アドラー心理学の全体像を「超簡単に・ざっくり」つかむことを目的に作成しました。 「嫌われる勇気」などのアドラー心理学入門書をさらに体系的に理解しやすくするねらいがあります。

1. アドラー心理学の
パンフレット
「自分らしく生きる」ための「勇気」の学問
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2. 目次
1. はじめに ～勇気の心理学～
• 作成の目的・注意
• 「勇気の心理学」アドラー心理学の全体像
2. アドラー心理学の５つの大前提
• …
• 内面の自分らしさ「ライフスタイル」
3. 対人関係のゴール「共同体感覚」
• 対人関係の入り口「課題の分離」
• そもそも「共同体感覚」とは？
• 「人生のタスク」を乗り越えよ！
• アドラー心理学の対人関係おさらい
4. 「いま、この瞬間を生きよ！」人生は瞬間の連続である
5. まとめ ～勇気の心理学～
おまけ・参考文献
目的論 仮想論全体論 個人の主体性 社会統合論

3. １．はじめに ～勇気の心理学～
• アドラー心理学を「自分のもの」にするのは大変難しいことです。
しかし、アドラー心理学を「自分のもの」にすれば、間違いなく世界の見え方が変
わります。今よりずっと、生きやすい世の中になるでしょう。
• 世界を変えるのはあなたです。何を言ってるかわからないでしょうが、
じきに意味がわかります。
こんな人に学んでほしい！アドラー心理学
• 「自分のことが嫌いだ」
• 「他人と比べて自分はダメダメだ」
• 「なんか日々寂しい」
• 「自分のいいところがわからない」
• 「世の中イヤなことばかりだ」

4. 作成の目的
• 本ファイル（以下、本著作物）は、作成者が大学生時代にアドラー心理学に衝撃
を受け、感化されたことをきっかけに、人々が精神的自立を果たす援助ができれ
ばとの思いで、アドラー心理学の最低限の要旨を体系化して伝えたいというねら
いをもって作成しました。
• もし疑問・各種ご相談等ございましたら、animetsushima@gmail.comにご連絡くだ
されば幸いでございます。
• なお、本著作物はアドラー心理学の門戸を広くするため、基本中の基本の理論に
絞って、全体像を整理するものです。必要最低限の理論しか掲載されていない、
「入門書」にも及ばない「パンフレット」レベルのスライドです。
アドラー心理学に興味をもたれた方は、ぜひ「入門書」の代表格である
「嫌われる勇気」を手に取ってみてください。
本パンフレットを理解していると、よりいっそう書籍への理解も深まるでしょう。

5. 注意 アドラー心理学は宗教ではない
• アドラー心理学では、人が幸せに生きるための勇気をもたらす理論を展開
します。
• しかしこの理論は「真理」ではありません。背後に「親鸞聖人がこう悟っ
たからこれが真理なのだ」というようなストーリーもありません。した
がって、アドラー心理学の理論通りに生きることが「目的」と化すべきで
はありません。
• アドラー心理学を学び、どう考えるかはあなた次第。
幸せに生きるための「手段」として、
アドラー心理学という科学を利用してみてはどうでしょうか。

6. 「勇気の心理学」
アドラー心理学の全体像
目的論
全体論
個人の主体性仮想論
対人関係論
自分の課題に集中し、
課題（困難）を乗り越え
アドラー心理学の５大前提
によって勇気づけする
人が
勇気とともに 共同体感覚（ゴール）をめざす
どの道を選び、課題とどう戦うかは、
その人の考え（ライフスタイル）次第！

7. 「勇気の心理学」
アドラー心理学の全体像
• アドラー心理学の全体像を説明しておこう。
• まず、アドラー心理学は「勇気」の心理学である。
アドラー心理学では、５つの大前提・課題の分離・共同体感覚をもとに、
さまざまな「勇気づけ」を行い、
人が困難に立ち向かい、人生を歩むために必要な「勇気」をもたらす。
• アドラー心理学では、人生のゴールを「共同体感覚」と考える。
その途中にはさまざまな課題（困難、アドラー心理学では「人生のタスク」とい
う）が待ち受けているが、人は自分のやり方（ライフスタイル）で課題と向き合い、
勇気とともに困難を乗り越え、ゴールへ進む。
• このことを頭に入れておけば、それぞれの理論がどの部分の話をしているのかがわか
りやすくなるはずだ。

8. ２．アドラー心理学の５つの大前提
目的論
全体論
個人の主体性仮想論
対人関係論

9. アドラー心理学の大前提「目的論」
目的論
人間は、過去の「原因」から現在の行動が規定されるのではなく、
現在の「目的」に沿って（場合によっては過去の経験に主観的な意味づけをして）行動を規定する。
以前、女性から軽蔑された経験がある
から、女性とうまく関われないのだ
女性と関わって軽蔑されないように、
過去の経験に暗い意味合いをもたせ
関わりを避けようとしている
「現在の自分は、自分の経験によって決定されるのではなく、
経験に与える意味によって自らを決定するのである」

10. アドラー心理学の大前提「全体論」
全体論
アドラー心理学では、個人はそれ以上分割できない最小単位である。
頭ではわかってるんだけど、
身体が勝手に…
個人全体として、何らかの目的をもち
駅員を暴行した。

11. アドラー心理学の大前提「個人の主体性」
個人の主体性
人は、いち個人として、自分の目的に沿うように感情や本能をコントロールし、
行動・態度を決定している。
「あんたがミスすると、
なんかムカムカくるわ！」
（あんたより上位に立ちたいから、
あんたがミスした時はとことん怒っ
て、あんたにも直接怒鳴るようにす
るわ！）

12. アドラー心理学の大前提「仮想論」
• 劣等感は「客観的事実」ではなく「主観的解釈」。
→ 身長が何cmで偏差値がいくつだ…俺の顔にはニキビがある
→ その事実そのものに意味はない。「劣等」と解釈しているのは主観
「大切なのはなにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである」
仮想論
人間は、事象（客観的事実）を個人の目的に応じて主観的に解釈する。
つまり、人間にとって見えている世界は主観にもとづくもの。
偏差値55か。
俺は頭悪い。
いつもあいつ
に勝てない。
偏差値55か。
〇〇に取り組
めばA大学合格
が見えてくる

13. アドラー心理学の大前提「社会統合論」
• 一見、この悩みに対人関係は含
まれていないように見える。
• しかし我々が社会を構成し、大
学も社会のうえに成り立ってい
る以上、対人関係のもと成り
立っている。
• 悩む理由の根本が他人からの評
判や叱責であれば言うまでもな
い。
• もし世界に一人きりなら、「大
学」なんて概念はない。
社会統合論
人間は生まれた瞬間から、社会と、社会生活に不可欠な対人関係の中に生きる生き物である。
そのため、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と考えるし、
「人の行動にはすべて「相手役」が存在する」とも考える。
A大学の偏差値に
足りてない…!!
どうしよう

14. ５大前提のまとめ
• つまり一言でいうと、
人はつねに、社会の一員たる「個人」全体としてなんらかの目的をもっていて、
（原因から行動を決定するのではなく）その目的に沿って、世界を主観的に解釈
して自分の行動を規定している。
• アドラー心理学を学ぶと、具体的な行動指針など、言っていることはほとんど
５つの前提や、後ほど紹介する「課題の分離」と「共同体感覚」の組み合わせに
よるものであることがわかるだろう。
目的論 全体論 個人の主体性 仮想論 社会統合論

15. 内面の自分らしさ「ライフスタイル」
• アドラー心理学では、人生における思考や行動の傾向、あるいはその人が
もつ世界観のことを「ライフスタイル」とよぶ。
• ライフスタイルは、自分についての捉え方、世界についての捉え方（世界
観）、理想（世界や自分はこうあるべきだ）の３つの要素からなる。
• アドラー心理学の全体像から見れば、ライフスタイルは、人の課題の乗り越え方、
あるいはどの道を通るかといった判断基準を表しているといえる。
まさに、ライフスタイルとは「内面の自分らしさ」である。
• 今暗い考え方をして辛い日々を送っていたとしても、
ライフスタイル＝考え方は、目的次第で変えることができる（目的論）。

16. ３．対人関係のゴール「共同体感覚」
課題の分離
共同体感覚人生のタスク
勇気をもって、自己への執着から逃れ、
他者への関心に至る。
勇気をもって、課題（困難）を乗り越え、

17. 対人関係の入り口「課題の分離」
• 課題の分離
• 「これは誰の課題か」という視点から、自者と他者の課題を分離していくこと。
あらゆる対人関係のトラブルは、これをできなかったことに起因する。
• 課題の分離を行うことで、自己への執着から逃れる。
要するに、自分がどう見られたいか、自分がやったことが他人にどう捉えられるかという、
他人を見ているようできわめて自己中心的な視点（自己への執着）から逃れる。
• 「あの人に嫌われるかどうか」はあの人次第。あなたの課題ではない。
「嫌われる勇気」を持て！
上司が僕のことを気に入るか
どうかは上司の課題。
俺はただこの仕事をうまくや
るだけだ！

18. そもそも「共同体感覚」とは？
• 共同体感覚
共同体感覚は、４つの概念からなる、
• 所属感… 共同体のなかに居場所がある、「ここにいていいんだ」と感じられること。
• 自己受容… ありのままの自分を、まずは受け入れてあげること。
やみくもに自分を過大評価する「自己肯定」とは違う。
• 他者信頼… 他者は仲間であると信じること。
• 他者貢献… 自分は共同体の役に立てている、と主観的に思えること。
「ほめてもらうこと」など、他者からの評判によって貢献感を得ることは依存につながるので注意。

19. そもそも「共同体感覚」とは？
 つまりアドラー心理学の理論における理想の人生（共同体感覚）は、自分ばかりでな
く他者のことも気にかけ、自分を受け入れ、「まわりの人は敵ではないのだ。自分は
何かの役に立てていて、ここにいていいのだ」という感覚を持てることだ。
ここでいう「共同体」は、学校・家族といった狭い集団に限らず、国家・社会・宇宙・無限大という、
大きさに制限のない集団のことも指す。
 まわりの「幸せそうな人」と「幸せじゃなさそうな人」を思い浮かべてみよう。
この２種類の人は、たいてい「共同体感覚」を持てているかどうかで分類できるので
はないだろうか。
• たとえ学歴が高くてお金持ちでも、自分のメンツのことばかり考えて、物欲にとらわれて
いる人ような人は幸せに見えないはずだ。
• 同様に、恋人が絶えない人でも、自分が相手になにをしてあげられるか考える余裕がなく、
常に自分が相手に捨てられないかばかり気にしているような人に、幸せな人はいるだろう
か？

20. 「人生のタスク」を乗り越えよ！
• 人生のタスク
個人が社会的な存在として生きていこうとするとき、直面せざるを得ない課題のこと。
アドラーによれば、人生の課題（タスク）は以下の３種類に集約できるという。
• 仕事のタスク… 共通の目標に向かって条件付きで協力する対人関係。
• 交友のタスク… 条件なしに、信頼のもとなりたつ対人関係。
• 愛のタスク… 恋愛や家族関係のような、運命すらも共にする対人関係。
課題の乗り越え方（ライフスタイル）は
人それぞれ！
アドラー心理学は課題を
乗り越える勇気をもたらす！

21. アドラー心理学の対人関係おさらい
• ４章の冒頭でも図解したが、改めて本章の内容を振り返っておこう。
• まず、アドラー心理学では「社会統合論」を大前提として考える。
以下、アドラー心理学の対人関係に対する考えを文章でまとめた。
章頭の図と照らし合わせながら見てほしい。
• 人間の対人関係は、
まず勇気を持って「課題の分離」を行って自己への執着から逃れ、
人生のあらゆる課題に、自分のやり方で逃げずに向き合うことから始まる。
そして、自分を受け入れ、他者を信じ、他者に貢献することができると
感じ、自分のことで頭がいっぱいいっぱいになることなく、
世界に居場所を見出すことができる状態を目標とする。
社会統合論

22. ４．「いま、この瞬間を生きよ！」
人生は瞬間の連続である
アドラー心理学の５つの大前提を思い出してほしい。
人はみな、いち個人としてなんらかの目的のもと、
主観で行動しているのである。
結局、過去の経験が持つ意味合いは自分次第。
事実は事実でしかない。
事実で自分を縛り、振り回しているのは自分自身。
だとしたら、過去の事象に縛られる必要はどこにもない。
われわれは過去に戻って努力することはできないのだ。
いま、この瞬間は、0.1秒後には過ぎ去っている。
左の人が乗っているトロッコも、0.1秒後には同じ地点にはい
ないはずだ。
目標があるなら、とりあえずこの瞬間を努力することしかでき
ない。

23. ５．まとめ
• 「嫌われる勇気」はあるか？
アドラー心理学は、人の人生を変えてしまいかねない大きな力を持っている。
その考え方に、「世界がひっくり返ったような」衝撃を受ける人も多い。
たしかに、アドラー心理学は「勇気の心理学」と呼ばれるだけあって、
実践することは難しい。決して簡単に身につくものではない。
しかし、世界は主観でできている。
決心し、「自分の課題」に対して行動すれば、世界はたちまち大きく変わる。
いわゆる「成功者」たちの名言には、
多かれ少なかれアドラー心理学の思想と共通する部分がみてとれるはずだ。
自分は自分。他人は他人。自分がやるしかないのだ。
興味をもったら、まずは「嫌われる勇気」を読んでみてください。
あなたに「勇気」はありますか？

24. おまけ ～勇気づけコレクション～
「嫌われる勇気」から引用
• 「もしも幸せを実感できずにいるのであれば、
「このまま」でいいはずがない」
• 「誰とも競争することなく、ただ前を向いて歩いていけばいいのです」
• 「いまの自分よりも前に進もうとすることにこそ、価値があるのです」
• 「お前の顔を気にしているのはお前だけだよ」
• 「「人々はわたしの仲間なのだ」と実感できていれば、
世界の見え方はまったく違ったものになります」
• 「われわれは「他者の期待を満たすために生きているのではない」」
• 「世界とは、他の誰かが変えてくれるものではなく、
ただ「わたし」によってしか変わりえない」
• 「われわれはなにかの能力が足りないのではありません。
ただ”勇気”が足りていない」

25. 参考文献
• 岸見一郎・古賀史健（2013）『嫌われる勇気：自己啓発の源流「アドラー」の教え』ダイヤモンド社.
• 岸見一郎・古賀史健（2016）『幸せになる勇気：自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ』ダイヤモンド社.
• ドライカース, R.（1996）『アドラー心理学の基礎』（宮野栄訳）一光社.
• ランディン,W, ロバート.（1998）『アドラー心理学入門』（前田憲一訳）一光社.

26. • 周囲の悩める人が一人でも多く精神的に自立し、心地よく生活で
きますように。
• 第一版 2020年1月9日 図書館にて完成
• この試みが、誰か１人でもいいので、
自分らしく、他人に縛られず生きる手助けになれば。
• 第二版 2020年1月11日 自宅にて改訂
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YosoroTsushima