーマによるアイデンティティ
何が問題なの︖
ケンブリッジアナリティカ事件

19. ケンブリッジ・アナリティカ事件
英国のデータ分析企業による選挙の操作
l 2016年、アメリカ⼤統領選挙でのトランプ勝利
l 2016年、イギリスのブリクジット国⺠投票

20. ケンブリッジ・アナリティカ事件
facebookが収集したユーザデータを利⽤
l Facebookアプリの⼼理ゲーム 30万ダウンロード
ケンブリッジ⼤学の教授が作成したゲーム
l その友⼈8700万⼈以上の個⼈データを収集

21. ケンブリッジ・アナリティカ事件
軍事レベルのプロパガンダ・マシーン
l 個⼈の⼼理的反応傾向の特性を軍事技術で分析
(⼼理作戦の５ファクターモデル "Big 5")
l ⼼理傾向ごとにターゲットを絞って分類
l 選挙区ごとにきめ細かく、記事の推薦や広告などをコントロール
外向性
情緒不安定性
知性
同調性
誠実性、良⼼的特性
５ファクターモデル マイクロターゲティング

22. Big 5

23. プロパガンダ・マシーン
⼼理分析に基づく「説得可能」な個⼈への⾼精度の⼼理誘導
意図的なフェイクニュース
l 事実の歪曲
l 恐怖の増幅
意図的な動画、記事、映画、書籍などのお勧め
l 差別的コンテンツ
l 視聴履歴により推薦されるコンテンツの傾向が強化される
同調圧⼒
l トリニダードトバゴのDo So運動（選挙に⾏くな︕）

25. ケンブリッジ・アナリティカ事件その後
CA社は2018年５⽉に破産
類似のデータ分析企業が100社以上誕⽣している
l 過去に欧⽶諸国がアジア諸国の侵略に使った技術が欧⽶市⺠を分断

26. 個⼈データへの法規制
GDPR(EU ⼀般データ保護規則)
CCPA (カリフォルニア州消費者プライバシー法)
ケンブリッジアナリティカ事件 ...

27. SSIとは

28. Facebookアイデンティティの
代替としてのSSI

29. 過去のID連携によるシングルサインオン
レルム（ID連携する領域の定義）が本質
l 政府調達「消しゴムからトレーラーまで」
政府職員
消しゴム2個
トレーラー10台
RP
認証
認可
⽂房具
会社
⾃動者
会社
レルム
政府調達

30. 従来のID連携やシングルサインオン
レルム（ID連携する領域の定義）が本質
l セキュリティレベル 「消しゴムの購⼊」＝「トレーラ購⼊」
政府調達
RP
認証
認可
⽂房具
会社
⾃動者
会社
レルム
セキュリティ的
脆弱なポイント
政府職員

31. レルム（ID連携する領域の定義）が本質
l DeFiのためのステークホルダー
l セキュリティポリシーの領域
ブロックチェーンによる分散⾦融(DeFi)
投資家
ICO参加
RP
認証
認可
DApp
⾦融機関
レルム
DeFi
RP

32. SSI（⾃⼰主権アイデンティティ）
本⼈が中⼼となるモデル
l 本⼈のアトミックな属性
l ⾃⼰情報コントロール
本⼈
RP
RP
RP
issuer
issuer
issuerペルソナ

33. SSIを実現する技術

34. SSIによるアイデンティティとは︖

35. SSIによるアイデンティティとは︖
記憶
歴史
記憶
歴史

36. SSIによるアイデンティティとは︖
記憶
歴史

37. SSIによるアイデンティティとは︖
論理的原⼦論 (logical atomism)
バートランド・ラッセル
原⼦命題
原⼦命題
原⼦命題
原⼦命題
原⼦命題
アイデンティティID Holder
ヴィトゲンシュタイン

38. SSIによるアイデンティティとは︖
論理的属性の総体としてのアイデンティティ
事実P1
I have ...
アイデンティティ
ID Holder
事実P2
I have ...
事実P5
I have ...
事実P4
I have ...
事実P3
I have ...
事実P7
I have ...
事実P6
I have ...
検証（証明）
検証（証明）
検証（証明）
⊢ 𝐏𝟏
⊢ 𝐏𝟐
⊢ 𝐏𝟑
⊨ 𝐏𝐧
判断
RP
検証者

39. Verifiable Credentials
I have
RP
検証者
ID Holder
P 証明すべきステートメント
証拠
匿名認可
発⾏
CLゼロ知識署名プロトコルなど
(Camenisch-Lysyanskaya ZKP)
issuer

40. DID （Decentralized Identifier）
W3C (Decentralized Identifiers (DIDs) v1.0)
l https://w3c.github.io/did-core/
DID
(名前)
Entity
DIDドキュメント
ペルソナペルソナ
ペルソナ
リゾルバ
発⾏
service endpoint
Verifiable
Credentials
issuer
Verifiable
Credentials

41. ゼロ知識証明

42. チャレンジ・アンド・レスポンス法の問題
「知識」による正解そのものを相⼿にわたしている
l プロトコル実⾏後の検証者のメモリに情報が蓄積される
暗号⽂
本⼈暗号
計算
秘密鍵
任意の平⽂
検証者
メモリ
知識
平⽂
暗号
計算
チャレンジ
レスポンス
確率変数

43. ゼロ知識証明プロトコルの基本
検証者 証明者
コミットメント
チャレンジ
レスポンス
ゼロ知識︓知識に関する情報を相⼿に渡さない
l プロトコル実⾏前と後で確率変数としてのメモリに変化が無い
証明
システム
メモリ
暗号
計算
秘密鍵
乱数確率変数

44. IDp モデルのPhone home問題
RPは必ずIDpに認証と認可を問い合わせる(Phone home)
IDpにEnd-Userのすべての利⽤履歴がわかってしまう
RP
RP
RP
IDp
End-User
問い合わせ

45. End-Userが⾃分の認証認可のコミットメントを共有掲⽰板
に登録する
共有掲⽰板
共有掲⽰板を使ったPhone home問題の解決
RP
RP
RP
End-User
問い合わせ
コミットメント

46. 前提条件︓共有掲⽰板は改ざん不可能
共有掲⽰板
(ブロックチェーン)
信頼できる共有掲⽰板＝ブロックチェーン
RP
RP
RP
End-User
コミットメント
ID
ワレット
peer
属性証明機関
ゼロ知識証明

47. 何のためのSSI︖

48. なぜSSIが必要なのか︖
学位の証明︖ そんなに切実な問題︖

49. サブスクリプションサービスへの適⽤︖
ユーザ中⼼モデルにできるか︖
l 視聴履歴を本⼈が統合管理d
SSI
パーソナルデータストア
Verifiable
CredentialsVerifiable
Credentials
視聴履歴
課⾦状況

50. 信⽤ランクとペルソナ
芝⿇信⽤
l 儒教的価値観による経済的信⽤の数値化
仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌
Entity

51. 我々はすでにデストピアに暮らしているのかも

52. 論点整理
ケンブリッジアナリティカ事件の整理︓
l ⾼橋郁夫弁護⼠（駒澤綜合法律事務所）
DIDやスマートコントラクトと組み合わせて利⽤可能な、既存のTLSを利
⽤した分散オラクルの仕組み︓
l 安⼟茂亨⽒（Chaintope)
SSIとDIDについての論点の整理１︓
l 岡⽥仁志先⽣（国⽴情報学研究所）
SSIとDIDについての論点の整理２︓
l 吉井和明弁護⼠（光雲法律事務所)
全参加者との対談形式での論点整理