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データに基づいた議論を!
~米国の旧著作権法登録制度から
分かる最適な著作権保護期間
クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
野口 祐子
2013.7.1
著作権保護期間の延長の是非
• 現在もTPPの知的財産章の一貫として著作
権保護期間の20年延長が議論されている、
との予測
• 日本では2005年から2009年まで文化審議会
著作権分科会で20年延長することの是非が
検討され、賛成反対双方の...
データに基づいた保護期間の考察
• 保護期間は何年が最適か?を考えるにあ
たって、ベルヌ条約加盟前の米国制度は、興
味深いデータを提供している。
• 以下に見るとおり、1960年当時、登録された
著作物の85%以上が28年の著作権期間で
十分で...
米国の1909年法
• 「登録」すると著作権は保護される
→登録された著作物は大半が商業著作物
• 当初の保護期間は28年。その後、「更新登
録」をするとさらに28年延長され、保護期間
は56年となる。
• では、実際にはどの程度の著作物が「更...
更新率の調査
• Barbara A. Ringer, “Renewal of
Copyright” (1960)
http://www.copyright.gov/history/studies/stud
y31.pdf
• 米国の著作権局が...
興味深いデータ
• 1910年の更新率(1883年に創作された著作
物)は、わずか3.57%
• 更新率は次第に上昇
• 約30年後(1942年)に初めて10%超
• 約50年後の1959年に、トータルの更新率は
最高の14.7%に達する
Barbara A. Ringer, “Renewal of Copyright” (1960) p222
Barbara A. Ringer, “Renewal of Copyright” (1960) p222
Barbara A. Ringer, “Renewal of Copyright” (1960) p223
分野別では映画が最高
• 1959年の更新率を分野ごとに分けたデータ
も公表されている
• 最高は実写映画の74%(ただし数は少ない)
および実写以外の映画の65%
• 数が多いのは書籍(7%)、定期刊行物
(11%)、音楽(35%)
Class A:書籍 7% Class H:美術の複製物 -%
Class B:定期刊行物 11% Class I :設計図 0.4%
Class C:口述用の講義等 0.4% Class J:写真 1%
Class D:脚本 11% Clas...
逆にいえば、1959年当時、
85%の著作物については、
権利者が更新する必要はない
(=保護期間は28年で十分)と
判断していた、ということになる。
得られる示唆
• 現在の著作権保護期間は、著者の死後50年で、28
年より遥かに長い。これをさらに延長する必要性、経
済合理性はあるか?
• インターネットのなかった1960年当時のデータは今
の時代にどのような意味を持つか?
– 本質的な影響...
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著作権保護期間を1960年の米国データから考える/copyright duration in the US in 1960

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1959年当時の米国では録された著作物(その多くが商業著作物と想像される)の85%が28年の保護期間で十分だったというデータがある。このデータが今の時代に持つ意味は?
85% of the registration of copyrighted materials (most of them are likely commercial materials) in 1959 was not renewed and went into the public domain after 28 years. What can we learn from this fact?

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著作権保護期間を1960年の米国データから考える/copyright duration in the US in 1960

  1. 1. データに基づいた議論を! ~米国の旧著作権法登録制度から 分かる最適な著作権保護期間 クリエイティブ・コモンズ・ジャパン 野口 祐子 2013.7.1
  2. 2. 著作権保護期間の延長の是非 • 現在もTPPの知的財産章の一貫として著作 権保護期間の20年延長が議論されている、 との予測 • 日本では2005年から2009年まで文化審議会 著作権分科会で20年延長することの是非が 検討され、賛成反対双方の意見の隔たりが 大きいとして見送り • 詳しくはThink CのHPを参照 (http://thinkcopyright.org/)
  3. 3. データに基づいた保護期間の考察 • 保護期間は何年が最適か?を考えるにあ たって、ベルヌ条約加盟前の米国制度は、興 味深いデータを提供している。 • 以下に見るとおり、1960年当時、登録された 著作物の85%以上が28年の著作権期間で 十分であった、とのデータがある。 • インターネット時代の今、このデータはどのよ うなインパクトを持つか?
  4. 4. 米国の1909年法 • 「登録」すると著作権は保護される →登録された著作物は大半が商業著作物 • 当初の保護期間は28年。その後、「更新登 録」をするとさらに28年延長され、保護期間 は56年となる。 • では、実際にはどの程度の著作物が「更新」 されたのか?
  5. 5. 更新率の調査 • Barbara A. Ringer, “Renewal of Copyright” (1960) http://www.copyright.gov/history/studies/stud y31.pdf • 米国の著作権局が1959年までの更新率の データを公表している
  6. 6. 興味深いデータ • 1910年の更新率(1883年に創作された著作 物)は、わずか3.57% • 更新率は次第に上昇 • 約30年後(1942年)に初めて10%超 • 約50年後の1959年に、トータルの更新率は 最高の14.7%に達する
  7. 7. Barbara A. Ringer, “Renewal of Copyright” (1960) p222
  8. 8. Barbara A. Ringer, “Renewal of Copyright” (1960) p222
  9. 9. Barbara A. Ringer, “Renewal of Copyright” (1960) p223
  10. 10. 分野別では映画が最高 • 1959年の更新率を分野ごとに分けたデータ も公表されている • 最高は実写映画の74%(ただし数は少ない) および実写以外の映画の65% • 数が多いのは書籍(7%)、定期刊行物 (11%)、音楽(35%)
  11. 11. Class A:書籍 7% Class H:美術の複製物 -% Class B:定期刊行物 11% Class I :設計図 0.4% Class C:口述用の講義等 0.4% Class J:写真 1% Class D:脚本 11% Class K:イラスト 4% Class E:音楽 35% Class L:実写映画 74% Class F:地図 48% Class M: 実写以外の映画 65% Class G:絵画・彫刻等の美術 4% Barbara A. Ringer, “Renewal of Copyright” (1960) p221
  12. 12. 逆にいえば、1959年当時、 85%の著作物については、 権利者が更新する必要はない (=保護期間は28年で十分)と 判断していた、ということになる。
  13. 13. 得られる示唆 • 現在の著作権保護期間は、著者の死後50年で、28 年より遥かに長い。これをさらに延長する必要性、経 済合理性はあるか? • インターネットのなかった1960年当時のデータは今 の時代にどのような意味を持つか? – 本質的な影響はないと考えるべきか? – インターネットの登場により創作・流通する作品数が増え、 一つ一つの作品寿命は平均的に短くなったと考えるべき か? – 逆にインターネットの登場によって作品の保護期間を延ば さなければ十分に投下資本が回収できない時代になった とみるべきか? • その答えを出すには、別のデータの分析が必要

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