アクチュアリー試験年金二次対策(公的年金)2. 過去問の傾向
第1部 第2部
平成25年 段階保険料方式 被用者年金一元化における積立金
の移換方法
平成24年 財政検証の経済前提 厚生年金の財政方式と積立方式へ
の移行
平成23年 財政検証レポート 世代間の給付と負担の関係
平成22年 段階保険料方式 未納問題
平成21年 所得代替率 永久均衡方式と有限均衡方式
公的年金の保険料、給付、そして財
政検証の仕組みについて理解して
いますか?
公的年金を巡る神話について、年
金数理人として正しく反論できます
か?
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4. 平成16年年金制度改革(パラダイムシフト)
① 上限を固定した上での[ ]の引上げ
② 負担の範囲内で給付水準を自動調整する仕組み([ ])
の導入
③ 積立金の活用(おおむね[ ] 年で財政均衡を図る方式)
④ 基礎年金国庫負担の[ ]への引上げ
財政検証は公的年金財政の定期健康診断に当たるもので
あるが、その結果、5年後(今回の財政検証からみた場合は
平成26 年)の時期までに、現役世代の手取り収入に対する
標準的な年金額の水準([ ])が[ ]を下回ることが
見込まれる場合には、年金財政はいわば「要治療」の状態で
あるとみなされ、改めて給付と負担の在り方について検討を
行うこととされている。
3(出典)平成21年財政検証結果レポート
5. 財政検証の枠組み
• 企業年金の場合、
– 基礎率:
• 経済前提:予定利率
• 人口前提:予定死亡率、予定脱退率、予定昇給率、予定新規加入年齢
– 目標:
• 継続基準、非継続基準を満たすこと
• 公的年金の場合、
– 基礎率:
• 経済前提:物価上昇率、賃金上昇率、運用利回り
• 人口前提:合計特殊出生率、死亡率、労働力率
– 目標:
• おおむね100年後の積立金を給付費1年分とする
• 次の財政検証までに、所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合には、
所要の措置を講ずる
経済環境を踏ま
えた課題
雇用環境を踏ま
えた課題
長期的な財政均
衡を図る仕組み
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27. 神話③:積立方式に移行すると公平になる?
【解答】それは幻想です。
• 社会制度改革国民会議報告書:
– 本年 1 月にIMFの主催で開催された「世界危機後のアジアにおける
財政的に持続可能かつ公平な年金制度の設計」と題した会合におい
て、
① 年金制度で鍵になる変数は将来の生産物であり、積立方式と賦課
方式は、単に、将来の生産物に対する請求権を制度化するための
財政的な仕組みが異なるにすぎず、積立方式は、人口構造の変化
の問題を自動的に解決するわけではないこと
② 年金財政問題の解決策は、
i. 平均年金月額の引下げ、
ii. 支給開始年齢の引上げ、
iii. 保険料の引上げ、
iv. 国民総生産の増大政策
の 4 つしかなく、これらのアプローチが含まれていない年金財政改善方策
はいずれも幻想にすぎないこと
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30. 神話③:積立方式に移行すると公平になる?
【解答】残された選択肢
• 社会制度改革国民会議報告書:
– 高齢期の就労と年金受給の在り方
• 高齢化が進展し、生涯現役社会に向けた取組が進められていく中で、
高齢者の働き方と年金受給の在り方をどう組み合わせるかについても、
今後の検討課題となってくる。
• 2009(平成 21)年の財政検証では年金制度の持続可能性が確認され
ている。また、現在 2025(平成 37)年までかけて厚生年金の支給開始
年齢を引き上げている途上にあり、直ちに具体的な見直しを行う環境
にはないことから、中長期的課題として考える必要がある。
• この際には、雇用との接続や他の社会保障制度との整合性など、幅広
い観点からの検討が必要となることから、検討作業については速やか
に開始しておく必要がある。
• 一方、世界に目を向けると、高齢化の進行や平均寿命の伸長に伴って、
就労期間を伸ばし、より長く保険料を拠出してもらうことを通じて年金水
準の確保を図る改革が多くの先進諸国で取り組まれている。 (続)
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31. 神話③:積立方式に移行すると公平になる?
• 日本の将来を展望しても、65歳時平均余命でみると、基礎年金創設時
(1986(昭和 61)年)には男性 15.52 年、女性 18.94 年だったが、現時点
(2011(平成23)年)には男性 18.69 年、女性 23.66 年と 3~5 年程度延びて
おり、直近の人口推計(平成 24 年 1 月、中位推計)では、2060(平成 72)年
時点で男性 22.33年、女性 27.72 年と、現在よりも更に 4 年程度延びると推
計されている。
• 労働力人口の推計(2012(平成 24)年)をみると、現在の労働力率(15歳以
上人口比約 60%)を維持するためには、雇用継続が義務化された 60 歳代
前半はもとより、60 歳代後半の労働力率をかなりの程度(男性で 2010(平
成 22)年 48.7%→2030(平成 42)年 65.0%)引き上げることが必要となるこ
とが示されている。
• また、これまで、年金の支給開始年齢については、将来の年金の給付規模
の伸びを抑制する観点から、専ら年金財政上の問題として議論されてきた。
• しかし、2004(平成 16)年の制度改革によって、将来の保険料率を固定し、
固定された保険料率による資金投入額に年金の給付総額が規定される財
政方式に変わったため、支給開始年齢を変えても、長期的な年金給付総額
は変わらない。 (続)
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35. (参考)社会保障・税一体改革
• 「法案を提出する/検討する」とされた事項
1. 基礎年金国庫負担1/2の恒久化(⇒年金機能強化法)
2. 年金額の特例水準の解消(⇒年金機能強化法)
3. 低所得者等の年金加算(⇒年金生活者給付金法)
4. 高所得者の年金額の調整
5. 受給資格期間の短縮(⇒年金機能強化法)
6. 産休期間中の保険料免除(⇒年金機能強化法)
7. 遺族基礎年金の父子家庭への拡大(⇒年金機能強化法)
8. 短時間労働者への厚生年金適用拡大(⇒年金機能強化法)
9. 被用者年金の一元化(⇒被用者年金一元化法)
• 「引き続き検討する」とされた事項
1. 第3号被保険者制度の見直し
2. マクロ経済スライドの検討
3. 在職老齢年金の見直し
4. 標準報酬上限の見直し
5. 支給開始年齢引上げの検討
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36. まとめ
• 限られた資金をどう分配するのか
① 現在の高齢者 vs. 未来の高齢者
② 高齢世代間(高齢就労者、低所得、高所得)
• 担い手を増やす方策は?
– 年金制度内
① 適用拡大
② 第3号被保険者制度の見直し
③ 在職老齢年金の見直し
– 年金制度外
① 若年者雇用対策
② 高齢者雇用対策
③ 少子化対策
④ 経済成長
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